※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
- ポアソン分布の公式は見たけれど、意味がわからない
- どんなときにポアソン分布を使っていいのか迷う
- 二項分布とのちがいや、管理図とのつながりを知りたい
- ポアソン分布とは何か、使える3つの条件
- 公式の意味と、例題の計算
- 平均と分散、二項分布・正規分布との関係
- λとkを入れるだけの確率の計算ツール
ポアソン分布とは、決まった時間や範囲の中で、まれな出来事が何回起きるかの確率を表す分布です。平均の回数λ(ラムダ)だけで形が決まり、k回起きる確率はP(X=k)=λᵏ×e⁻λ÷k!で求めます。平均も分散もλになり、不良の数やキズの数、電話の件数などに使います。

ポアソン分布とは?「まれな出来事の回数」の分布
「1時間に平均3回かかってくる電話が、次の1時間に5回かかる確率は?」のような問いに答えるのがポアソン分布です。
| 場面 | 数えるもの | λの例 |
|---|---|---|
| 工場 | 1日の不良品の数、板1枚のキズの数 | 1日に平均2個 |
| 事務・窓口 | 1時間の問い合わせの電話、1日のクレーム | 1時間に平均3件 |
| 設備 | 1か月の故障停止の回数 | 1か月に平均0.5回 |
使える3つの条件
| 条件 | 意味 | 当てはまらない例 |
|---|---|---|
| ① まれに起きる | ごく短い時間に2回以上同時には起きない | まとめて10個ずつ届く荷物 |
| ② ばらばらに起きる(独立) | 1回起きても、次が起きやすくはならない | 1つのトラブルが次々に不良を呼ぶ連鎖 |
| ③ 起きる割合が一定 | 時間帯によって発生率が変わらない | 昼休みにだけ集中する電話 |
条件がくずれると、実際のばらつきはポアソン分布より大きくなりがちです。たとえば不良がかたまって出る工程では、「ポアソン分布ならまず起きない」はずの多さが、ふつうに起きます。

ポアソン分布の公式と例題
P(X = k) = λᵏ × e⁻λ ÷ k!
k:起きる回数(0, 1, 2, …)、λ:平均の回数、e≒2.718、k!:kの階乗(3!=3×2×1=6)
e⁻λは「1回も起きない確率」です。そこにλᵏ÷k!をかけると、k回起きる確率になります。k!で割るのは、同じk回の起き方の順番のちがいを数えすぎないためです。
例題:1時間に平均3件の電話
λ=3のとき、ちょうど5件かかる確率は、3⁵=243、e⁻³≒0.0498、5!=120 なので、243×0.0498÷120≒0.101(約10.1%)です。
| 件数 k | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 確率 | 5.0% | 14.9% | 22.4% | 22.4% | 16.8% | 10.1% | 8.4% |
平均が3件でも、ちょうど3件の確率は22%ほどしかありません。6件以上の忙しい時間も、約12回に1回はあります。窓口の人数を決めるときは、平均だけでなく、この「多い側の確率」を見ます。
時間を変えたらλも変える
λは「その長さの時間での平均」です。1時間に平均3件なら、30分ではλ=1.5、2時間ではλ=6として計算します。

平均と分散、二項分布・正規分布との関係
ポアソン分布は、平均も分散もλです。標準偏差は√λになります。
二項分布の「nが大きく、pが小さい」場合
二項分布は「n回のうち何回起きるか」の分布です。nがとても大きく、起きる確率pがとても小さいとき、二項分布はλ=n×pのポアソン分布で近似できます。
例:1日に1万個つくり、不良率が0.02%のライン。λ=10,000×0.0002=2 です。不良が0個の日の確率はe⁻²≒13.5%、5個以上の日は約5.3%です。二項分布のまま1万回分を計算するより、ずっと楽です。
二項分布とは?成功回数の確率分布
| 分布 | 数えるもの | 平均・分散 |
|---|---|---|
| 二項分布 | n個のうちの不良品の数(上限n) | np・np(1−p) |
| ポアソン分布 | 決まった範囲の中のキズ・欠点の数(上限なし) | λ・λ |
λが大きいと正規分布に近づく
λが小さいと0の近くに山がある右に長い形ですが、λが大きくなるほど左右対称の山になり、λがおよそ10以上なら、平均λ・標準偏差√λの正規分布で近似できます。
管理図とのつながり
欠点数を管理するc管理図は、ポアソン分布の「標準偏差=√平均」を使って、管理限界をc̄±3√c̄としています。平均が1日2個なら上方管理限界は2+3√2≒6.24で、7個以上の日は「いつもとちがう」と判断します。
c管理図・u管理図の作り方

ポアソン分布の確率計算ツール
平均の回数λと、知りたい回数kを入れてください。
入力すると、その場で計算し直します。赤い棒が、入力したkの確率です。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

ポアソン分布でよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| 時間を変えてもλはそのまま | λは時間の長さに比例させる(30分なら半分) |
| 平均の回数がいちばん起きやすく、ほぼそうなる | λ=3でもちょうど3回は22%ほど。前後に広く散らばる |
| 「k回以上」を「ちょうどk回」で計算する | k回以上は 1−(k−1回以下の合計) |
| 分散は標準偏差と同じλ | 分散がλ、標準偏差は√λ |
| 数える物なら何でもポアソン | かたまって起きる・時間で発生率が変わるなら当てはまらない |
正規分布とは?68-95-99.7ルール

よくある質問
- ポアソン分布=まれな出来事が決まった範囲で何回起きるかの分布
- P(X=k)=λᵏe⁻λ÷k!。λは時間の長さに合わせる
- 平均=分散=λ、標準偏差は√λ
- 二項分布でnが大きくpが小さいときの近似。λが大きいと正規分布に近い
- 条件(まれ・独立・一定)がくずれると当てはまらない

「ポアソン分布と確率の計算」の土台になる統計学を、本でじっくり学び直したいときに向いています。統計学を独学で学べるように書かれた入門書です(ダイヤモンド社、小島寛之 著)。
「ポアソン分布と確率の計算」の土台になる統計学を、教科書で体系立てて学びたいときに向いています。東京大学教養学部統計学教室が編集した、統計学の定番の教科書です。データのまとめ方から確率分布までを、実際の例と図表で解説しています。
「ポアソン分布と確率の計算」の土台になる統計学を、検定まで含めて1冊で学びたいときに向いています。検定から多変量解析・実験計画法・ベイズ統計学までを扱う、統計学の入門書です(オーム社、栗原伸一 著、第2版)。
メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
次に読むべき記事
ポアソン分布が「何回起きるか」なら、指数分布は「次に起きるまでどれくらいかかるか」です。ペアで覚えましょう。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。