- 「プロセス」と「工程」は同じ意味?
- インプット・アウトプットって何のこと?
- 「プロセスアプローチ」がよくわからない
- 「付加価値」の意味を説明できない
- プロセスの定義と「料理」で理解する考え方
- インプット・変換・アウトプットの関係
- 「付加価値」とは何か
- プロセスアプローチの考え方と実践方法
あなたは今朝、「目玉焼き」を作りましたか?
もし作ったなら、あなたは立派な「プロセス」を実行したことになります。
「え?ただ卵を焼いただけなのに?」
そう、その「ただ卵を焼いただけ」が、まさにプロセスなんです。
インプット(入力):生卵、油、塩
変換(プロセス):フライパンで焼く
アウトプット(出力):目玉焼き
「生卵」という材料を入れて、「焼く」という作業をして、「目玉焼き」という製品が出てくる。この一連の流れが「プロセス」です。
「何かを入れて、何かをして、何かを出す」
という一連の活動のこと
この記事では、品質管理における「プロセス」の考え方を、身近な例でわかりやすく解説します。
目次
プロセスの定義|ISO 9000での正式な意味
まずは「プロセス」の正式な定義を確認しましょう。
ISO 9000(品質マネジメントシステムの用語規格)では、プロセスを次のように定義しています。
「インプットをアウトプットに変換する、
相互に関連する又は相互に作用する活動の集まり」
難しそうに見えますが、要するに「入力→変換→出力」のことです。
「プロセス」と「工程」は同じ?
日本語では「プロセス」と「工程」がほぼ同じ意味で使われます。
| 用語 | 使われる場面 | ニュアンス |
|---|---|---|
| プロセス | ISO、品質マネジメント、経営 | 広い概念(製造以外も含む) |
| 工程 | 製造現場、工場 | 製造に特化したイメージ |
QC検定では両方の言葉が出てきますが、基本的には同じ意味と考えてOKです。
プロセスの3要素|インプット・変換・アウトプット
プロセスは3つの要素で構成されています。
これを理解するために、「カレーを作る」という例で考えてみましょう。
要素①|インプット(入力):何を入れるか
インプットとは、プロセスに「入れるもの」のことです。
・材料:肉、野菜、ルー、水
・情報:レシピ(何をどう作るか)
・エネルギー:ガス、電気
・設備:鍋、包丁、コンロ
・人:料理する人
工場でいえば、原材料、部品、図面、電力、設備、作業者などがインプットにあたります。
要素②|変換(プロセス本体):何をするか
変換とは、インプットを加工・処理する「活動そのもの」です。
・野菜を切る
・肉を炒める
・水を入れて煮る
・ルーを溶かす
・煮込む
工場でいえば、切削、組立、溶接、塗装、検査などの作業が変換にあたります。
要素③|アウトプット(出力):何が出てくるか
アウトプットとは、プロセスから「出てくるもの」です。
・製品:カレー(おいしい料理)
・副産物:野菜の皮、肉の脂
・廃棄物:生ゴミ、使った油
アウトプットは「製品」だけでなく、副産物や廃棄物も含むことがポイントです。
工場でいえば、完成品、半製品、不良品、排水、排ガスなどがアウトプットにあたります。

「付加価値」とは?|プロセスの存在意義
プロセスを理解する上で、もう一つ重要な概念があります。
それが「付加価値」です。
付加価値=アウトプットの価値 − インプットの価値
付加価値とは、「プロセスを通じて、どれだけ価値が増えたか」を表します。
インプットの価値:肉200円 + 野菜100円 + ルー100円 = 400円
アウトプットの価値:おいしいカレー1皿 = 800円(お店で売る場合)
付加価値 = 800円 − 400円 = 400円
「バラバラの材料」より「おいしいカレー」のほうが価値が高い。この「価値の増加分」が付加価値です。
付加価値を生まない活動=ムダ
ここで重要なのが、すべての活動が付加価値を生むわけではないということです。
| 付加価値を生む活動 | 付加価値を生まない活動(ムダ) |
|---|---|
| 野菜を切る(形が変わる) | 材料を取りに行く(移動) |
| 肉を炒める(状態が変わる) | 鍋が空くのを待つ(待ち時間) |
| ルーを溶かす(味が変わる) | 調理器具を探す(探し物) |
| 盛り付ける(見た目が変わる) | 作りすぎて捨てる(過剰生産) |
品質管理では、付加価値を生む活動を最大化し、ムダを最小化することを目指します。
「お客様がお金を払ってもいいと思う活動」が付加価値を生む活動です。お客様は「野菜を切る作業」にはお金を払ってくれますが、「材料を探す時間」にはお金を払ってくれません。
プロセスの連鎖|前工程・後工程の関係
実際の仕事では、プロセスが1つだけということはありません。
複数のプロセスが「つながって」最終的な製品やサービスが生まれます。
プロセスの連鎖とは?
