こんにちは、シラスです。
どれだけ精密な機械を使っても、どれだけ丁寧に作業しても、完全に思い通りの結果が出ることはありません。
1回目は「100.0g」だったのに、2回目は「100.1g」になる。
この「ズレ」を、私たちは「誤差(ごさ)」と呼びます。
「誤差があると実験失敗なの?」
いいえ、失敗ではありません。
実験計画法とは、この「誤差という邪魔者」をゼロにするのではなく、「誤差とうまく付き合いながら、真実を見つけ出す」ための技術だからです。
今日は、実験に必ずつきまとう「誤差」の正体と、そのコントロール方法について解説します。
目次
1. 誤差とは?:理想と現実のギャップ
誤差を一言で定義するとこうなります。
カレー作りで考える 🍛
あなたが「牛肉+スパイス多め+60分煮込み」という完璧なレシピでカレーを作ったとします。
- 1回目: 90点(完璧!)
- 2回目: 87点(あれ?少し薄い?)
- 3回目: 88点(今度は少し辛い?)
同じレシピ、同じ人間が作っているのに、なぜ味が変わるのでしょうか?
それは、私たちがコントロールしきれない「無数の小さな要因」が影響しているからです。
2. なぜ誤差は避けられないのか?
誤差の原因は、探せばキリがありません。
玉ねぎの甘さや肉の脂身は、個体ごとに違います。
キッチンの室温や湿度が変われば、火の通り方も変わります。
味見をするあなたの体調によっても、味の感じ方は変わります。
人間が行う限り、また自然環境の中で行う限り、これらを完全にゼロにすることは不可能です。
だから、「誤差はあるもの」として受け入れる必要があります。
3. 重要な区別:「偶然」か「クセ」か
ただし、誤差には「許せる誤差」と「許せない誤差」の2種類があります。
ここを区別することが、実験計画法の第一歩です。
① 偶然誤差(Random Error)
プラスにもマイナスにも、ランダムにバラつく誤差です。
例:火加減の微妙な揺らぎ、測定ごとのブレ
② 系統誤差(Systematic Error)
ある特定の方向に、常にズレ続ける誤差(クセ)です。
例:計量カップの目盛りが間違っている、オーブンの温度設定が壊れている
実験計画法で扱う「誤差(Error)」は、主に①の「偶然誤差」の方です。
これを統計的に処理することで、真実をあぶり出します。
まとめ
「誤差が出たから失敗だ」と落ち込む必要はありません。
むしろ、「誤差の大きさを知る」ことこそが、実験の重要な成果なのです。
さて、誤差の正体が分かったところで、次はいよいよ本格的な実験手法に入ります。
「温度」というたった一つの要因を変えた時、結果はどう変わるのか?
実験計画法の基本形、「一元配置実験(いちげんはいちじっけん)」について解説します。
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次の記事では、
「一元配置実験とは何か?どうやって単一の因子の効果を調べるのか?」
について解説していきます。
ここを理解すると、実験計画法の「最初の基本形」を完全にマスターできます!
ぜひ続けて読んでください!
