法規科目の解説

【完全図解】電気事業法とは?電験三種「法規」で最初に押さえる7つの目的と全体像

電験三種の「法規」を開いた瞬間、最初に出てくるのが電気事業法。でも条文を読んでも何が書いてあるか頭に入ってこない…そんな経験はありませんか?

😩 こんな悩みはありませんか?

  • 「電気事業法」と聞いただけで眠くなる…条文が頭に入ってこない
  • 電気事業法って結局「何のための法律」なのか、自分の言葉で説明できない
  • 令和4年に大改正されたらしいけど、何が変わったのか整理できていない
  • 電験三種ではどこまで覚えればいいのか範囲が見えない

💡 この記事を読めばわかること

  • 電気事業法の4つの目的を「1枚の絵」で記憶できる
  • 電気事業法は「事業規制」と「保安規制」の2階建て構造とわかる
  • 令和4年改正で追加された3つの新制度の正体がわかる
  • 電験三種で問われるのは「保安規制」だけと知って、勉強範囲が一気に狭まる
📍 あなたは今ここを学習中
電験三種・法規 完全ロードマップ Chapter 1:電気事業法とその他の法規 第4回:電気事業法とは?4つの目的と全体像

🎯 結論:電気事業法は「みんなを守る4つの目的」のための法律

忙しい人のために結論から言います。
電気事業法とは、ひとことで言えば「電気にまつわる全員(使用者・事業者・社会・地球)を守るルールブック」です。

📜 電気事業法 第1条(目的)の4つのキーワード

  1. 電気の使用者の利益を保護する(=私たち消費者を守る)
  2. 電気事業の健全な発達を図る(=電力会社を健全に育てる)
  3. 公共の安全を確保する(=感電・火災から社会を守る)
  4. 環境の保全を図る(=地球を守る)

この4つさえ覚えれば、電気事業法の半分は理解したも同然です。
そして電験三種で問われるのは、このうち主に「③公共の安全」と「④環境の保全」を実現するためのルール(=保安規制)だけ。範囲はそれほど広くありません。

より正確な条文はe-Gov法令検索の電気事業法本文でいつでも確認できます。

⚡ 電気事業法とは何か?身近な例で理解する

そもそも、なぜ「電気」だけのために独立した法律があるのでしょうか?
答えはシンプルです。電気は「目に見えない」「触れたら危険」「止まったら社会が止まる」という3つの特殊な性質を持っているからです。

🏭 製造業の現場で考えてみる

あなたの会社の工場が、ある日突然停電したらどうなりますか?
生産ラインは止まり、納期は遅れ、半製品は不良品の山。
もし停電中に作業員が漏電した機械に触れて感電したら?
こうした「電気だからこそ起きるトラブル」を未然に防ぐためのルールブック、それが電気事業法です。

電気事業法(初出のため正式名称:電気事業法。略称「電事法」と呼ばれることもあります)は、昭和39年(1964年)に制定された法律です。
60年以上にわたって何度も改正されながら、私たちの生活と産業を支える「電気の憲法」のような存在として機能しています。

📜 【最重要】電気事業法 第1条の4つの目的を完全理解

ここが本記事で最も大事なパートです。
電気事業法 第1条には、この法律の「目的」がすべて書かれており、電験三種では穴埋め問題として頻出しています。

📖 電気事業法 第1条(原文)

この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。

これを読みやすく分解すると、こうなります。

アプローチ 手段 目的(守るもの)
事業規制
(運営面)
電気事業の運営を適正かつ合理的にする 使用者の利益保護
同上 電気事業の健全な発達
保安規制
(設備面)
電気工作物の工事・維持・運用を規制 公共の安全確保
同上 環境の保全

表を見て気づきましたか?
電気事業法は「事業規制」と「保安規制」の2本柱で4つの目的を達成しようとしているのです。これが次に説明する「電気事業法の構造」につながります。

🏛️ 電気事業法の構造:事業規制と保安規制の2階建て

電気事業法は分厚い法律ですが、構造はとてもシンプル。「事業規制」と「保安規制」という2つのフロアを持つビルのような構造になっています。

🏢 電気事業法という「2階建てビル」

🏢 2階:事業規制

「電力会社の運営」のルール
・電気の小売・送配電・発電をどう区分するか
・料金はどう決めるか
・電力自由化のルール など

→ 電験三種ではほぼ出ない!

🏠 1階:保安規制

「電気設備の安全」のルール
・電気工作物の分類(一般用・事業用など)
・電気主任技術者の選任
・保安規程の作成
・事故報告 など

→ 電験三種「法規」はここがメイン!

