法規科目の解説

【超重要】電気工作物の4区分を完全整理|一般用・事業用・自家用・小規模事業用の違い

電気工作物の区分、参考書を読んでも「一般用と自家用と事業用…結局どれがどれ?」と混乱していませんか?実はこの4区分、「アパートの住人」に例えると一気に整理できます。

こんな悩みはありませんか?

  • 一般用・事業用・自家用の境界線が頭の中でごちゃごちゃになる
  • 「600V」「10kW」「50kW」など数値が多すぎて覚えられない
  • R4年に新設された「小規模事業用電気工作物」が何者かわからない
  • 電気事業法と電気工事士法で「自家用」の定義が違うらしいが、その違いがわからない

この記事を読めばわかること

  • 4区分を「アパートの階層」で直感的にイメージできるようになる
  • 受電電圧600V・発電出力10kW・50kWの数値が頭に染み付く
  • R4年の新区分「小規模事業用」の正体と、なぜ作られたかがわかる
  • 「自家用電気工作物」の2つの定義(電気事業法 vs 電気工事士法)の違いがクリアになる
あなたは今ここを学習中
電験三種・法規 完全ロードマップ Chapter 1:電気事業法とその他の法規 第5回:電気工作物の4区分

結論:電気工作物は「アパートの4階層」でイメージしよう

忙しい人のために結論から言います。
電気工作物は「電気を使う側の規模」によって4つの階層に分けられています。これを4階建てのアパートに例えるとこうです。

電気工作物 4階建てアパート

4F|事業用電気工作物(電気事業用)

→ 電力会社の発電所・変電所・送配電網など、社会インフラ本体

3F|自家用電気工作物

→ 600V超で受電する工場・ビル。電気主任技術者の選任が必要

2F|小規模事業用電気工作物(R4年新設)

→ 出力10kW以上50kW未満の太陽光、20kW未満の風力など

1F|一般用電気工作物

→ 一般家庭・小規模店舗。600V以下で受電する身近な電気設備

ポイントは「上の階に行くほど規模が大きく、規制も厳しくなる」こと。1階の一般家庭はゆるい規制で済みますが、4階の発電所には電気主任技術者の常駐や保安規程の提出など、たくさんのルールが課されます。

詳細は経済産業省「電気工作物の保安」のページで公式の区分図が公開されています。

そもそも「電気工作物」とは?身近なものでイメージしよう

区分の話に入る前に、まず「電気工作物」という言葉自体をクリアにしましょう。
電気工作物とは、ひとことで言えば「電気を作る・送る・使うための設備すべて」です。

あなたの家の中にもたくさんあります

  • 分電盤(ブレーカーが入っている箱)
  • コンセント、スイッチ、配線
  • 太陽光発電パネル(屋根に載っていれば)
  • 電気自動車の充電設備

こうした「電気が通る設備」が全部、電気工作物にあたります。

ただし、すべての電気工作物を同じルールで管理するのは無理があります。
たとえば、一般家庭の分電盤と、火力発電所の巨大なタービン。両方を「同じ厳しさで点検しろ」と言われたら、家庭側は破綻してしまいますよね。

そこで電気事業法は、規模と用途に応じて電気工作物を4つに分類し、それぞれに見合った規制をかける仕組みを作りました。これが「電気工作物の4区分」の本質です。

分類フローチャート:3つの質問でどの区分かわかる

「目の前の電気設備が4区分のどれにあたるか?」を判定するには、たった3つの質問で答えが出ます。

電気工作物 4区分 判定フロー

START:電力会社が運営する発電所・送配電設備か?
↓ NO

YES なら

事業用電気工作物
(電気事業用)

Q1:受電電圧は600V超か?
↓ YES なら自家用 / ↓ NO で次へ

YES なら

自家用電気工作物

Q2:発電設備の合計出力が50kW以上か?
または、太陽光10kW以上 or 風力ありか?
↓ YES なら / ↓ NO で次へ

YES なら

小規模事業用
電気工作物

(合計50kW以上なら自家用)

Q3:それ以外(600V以下+小規模発電のみ)

一般用電気工作物

この3つの質問だけで、ほぼすべての電気設備の区分が判定できます。
重要な判定キーワードは「600V」「10kW」「50kW」の3つの数字。試験でも実務でも、この3つを抑えれば9割解決します。

1F:一般用電気工作物(みんなの家のレベル)

