法規科目の解説

【電験三種】主任技術者の選任と兼任|許可選任・外部委託の条件を完全整理

電験三種の法規で「主任技術者の選任」って、種類が多すぎて頭が爆発しそうになりませんか?選任・許可選任・承認兼任・外部委託承認…この記事を読み終える頃には、すべてスッキリ整理できているはずです。

😩 こんな悩みはありませんか?

  • 「選任」「許可選任」「承認兼任」「外部委託」の違いがゴチャゴチャでわからない
  • 自分の会社のキュービクルは誰が主任技術者をやるのが正解なのか知りたい
  • 電圧ごとに必要な主任技術者の種別(第1種〜第3種)の表を一発で覚えたい
  • 2025年の法改正で何が変わったのか知っておきたい

💡 この記事を読めばわかること

  • 主任技術者の選任ルールの全体像が「1枚の地図」で理解できる
  • 許可選任・承認兼任・外部委託の使い分けが製造現場の例でわかる
  • 電圧・発電出力別の選任種別が暗記カードでスッキリ覚えられる
  • 2025年改正のポイントを試験対策レベルで押さえられる
📍 あなたは今ここを学習中
電験三種・法規 完全ロードマップ Chapter 1:電気事業法とその他の法規 第6回:主任技術者の選任と兼任

結論:主任技術者は「自社選任が原則」だが、3つの抜け道がある

細かい話に入る前に、まず全体像を1枚の図で押さえましょう。電気事業法では「事業用電気工作物を設置する者は、自社の社員から主任技術者を選任しなければならない」と決められています。これが大原則です。

ただし、現実には「うちの会社、電気の専門家いないんだけど…」というケースが山ほどあります。そこで電気事業法は、3つの例外ルートを用意しています。それが「許可選任」「承認兼任」「外部委託承認」の3つです。

📋 主任技術者の選任ルート4パターン

ルート 誰が? 条件
①通常の選任 自社社員(有資格者) 原則これ。届出のみ
②許可選任 自社社員(無資格でOK) 経産大臣の許可が必要
③承認兼任 他事業場の主任技術者と兼任 経産大臣の承認が必要
④外部委託承認 外部の保安法人・電気管理技術者 経産大臣の承認が必要

この4パターンの違いさえ押さえれば、法規の主任技術者問題は8割方解けます。これから1つずつ丁寧に見ていきましょう。

電気事業法第43条:選任の基本ルール

まずは大原則となる電気事業法第43条第1項を見てみましょう。条文をそのまま読むと頭が痛くなるので、一言で要約します。

📜 電気事業法 第43条第1項を一言で

「事業用電気工作物(キュービクルとか工場の受電設備)を持ってる会社は、自社の社員から、ちゃんと資格を持った人を主任技術者に選んでね

ポイントは2つあります。

✅ 第43条のポイント

  1. 自社の社員(または役員)であること → 他社の人や、外注の電気屋さんは原則NG
  2. 免状を持っていること → 第1種・第2種・第3種電気主任技術者の免状が必要

また、第43条第3項では「選任したら遅滞なく経産大臣に届け出ること」、第4項では「主任技術者の意見を尊重しなければならない」と決められています。つまり、現場の主任技術者が「これは危険です」と言ったら、社長でも無視できないんですね。

▼ 第43条の条文原文を確認する

電気事業法 第43条(主任技術者)
第1項:事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。

出典:e-Gov法令検索 電気事業法

電気事業法第43条:選任の基本ルール

まずは大原則となる電気事業法第43条第1項を見てみましょう。条文をそのまま読むと頭が痛くなるので、一言で要約します。

📜 電気事業法 第43条第1項を一言で

「事業用電気工作物(キュービクルとか工場の受電設備)を持ってる会社は、自社の社員から、ちゃんと資格を持った人を主任技術者に選んでね

ポイントは2つあります。

✅ 第43条のポイント

  1. 自社の社員(または役員)であること → 他社の人や、外注の電気屋さんは原則NG
  2. 免状を持っていること → 第1種・第2種・第3種電気主任技術者の免状が必要

また、第43条第3項では「選任したら遅滞なく経産大臣に届け出ること」、第4項では「主任技術者の意見を尊重しなければならない」と決められています。つまり、現場の主任技術者が「これは危険です」と言ったら、社長でも無視できないんですね。

▼ 第43条の条文原文を確認する

電気事業法 第43条(主任技術者)
第1項:事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。

出典:e-Gov法令検索 電気事業法

電圧・出力別 主任技術者の選任種別表

「で、結局どの電圧だと何種の免状が必要なの?」という疑問にズバリ答えます。これは試験でも頻出なので、表ごと丸暗記してください。

⚡ 電圧別・必要な主任技術者の種別

免状の種別 監督できる範囲 具体例
第1種 すべての事業用電気工作物 発電所、超高圧変電所など
第2種 電圧17万V未満の事業用電気工作物 中規模の変電所、工場の受電設備
第3種 電圧5万V未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く) 工場のキュービクル(6,600V受電)、ビルの受電設備

