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PLCのコモン(COM)とは?独立コモンを選ぶ理由を基礎から解説

PLCのコモン(COM)とは何か、はじめて配線図を見たときに一番つまずくのがこの端子ですよね。X0やY0といった番号は意味がわかるのに、COMだけ何をする端子なのかわからない。そんな状態から抜け出すための記事です。

😣 こんなふうに思っていませんか?
  • COMって書いてあるけど、何をつなぐ端子かわからない
  • 先輩に「コモン落としといて」と言われたが意味が不明だった
  • カタログの「独立コモン」の意味がわからず、選定で手が止まる
✅ この記事でわかること
  • コモン端子がそもそも何をまとめている端子なのか
  • 共通コモン・グループコモン・独立コモンの違い
  • 独立コモンをあえて選ぶ3つの場面
✅ 結論(まず30秒でわかる答え)

コモン(COM)とは、いくつもの端子が共通で使う「電気の出入口」を1つにまとめた端子のことです。電気は行って帰ってこないと流れないので、コモンをつながないとPLCは1点も動きません。そして、そのまとめ方を細かく分けたものが独立コモンです。

🗺 この記事の位置づけ

扱う内容:コモン端子が何をまとめている端子なのかという意味と、共通コモン・グループコモン・独立コモンという分け方の違い、そして独立コモンを選ぶ理由です。

扱わない内容:シンク/ソースの考え方、NPN・PNPセンサの違い、実際の配線手順は、それぞれ別記事で解説します。この記事では「電流がどちら向きに流れるか」には立ち入らず、端子の役割だけに絞ります。

📖 先に、この記事に出てくる言葉だけ
コモン(COM)たくさんの端子が共通で使う出入口をまとめた端子のこと
共通コモン全部の点を1つのコモンでまとめてあるタイプのこと
グループコモン4点ずつ、8点ずつのように小分けにしてまとめたタイプのこと
独立コモン1点ごとにコモンが分かれていて、お互いつながっていないタイプのこと
回り込み想定していない道を通って電気が流れてしまうこと

この5つだけ頭に入れておけば、あとは読みながら理解できます。

コモンとは何をまとめる端子か

PLCのコモン(COM)とは、いくつもの端子が共通で使う「電気の出入口」を1本にまとめた端子のことです。コモンという言葉は英語のcommon(=共通)から来ていて、そのまま「共通端子」という意味になります。

たとえば入力が16点あるPLCでも、コモン端子は1つか2つしかありません。これは16点分の配線のうち、片側が全部同じ場所につながるからです。同じ場所に行くなら、まとめて1本にしてしまおう。それがコモンです。

🚰 たとえると
コモンは「電源タップ」とよく似ています。テレビ、照明、扇風機はそれぞれ別の機器ですが、電気をもらう元は同じコンセント1か所ですよね。それぞれ壁まで配線するかわりに、タップ1つに集めて壁へ1本で戻す。PLCのコモンも、これとまったく同じ発想の端子です。
💡 ポイント
コモンは「特別な信号を扱う高機能な端子」ではありません。ただの共通の出入口です。むずかしく考えなくて大丈夫です。
🔖 つまり:コモンとは、みんなで共有する1本の出入口をまとめた端子のことです。

なぜコモンが必要なのか

コモンが必要な理由は1つだけで、電気は「行って、帰ってくる」の1周がつながらないと流れないからです。電源を出発して、スイッチを通って、PLCに入って、電源に戻る。この輪っかが1周してはじめて、PLCは「入力がONになった」と判断します。

X0やX1といった端子は、この輪っかの「行き」の部分です。では「帰り」はどこを通るのか。その帰り道をまとめて引き受けているのがコモン端子です。

配線が半分近くまで減る

もしコモンがなければ、入力16点に対して行きと帰りで32本の電線が必要になります。コモンでまとめれば、行き16本+コモン1本の17本で済みます。

盤の中の電線が15本減るということは、端子台も小さくでき、配線ミスも減るということです。コモンは手抜きではなく、合理的な設計の結果なんですね。

⚠️ ここで間違えやすい
「使わない入力点があるから、コモンもつながなくていい」は間違いです。コモンをつながないと、そのグループの入力は1点も動きません。動作しないときに真っ先に疑うべき端子でもあります。
⚡ 作業前に必ず確認してください

