📌 この記事でわかること
- 一元配置実験とは何か?
- なぜ「1つの因子だけ」に絞るのか?
- 具体的な実験の進め方(5ステップ)
- メリット・デメリットと使いどころ
😔 こんな疑問を持っていませんか?
- 「一元配置実験」って名前からして難しそう…
- 分散分析はわかったけど、具体的にどんな実験をするの?
- 因子がたくさんあるとき、どれから調べればいいの?
前回の記事で、分散分析の考え方を学びました。「平均値の差が本当の差か、偶然か」を判定する方法でしたね。
今回は、その分散分析を使う最もシンプルな実験を紹介します。それが「一元配置実験(いちげんはいちじっけん)」です。
名前は難しそうですが、やっていることは至ってシンプル。「この条件を変えたら、結果は変わるのか?」これだけを一点突破で調べる、実験の基本形です。
目次
🎯 一元配置実験とは?
まずは定義から押さえましょう。
📖 一元配置実験の定義
取り上げる因子を「1つ」だけに絞り、
その水準の違いによる効果を調べる実験。
ポイントは「1つだけ」という点です。
「温度も、圧力も、材料も…」と欲張るのではなく、「まずは温度だけで勝負だ!」とターゲットを絞るのがこの手法の特徴です。
💡 名前の由来
「一元」= 1つの要因(因子)
「配置」= 水準を配置して実験する
つまり、「1つの因子について、複数の水準を配置して比較する実験」という意味です。
🍛 カレー作りで理解する一元配置実験
言葉だけではわかりにくいので、具体例で見ていきましょう。
シチュエーション:「肉の種類」で味は変わる?
あなたはカレー屋の店長です。お客さんから「どの肉が一番おいしい?」と聞かれたので、実験で確かめることにしました。
🔬 実験の設計
| 注目する因子(A) | 肉の種類 |
| 水準 | 牛肉、鶏肉、豚肉(3水準) |
| 固定する条件 | スパイス量、煮込み時間、隠し味、野菜の量… |
ここで超重要なルールがあります。
⚠️ 絶対守るべきルール
「肉」以外の条件は、すべて厳密に固定する!
そうしないと、味が変わった原因が「肉」なのか「スパイス」なのか分からなくなるからです。
「他は全部一緒。違うのは肉だけ。」
この状態で比較するのが一元配置実験です。
📋 一元配置実験の手順(5ステップ)
実験は、以下の5ステップで進めます。フィッシャーの3原則を思い出しながら読んでください。
Step 1:因子を選ぶ
「今回は『肉の種類』を調べるぞ」と決める。
Step 2:水準を決める
「牛肉」「鶏肉」「豚肉」の3つで比較する。
Step 3:条件を固定する(局所管理)
スパイス量、煮込み時間、隠し味などを統一する。
Step 4:実験する(反復・ランダム化)
「牛→豚→鶏→牛→鶏→豚…」とランダムな順番で、各条件を複数回作る。
Step 5:解析する
データを分散分析にかけて、「肉の種類で味が変わるか?」を判定する。
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📊 結果のイメージ
実験結果が以下のようになったとします。各肉で3回ずつカレーを作り、味を10点満点で評価しました。
| 肉の種類 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 |
|---|---|---|---|---|
| 🐮 牛肉 | 84点 | 86点 | 85点 | 85点 |
| 🐔 鶏肉 | 79点 | 81点 | 80点 | 80点 |
| 🐷 豚肉 | 76点 | 78点 | 77点 | 77点 |
牛肉の平均が85点で一番高いですね。でも、これだけで「牛肉が一番おいしい」と言えるでしょうか?
ここで誤差を考えます。各データは±1〜2点くらいバラついています。
牛肉と豚肉の差は8点。誤差を考慮しても、この差は大きそうです。分散分析で計算すると、「肉の種類は、カレーの味に影響を与える(有意である)」という結論が出せます。
✅ 結論:「肉の種類」はカレーの味に影響する!
