こんにちは、シラスです。
実験計画法の参考書を読んでいると、あるページで突然、謎の図形が現れます。
「……なにこれ? 分子構造の図?」
この「線点図(Linear Graph)」が出てきた瞬間に、思考停止して本を閉じてしまった経験はありませんか?(私はあります)
しかし、この図は決して難しいものではありません。
これは、直交表というパズルを解くための「カンニングペーパー」なのです。
今日は、いきなりL8のような複雑な表を使うのはやめましょう。
世界で一番シンプルな「L4直交表(列が3つしかない)」を使って、この図の意味を完全に攻略します。
目次
1. 直交表の列は「透明なコップ」だと思え
まず、直交表の「列(Column)」のイメージを変えましょう。
L4直交表には、No.1、No.2、No.3 という「3つの列」があります。
これを「3つの透明なコップ」だと思ってください。
実験計画法とは、このコップに「要因(絵の具)」を入れる作業です。
2. 交互作用は「勝手に生まれる紫」
ここで、2つの要因(AとB)を割り付けます。
- コップ1に「赤の絵の具(要因A)」を入れます。
- コップ2に「青の絵の具(要因B)」を入れます。
すると、どうなるでしょうか?
実は直交表の世界では、この2つを入れた瞬間、残りのコップ3に「化学反応」が起きます。
赤と青が混ざった「紫の絵の具」が、勝手にコップ3に出現するのです。
この「勝手に生まれてしまう紫」こそが、交互作用($A \times B$)の正体です。
直交表には「1列目と2列目を使うと、その結果(交互作用)は必ず3列目に現れる」という絶対的な数学ルールがあるのです。
3. もし、コップ3に「黄色」を入れたら?
ここが一番のポイントです。
コップ3には、いま「紫(交互作用)」が入っています。
そこに、何も考えずに新しい「黄色の絵の具(要因C)」を入れたらどうなりますか?
紫 + 黄 = 汚い茶色(何色か分からない!)
色が混ざってしまい、「紫(交互作用)」なのか「黄(要因C)」なのか、区別がつかなくなります。
これが、前回解説した「交絡(こうらく)」です。
だから、もし「紫(交互作用)」を綺麗に見たいなら、コップ3には何も入れてはいけません(空けておく)。
逆に、「紫なんてどうでもいい」なら、無視して黄色を入れてもOKです。
4. ここで「線点図」を見てみよう
さて、ここまでの話を「図」にしたのが線点図です。
もう一度見てみましょう。
この図は、さっきの「絵の具の話」をシンプルに描いているだけなんです。
- 🔴 丸い点(1, 2): 「ここに要因(赤・青)を入れてね」という場所。
- ➖ 結んでいる線: 「この2つはペアだよ(混ざるよ)」という印。
- 🟣 線の上の数字(3): 「混ざった色(紫)は、ここに出るよ」という場所。
つまり、線点図とは「どこに何を入れたら、どこに何色が出るか」を教えてくれる予言の書なのです。
5. まとめ:線点図は怖くない
線点図に対して「難しそう」と身構える必要はありません。
ただの「組み合わせのルールブック」です。
【線点図の読み方まとめ】
- 点(◯): メインの要因を入れる場所。
- 線(ー): 交互作用が発生することを示す。
- 線の番号: 交互作用が現れる列。ここを「空席」にしておけば、交互作用を綺麗に取り出せる。
今回は一番シンプルな「L4(三角形)」で説明しましたが、もっと列が多い「L8」や「L16」になっても、考え方は全く同じです。
三角形がたくさんくっついて、複雑な形になっているだけです。
「1と2を混ぜたら3に出る」
「1と4を混ぜたら5に出る」
線点図を見ながら、パズルのように空いている列を探す。
これができるようになれば、あなたはもう実験計画法の上級者です。
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