法規科目の解説

【完全解説】保安規程に定める10項目|電気事業法第42条を5分でマスター

電験三種の法規で「保安規程」って、条文を読んでも何のことかピンとこなくて困っていませんか?この記事を読み終える頃には、保安規程に定める10項目がスッキリ整理され、過去問が解けるレベルまで一気に押し上げます。

😩 こんな悩みはありませんか?

  • 「保安規程」って何のための書類か、いまいちわからない
  • 10項目もあって、どれから覚えればいいか整理できない
  • 「事業開始前」「変更時」など、届出のタイミングがゴチャゴチャ
  • 過去問でよく出るパターンを効率よく押さえたい

💡 この記事を読めばわかること

  • 電気事業法第42条の意味と、保安規程の役割が「会社のルールブック」の例えでわかる
  • 10項目を3つのグループに分けて、暗記カードで一気に覚えられる
  • 届出のタイミング(事業開始前・変更時)を表で一発整理できる
  • R5下期・H28・H21の過去問パターンと解法が身につく
📍 あなたは今ここを学習中
電験三種・法規 完全ロードマップ Chapter 1:電気事業法とその他の法規 第7回:保安規程に定める10項目

結論:保安規程は「会社オリジナルの電気の安全ルールブック」

細かい話に入る前に、まず一言で押さえましょう。保安規程とは「自社の電気設備をどう安全に運用するか、社内で決めたルールブック」のことです。これを事業開始前に作って、経産大臣に届け出る義務があります。

製造業に例えるなら、工場ごとに作る「安全衛生マニュアル」と同じイメージです。「誰が」「いつ」「どうやって」電気設備を点検・運用するかを文書化して、社員全員がそれに従う、というルール。これが保安規程の正体です。

📋 この記事で押さえる4つのポイント

  1. 保安規程の根拠:電気事業法第42条
  2. 定める10項目:業務分掌・教育・巡視点検・運転操作・災害対策・記録など
  3. 届出のタイミング:事業開始前 + 変更時は遅滞なく
  4. 頻出過去問:R5下期、H28、H21の出題パターン

電気事業法第42条を一言で理解する

保安規程の根拠条文は電気事業法第42条です。条文をそのまま読むと混乱するので、まずは一言で要約します。

📜 電気事業法 第42条を一言で

「事業用電気工作物(キュービクルなどの自家用電気工作物)を設置する会社は、事業を始める前に『うちはこういうルールで電気の安全を守ります』という保安規程を作って、経産大臣に届け出ろ

条文には4つの大事な要素が詰まっています。1つずつ確認しましょう。

✅ 第42条の4つのポイント

  1. 誰が? → 事業用電気工作物を設置する者
  2. 何を? → 保安規程(自社の保安ルール)
  3. いつ? → 事業開始前に作成、開始前に届出
  4. どうする? → 経産大臣に届け出る/変更時も届け出る/従業員に守らせる
▼ 第42条の条文原文を確認する

電気事業法 第42条(保安規程)
第1項:事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用の開始前に、主務大臣に届け出なければならない。
第2項:事業用電気工作物を設置する者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を主務大臣に届け出なければならない。
第3項:主務大臣は、事業用電気工作物の保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。
第4項:事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。

出典:e-Gov法令検索 電気事業法

⚠️ 試験で問われる超重要ポイント

第42条第4項に「設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない」とあります。つまり保安規程は、社長だけでなくパート社員も含めた全従業員に効力が及ぶルールブックです。試験では「事業者のみが守る」というひっかけ選択肢が出ます。

保安規程に定める10項目を3グループで覚える

保安規程に定めるべき項目は、電気事業法施行規則 第50条で具体的に決められています。全部で約10項目あるのですが、バラバラに覚えると確実に挫折します。そこで、3つのグループに分けて整理しましょう。

📋 10項目を3グループで整理

グループ 項目 内容のイメージ
A. 体制づくり ①業務の分掌 誰がどの仕事を担当するか
②保安教育 社員への安全教育の実施方法
B. 日常の運用 ③巡視・点検・検査 設備をいつ・どう点検するか
④運転・操作 設備の動かし方のルール
⑤運転・操作の指揮命令 主任技術者の指示系統
⑥工事の安全管理 工事中の事故防止策
C. 非常時・記録 ⑦災害・非常時の措置 事故・停電時の対応手順
⑧保安についての記録 点検結果などの記録方法
⑨法令違反者への措置 ルール違反者へのペナルティ
⑩その他保安に関し必要な事項 サイバーセキュリティなど