電気設備の配線作業には電気工事士等の資格が必要な範囲があります。通電状態での作業(活線作業)は感電・短絡の危険があるため行わず、必ず遮断・検電・施錠(ロックアウト)を行ってから作業してください。特にコモン端子は複数の回路が集まる場所のため、1か所の短絡が広い範囲に波及します。

🔖 つまり:コモンは省略できる端子ではなく、つながないと1点も動きません。

コモンの分け方は3種類

コモンの分け方は「何点をひとまとめにするか」の違いだけで、大きく3種類あります。役割はどれも同じで、まとめる粒の細かさが違うだけです。

分け方 まとめる単位の例 配線の手間 電源を分けられるか 向いている使い方
共通コモン 16点で1つ いちばん楽 分けられない 同じDC24Vのセンサや表示灯だけを並べるとき
グループコモン 4点や8点で1つ ふつう グループ単位なら可 DC側とAC側でまとまりを分けたいとき
独立コモン 1点ごと 端子が多く手間 1点ずつ自由 電圧や電源系統がバラバラの負荷を扱うとき

独立コモンは、リレー出力のユニットで「独立接点8点」のように書かれていることが多いです。何点でまとまっているかは機種ごとに違うため、必ず使用機種のマニュアルで端子配列図を確認してください。

💡 ポイント
カタログの「コモン数」という欄を見ると、まとめ方がすぐわかります。16点で「コモン数1」なら共通、「コモン数4」なら4点ずつのグループ、「独立接点」なら1点ごとです。
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  • 手順シンク・ソースの配線のしかた
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🔖 つまり:3種類の違いは「何点でひとまとめか」だけで、役割は同じです。

独立コモンを選ぶ3つの場面

独立コモンを選ぶ理由は、値段が高くて端子も増えるにもかかわらず、それを上回るメリットがあるからです。次の3つのどれかに当てはまったら、独立コモンを検討してください。

場面 1

電圧の違う負荷が混ざるとき。DC24Vの表示灯とAC200Vの電磁開閉器を同じユニットで動かしたい、というケースです。共通コモンでは電源が1系統に縛られるため、そもそも混ぜられません。

場面 2

電源系統を分けたいとき。非常停止を押したら切れる系統と、切れずに残す系統を1つのユニットに同居させたい場合です。コモンが分かれていれば、片方だけを確実に切れます。

場面 3

相手先の設備へ信号を渡すとき。自分の装置から、別会社の装置や上位設備へ接点信号を出す場合です。相手の電源は自分の電源と別物なので、コモンを共有してはいけません。

💡 ポイント
判断の合言葉は「電源が2種類以上出てきたら独立コモンを疑う」です。逆に、全部同じDC24Vで完結するなら共通コモンで十分です。
🔖 つまり:独立コモンは「電源を分けたい」ときのための選択肢です。

共通コモンで起きる「回り込み」

回り込みとは、想定していない道を通って電気が流れてしまうことです。共通コモンのユニットに、무理やり2種類の電源をつないだときに起こります。

コモンは内部でつながっているので、電源Aと電源Bがコモンを通じて手をつないだ状態になります。すると、切ったはずのランプがうっすら光る、押していないのに機器が動く、といった不可解な現象が出ます。最悪の場合は電源同士がぶつかって短絡します。

⚠️ ここで間違えやすい
回り込みは「たまにしか起きない」ため、原因の特定にとても時間がかかります。しかも配線図の上では正しく見えることが多いです。はじめから独立コモンを選んでおくのが、いちばん確実な予防になります。

10秒でできる判定チェック

確認すること 1つでもYESなら
つなぐ負荷の電圧が2種類以上ある独立コモン
交流と直流が混ざっている独立コモン
装置の外へ接点信号を出す点がある独立コモン
非常停止で切る系統と残す系統が混在する独立コモン
上のすべてがNOで、全点が同じDC24V共通コモンで可
🔖 つまり:電源が2つ以上あるのに共通コモンを使うと、回り込みが起きます。

