実験計画法

交互作用を無視すると失敗する?実験の落とし穴|実験計画法の基礎概念⑨

📌 この記事の位置づけ

「実験計画法の基礎概念シリーズ」第9回。前回は「交互作用」を学びました。今回は交互作用を無視するとなぜ失敗するのかを具体例で解説します。

「主効果で最適条件を決めたのに、期待通りの結果が出ない…」

「交互作用って、本当に考慮する必要あるの?」

結論から言うと、交互作用を無視すると「最適」のはずが「最悪」になることがあるのです。

この記事では、具体例を使ってその危険性を実感していただきます。

主効果だけで判断した場合の落とし穴

前回に続き、カレー作りの実験を考えます。今回は交互作用があるデータを使います。

スパイス少なめスパイス多め平均
鶏肉 🐔70点50点60点
牛肉 🐄60点90点75点
平均65点70点

📊 主効果だけを見ると…

主効果を計算してみましょう。

因子A(肉)の主効果

牛肉平均 75点

鶏肉平均 60点

→ 牛肉の方が+15点良い

因子B(スパイス)の主効果

多め平均 70点

少なめ平均 65点

→ 多めの方が+5点良い

💡 主効果だけで判断すると…

牛肉が良い」+「スパイス多めが良い」
牛肉×スパイス多めが最適条件!

実際、表を見ると「牛肉×スパイス多め」は90点で最高得点です。

この場合は主効果だけで正解に辿り着けました。ラッキーでしたね。

主効果だけで判断すると失敗するケース

では、こんなデータだったらどうでしょう?

スパイス少なめスパイス多め平均
鶏肉 🐔60点90点 ⭐75点
牛肉 🐄80点40点 💀60点
平均70点65点

📊 主効果を計算すると…

因子A(肉)の主効果

鶏肉平均 75点

牛肉平均 60点

→ 鶏肉の方が+15点良い

因子B(スパイス)の主効果

少なめ平均 70点

多め平均 65点

→ 少なめの方が+5点良い

❌ 主効果だけで判断すると…

鶏肉が良い」+「スパイス少なめが良い」
鶏肉×スパイス少なめが最適条件!

でも実際は60点しかない…
本当の最適は「鶏肉×スパイス多め」の90点

🔍 何が起きた?

このデータには強い交互作用があります。

  • 鶏肉のとき:スパイス多めで+30点アップ(60→90)
  • 牛肉のとき:スパイス多めで-40点ダウン(80→40)

スパイスの効果が、肉の種類によって真逆になっているのです。

平均を取ると、この「真逆の効果」が打ち消し合ってしまい、正しい判断ができなくなります。

交互作用を見つける方法

交互作用を見落とさないためには、以下の方法が有効です。

① グラフを描いて「線の交差」を確認

前回学んだように、線が交差していたら交互作用ありです。

線が交差 → 交互作用あり!

スコア

90 ┤                     ○ 鶏肉

80 ┤              ●

70 ┤

60 ┤              ○╲  ╱

50 ┤                  ╳

40 ┤                     ● 牛肉

   └───┬───┬───→ スパイス

       少     多

② 分散分析で交互作用を検定

繰り返しのある二元配置実験を行えば、交互作用が統計的に有意かどうかを検定できます。

F検定で「交互作用の項」が有意(p<0.05)なら、交互作用を考慮した解析が必要です。

③ 最適条件は「個別の組み合わせ」で確認

主効果だけで最適条件を決めず、各組み合わせの実測値を必ず確認しましょう。

✅ 失敗を防ぐチェックリスト

  • 主効果だけでなく、交互作用のグラフを描いたか?
  • 線が平行かどうか確認したか?
  • 最適と思う組み合わせの実測値を確認したか?
  • 繰り返しがあるなら交互作用の検定をしたか?

まとめ

📌 この記事のポイント

  • 主効果だけで最適条件を決めると失敗することがある
  • 交互作用があると、因子の効果が組み合わせで変わる
  • 平均を取ると、真逆の効果が打ち消し合って見えなくなる
  • グラフで線の交差を確認することが重要
  • 最適条件は個別の組み合わせの実測値で確認する

次の記事では、「誤差」について解説します。どんなに精密な実験でも避けられない「バラつき」の正体に迫ります。

📚 次に読む記事

どんなに精密な実験でも、結果には必ずバラつきがあります。この「誤差」の正体を理解し、誤差と上手く付き合う方法を解説します。

誤差とは?|基礎概念⑩ →

関連記事【あなたの悩みを解決】

🤔「交互作用を無視した解析のやり方を知りたい」

→ 交互作用を無視した解析とは?主効果だけを見るときのリスク

🤔「交互作用を無視しない解析を学びたい」

→ 交互作用を無視しない場合の解析とは?

タグ

-実験計画法
-