現場の品質管理

【完全図解】FMEAの作り方|工程FMEAを「形だけ」で終わらせない実務手順とRPN計算例

😣 こんな経験はありませんか?
  • 上司に「この工程のFMEAやっといて」と言われたが、何から手をつけていいかわからない
  • Excelのテンプレートを埋めてはみたものの、「故障モード」がどうしても思いつかない
  • RPNの点数をつけたら「全部100以下だから問題なし」で終わってしまい、形骸化している
  • AIAG-VDA統合FMEAの「7ステップ」「AP(処置優先度)」が何のことかわからない
✅ この記事でわかること
  • 工程FMEA(PFMEA)を作る7つのステップと、各ステップで「何を書くか」の具体例
  • 影響度(S)・発生度(O)・検出度(D)の評価基準表(10段階)
  • RPN計算の具体例(「溶接工程の溶け込み不足」を題材に)
  • 従来のRPNと、最新のAP(処置優先度)の違いと使い分け
  • FMEAが「形だけ」になる3つの原因と、その対策

「FMEAをやってください」と言われたとき、品質管理の教科書的な定義はなんとなくわかっていても、いざExcelを前にすると手が止まる──そんな経験はありませんか。

特に工程FMEA(PFMEA)は、設計FMEAと違って「製造ラインで起こりうる不具合」をすべて洗い出す必要があるため、現場経験が浅いほど何を書けばいいか悩みます。結果として、前任者のExcelをコピペして点数をなんとなく埋めるだけの「儀式」になりがちです。

この記事では、「溶接工程で溶け込み不足が発生する」という製造業の具体例を1つ取り上げ、FMEAシートの左端から右端まで一気通貫で埋める全手順を解説します。数値の入れ方、RPNの計算例、最新のAP(処置優先度)との違いまで、この1記事で工程FMEAの実務がわかる構成にしました。

📘 前提知識
【QC検定1級】FMEA(故障モード影響解析)|リスクを数値化して優先対策 →

FMEAの定義・RPN・故障モードの基本概念を先に押さえたい方はこちら

目次

FMEAとは?|30秒で復習する「未然防止の地図」

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)とは、製品や工程で「起こりうる故障(不具合)」を事前に洗い出し、その影響度・発生しやすさ・検出のしやすさを数値化して、対策の優先順位を決める手法です。

ひとことで言えば、「問題が起きる前に、リスクを点数化して潰す順番を決める地図」です。

設計FMEA(DFMEA)と工程FMEA(PFMEA)の違い

📐

設計FMEA(DFMEA)

  • 対象:製品の設計(部品・構造)
  • 問い:「この部品はどう壊れる?」
  • :基板のはんだ付け部が熱で劣化 → 導通不良
  • 担当:設計部門
🏭

工程FMEA(PFMEA)

  • 対象:製造プロセス(工程・設備・作業)
  • 問い:「この工程はどう失敗する?」
  • :溶接電流の設定ミス → 溶け込み不足
  • 担当:生産技術・品質管理部門

この記事で扱うのは工程FMEA(PFMEA)です。製造現場で「どんな作業ミスや設備トラブルが起きうるか」を洗い出し、品質不良が顧客に届く前に対策を打つための手法です。QC工程表が「管理すべき項目の一覧」であるのに対し、FMEAは「なぜその項目を管理するのか(リスクの根拠)」を記録する点で、補完関係にあります。

工程FMEAの作り方|7ステップの全体像

AIAG-VDA統合FMEAハンドブック(2019年版)では、FMEAを7つのステップで進めることが推奨されています。従来の「いきなりExcelに故障モードを書く」やり方と比べて、最初の3ステップ(構造→機能→故障の解析)が追加されているのが最大の変更点です。