メーカーで呼び方が違う

コモンがわかりにくい最大の原因は、同じ役割の端子なのにメーカーや機種で名前がバラバラなことです。はじめは戸惑って当然なので、対応表で整理しておきましょう。

端子の表記 読み方・意味 見かける場所
COMいちばん標準的なコモンの表記入力・出力とも広く
C1 / C2グループごとに番号を振ったコモングループコモンの出力側
0V / 24V電源のどちら側を共通にするかを名前で表したもの入力ユニット
S/S共通端子と切替端子を兼ねたもの。0V側に接続するか24V側に接続するかで動作が変わる三菱FXシリーズなど
独立接点1点ごとにコモンが分かれている、の意味リレー出力ユニットの仕様欄
🏭 メーカーによる呼び方の違い

「プラスコモン」「マイナスコモン」という言い方も現場でよく出てきます。これはコモン端子に電源のプラス側をつなぐか、マイナス側(0V)をつなぐかを表した呼び方です。呼び方が違うだけで、端子の役割そのものは同じです。どちら側をつなぐかは機種によって決まっているため、必ず使用機種のマニュアルで確認してください。

🔖 つまり:表記は5通りくらいありますが、役割はどれも同じ共通端子です。

よくある勘違い3つ

最後に、はじめのころに必ずと言っていいほどやってしまう勘違いを3つ挙げます。ここを知っておくだけで、トラブルの大半は避けられます。

勘違い①コモン=アース

コモンとアース(FG)はまったくの別物です。コモンは信号を成立させるための共通端子、アースは人を感電から守り、機器を安全に保つための接地です。

見た目が似ているからと勝手に共通にすると、意図しない電流の通り道ができて誤動作の原因になります。接地まわりの基礎を固めたい方は漏電とは何かの記事もあわせて読んでみてください。

勘違い②1端子に何本でも入る

コモンは配線が集まるので、つい1つの端子ネジに何本も共締めしたくなります。しかし端子1か所に接続できる電線の本数は、メーカーが仕様として決めています。

本数を超えると締め付けが甘くなり、そこだけ抵抗が大きくなって発熱します。足りないときは中継の端子台を使って分けるのが正解です。

勘違い③入力と出力で兼用できる

入力側のコモンと出力側のコモンは、名前が同じでも別の端子です。内部でつながっていない機種がほとんどなので、原則として兼用しません。

迷ったときの正解は1つで、マニュアルの端子配列図を見ることです。どの端子がどこまでまとまっているかは、必ず図で示されています。

🔖 つまり:アースと混同せず、共締めしすぎず、入出力で兼用しないことです。

よくある質問

Q. コモンはつながなくても動きますか?

A. 動きません。電気が1周できなくなるため、そのグループの入出力は1点も動作しません。

Q. 入力と出力のコモンは共通にできますか?

A. 原則できません。別々の端子として設計されているため、必ず分けて配線してください。

Q. 独立コモンと共通コモンはどちらを選ぶ?

A. 電源が1種類だけなら共通コモン、2種類以上または外部へ信号を出すなら独立コモンです。

Q. メーカーが違ってもコモンの考え方は同じ?

A. 同じです。端子の名前や何点でまとめるかは違いますが、共通の出入口という役割は共通です。

📌 まとめ
  • コモン(COM)とは、複数の端子が共通で使う電気の出入口をまとめた端子のこと
  • 電気は1周しないと流れないので、コモンをつながないと1点も動かない
  • 分け方は共通コモン・グループコモン・独立コモンの3種類で、違いは「何点でまとめるか」だけ
  • 独立コモンを選ぶのは、電圧が違う・電源系統を分けたい・外部へ信号を出す、の3場面
  • コモンとアース(FG)は別物。共締めのしすぎと入出力の兼用も避ける
S
シラス
第三種電気主任技術者 / QC検定1級 / 制御・FA機器 実務10年

メーカーで電気設計・制御・品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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