検定・推定

【計算例あり】母平均の区間推定|95%信頼区間の意味と計算方法

🤔 こんな疑問、ありませんか?

  • 「平均は50.5mmです」って言われたけど、どのくらい信頼できるの?
  • 「95%信頼区間」ってよく聞くけど、何が95%なの?
  • 検定と推定って何が違うの?
  • 区間推定の計算方法を具体的に知りたい…

💡 この記事の結論

区間推定とは、「真の平均値(母平均)はこの範囲のどこかにある」と幅を持たせて推定する方法です。

「50.5mmです!」と言い切るより、「48.2〜52.8mmの間です」と言う方が誠実で科学的
この「幅」を計算するのが区間推定です。

📚 この記事でわかること

  • 点推定」と「区間推定」の違い
  • 「95%信頼区間」の正しい解釈(よくある誤解を解消)
  • 母平均の区間推定の計算公式具体例
  • 検定と推定の使い分け

📖 この記事を読む前に

t分布や標準誤差の基礎がわかっていると、この記事がスムーズに読めます。

なぜ「区間」で推定するのか?

まず、点推定区間推定の違いを理解しましょう。

🎯 例え話:的当てゲームで考える

友達が「真ん中に当たった!」と主張しています。
でも、あなたは的を見ていませんでした。

点推定

🎯

ど真ん中に当たった!」
と言い切る

外れてたら恥ずかしい…

区間推定

🎯

この範囲のどこか
当たった」と幅を持たせる

外れにくい!誠実!

→ 区間推定は「外れにくい予測」ができる誠実な方法なのです。

📊 統計学での「点推定」と「区間推定」

比較項目 点推定 区間推定
表現方法 「母平均は50.5です」 「母平均は48.2〜52.8の間です」
使う値 標本平均 x̄ のみ x̄ ± t × 標準誤差
信頼度 不明(当たるかどうかは運次第) 明示できる(95%など)
メリット シンプル・わかりやすい 不確実性を含めて表現できる
デメリット 「どのくらい正確か」がわからない 計算がやや複雑

💡 ポイント

点推定は「当たるかどうかわからない1点」。
区間推定は「95%の確率で当たる範囲」。

科学論文やビジネスレポートでは、区間推定の方が信頼されるのはこのためです。

「95%信頼区間」の正しい解釈

ここで、最もよくある誤解を解消しておきましょう。

❌ よくある誤解

誤った解釈

「95%信頼区間が48.2〜52.8ということは、
母平均が48.2〜52.8の間にある確率が95%である」

→ これは間違いです!

✅ 正しい解釈

正しい解釈

「同じ方法で100回調査したら、
そのうち95回は真の母平均を含む区間が得られる

🎣 例え話:釣りで考える

池にいる魚(母平均)を網(信頼区間)で捕まえようとしています。

誤った考え方:「今投げた網の中に魚がいる確率が95%」

→ 魚は決まった場所にいる。網の中にいるか、いないかの2択。確率ではない。

正しい考え方:「この方法で100回網を投げたら、95回は魚が入る」

→ 網の投げ方(推定方法)の信頼性が95%ということ。

🧠 つまり…

母平均(真の値)は固定された1つの値です。動きません。
動くのは私たちが計算する信頼区間の方です。

100回調査すれば100個の異なる信頼区間ができますが、
そのうち95個は真の母平均を含んでいる…というのが正しい解釈です。

母平均の区間推定の公式

📐 公式(母分散が未知の場合)

95%信頼区間の公式

x̄ − t × (s/√n) ≦ μ ≦ x̄ + t × (s/√n)

各記号の意味を確認しましょう。

記号 意味
標本平均(サンプルの平均値)
μ 母平均(推定したい真の値)
s 標本標準偏差(不偏分散の平方根)
n サンプルサイズ(データの個数)
t t分布の臨界値(自由度n-1、信頼度に対応)
s/√n 標準誤差(Standard Error, SE)

🎯 公式のイメージ

📏 信頼区間 = 標本平均 ± 「のりしろ」

 ±  t × (s/√n)

↑中心    ↑のりしろ(マージン)

中心:標本平均 x̄(「ここだろう」という最良の推定値)
のりしろ:t × 標準誤差(「でも、これくらいズレるかも」という余裕)

🔍 「のりしろ」を決める3つの要素

① t値(信頼度)

95%信頼区間なら t は約2。99%信頼区間なら t は約2.6。
信頼度を上げる → t値が大きくなる → 区間が広くなる

② s(標準偏差)