このステップを踏むことで、「故障モードの洗い出しが甘い」「抜け漏れがある」という形骸化の最大の原因を防ぐことができます。

STEP 1 計画と準備

FMEAの対象範囲(どの工程を解析するか)とチームメンバーを決める。

STEP 2 構造解析

工程を「システム → サブシステム → 要素」に分解する。プロセスフロー図を作成。

STEP 3 機能解析

各工程要素に「機能」と「要求仕様」を割り当てる。「この工程は何をすべきか?」を明文化。

STEP 4 故障解析

機能が果たされない場合の「故障モード」「故障影響」「故障原因」を洗い出す。

STEP 5 リスク解析

影響度(S)・発生度(O)・検出度(D)を評価し、RPN or AP(処置優先度)を算出する。

STEP 6 最適化

リスクが高い項目に対して改善策を立案し、実施後に再評価する。

STEP 7 結果の文書化

FMEAシートを完成させ、関連部門に共有。「生きた文書」として定期更新する仕組みを作る。

💡 ポイント
STEP 2~4(構造→機能→故障解析)は、従来のFMEA第4版にはなかった「新しい前工程」です。この3ステップをスキップすると、結局「思いつきで故障モードを並べる」状態に戻ります。面倒に感じても、ここを丁寧にやることがFMEAを「形だけ」にしない最大のコツです。

では、ここから各ステップを「溶接工程」を題材にした具体例つきで順番に解説していきます。

STEP 1~3:「何を解析するか」を決める前工程

STEP 1:計画と準備|「どこを・誰と・いつまでに」を決める

FMEAは一人で黙々と作るものではありません。最低でも以下の3つを決めてからスタートします。

決めること 具体例(溶接工程の場合)
対象範囲 「サブフレームの溶接工程」(前工程のプレス、後工程の塗装は除外)
チーム編成 生産技術(リーダー)、品質管理、製造現場、設計、保全 → 3〜7名が理想
スケジュール STEP 2~4を2時間×3回、STEP 5~7を2時間×2回(計約10時間)
🔧 現場の声
「FMEAは一人でExcel埋める仕事でしょ?」と思われがちですが、それが形骸化の第一歩です。最低限「設計」「品管」「製造」の3者がテーブルにつかないと、故障モードの洗い出しに抜け漏れが発生します。

STEP 2:構造解析|工程を「ツリー構造」で分解する

対象工程を「大きなかたまり」から「小さな作業要素」まで3階層で分解します。これにより、後のSTEP 4で故障モードを洗い出す「粒度」が揃います。

🔍 溶接工程の構造解析の例

階層 名称 具体例
レベル1(システム) 溶接工程全体 サブフレーム溶接ライン
レベル2(サブシステム) 工程ステーション ST10:部品セット → ST20:仮付け → ST30:本溶接 → ST40:外観検査
レベル3(要素) 4M+1E ST30の場合:Man(作業者のスキル)、Machine(溶接ロボット)、Material(ワイヤー・シールドガス)、Method(溶接条件)、Measurement(電流・電圧モニタ)

STEP 3:機能解析|「この工程は何をすべきか」を言語化する

構造解析で分解した各要素に対して、「その工程が果たすべき機能」と「要求仕様(合格基準)」を書き出します。ここを曖昧にすると、次のSTEP 4で「故障モード」が出てきません。なぜなら、故障モードとは「機能が果たされない状態」のことだからです。

工程要素 機能 要求仕様
ST30:本溶接 2つの鋼板を所定の強度で接合する 溶け込み深さ ≥ 3mm、ビード幅 5±1mm、外観欠陥なし
溶接ロボット(Machine) 設定条件どおりに溶接トーチを移動し、通電する 電流200±10A、電圧22±1V、速度30cm/min
シールドガス(Material) 溶接部を大気から遮断し、酸化を防ぐ CO₂流量 20±2 L/min
💡 ポイント
「機能」を書くコツは、「〇〇を△△する」という動詞形で書くこと。「溶接する」だけでは曖昧すぎます。「所定の強度で接合する」と書けば、「強度が足りない」という故障モードが自然と導き出されます。

STEP 4:故障解析|「何がどう失敗するか」を3つのセットで書き出す

FMEAの核心部分です。STEP 3で定義した「機能」に対して、それが果たされない場合の①故障モード②故障影響(顧客への影響)③故障原因(なぜ起きるか)を3点セットで書き出します。

故障モード・影響・原因の3点セットとは?