→ 牛肉を使うのがベスト
⚖️ メリットとデメリット
一元配置実験はシンプルですが、万能ではありません。使い所を見極めることが重要です。
🙆 メリット
- 構造が単純でわかりやすい
「1つの因子だけ」なので、結果の解釈がシンプル。 - 計算や解析が簡単
手計算でもできるレベル。Excelでも楽勝。 - 結果のグラフが見やすい
棒グラフ1つで「どの水準が良いか」が一目瞭然。
🙅 デメリット
- 1つしか調べられない(効率が悪い)
因子が5つあったら、5回も実験しなければならない。 - 他の要因の影響を見逃す可能性がある
固定した条件の中に「本当の原因」が隠れているかも。 - 交互作用が見えない
「肉×スパイスの相性」のような組み合わせ効果はわからない。
🎯 こんな時に使おう
一元配置実験は「まずは手始めに、一番怪しいコイツを調べてみよう」という、初期段階の調査に向いています。
📝 まとめ
この記事のポイント
- 一元配置実験は、1つの因子だけを変えて効果を見る手法
- 他の条件を固定することで、因子の純粋な影響力を測れる
- シンプルだが、効率や交互作用の面では弱点もある
- 初期段階の調査や、「一番怪しい因子」を絞り込むのに最適
📈 実験のステップアップ
Step 1:まずは一元配置でシンプルに効果を確認する
Step 2:その後、因子を増やして(二元配置や直交表)、さらに深掘りする
このステップを踏むことが、実験の失敗を防ぐ王道ルートです。
次回からは、いよいよこの実験データを数値化して分析するための計算に入ります。まずは「修正項(CT)」の計算から。「バラつき」をどうやって計算するのか、その源流を探りに行きましょう。
📖 次に読む記事
一元配置実験シリーズ|次の記事
修正項(CT)とは?T²/Nの計算式を図解で理解する|一元配置実験③
分散分析の計算で最初に登場する「修正項(CT)」。なぜT²/Nを計算するのか?データの「底上げ分」を取り除く理由を、図解でわかりやすく解説します。
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あなたの悩みに合わせて、以下の記事も参考にしてください。
🔰「分散分析の考え方を復習したい」
📊「因子と水準の違いがわからない」
🎯「実験の3原則(ランダム化・反復・局所管理)を復習したい」
⚠️「誤差って何?バラつきの正体を知りたい」
🔀「交互作用って何?組み合わせ効果を知りたい」
📚 一元配置実験シリーズ|全15回
このシリーズを順番に読めば、一元配置実験を完全マスターできます。
- 分散分析とは?「平均の差」ではなく「分散」を見る理由
- 一元配置実験とは?1つの因子で白黒つける実験の基本形 ← 今ここ
- 修正項(CT)とは?T²/Nの計算式を図解で理解する
- 平方和(S)と自由度の関係|「分散」を求める準備
- 総平方和(S_T)の計算|データ全体のバラつきを数値化する
- 群間平方和と群内平方和|バラつきを「効果」と「誤差」に分解する
- 分散分析表(ANOVA)の作り方|表を完成させる手順
- F検定で有意差を判定する|F分布表の使い方
- 母平均の点推定と区間推定|最適条件の結果を予測する
- 有効繰返し数とは?実験回数の最適解を導く考え方
- 有効繰返し数の計算方法|2つの公式を使い分ける
- 平均平方の期待値E(V)とは?数式の意味を直感的に理解する
- 分散分析表の作り方完全ガイド|S→V→Fの流れを総復習
- 一元配置実験の分散分析を実践|カレーの例で手を動かす
- 一元配置実験の計算を完全図解|分散分析表を1から作る全手順
🎯 一元配置実験は「1つの因子で勝負する」シンプルな実験。
まずはここから始めて、実験計画法の世界に踏み出しましょう!