あるプロセスのアウトプットが、次のプロセスのインプットになります。
プロセス①「ご飯を炊く」
米 → 炊飯 → ご飯
プロセス②「カレーを作る」
材料 → 調理 → カレー
プロセス③「盛り付ける」
ご飯 + カレー → 盛り付け → カレー定食
プロセス①②のアウトプット(ご飯、カレー)が、プロセス③のインプットになっていますね。
「後工程はお客様」という考え方
品質管理で有名な言葉に「後工程はお客様」があります。
これは、自分の次の工程を「お客様」だと思って、良いものを渡そうという考え方です。
悪い例:「ご飯がベチャベチャでも、盛り付け担当が何とかしてくれるだろう」
良い例:「盛り付け担当が盛りやすいように、ちょうどいい硬さのご飯を炊こう」
自分の工程で問題を作らない。次の工程が困らないようにする。この意識が品質の連鎖を生みます。
同様に、自分の前の工程を「仕入先」と考え、「良いインプットをもらう」ことも重要です。悪いインプットが来たら、そのまま受け入れずに前工程にフィードバックします。

プロセスに影響を与える要因|4M+1E
プロセスのアウトプット(品質)は、さまざまな要因に影響されます。
代表的なものが「4M+1E」です。
4M+1Eとは?
Man(人):作業者の技能、経験、体調
Machine(機械):設備の精度、調整状態、故障
Material(材料):原材料の品質、ロット差
Method(方法):作業手順、条件、標準
Environment(環境):温度、湿度、照明、清浄度
カレー作りで考えてみましょう。
| 要因 | カレーの例 | 品質への影響 |
|---|---|---|
| Man(人) | 料理の腕前、集中力 | 初心者は失敗しやすい |
| Machine(機械) | コンロの火力、鍋の状態 | 火力が弱いと煮込み不足 |
| Material(材料) | 肉の鮮度、野菜の品質 | 古い材料は味が落ちる |
| Method(方法) | レシピ、煮込み時間 | 手順を間違えると失敗 |
| Environment(環境) | 気温、湿度 | 暑い日は食材が傷みやすい |
プロセスを管理するとは、この4M+1Eを適切にコントロールすることです。
プロセスアプローチとは?|ISO 9001の基本概念
ISO 9001(品質マネジメントシステム)では、「プロセスアプローチ」という考え方を重視しています。
プロセスアプローチの定義
活動とそれに関連する資源を「プロセス」として管理し、
プロセスの相互作用(つながり)を理解・管理することで、
望ましい結果をより効率的に達成する方法
難しそうに聞こえますが、要するに「仕事を『プロセス』の視点で見よう」ということです。
従来のアプローチ vs プロセスアプローチ
| 従来のアプローチ | プロセスアプローチ | |
|---|---|---|
| 視点 | 部門・担当者ごと | プロセス(仕事の流れ)ごと |
| 管理の単位 | 「誰がやったか」 | 「どのプロセスか」 |
| 問題の原因 | 「誰のせいか」 | 「どのプロセスに問題があるか」 |
| 改善の対象 | 人の教育・注意 | プロセス自体の改善 |
従来:「Aさんの腕が悪い。もっと練習しろ」
プロセスアプローチ:「煮込みプロセスに問題がある。レシピを改善しよう」
「人」ではなく「プロセス」に着目することで、根本的な改善ができるようになります。
プロセスアプローチの3つのメリット
① 全体最適ができる
部門ごとに最適化しても、全体では非効率なことがある
→ プロセス全体を見ることで、本当の最適化ができる
② 再発防止がしやすい
「人のミス」で終わらせず、プロセスを改善する
→ 同じ問題が繰り返されない
③ 継続的改善ができる
プロセスのパフォーマンスを測定・分析できる
→ データに基づいた改善ができる

プロセスの「見える化」|フローチャートとQC工程図
プロセスを管理するには、まず「見える化」が必要です。
頭の中だけで理解していても、共有できません。図に描いて、誰でも理解できるようにしましょう。
見える化ツール①|フローチャート
フローチャートは、プロセスの流れを図形と矢印で表したものです。
○(楕円):開始・終了
□(四角):処理・作業
◇(ひし形):判断・分岐
→(矢印):流れの方向
フローチャートを使うと、「どこで分岐があるか」「どこに戻るか」が一目でわかります。
見える化ツール②|QC工程図(QC工程表)