💥
「どう失敗するか」
溶け込み不足
😱
故障影響
「顧客にどう困る?」
走行中に部品脱落
🔍
故障原因
「なぜ起きる?」
溶接電流の設定ミス

具体例:溶接工程(ST30:本溶接)の故障解析

1つの工程に対して、故障モードは複数出てきます。「溶け込み不足」だけでなく、「スパッタ過多」「ビード蛇行」「ブローホール」など、起こりうるすべてを列挙するのがポイントです。以下は代表的な3パターンを示した例です。

故障モード 故障影響(顧客視点) 故障原因
溶け込み不足 接合強度不足 → 走行中に部品脱落の可能性(安全に影響) ①溶接電流の設定ミス
②ワイヤー送給速度の異常
③ガス流量不足による酸化
スパッタ過多 外観不良 → 顧客からのクレーム(外観品質低下) ①電圧が高すぎる
②シールドガスの種類が不適切
ビード蛇行 溶接品質のばらつき → 疲労強度低下の恐れ ①ロボットのティーチング精度不良
②治具のクランプ力不足
⚠️ よくあるミス
「故障モード」と「故障原因」を混同しがちです。故障モードは「どういう状態になるか」(溶け込み不足)、故障原因は「なぜその状態になるか」(電流の設定ミス)です。「電流の設定ミス」を故障モード欄に書いてしまうのは典型的な間違いです。

STEP 5:リスク解析|影響度(S)・発生度(O)・検出度(D)の評価基準

いよいよ点数をつけるステップです。故障モードごとに以下の3つの指標を1~10の10段階で評価します。数字が大きいほどリスクが高いことを意味します。

① 影響度(Severity:S)の評価基準

「もしその故障が起きたら、顧客にどれだけ影響があるか」を評価します。安全に関わる場合は最高ランクの9~10、外観のみの問題なら2~3というイメージです。

ランク 影響の程度 判断基準(工程FMEAの場合)
10 安全問題(警告なし) 法規制に違反。予告なく使用者の安全を脅かす
9 安全問題(警告あり) 法規制に違反の可能性。事前に警告があるが使用者に危険
8 主機能喪失 製品が使用不能になる。100%不良として返品
7 主機能低下 製品の主要性能が著しく低下。大半の顧客が不満
6 副機能喪失 副次機能が使用不能。顧客は不便を感じる
5 副機能低下 副次機能の性能低下。半数以上の顧客が不満を感じる
4 外観・異音(中程度) 大半の顧客(75%超)が気づく不具合
3 外観・異音(軽微) 半数の顧客(50%程度)が気づく不具合
2 ほとんど影響なし 注意深い顧客だけが気づく微小な不具合
1 影響なし 顧客に影響がないレベル

② 発生度(Occurrence:O)の評価基準

「その故障原因がどれくらいの頻度で発生するか」を評価します。過去の不良データや工程能力指数(Cpk)がある場合はそれを根拠にします。

ランク 発生の程度 判断基準の目安
10 極めて高い 2個に1個以上(≥ 50%)。管理不能
8〜9 高い 20個に1個程度(Cpk < 0.67)
6〜7 やや高い 100個に1個程度(Cpk ≈ 0.83〜1.00)
4〜5 中程度 2,000個に1個程度(Cpk ≈ 1.00〜1.17)
2〜3 低い 15万個に1個程度(Cpk ≈ 1.33〜1.50)
1 極めて低い 100万個に1個以下(Cpk ≥ 1.67)。ほぼゼロ
📘 関連記事
【QC検定】工程能力指数Cp・Cpkとは?違いと計算方法を図解 →

発生度の根拠となるCpk値の計算方法はこちらで詳しく解説しています

③ 検出度(Detection:D)の評価基準

「その故障が発生したとき、出荷前に発見できる確率はどれくらいか」を評価します。注意点として、数字が大きいほど「見つけにくい」です。つまり、検出が難しい=リスクが高い、という評価になります。

ランク 検出の程度 判断基準
10 検出ほぼ不可能 検出手段なし。不良品がそのまま出荷される
8〜9 検出困難 目視検査のみ。検出率が低い
6〜7 検出しにくい 抜取検査や手動での計測。見逃す可能性あり
4〜5 中程度の検出力 統計的管理(SPC)で異常を検知。ただし100%ではない
2〜3 検出しやすい 自動検査機で全数検査。高い検出率
1 確実に検出 ポカヨケにより故障そのものが発生不可能な構造

RPN計算の具体例|「溶け込み不足」のリスクを数値化する

ここまでの情報を使って、実際にRPN(Risk Priority Number:リスク優先度数)を計算してみましょう。RPNは3つの評価値を掛け合わせるだけです。