1階に住んでいるのは、私たちの家・小さなお店・コンビニなどです。
電力会社から低圧(600V以下)で電気をもらい、ささやかに使っている設備。これが「一般用電気工作物」です。

一般用電気工作物になる条件(すべて満たす)

  1. 受電電圧が600V以下であること(低圧で受電)
  2. 構内に設置されていること(敷地内で完結)
  3. 構内以外の電気工作物と電気的に接続されていないこと
  4. 爆発性・引火性のある場所に設置されていないこと
  5. 同一構内に「小規模発電設備」以外の発電設備がないこと

そして、ここでよく出てくるのが「小規模発電設備」という言葉。一般用に併設できる小さな発電設備のことで、種類ごとに出力の上限が決まっています。

発電設備の種類 一般用に併設できる上限 身近な例
太陽電池発電設備 出力50kW未満 屋根の太陽光パネル
風力発電設備 出力20kW未満 家庭用の小型風車
水力発電設備 出力20kW未満(ダム不可) 用水路のマイクロ水力
内燃力発電設備 出力10kW未満 家庭用ディーゼル発電機
燃料電池発電設備 出力10kW未満 エネファーム

覚え方のコツ:「太陽光だけ50kW、他は10kWか20kW」

太陽光は普及を後押ししたいので特別に50kWまでOK。
動くもの(風車・水車)は20kW、燃やすもの(内燃力・燃料電池)は10kWと覚えると忘れません。

ただし重要な注意点として、これらの合計出力が50kW以上になると、一般用ではなくなり「自家用」扱いになります。たとえば「太陽光40kW+風力15kW=55kW」なら、たとえ太陽光単独では基準内でも、合計超過で自家用です。

2F:小規模事業用電気工作物(R4年に登場した新参者)

2階に住んでいるのは、令和5年(2023年)3月20日に新しく入居してきた「小規模事業用電気工作物」です。法令上は自家用電気工作物の一種として位置づけられています。

小規模事業用電気工作物の正体

出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備、または出力20kW未満の風力発電設備
つまり「家庭用より大きいけど、メガソーラーほどではない」中規模の再エネ設備が該当します。

なぜわざわざ新しい区分を作ったのでしょうか?理由は1つです。

背景:野立て太陽光の事故が急増した

FIT(固定価格買取制度)で急増した中規模の野立て太陽光発電所で、土砂崩れによるパネル流出、火災、感電事故などが多発しました。
でも従来の枠組みでは、これらは「一般用」とほぼ同じ扱いで、規制がゆるすぎたのです。
そこで「一般用と自家用の中間」のポジションを新設し、最低限の規制をかけることになりました。

小規模事業用電気工作物に課される主な義務は次の3つです。

義務 内容
技術基準への適合 電気設備技術基準(電技)を守ること
基礎情報の届出 設置場所、所有者、設備の規模などを経産省に届出
使用前自己確認 運転開始前に、自分で技術基準への適合性を確認

ただし、電気主任技術者の選任までは不要。あくまで自家用の「軽量版」のような扱いです。

3F:自家用電気工作物(工場・ビルのレベル)

3階に住んでいるのは、工場・ビル・大型商業施設など。電力会社から高圧(600V超)で受電している大きな需要家です。

自家用電気工作物の典型例

  • 6,600Vで受電する工場のキュービクル
  • オフィスビル、商業施設、病院、学校
  • 自家発電設備(非常用ディーゼル発電機など)
  • 合計出力50kW以上の太陽光発電設備

自家用電気工作物には、3階建てアパートのオーナーのようにたくさんの義務が課されます。

自家用電気工作物オーナーの5つの義務

  1. 電気主任技術者の選任(電験三種以上の資格者を置く)
  2. 保安規程の作成・届出(運用ルールを文書化)
  3. 工事計画の届出(一定規模以上の工事の事前届出)
  4. 使用前自主検査(運転開始前の自主確認)
  5. 事故報告(停電・感電などのトラブル発生時)

ここがまさに、電験三種を取得した人が活躍する舞台です。
電気主任技術者として工場の電気設備を見守る、それが3階の住人の仕事なのです。

4F:事業用電気工作物(電力会社の本丸)

最上階に住んでいるのは、電力会社が運営する社会インフラそのものです。発電所、変電所、送電線、配電線など、私たちに電気を届ける巨大なシステム全体。

事業用電気工作物の全体像

実は「事業用電気工作物」は一般用以外のすべてを指す広い言葉です。
その中に、電力会社が使う「電気事業用」と、企業が使う「自家用」の2種類があります。

用語の包含関係

事業用電気工作物(一般用以外すべて)

電気事業用電気工作物

電力会社の発電所・送配電網

自家用電気工作物

工場・ビル(600V超で受電)

小規模事業用電気工作物

中規模太陽光・風力(R4年新設)

この包含関係は試験で「自家用電気工作物は事業用電気工作物に含まれるか?」のような形で問われます。
答えは「含まれる」。自家用も小規模事業用も、すべて事業用電気工作物の仲間です。

最大の落とし穴:自家用の定義が2つある!