💡 暗記の最強コツ:「組織→日常→非常」のストーリーで覚える

バラバラに覚えるのではなく、「①組織を作り(A)→②日常で運用し(B)→③非常時に備える(C)」という1つのストーリーとして覚えるのが最速です。試験で「保安規程に定める事項として誤っているものはどれか」と問われたとき、このストーリーから外れているものが「ひっかけ選択肢」になっています。

経済産業省では実際の保安規程の記載例を公開しています。実務で作成する際は、この記載例をベースにカスタマイズするのが標準的なやり方です。

グループA:体制づくり(①②)の詳細

まずは「組織の骨格」を作る2項目です。これがないと、いくら設備があっても誰も動けません。

①業務の分掌に関すること

「業務分掌」とは、「誰がどの業務を担当するか」を明確にすることです。例えばこんな感じ。

  • 主任技術者:保安監督の総責任者
  • 運転担当者:日常の設備運転
  • 点検担当者:定期点検の実施
  • 緊急時対応者:事故発生時の初動対応

これを文書化することで、「あれ、これ誰の仕事だっけ?」という空白を防ぎます。

②保安教育に関すること

電気設備を扱う社員には、定期的な安全教育を行わなければなりません。保安規程には次のような内容を盛り込みます。

  • 新入社員に対する初期教育(基本知識、安全ルール)
  • 定期的な再教育(年1回など)の頻度
  • 主任技術者・運転担当者の専門教育
  • 事故事例の共有・ヒヤリハット教育

💡 シラスの体験談

私の勤務先でも、毎年4月に「電気保安教育」が実施されます。キュービクル内部の触ってはいけない部分や、停電時の手順などを動画と座学で再確認します。これが保安規程②に基づく実務です。

グループB:日常の運用(③〜⑥)の詳細

次は「日々の電気設備運用」に関する4項目です。保安規程の中でも分量が一番多いパートです。

③巡視・点検・検査に関すること

電気設備の「健康診断」をどう行うかを定めます。製造業の自家用電気工作物(キュービクル)では、一般的に次のような点検サイクルが規定されます。

点検の種類 頻度の例 内容
日常巡視 毎日 異音・異臭・温度の確認
月次点検 月1回 外観・計器・絶縁状態の確認
年次点検 年1回(停電して実施) 絶縁抵抗測定・接地抵抗測定

④運転・操作に関すること

設備の「動かし方」のルールです。具体的には、遮断器や開閉器の操作手順、停電・送電の手順などを定めます。誤操作は感電事故や設備損傷に直結するので、操作手順を文書化するのが重要です。

⑤運転・操作の指揮命令に関すること

「誰の指示で動くか」を明確にする項目です。原則として主任技術者の指揮命令系統を文書化し、緊急時の代行者も定めます。

⑥工事の安全管理に関すること

電気工事を行う際の安全確保ルールです。停電作業の手順、活線作業の禁止事項、外部業者への管理方法などを定めます。

グループC:非常時・記録(⑦〜⑩)の詳細

最後は「トラブル対応と記録」に関する4項目。試験では特にこのグループからの出題が多いので、しっかり押さえましょう。

⑦災害・非常時の措置に関すること

地震・台風・停電・設備事故が起きたときの初動対応マニュアルです。例えば次のような内容を定めます。

  • 事故発生時の連絡経路(社内→主任技術者→経産局)
  • 停電時の応急処置と復旧手順
  • 感電事故時の救護手順
  • 火災発生時の消火・避難手順

⑧保安についての記録に関すること

点検結果、事故報告、教育実施状況などの記録の保管方法を定めます。一般的には3年間の保存が標準です(事業者によって異なる)。

⑨法令の規定により行うべき事項に違反した者に対する措置

保安規程に違反した社員への懲戒・指導ルールです。これがないと、ルールが形骸化するため必須。

⑩その他保安に関し必要な事項

上記①〜⑨でカバーできない事項を入れます。近年は「サイバーセキュリティ対策」がここに位置づけられるケースが増えました。スマート保安の流れで、IoT機器の不正アクセス対策などが該当します。

💡 試験対策の盲点

過去問でよく狙われるのは、「保安規程の項目に含まれないもの」を選ばせる問題です。例えば「電気料金の算定方法」や「電気事業者の収支計画」などは保安規程の項目ではない、というひっかけが定番。「保安に直接関わらないこと」は項目ではない、と覚えましょう。

届出のタイミング:事業開始前と変更時

保安規程は「作るだけ」ではダメです。きちんと経産大臣に届け出る必要があります。届出のタイミングは大きく分けて2つ。

📅 届出タイミング 早見表

タイミング いつまでに? 根拠条文
①事業開始時 使用開始前に届出 第42条第1項
②変更時 変更後遅滞なく届出 第42条第2項

⚠️ 試験で必ず狙われる「2つの届出タイミング」

試験では「事業開始前」と「変更時は遅滞なく」のキーワードが頻繁に問われます。「事業開始後30日以内」「変更前に届出」などの選択肢はすべてひっかけです。

📜 変更命令もある(第42条第3項)

