- ISO26000って聞いたことあるけど、ISO9001と何が違うの?
- 「7つの原則」と「7つの中核主題」が覚えられない…
- CSRとSRの違いがわからない
- QC検定1級の「社会的責任」分野で点が取れない
- ISO26000とは何か?他のISO規格との決定的な違い
- 7つの原則を「なぜ必要か」から理解する
- 7つの中核主題を具体例で完全マスター
- CSR(企業の社会的責任)とSR(社会的責任)の関係
「ISO26000?ISO9001なら知ってるけど…」
そう思った方、多いのではないでしょうか?
実は、ISO26000は他のISO規格とはまったく性質が異なる特別な規格なんです。
ISO9001やISO14001は「認証規格」ですが、ISO26000は「ガイダンス規格」。
つまり、認証を取得するものではなく、組織が社会的責任を果たすための「道しるべ」となる規格です。
この記事では、ISO26000の全体像から、7つの原則・7つの中核主題まで、中学生でもわかる言葉で徹底解説します。
QC検定1級の「社会的責任」分野の対策にも最適な内容です。
目次
ISO26000とは?|社会的責任の国際ガイドライン
ISO26000の基本情報
ISO26000は、組織の社会的責任(SR:Social Responsibility)に関する国際的なガイダンス規格。
2010年11月に発行され、日本ではJIS Z 26000として制定されている。
ここで重要なのは、「企業の社会的責任(CSR)」ではなく、「組織の社会的責任(SR)」という点です。
企業だけでなく、病院、学校、NPO、行政機関など、あらゆる組織が対象になります。
ISO26000の最大の特徴:「認証規格」ではない
ISO9001やISO14001は、第三者機関による「認証」を受けることができます。
しかし、ISO26000には認証制度がありません。
| 項目 | ISO9001 / ISO14001 | ISO26000 |
|---|---|---|
| 規格の種類 | 認証規格(要求事項) | ガイダンス規格(手引き) |
| 認証取得 | できる ✅ | できない ❌ |
| 対象 | 主に企業 | すべての組織 |
| 使い方 | 要求事項を満たす | 参考にして自主的に活用 |
社会的責任は「認証を取ったから終わり」ではありません。
組織が自主的・継続的に取り組むべきものだからです。
ISO26000は「こうしなさい」ではなく「こう考えてみては?」というガイドラインなのです。
CSRとSRの違い
よく混同される「CSR」と「SR」の違いを整理しましょう。
CSR
Corporate Social Responsibility
- 企業(Corporate)の社会的責任
- 対象は企業のみ
- 従来の考え方
SR
Social Responsibility
- 組織の社会的責任
- 対象はすべての組織
- ISO26000で採用された考え方
ISO26000では「CSR」ではなく「SR」という用語を使います。
これは企業だけでなく、NPO・行政・学校などあらゆる組織が社会的責任を果たすべきという考え方に基づいています。
ISO26000の7つの原則|社会的責任を果たすための「行動指針」
ISO26000では、組織が社会的責任を果たすために守るべき7つの原則が定められています。
これは「何をすべきか」ではなく、「どのような姿勢で取り組むべきか」を示したものです。
7つの原則の一覧
| No. | 原則 | 意味・なぜ必要か |
|---|---|---|
| 1 | 説明責任 | 自らの活動が社会・環境に与える影響について説明する責任を持つ。隠さず、ごまかさず、誠実に。 |
| 2 | 透明性 | 意思決定や活動について明確・正確・完全に開示する。ブラックボックスにしない。 |
| 3 | 倫理的な行動 | 誠実・公正・高潔に行動する。法律を守るだけでなく、道徳的に正しいことをする。 |
| 4 | ステークホルダーの 利害の尊重 |
顧客・従業員・株主・地域住民など、利害関係者の意見を聴き、配慮する。 |
| 5 | 法の支配の尊重 | 法律を遵守する。いかなる組織も法を超越しない。コンプライアンスの基本。 |
| 6 | 国際行動規範の尊重 | 国内法だけでなく、国際的な規範・基準も尊重する。グローバル時代の責任。 |
| 7 | 人権の尊重 | すべての人の人権を尊重する。差別・ハラスメント・強制労働を許さない。 |
7つの原則の覚え方
7つの原則は、頭文字を取って覚えると便利です。
「せ・と・り・す・ほ・こ・じ」
せつめい責任 → とうめい性 → りんり的な行動 → すテークホルダー → ほうの支配 → こくさい行動規範 → じんけん
なぜ7つの原則が必要なのか?
7つの原則は、社会的責任を果たすための「姿勢」や「心構え」を示しています。
たとえば、環境活動に取り組んでいても、透明性がなければ「グリーンウォッシュ(見せかけのエコ)」と批判されます。
地域貢献をしていても、人権を侵害していれば意味がありません。
7つの原則は、「何をするか」だけでなく「どのようにするか」を問うているのです。

