実験計画法

多水準直交表とは?2水準以外の設計方法を理解する

はじめに

ここまでは、
「2水準因子」(例:ON/OFF、低/高)だけを使った実験設計(L4やL8)を学んできました。

しかし現実には、

  • 温度(50℃、70℃、90℃)

  • 時間(5分、10分、15分)

  • 材料(材質A、B、C)

のように、2水準では表現できない因子もたくさんあります。

こういう場合に使うのが、
多水準直交表です!

この記事では、

  • 多水準直交表とは何か?

  • どんなときに使うのか?

  • 代表的な表(L9、L18)の特徴

をわかりやすく解説します!

1. 多水準直交表とは?

定義

多水準直交表とは、因子ごとに2水準以上(3水準、4水準など)を持たせた直交配列表のこと。

例えば、
「3種類の温度設定」を比較するなら、
2水準(低/高)だけでは足りません。

3水準を扱える直交表が必要です。

2. なぜ多水準直交表が必要なのか?

 

現実の問題 どうする?
温度設定は3段階必要 → 3水準直交表を使う
材質選定は4種類ある → 4水準直交表を使う
複雑な製造条件を検討したい → 多水準対応が必要

現場では、単純な2択だけでは済まないケースがほとんど。
だから、多水準直交表の知識は必須なのです!

3. 代表的な多水準直交表

【1】L9直交表(3水準)

 

試行 因子A 因子B 因子C 因子D
1 1 1 1 1
2 1 2 2 2
3 1 3 3 3
4 2 1 2 3
5 2 2 3 1
6 2 3 1 2
7 3 1 3 2
8 3 2 1 3
9 3 3 2 1

特徴:

  • 各因子は3水準(1, 2, 3)

  • 全9試行で、主効果が推定可能

  • 各水準がバランスよく現れる

【2】L18直交表(2水準+3水準)

 

試行 因子1 因子2 因子3 因子4 因子5 因子6 因子7
1 1 1 1 1 1 1 1
2 1 1 1 2 2 2 2
3 1 2 2 1 1 2 2
... ... ... ... ... ... ... ...

(※簡略表示)

特徴:

  • 2水準因子と3水準因子を混在できる

  • 複雑な実験条件を効率よくまとめられる

  • 現場で非常によく使われる

4. 多水準直交表を使うときの注意

 

注意点 解説
割付けに慎重になる 因子ごとの水準数に合わせて、適切な列に割り付ける
交絡に注意する 特に3水準では、交互作用の交絡が起きやすい
試行回数の管理 L9なら9回、L18なら18回。コスト計算も大事!

まとめ

  • 多水準直交表は、2水準以外の因子を扱うときに使う

  • L9直交表(3水準)やL18直交表(2水準+3水準)が代表例

  • 現場の複雑な実験条件に対応するために必須のツール!

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次の記事では、
乱塊法とは?実験条件にばらつきがあるときの設計法
について詳しく解説していきます!

ここを理解すると、
「完全に統制できない実験条件」を上手に処理できるようになります!

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