はじめに
これまで一元配置・二元配置実験を学び、
因子の効果や交互作用をどう調べるかを理解してきました。
しかし、
「すべての条件を全部試す(全数実験)」
をやろうとすると、条件が増えるにつれて試行回数が爆発的に増えてしまいます。
ここで登場するのが、
直交配列表(ちょっこうはいれつひょう)です!
この記事では、
直交配列表の意味と役割、
そしてなぜ実験を効率化できるのかをわかりやすく解説します!
1. 直交配列表とは?
定義
直交配列表とは、少ない試行回数で、たくさんの因子の効果をバランスよく調べられる実験表のこと。
簡単に言うと、
「試行パターンを賢く選んで、全部試さなくても主効果や交互作用を調べられる」
ためのツールです。
2. なぜ直交配列表が必要なのか?
例えば、
3つの因子(A、B、C)がそれぞれ2水準(例えばON/OFF、高低)あるとします。
すべての組み合わせを試す「全数実験」では、
の試行が必要です。
もし因子が5個なら、
になり、すぐに試行回数が膨大になります。
このままだと、
-
実験時間が膨大
-
費用もかかる
-
実行できない
こういう問題が起こります。
直交配列表を使えば、必要最小限の試行だけで因子効果を調べられるので、
時間もコストも大幅に節約できるのです!
3. 直交配列表の特徴
項目 | 内容 |
---|---|
バランス | すべての水準が公平に現れる |
独立性 | 因子同士の影響を分離して評価できる |
効率性 | 少ない試行回数で主効果・交互作用を推定できる |
4. 具体例:L4直交表
最もシンプルな直交配列表のひとつが
L4直交表です。
これは、
-
3因子(A、B、C)
-
各因子2水準(例えば 1=低、2=高)
-
4試行
という構成になっています。
【L4直交表の例】
試行 | 因子A | 因子B | 因子C |
---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | 1 |
2 | 1 | 2 | 2 |
3 | 2 | 1 | 2 |
4 | 2 | 2 | 1 |
これを見ればわかる通り、
全8通りの組み合わせのうち、たった4通りを試すだけで、
-
各因子(A、B、C)の主効果
-
ある程度の交互作用
を推定することができるのです!
5. 直交配列表のメリットまとめ
項目 | メリット |
---|---|
実験コスト削減 | 全数試験に比べて大幅に少ない試行数で済む |
効率的なデータ収集 | 少ないデータで必要な効果を評価できる |
計画的なデータ取得 | バランスよく試行することで分析しやすい |
まとめ
-
直交配列表は、少ない試行回数で因子効果を調べるための賢い実験表
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「全数実験」を回避して、短時間・低コストで必要な情報を得ることができる
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L4直交表のような基本的なものから、大きな直交表(L8、L9、L18など)まで、
さまざまなパターンがある
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次の記事では、
具体的なL4直交表・L8直交表の使い方と割付け方法
を、さらに詳しく解説していきます