ISO26000の7つの中核主題|社会的責任の「取り組み領域」
7つの原則が「姿勢」なら、7つの中核主題は「具体的に何に取り組むべきか」を示したものです。
組織が社会的責任を果たすために、この7つの領域すべてに配慮する必要があります。
7つの中核主題の全体像
7つの中核主題は、「組織統治」を中心に、他の6つが車輪のように配置された構造になっています。
(中心・土台)
事業慣行
参画・発展
各中核主題の詳細解説
① 組織統治(Organizational Governance)
組織が目的を追求するために意思決定し、実行するシステムのこと。
社会的責任を組織全体に浸透させるための「土台」となる。
なぜ重要か?
トップが「環境に配慮しよう」と言っても、現場に伝わらなければ意味がありません。
組織統治は、他の6つの中核主題を実行するための「土台」なのです。
具体例:経営方針への社会的責任の組み込み、内部統制、コンプライアンス体制
② 人権(Human Rights)
すべての人が生まれながらに持つ基本的権利を尊重すること。
差別・ハラスメント・強制労働・児童労働の禁止など。
なぜ重要か?
人権問題は、企業の評判を一瞬で崩壊させます。
サプライチェーン上の人権侵害(海外工場での強制労働など)も、企業の責任として問われる時代です。
具体例:ハラスメント防止、ダイバーシティ推進、サプライチェーン監査
③ 労働慣行(Labour Practices)
組織内および組織のために行われる労働に関するすべての方針・慣行。
雇用関係、労働条件、安全衛生、職場での人材育成など。
なぜ重要か?
従業員は組織の最も重要なステークホルダーです。
働きがいのある職場を作ることは、組織の持続的発展にも直結します。
具体例:適正な労働時間管理、安全衛生、ワークライフバランス、人材育成
④ 環境(The Environment)
組織の活動が環境に与える影響に責任を持つこと。
汚染防止、持続可能な資源利用、気候変動への対応、生態系の保護など。
なぜ重要か?
気候変動は人類共通の課題です。
カーボンニュートラル、脱プラスチックなど、環境対応は企業の競争力にも直結しています。
具体例:CO2排出削減、廃棄物削減、再生可能エネルギー導入、環境マネジメントシステム(ISO14001)

⑤ 公正な事業慣行(Fair Operating Practices)
組織と他の組織との取引における倫理的な行動に関すること。
汚職防止、公正な競争、サプライチェーン全体での社会的責任の推進など。
なぜ重要か?
談合・贈賄・不正取引は、市場の公正さを損ないます。
また、自社だけでなく取引先(サプライチェーン)全体での責任ある行動が求められています。
具体例:反社会的勢力との関係排除、贈収賄防止、下請法遵守、サプライヤー評価
⑥ 消費者課題(Consumer Issues)
製品・サービスを提供する組織が消費者に対して負う責任。
公正なマーケティング、消費者の安全・健康の保護、プライバシー保護など。
なぜ重要か?
誇大広告、個人情報漏洩、製品事故…。
消費者との信頼関係を損なえば、企業は存続できません。
具体例:製品安全、PL法対応、個人情報保護、適正表示、苦情対応
⑦ コミュニティへの参画及び発展(Community Involvement and Development)
組織が活動する地域社会との関わりに関すること。
地域への貢献、雇用創出、教育・文化への支援、技術移転など。
なぜ重要か?
組織は地域社会の一員です。
地域と共に発展することで、長期的な事業基盤を築くことができます。
具体例:地域イベントへの協賛、ボランティア活動、地元雇用の促進、災害支援
7つの中核主題のまとめ表
| 中核主題 | 対象 | キーワード |
|---|---|---|
| 組織統治 | 組織全体 | 意思決定、内部統制、コンプライアンス |
| 人権 | すべての人 | 差別禁止、ハラスメント、強制労働禁止 |
| 労働慣行 | 従業員 | 安全衛生、適正労働時間、人材育成 |
| 環境 | 地球環境 | CO2削減、廃棄物、再エネ、生態系 |
| 公正な事業慣行 | 取引先 | 汚職防止、公正競争、サプライチェーン |
| 消費者課題 | 消費者 | 製品安全、プライバシー、適正表示 |
| コミュニティ | 地域社会 | 地域貢献、雇用創出、文化支援 |
「組織統治を土台に、人権・労働・環境・公正・消費者・コミュニティ」
ステークホルダーで整理すると覚えやすいです:
従業員(労働)→ 取引先(公正)→ 消費者 → 地域社会 → 地球全体(環境)→ すべての人(人権)

ISO26000と品質管理の関係|なぜQC検定で出題されるのか?
「品質管理の試験なのに、なぜ社会的責任が出題されるの?」
そう思う方も多いでしょう。実は、品質と社会的責任は密接に関係しています。
「品質」の概念が拡大している
従来の品質管理は、「製品の性能・機能・不良率」に焦点を当てていました。
しかし現代では、「社会的品質」という考え方が重視されています。
| 従来の品質 | 社会的品質 | |
|---|---|---|
| 焦点 | 製品・サービスの性能 | 社会・環境への影響 |
| 評価対象 | 顧客満足 | ステークホルダー全体 |
| 具体例 | 不良率、耐久性、機能 | 環境負荷、人権配慮、地域貢献 |
つまり、いくら製品の品質が良くても、環境を破壊したり、人権を侵害していては「良い組織」とは言えないのです。
まとめ|ISO26000は「すべての組織の道しるべ」
この記事では、ISO26000の全体像から、7つの原則・7つの中核主題まで解説しました。
- ISO26000 = 社会的責任(SR)の国際ガイドライン(認証規格ではない)
- SRは企業だけでなく「すべての組織」が対象(CSRより広い概念)
- 7つの原則 = 社会的責任を果たす「姿勢・心構え」
- 7つの中核主題 = 具体的に取り組むべき「領域」
- 組織統治が中心(土台)で、他の6つはその周りに配置
・ISO26000は認証規格ではない(ガイダンス規格)
・SR(社会的責任)という用語を使う(CSRではない)
・7つの原則と7つの中核主題の名称と内容を正確に覚える
・組織統治が他の6つの中核主題の「土台」となる
ISO26000は、認証を取得するためのものではありません。
組織が自主的に社会的責任を果たすための「道しるべ」です。
この記事の内容を理解すれば、QC検定1級の社会的責任分野で自信を持って解答できるようになりますよ。
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