💡 ここが超重要!
電験三種で問われるのは、ほぼ「1階の保安規制」だけです。
「電気の自由化」「託送料金」「発送電分離」みたいな話は、電験三種ではほとんど出ません。
つまり、勉強範囲は条文全体の3割程度だけ。これだけで一気に気持ちが楽になりますよね。

🆕 【令和4年6月改正】追加された3つの新制度

令和4年(2022年)6月、電気事業法が大きく改正され、令和5年3月20日から施行されました。
電験三種でも今後の出題が予想される「新しい3つの制度」を、ここで一気に押さえておきましょう。

新制度 ひとことで言うと 背景・狙い
①認定
高度保安
実施設置者
「うちはAI・IoTで超高度な保安をやってます」と認定された会社は、点検頻度の緩和など規制緩和の特典がもらえる制度 DX推進・人手不足対策。スマート保安を促進したい
②小規模
事業用
電気工作物
10kW以上50kW未満の太陽光発電などを新しい区分として定義し、使用前自己確認等の義務を新設 小規模太陽光の事故が急増。規制の隙間を埋めたい
③登録
適合性
確認機関
特殊電気工作物(風力発電など)の工事計画について、民間の登録機関が技術基準への適合性を事前確認できる制度 国の審査の負担を減らし、再エネ導入を加速させたい

⚠️ 改正のキーワード「3つの D」

今回の改正には共通する3つのキーワードがあります:
DX(デジタル)/Decarbonization(脱炭素)/Deregulation(規制緩和)
「AIで保安を高度化し、再エネを増やし、規制を柔軟にする」。これが改正の本質です。

🎯 電験三種で問われる範囲はここだけ!

ここまで読んで「電気事業法、奥が深そう…」と感じたかもしれません。
でも安心してください。電験三種で実際に問われるのは、保安規制の中の限られた範囲だけです。

📋 電験三種「法規」で頻出の電気事業法トピック

  • 第1条:法の目的(穴埋め問題で頻出)
  • 第38条:電気工作物の定義(一般用・事業用・自家用の区分)
  • 第42条:保安規程
  • 第43条:電気主任技術者の選任
  • 第47条・第48条:工事計画の認可・届出
  • 第49条・第50条:使用前検査・使用前自己確認
  • 第57条:電圧・周波数の維持
  • 第106条:報告徴収・立入検査

→ 全部で500条以上ある電気事業法のうち、出題されるのはせいぜい15条程度!

つまり、電気事業法の3%だけを集中して覚えれば、電験三種の「電気事業法」分野は突破できるのです。
これらの条文は本シリーズの#005〜#011で1記事ずつ詳しく解説していきますので、安心してください。

🧠 【暗記の極意】第1条を覚えるための3つのコツ

電験三種で第1条は「穴埋め問題」として出題されます。一字一句覚える必要はありませんが、4つのキーワードと2つの動詞は確実に覚えましょう。

🎯 コツ① 「保護・発達・確保・保全」の4語をリズムで覚える

「ほご・はったつ・かくほ・ほぜん」
声に出して3回繰り返してみてください。リズムで覚えると忘れにくくなります。

🎯 コツ② 「規制」と「規定」を間違えない

過去問の選択肢には必ず「規定」というダミーが登場します。
正解は「規制」。覚え方は「電気は危険だから強く制する=規制」と理解すれば迷いません。

🎯 コツ③ 「環境の保全」は平成7年の改正で追加された

地球環境への配慮が世界的に重視され始めた1990年代に、第1条に「環境の保全」が追加されました。
「電気事業法 = 安全だけでなく地球も守る法律」と理解すると記憶に残ります。

💡 シラスの体験談
私が電験三種を初受験したとき、最初に法規の参考書を開いて「条文の引用ばかりで全然頭に入らない…」と挫折しかけました。
救われたのは、「電気事業法の構造は2階建てビル」という考え方に出会ったとき。「上の階(事業規制)は飛ばしていい、下の階(保安規制)だけ覚えればいい」とわかった瞬間、急に勉強が楽になりました。
実際の試験でも、毎年第1条か第2条の穴埋めが1問は出ます。絶対に落とせない1問なので、本記事の4キーワードはぜひ完璧にしてください。

🎯 理解度テスト(過去問チャレンジ)

📋 出題:平成21年度 法規 問1

次の文章は、「電気事業法」の目的についての記述である。

この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を ( ア ) することによって、( イ ) の安全を確保し、及び ( ウ ) の保全を図ることを目的とする。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

  (ア) (イ) (ウ)
(1)規 定公 共電気工作物
(2)規 制電 気電気工作物
(3)規 制公 共環 境
(4)規 定電 気電気工作物
(5)規 定電 気環 境
▼ 解答と解説を見る

正解:(3)

電気事業法 第1条の正しい条文は以下の通りです。

「…電気工作物の工事、維持及び運用を (ア)規制 することによって、(イ)公共 の安全を確保し、及び (ウ)環境 の保全を図ることを目的とする。」

ポイント:
・「規定」ではなく「規制」(電気は危険だから強く制する)
・「電気」ではなく「公共」の安全(社会全体を守る)
・「電気工作物」ではなく「環境」の保全(地球を守る)
本記事の「4つの目的」を覚えていれば確実に解ける問題です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題

🗺️ 電験三種・法規シリーズの全体地図

あなたが今読んでいるのは第4回 / 全68回です。

Chapter 0:法規の全体像と勉強戦略(全3記事)
Chapter 1:電気事業法とその他の法規(全14記事)👈 いまココ
Chapter 2:電気設備の技術基準(全29記事)
Chapter 3:電気施設管理・B問題対策(全15記事)
Chapter 4:演習・直前対策(全5記事)
Chapter 5:法令改正対応(全2記事)

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📝 この記事を書いた人

シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。

最終更新:2026年5月15日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索(電気事業法) で必ずご確認ください。

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