💡 暗記のコツ:「17・5・5」の3つの数字だけ覚える

  • 17万V未満=第2種でOK
  • 5万V未満=第3種でOK(ただし5,000kW以上の発電所は除外)
  • つまり「17・5・5」と語呂で覚えるのが最速

製造業の現場で言うと、ほとんどの工場は6,600V受電のキュービクルを使っているので、第3種電気主任技術者(電験三種)でカバーできます。これが「電験三種を取ると工場の保安担当になれる」と言われる理由です。

①許可選任とは?無資格でもOKになる特例

ここから3つの例外ルートを見ていきます。1つ目は「許可選任」です。

🔑 許可選任を一言で

「免状を持っていない自社社員でも、経産大臣の『許可』があれば、主任技術者として選任できる」という制度です。

「えっ、無資格でいいの?」と驚くかもしれませんが、これには理由があります。例えば、小規模な発電所や、電圧が低い設備では、わざわざ電気主任技術者の免状を持った人を雇うのが現実的に難しいケースがあるんです。

📋 許可選任が認められる主なケース

  • 電圧7,000V以下の自家用電気工作物
  • 出力2,000kW未満の発電所
  • その他、経産大臣が認めた事業場

※実際の許可要件は事業場の規模・設備内容によって細かく規定されています。

⚠️ 重要:「許可」と「届出」の違い

通常の選任は「届出」(事後報告でOK)ですが、許可選任は「許可」(事前にOKをもらう必要あり)です。試験では「許可」と「届出」と「承認」の使い分けがよく問われるので要注意。

②承認兼任とは?2つの事業場をかけもち

2つ目のルートは「承認兼任」です。これは「1人の主任技術者が複数の事業場をかけもちする」制度です。

🔑 承認兼任を一言で

「同じ会社内に複数の事業場(工場・営業所など)がある場合、経産大臣の『承認』があれば、1人の主任技術者がまとめて担当できる」という制度です。

例えば、ある製造業の会社が本社工場(埼玉)と支社工場(茨城)を持っていて、両方ともキュービクルがあるとします。通常なら、それぞれの工場で別々に主任技術者を選任しなければいけません。でも、距離が近くて両方をしっかり管理できるなら、1人の主任技術者が2つの工場を兼任することが認められます。

📋 承認兼任のチェックポイント

項目 内容
対象 同一の設置者が持つ複数の事業場
手続き 経産大臣の承認が必要
条件 適切に保安監督できる距離・体制であること

💡 シラスの体験談

私の勤務先でも、敷地内に第1工場と第2工場があり、それぞれにキュービクルがあります。物理的には別の事業場ですが、徒歩5分の距離なので、1人の主任技術者が承認兼任で両方を管理しています。これが「承認兼任」のリアルな使われ方です。

③外部委託承認制度とは?電気保安法人にお任せ

3つ目、そして製造業で最もよく使われているのがこの「外部委託承認制度」です。

🔑 外部委託承認を一言で

「自社で主任技術者を選任せず、外部の電気保安法人や電気管理技術者に保安管理を委託できる制度」です。

小さな町工場やコンビニ、テナントビルなどでは「電気主任技術者を社員として雇うのは現実的じゃない」というケースが大半です。そこで、外部の専門業者(電気保安法人 or 電気管理技術者)と契約して、点検・管理を任せることができます。

📋 外部委託承認の対象となる設備

外部委託できる事業場は、経済産業省告示で細かく規定されています。主な条件は次の通りです。

✅ 外部委託できる主な事業場

  • 電圧7,000V以下で受電する需要設備
  • 出力2,000kW未満の発電所(一部例外あり)
  • 需要設備の場合、出力5,000kW未満の太陽光発電設備も含む(2025年改正で拡大)

出典:経済産業省 産業保安

📋 委託先になれる2種類のプロ

委託先 特徴
電気保安法人 複数の電気主任技術者が在籍する法人。組織として保安管理を提供
電気管理技術者 個人事業主の電気主任技術者。一定の実務経験が必要

電験三種に合格して実務経験を積んだ後、独立して「電気管理技術者」になるのが定番のキャリアパスです。年収500万〜800万円が相場と言われており、独立志向の人には魅力的なルートです。

3つのルートの違いを1枚の表で完全整理

ここまで「許可選任」「承認兼任」「外部委託承認」を見てきました。試験ではどれがどの手続きで、何が条件かを問う問題が頻出するので、1枚の表で完全整理しましょう。

項目 ①許可選任 ②承認兼任 ③外部委託承認
主任技術者は? 自社の無資格者 他事業場の主任技術者 外部の保安法人・個人
手続き 許可 承認 承認
電圧条件 7,000V以下 特に明示なし(適切性審査) 7,000V以下
主な利用者 小規模事業場 複数拠点を持つ会社 中小工場・ビル・コンビニ