📐 RPNの計算式
RPN = 影響度(S)× 発生度(O)× 検出度(D)
最小値:1×1×1 = 1、最大値:10×10×10 = 1,000

計算例:故障モード「溶け込み不足」(原因:溶接電流の設定ミス)

評価項目 評価ランク 根拠
影響度(S) 9 溶け込み不足 → 接合強度不足 → 走行中の部品脱落(安全に関わる)
発生度(O) 4 過去1年で同種不良が3件/10万個。Cpk ≈ 1.10。「中程度」と判定
検出度(D) 5 溶接後に電流・電圧のモニタリング(SPC)で管理しているが、全数の非破壊検査は未実施
RPN = 9 × 4 × 5 = 180

一般にRPN ≥ 100〜125は「要対策」とされることが多い → 改善が必要

同じ工程の他の故障モードもまとめてRPN算出

故障モード 故障原因 S O D RPN 優先度
溶け込み不足 溶接電流の設定ミス 9 4 5 180 ★★★
スパッタ過多 電圧が高すぎる 3 5 3 45
ビード蛇行 ロボットのティーチング不良 7 3 6 126 ★★

このように、RPN値が高い順に並べることで、「まず何から手を打つべきか」の優先順位が一目瞭然になります。溶け込み不足(RPN=180)が最優先で対策すべきリスクだとわかりました。

RPNの限界と、最新のAP(処置優先度)との違い

RPNは「掛け算の結果」だけで優先順位を決めるため、実は重大な弱点があります。以下の2つの故障モードを比べてください。

故障モード S O D RPN
A:安全に関わる不良(検出しやすい) 10 3 2 60
B:外観不良(検出しにくい) 3 4 8 96

RPNだけで見ると、B(外観不良)のほうが96で高いため優先対策になります。しかし、A(安全に関わる不良)は影響度10で、人命に関わるのに、RPNが低いだけで後回しにされてしまう──これがRPNの最大の問題です。

AP(Action Priority:処置優先度)とは?

2019年のAIAG-VDA統合FMEAハンドブックでは、この問題を解決するためにRPNに代わるAP(Action Priority:処置優先度)が導入されました。APは、S・O・Dの値を個別に精査した上で、H(高)・M(中)・L(低)の3段階で判定します。

H
High(高)
必ず対策が必要
M
Medium(中)
対策を検討すべき
L
Low(低)
現状の管理で可

APの判定では、影響度(S)が最も重視されます。先ほどの例では、故障モードA(S=10)は単純な掛け算ではなく「安全に関わる重大な影響がある」という事実がAPの判定に直接反映されるため、H(高)と判定されます。

比較項目 RPN(従来方式) AP(AIAG-VDA方式)
計算方法 S × O × D(1〜1,000) S・O・Dの組み合わせ表から H/M/L を判定
弱点 S=10でもO・Dが低ければRPNが低くなり、安全リスクを見逃す 判定基準表がやや複雑。チーム内での認識合わせが必要
推奨される場面 社内で長年使われている場合はそのまま運用可 自動車業界のOEM向け、新規にFMEAを構築する場合
💡 実務のアドバイス
「RPNとAPのどちらを使うべきか」は、取引先(OEM)の要求仕様や社内ルールに従うのが現実的です。ただし、RPNを使い続ける場合でも、「S=9〜10の故障モードはRPNに関係なく必ず対策する」というルールを追加するだけで、RPNの弱点をかなりカバーできます。

STEP 6~7:改善策の立案と再評価、そして「生きた文書」にする

STEP 6:最適化|RPNが高い項目の改善策を立案する

RPNが高い(またはAPがH/M)と判定された故障モードに対して、S・O・Dのどれを下げるかを検討します。改善策を実施した後に再度S・O・Dを評価し、RPNが目標値以下になったかを確認します。

先ほどの「溶け込み不足(RPN=180)」に対する改善策の例を見てみましょう。

改善の方向 具体策 狙い 改善後の値
O(発生度)を下げる 溶接条件をPLCにプリセット。作業者による手動設定を廃止 設定ミスの根本原因を断つ O:4 → 2
D(検出度)を下げる 超音波探傷検査(UT)を全数に適用。溶け込み不足を100%検出する体制に 万が一発生しても流出を防ぐ D:5 → 2
改善前
RPN = 9 × 4 × 5 = 180