ここまでで4区分の概要はクリアになったはず。でも、最後にもう1つだけ、絶対に覚えておくべき「罠」があります。

それは、「自家用電気工作物」の定義が、電気事業法と電気工事士法で違うということです。

  電気事業法 電気工事士法
「自家用」の意味 一般用・電気事業用以外のすべて 電気事業法の自家用のうち、最大電力500kW未満の需要設備に限る
範囲 広い 狭い(500kW未満限定)
なぜ違う? 設備全体の保安が目的 電気工事士の資格範囲を定めるため

なぜ電気工事士法は500kW未満で区切るのか?

電気工事士法は「誰がどんな電気工事をしていいか」を定める法律です。
最大電力500kW以上の超大型設備(メガソーラーや大工場)は、もはや電気工事士の手に余るレベル。専門の電気主任技術者の直接管理下に置かれるため、電気工事士法の対象外(電気工事士の資格範囲外)になっているのです。

この違いは平成22年の電験三種「法規」で実際に出題されており、近年も繰り返し問われる重要ポイントです。

シラスの体験談
私が初めて電験の参考書を開いたとき、最初の関門がこの「電気工作物の区分」でした。条文をそのまま読むと、入れ子構造で何が何だかわからない。
救われたのは、「4階建てアパート」で考えるイメージに出会ったとき。「規模が大きくなるほど上の階に登っていく」と頭の中で整理できた瞬間、急に過去問が解けるようになりました。
実務でも、工場の電気主任技術者になると「自社の設備は事業用?自家用?小規模事業用?」を毎日のように判定します。この区分は試験のためだけじゃなく、現場で必須の知識です。今のうちにイメージで掴んでおきましょう。

理解度テスト(過去問チャレンジ)

出題:令和6年度下期 法規 問1

「電気事業法」に基づく、一般用電気工作物に該当するものは次のうちどれか。なお、(1)〜(5)の電気工作物は、その受電のための電線路以外の電線路により、その構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものとする。

  1. 受電電圧 6.6kV、受電電力 60kW の店舗の電気工作物
  2. 受電電圧 200V、受電電力 30kW で、別に発電電圧 200V、出力 15kW の内燃力による非常用予備発電装置を有する病院の電気工作物
  3. 受電電圧 6.6kV、受電電力 45kW の事務所の電気工作物
  4. 受電電圧 200V、受電電力 30kW で、別に発電電圧 100V、出力 7kW の太陽電池発電設備と、発電電圧 100V、出力 15kW の風力発電設備を有する公民館の電気工作物
  5. 受電電圧 200V、受電電力 35kW で、別に発電電圧 100V、出力 5kW の太陽電池発電設備を有する事務所の電気工作物
▼ 解答と解説を見る

正解:(5)

受電電圧 200V(600V以下)かつ、併設の太陽光が 5kW(50kW未満)なので、すべて一般用電気工作物の条件を満たします。

各選択肢の判定:

  • (1) × 受電電圧 6.6kV(600V超)→ 自家用電気工作物
  • (2) × 内燃力 15kW(10kW以上)→ 自家用電気工作物
  • (3) × 受電電圧 6.6kV(600V超)→ 自家用電気工作物
  • (4) △ 風力 15kW あり → 小規模事業用電気工作物(一般用ではない、※公式正答は不該当)
  • (5) ○ 受電電圧 200V、太陽光 5kW → 一般用電気工作物

判定のポイント:
本記事のフローチャートを思い出してください。
① 受電電圧600V以下? → ② 発電設備の出力は基準内? → ③ 風力ありなら小規模事業用に格上げ。
この順で確認すれば、迷わず正解にたどり着けます。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題

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この記事を書いた人

シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。

最終更新:2026年5月15日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索(電気事業法) で必ずご確認ください。

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