💡 試験対策の最重要ポイント

「許可」は許可選任だけ。「承認」は兼任と外部委託。この使い分けが選択肢の引っ掛けでよく出ます。「ボックス選任は許可、それ以外は承認」と暗記しましょう。

2025年改正で変わった点

電気主任技術者制度は、再エネ拡大やDX化に対応するため、近年ちょこちょこ改正されています。2025年4月施行の改正で押さえておくべきポイントを3つに絞って紹介します。

📜 2025年改正のポイント3つ

✅ ①外部委託承認の対象が拡大

再エネ拡大に伴い、太陽光発電設備の外部委託対象が拡大されました。これまで2,000kW未満だった出力上限が、太陽光発電設備については5,000kW未満まで引き上げられています。

✅ ②スマート保安の導入推進

IoT・AIを活用した「スマート保安」が推進され、遠隔監視による点検も一定条件で認められるように。月次点検の頻度緩和など、DX化に対応した保安体制が制度化されました。

✅ ③主任技術者免状の実務経験要件の見直し

電気管理技術者として独立する際の実務経験要件が一部見直され、再エネ設備での経験も認定対象に。電験三種取得後のキャリアパスがより多様化しました。

⚠️ 試験対策での注意

法令改正は試験の翌年度から反映されるのが基本ですが、改正直後は出題されにくい傾向があります。ただし、「外部委託の対象範囲」は頻出論点なので、改正内容は把握しておきましょう。最新の法令は必ず e-Gov法令検索 で確認してください。

主任技術者の義務と権限

選任のルールを押さえたら、最後に「主任技術者は何をする人なのか」を整理しておきましょう。試験では「義務」と「権限」の違いも問われます。

⚖️ 主任技術者の義務(電気事業法第43条第4項)

主任技術者は、事業用電気工作物の工事・維持・運用に関する保安の監督を誠実に行わなければならない。

⚖️ 主任技術者の権限(電気事業法第43条第4項・第5項)

  • 事業用電気工作物の工事・維持・運用に従事する者への指示権
  • 主任技術者の指示に従う義務(従事者側)

つまり、主任技術者は「現場で電気の安全を守る最終責任者」であり、社長でもその指示に従わなければなりません。「主任技術者の意見を尊重する義務」は事業者側にあります。

▼ 条文を確認する(第43条第4項)

第4項:主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。
第5項:事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

出典:e-Gov法令検索 電気事業法

まとめ:1枚で振り返る選任ルールの全体像

最後に、この記事の内容を1枚に凝縮して振り返ります。

📘 主任技術者の選任ルール総まとめ

🔹 大原則(電気事業法第43条)
自社社員から、免状を持った人を主任技術者に選任 → 経産大臣に届出

🔹 3つの例外ルート

  • ①許可選任:無資格でもOK(経産大臣の許可
  • ②承認兼任:複数事業場の兼任(経産大臣の承認
  • ③外部委託承認:保安法人に委託(経産大臣の承認

🔹 免状の種別(電圧の境界)
第1種=すべて/第2種=17万V未満/第3種=5万V未満(5,000kW以上の発電所を除く)

🔹 2025年改正のキーワード
外部委託対象の拡大(太陽光5,000kW未満)/スマート保安/実務経験要件の見直し

ここまで読んだあなたは、もう「選任・許可選任・承認兼任・外部委託」のごちゃごちゃがクリアになっているはずです。あとは過去問で「実際の問われ方」に慣れていけば、この分野は完全に得点源にできます。

🎯 理解度テスト(過去問チャレンジ)

📋 出題:令和3年度 法規 問1

次の文章は、「電気事業法」に基づく主任技術者に関する記述である。

(a) 主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の( ア )の職務を誠実に行わなければならない。
(b) 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする( イ )に従わなければならない。
(c) 事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に( ウ )なければならない。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ)
(1)作業勧告通知し
(2)監督指示届け出
(3)作業指示届け出
(4)監督勧告通知し
(5)監督指示通知し
▼ 解答と解説を見る

正解:(2)

本記事の解説の通り、主任技術者の職務は保安の「監督」(第43条第4項)、従事者は主任技術者の「指示」に従う義務がある(第43条第5項)、選任時は遅滞なく「届け出」る必要がある(第43条第3項)。よって(ア)監督、(イ)指示、(ウ)届け出の組合せが正解です。

ポイント:「監督」「指示」「届出」の3点セットは超頻出。条文の文言そのままで覚えるのが最強です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題

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📝 この記事を書いた人

シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。

最終更新:2026年5月15日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索 で必ずご確認ください。

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