改善後
RPN = 9 × 2 × 2 = 36

180 → 36 に改善。RPN < 100 をクリア

⚠️ 注意
影響度(S)は設計変更をしない限り基本的に下がりません。「溶け込み不足で部品が脱落するリスク」は、溶接という接合方法を変えない限り存在し続けます。そのため、改善策はO(発生度を下げる=発生させない)またはD(検出度を下げる=見逃さない)にフォーカスするのが基本です。

STEP 7:結果の文書化|FMEAを「生きた文書」にする

FMEAシートは「一度作ったら終わり」ではなく、以下のタイミングで更新する「生きた文書(Living Document)」です。

更新タイミング 具体例
設計変更が入ったとき 材料がSPCCからGA材に変わった → 溶接条件が変わる → 故障モードの再洗い出し
市場クレームが発生したとき 想定していなかった故障モードが市場で発見された → FMEAに追記
定期レビュー(年1回など) 改善策の効果確認。O・D値の再評価を行い、RPNの変化を記録

FMEAが「形だけ」になる3つの原因と対策

ここまで7ステップを解説しましたが、現場でFMEAが形骸化する原因は手順の難しさではなく、運用面の問題であることがほとんどです。ここでは、よくある3つの失敗パターンとその対策を紹介します。

❌ 失敗パターン①:「一人で黙々とExcelを埋める」

FMEAは本来、複数部門のメンバーが集まって議論する「チーム作業」です。一人で書くと、自分の専門外の故障モードを見落とします。設計者は工程のトラブルを知らないし、製造は設計意図を知らない。だからこそ、3〜7名のクロスファンクショナルチームが不可欠です。

対策:最低でも「設計」「品管」「製造」の3者がテーブルにつく。1回2時間のワークショップ形式で進める。

❌ 失敗パターン②:「前任者のExcelをコピペして点数を変えるだけ」

新製品の工程FMEAを作るとき、前任者が書いた旧製品のFMEAをそのまま流用し、数値だけ微調整する──これが形骸化の典型例です。新製品には新しい工程・新しい設備・新しい材料が入っているはずなのに、故障モードが旧製品と同じになるのはおかしいのです。

対策:STEP 2(構造解析)からやり直す。特に「旧製品からの変更点」をリストアップし、変更点に紐づく新しい故障モードを必ず追加する。

❌ 失敗パターン③:「作っただけで更新しない」

量産開始前にFMEAを作成し、その後一度も更新しない。市場でクレームが発生しても、FMEAにはその故障モードが記載されていない──これでは「過去の反省が蓄積されない」状態です。

対策:STEP 7で述べたとおり、設計変更・クレーム発生・年次レビューのタイミングで必ず更新する仕組みを作る。FMEAの改訂履歴を残し、「いつ・誰が・何を変えたか」をトレースできるようにする。

🔧 現場の声
FMEAは「監査のために作る書類」ではなく、「未然防止のための武器」です。面倒くさいのは事実ですが、市場クレームが1件出たときの対策コスト(数百万〜数千万円)を考えると、FMEAに10時間投資するのは圧倒的にコスパが良い。「攻めの品質管理」の第一歩だと考えてください。
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まとめ|FMEAは「形だけ」ではなく「武器」にできる

この記事では、工程FMEA(PFMEA)の作り方を7つのステップに沿って解説しました。最後に要点を振り返ります。

📝 この記事の要点
  • STEP 1〜3(計画・構造・機能解析)を丁寧にやることが、故障モードの洗い出し精度を決める
  • STEP 4(故障解析)では「故障モード」「故障影響」「故障原因」を3点セットで書く。故障モードと原因を混同しない
  • STEP 5(リスク解析)では影響度(S)・発生度(O)・検出度(D)を10段階で評価し、RPN = S × O × D で計算
  • RPNの弱点(影響度が高くてもRPNが低くなる)を補うために、AP(処置優先度)が導入されている
  • RPNを使い続ける場合でも、「S≥9は問答無用で対策」というルールを追加する
  • FMEAは「生きた文書」。作って終わりではなく、設計変更・クレーム・年次レビューで必ず更新する

FMEAは「やらされている」と感じた瞬間に形骸化します。しかし、本来は「自分たちの工程で起こりうるリスクを見える化し、先手を打つ」ための強力な武器です。この記事が、あなたの現場でFMEAを「生きた活動」に変えるきっかけになれば幸いです。

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