実験計画法

交絡とは?因子が混ざり合う危険な現象を解説|実験計画法の基礎概念⑫

📌 この記事の位置づけ

「実験計画法の基礎概念シリーズ」第12回。前回は「残差と誤差の違い」を学びました。今回は因子が混ざり合う危険な現象「交絡」を解説します。

「実験で効果があると思ったのに、実は別の原因だった…」

「交絡って何?なぜ注意が必要なの?」

交絡を理解しないと、「見せかけの因果関係」に騙されて、間違った結論を出してしまう危険があります。

この記事では、身近な例を使って交絡の正体をわかりやすく解説します。

交絡とは?【真犯人が隠れている状態】

交絡(こうらく)とは、調べたい因子の効果に、別の因子の効果が混ざり合ってしまう現象です。

英語では「Confounding(コンファウンディング)」と言います。

📖 交絡の定義

複数の因子が同時に変化してしまい、
どの因子が結果に影響したのか区別できなくなる状態。

有名な例:アイスと水難事故

交絡を理解するための有名な例があります。

🍦 アイスクリームと水難事故

データを調べると、アイスの売上が増える水難事故も増える

→ 「アイスを食べると溺れやすくなる」のか?
→ もちろん、そんなわけない!

🔍 真犯人は「気温」

本当の原因は「気温」です。

真の因果関係

🌡️ 気温が上がる

↙️            ↘️

🍦 アイスが売れる     🏊 海に行く人が増える

                               ↓

                            😢 水難事故が増える

アイスと水難事故には直接の因果関係はないのに、「気温」という隠れた因子のせいで、あたかも関係があるように見えてしまう。

これが交絡です。隠れた因子のことを「交絡因子」と呼びます。

実験計画法での交絡

実験計画法でも、交絡は深刻な問題を引き起こします。

❌ 交絡が起きる実験の例

カレーの実験で、こんな実験計画を立てたとします。

実験肉の種類実験時間帯結果
1鶏肉 🐔朝(涼しい)60点
2牛肉 🐄昼(暑い)80点

結果だけ見ると、「牛肉の方が20点高い!牛肉が良い!」と結論づけたくなります。

でも待ってください。

⚠️ この実験の問題点

  • 「肉の種類」と「時間帯」が同時に変わっている
  • 牛肉の方が良かったのか?昼の方が良かったのか?区別できない
  • もしかしたら「暑い方がスパイスの香りが立つ」のかもしれない

これが実験における交絡です。「肉」の効果と「時間帯」の効果が混ざり合ってしまっています。

交絡を防ぐ方法

交絡を防ぐには、いくつかの方法があります。

① ランダム化

実験の順序をランダムにすることで、交絡因子の影響を均等に散らばらせます。

これは「実験の3原則」で学んだ通りですね。

② 交絡因子を因子として取り込む

「時間帯」が影響しそうなら、時間帯も因子として実験に組み込む方法があります。

実験肉の種類時間帯
1鶏肉
2鶏肉
3牛肉
4牛肉

こうすれば、「肉の効果」と「時間帯の効果」を別々に評価できます。

③ 局所管理(ブロック化)

交絡因子の水準ごとにグループ(ブロック)を作り、ブロック内で比較する方法です。

「朝」のブロック内で鶏肉と牛肉を比較、「昼」のブロック内でも比較、というようにします。

✅ 交絡を防ぐ3つの方法

① ランダム化順序をシャッフルして影響を均等にする
② 因子として取り込む交絡因子も実験の因子に加える
局所管理同じ条件内で比較する

まとめ

📌 この記事のポイント

  • 交絡=複数の因子が混ざり合い、効果を区別できなくなる現象
  • アイスと水難事故の例のように、見せかけの因果関係に騙される危険
  • 隠れた原因を「交絡因子」と呼ぶ
  • 防ぐにはランダム化・因子化・局所管理が有効

次の記事では、シリーズ最終回「プーリング」について解説します。効果のない因子を誤差に吸収するテクニックを学びましょう。

📚 次に読む記事【シリーズ最終回】

「この因子、効果がないみたい…」そんなとき、その因子を誤差に吸収するテクニックが「プーリング」です。なぜプーリングすると検定の精度が上がるのか?解説します。

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