QC工程図は、製造工程ごとに「何を管理するか」を一覧にしたものです。
・工程名
・管理項目(何を管理するか)
・管理特性(どの品質特性を見るか)
・管理方法(どうやって管理するか)
・判定基準(OKかNGか)
・使用する設備・計測器
・担当者
フローチャートが「流れ」を見せるのに対し、QC工程図は「各工程の管理ポイント」を見せます。
プロセスの継続的改善|PDCAサイクル
プロセスは、一度作ったら終わりではありません。
継続的に改善していくことが大切です。そのためのフレームワークがPDCAサイクルです。
P(Plan)計画:目標を決め、計画を立てる
D(Do)実行:計画通りに実行する
C(Check)確認:結果を測定し、計画と比較する
A(Act)処置:問題があれば原因を分析し、改善する
このサイクルを繰り返し回すことで、プロセスがどんどん良くなっていきます。
P:「今日は辛口のカレーを作ろう」と計画
D:レシピ通りに作る
C:味見をしてみる → 「あれ、あまり辛くない」
A:「次はスパイスを増やそう」と改善
→ 次のサイクルでもっとおいしいカレーが作れる!

まとめ|プロセスの考え方は品質管理の基本
この記事では、プロセス(工程)の考え方を解説しました。
✅ プロセスとは「インプット→変換→アウトプット」の一連の活動
✅ インプットは材料・情報・エネルギー・設備・人など、変換は作業・処理、アウトプットは製品・副産物・廃棄物
✅ 付加価値=アウトプットの価値−インプットの価値。ムダは付加価値を生まない活動
✅ プロセスは連鎖する。「後工程はお客様」の意識で良いものを渡す
✅ プロセスに影響する要因は4M+1E(人・機械・材料・方法・環境)
✅ プロセスアプローチは「人」ではなく「プロセス」に着目する考え方
✅ プロセスはPDCAサイクルで継続的に改善する
「プロセス」という言葉は難しく聞こえますが、要するに「何かを入れて、何かをして、何かを出す」という当たり前のことです。
この「当たり前」を意識して仕事を見ると、どこに問題があるか、どこを改善すべきかが見えてきます。
明日から、自分の仕事を「インプット→変換→アウトプット」の視点で見てみませんか?
キーワード解説一覧|試験対策用
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| プロセス(工程) | インプットをアウトプットに変換する、相互に関連する活動の集まり(ISO 9000定義) |
| インプット(入力) | プロセスに入れるもの。材料、情報、エネルギー、設備、人など |
| アウトプット(出力) | プロセスから出てくるもの。製品、副産物、廃棄物など |
| 変換 | インプットをアウトプットに変える活動そのもの。加工、処理、作業など |
| 付加価値 | プロセスを通じて増加した価値。アウトプットの価値−インプットの価値 |
| ムダ | 付加価値を生まない活動。移動、待ち、探し物、過剰生産など |
| 後工程はお客様 | 自分の次の工程を「お客様」と考え、良いアウトプットを渡すという考え方 |
| 4M | Man(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)の4要素 |
| 4M+1E | 4MにEnvironment(環境)を加えた5要素 |
| プロセスアプローチ | 活動をプロセスとして管理し、プロセスの相互作用を理解・管理する方法(ISO 9001の基本概念) |
| プロセスの連鎖 | 複数のプロセスがつながること。あるプロセスのアウトプットが次のプロセスのインプットになる |
| フローチャート | プロセスの流れを図形と矢印で表した図。流れの可視化に使う |
| QC工程図(QC工程表) | 各工程の管理項目・管理方法を一覧にした表。管理ポイントの可視化に使う |
| PDCAサイクル | Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Act(処置)の継続的改善サイクル |
| SDCAサイクル | Standardize(標準化)→Do(実行)→Check(確認)→Act(処置)の日常管理サイクル |
| 継続的改善 | パフォーマンスを向上させるために繰り返し行う活動(ISO 9000定義) |
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