データのバラつきが大きい → s が大きい → 区間が広くなる
バラつきが大きいほど、推定の不確実性が増す

③ n(サンプルサイズ)

サンプル数が多い → √n が大きい → 区間が狭くなる
データが多いほど、推定の精度が上がる

【計算例】部品の平均寸法を推定する

📋 問題設定

🔧 製造部品の品質管理

ある工場で製造している部品の母平均(真の平均寸法)を推定したい。
10個の部品をランダムに抽出して測定したところ、以下のデータが得られました。

95%信頼区間を求めてください。

📊 測定データ(単位:mm)

50.2, 49.8, 50.5, 50.1, 49.9, 50.3, 50.0, 50.4, 49.7, 50.1

📝 STEP 1:標本平均 x̄ を計算

合計:50.2 + 49.8 + 50.5 + 50.1 + 49.9 + 50.3 + 50.0 + 50.4 + 49.7 + 50.1 = 501.0

x̄ = 501.0 ÷ 10 = 50.10 mm

📝 STEP 2:標本標準偏差 s を計算

各データと平均の偏差の2乗を計算し、合計します。

データ x x − x̄ (x − x̄)²
50.2 0.1 0.01
49.8 −0.3 0.09
50.5 0.4 0.16
50.1 0.0 0.00
49.9 −0.2 0.04
50.3 0.2 0.04
50.0 −0.1 0.01
50.4 0.3 0.09
49.7 −0.4 0.16
50.1 0.0 0.00
合計 0.60

不偏分散 s² = 0.60 ÷ (10 − 1) = 0.60 ÷ 9 ≈ 0.0667

s = √0.0667 ≈ 0.258 mm

📝 STEP 3:標準誤差を計算

標準誤差 SE = s / √n = 0.258 / √10 = 0.258 / 3.162

SE ≈ 0.082 mm

📝 STEP 4:t値を確認

自由度 df = n − 1 = 10 − 1 = 9

95%信頼区間(両側5%)のt値をt分布表から確認:

t(0.025, 9) = 2.262

📝 STEP 5:信頼区間を計算

のりしろ = t × SE = 2.262 × 0.082 ≈ 0.185 mm

下限:50.10 − 0.185 = 49.915 mm

上限:50.10 + 0.185 = 50.285 mm

📊 結果

95%信頼区間:49.92 mm ≦ μ ≦ 50.29 mm

📝 結論の書き方

「10個の部品を測定した結果、標本平均は50.10 mmであった。
母平均の95%信頼区間は49.92〜50.29 mmと推定される。

この結果は、同様の調査を100回行った場合、約95回は真の母平均がこの区間に含まれることを意味する。」

検定と推定の違い

⚖️ 「検定」と「推定」は兄弟のような関係

比較項目 検定 推定
目的 仮説が正しいか判定 値を推測する
問いかけ 「50mmと違うか?」 「何mmか?」
答え方 Yes/No(有意差あり/なし) 範囲(48.2〜52.8mm)
使う場面 規格との比較、効果の有無 真の値を知りたいとき

💡 実は裏表の関係!

95%信頼区間に「規格値50mm」が含まれていれば、検定でも「有意差なし」になります。
信頼区間に「規格値50mm」が含まれていなければ、検定でも「有意差あり」になります。

つまり、区間推定の結果から検定の結論もわかるのです!

まとめ:母平均の区間推定のポイント

区間推定とは 母平均が「この範囲にある」と幅を持たせて推定する方法
95%の意味 100回調査したら95回は真の値を含む区間が得られる
公式 x̄ ± t × (s/√n)
区間を狭くする サンプルサイズ n を増やす / バラつき s を減らす

💡 覚え方のコツ

点推定」= ダーツの的の真ん中を狙う
区間推定」= 的全体を網で覆う

網で覆えば95%の確率で的中!これが「誠実な推定」

📖 NEXT STEP

次に学ぶべきは「検出力とサンプルサイズ」

「n=10で実験したけど有意差なし」は計画ミスかも?
「差があるのに検出できなかった」を防ぐために、事前にサンプルサイズを決める方法を学びましょう。
これがわかれば、実験計画の精度が劇的に上がります。

→ 検出力とサンプルサイズの決め方を学ぶ

🎉

お疲れ様でした!

区間推定は、「自分の分析結果にどれくらい自信があるか」を数値で示せる強力なツールです。
ビジネスでも論文でも、「95%信頼区間」が言えると説得力が格段に上がりますよ!

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