さらに、経産大臣には「保安規程を変更しろ」と命じる権限があります(第42条第3項)。例えば、ある事業者が事故を起こして「現在の保安規程では不十分」と判断された場合、経産大臣は変更命令を出せるのです。これも試験頻出ポイント。

▼ 保安規程の届出書様式について

実際の届出様式は、電気事業法施行規則 様式第28に定められています。届出先は事業場の所在地を管轄する産業保安監督部です。経済産業省のWebサイトから様式と記載例をダウンロードできます。

参考:産業保安監督部

過去問パターン分析:3つのタイプを完全攻略

保安規程は試験で5年に2〜3回のペースで出題される頻出論点です。過去問を分析すると、出題パターンは大きく3つに分かれます。

📊 出題パターン 3つの型

パターン 問われ方 出題例
①条文穴埋め型 第42条の空白箇所 R5下期 問1
②項目選択型 10項目に含まれないもの H28 問1
③タイミング型 届出時期に関する正誤 H21 問1

🎯 各パターンの解法ポイント

パターン①条文穴埋め型の必勝法

キーワードは「工事、維持、運用」「保安」「使用の開始前」「主務大臣」「届け出」「遅滞なく」「変更」の7つ。この単語を暗唱できるようにしておけば、ほぼ100%取れます。

パターン②項目選択型の必勝法

保安に直接関係しない事項」が誤答選択肢です。具体的には「電気料金」「発電設備の経済効率」「収支予算」などが頻出のひっかけ。これらは保安規程の項目ではありません。

パターン③タイミング型の必勝法

事業開始前」と「変更時は遅滞なく」だけ覚えれば勝ち。「30日以内」「3ヶ月以内」「事業開始後速やかに」などはすべてひっかけです。

まとめ:保安規程を1枚の地図で振り返る

最後に、この記事の内容を1枚に凝縮して振り返りましょう。

📘 保安規程 完全マップ

🔹 根拠条文:電気事業法 第42条
自社の電気設備の安全ルールを文書化し、事業開始前に経産大臣へ届け出る義務

🔹 定める10項目(3グループで覚える)

  • A. 体制づくり:①業務分掌/②保安教育
  • B. 日常の運用:③巡視点検/④運転操作/⑤指揮命令/⑥工事安全
  • C. 非常時・記録:⑦災害措置/⑧記録/⑨違反者措置/⑩その他

🔹 届出タイミング
① 事業開始前(使用開始前)/② 変更時は遅滞なく

🔹 守る対象
事業者本人+すべての従業員(第42条第4項)

保安規程は「主任技術者の選任(第43条)」とセットで出題されることが多い超頻出論点です。次の記事「工事計画の事前届出と使用前自己確認」とあわせて、Chapter 1の山場を一気に攻略していきましょう。

🎯 理解度テスト(過去問チャレンジ)

📋 出題:平成28年度 法規 問1

次の文章は、「電気事業法」に基づく自家用電気工作物に関する記述である。

事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、( ア )を定め、( イ )、主務大臣に届け出なければならない。

事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、( ア )( ウ )

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ)
(1)保安規程使用の開始後、遅滞なく守らなければならない
(2)保安規程使用の開始前に守らなければならない
(3)保安規則使用の開始前に遵守するよう努めなければならない
(4)保安規則使用の開始後、遅滞なく守らなければならない
(5)保安規程使用の開始前に遵守するよう努めなければならない
▼ 解答と解説を見る

正解:(2)

電気事業法第42条第1項より、定めるのは「保安規程」(「保安規則」ではない/第3項のひっかけ注意)。タイミングは「使用の開始前に」(事業開始後ではない)。第42条第4項より、従業者は「守らなければならない」(努力義務ではなく義務)。

暗記ポイント:「規程」「開始前」「守らなければ」の3点セットがそろっている(2)が正解。本記事のグループAで紹介した第42条のキーワードを完全に押さえていれば即答できる問題です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題

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📝 この記事を書いた人

シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。

最終更新:2026年5月15日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索 で必ずご確認ください。

📚 参考文献・一次情報
  • e-Gov法令検索 電気事業法(第42条)
  • 経済産業省 電気保安行政「保安規程の記載例」
  • 電気事業法施行規則 第50条(保安規程に定める事項)
  • 一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題(H21・H28・R5下期 法規 問1)
  • オーム社「完全マスター電験三種受験テキスト 法規」

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