電気のしくみ(暮らしと現場)

漏電とは?漏電ブレーカーの仕組みと落ちたときの確かめ方を図解

漏電とは何か。「電気が漏れる」ってどういう状態か

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こんな疑問はありませんか?
  • ニュースで「漏電が原因で火災」と聞くけど、漏電って何?
  • 「電気が漏れる」ってどういう状態?目に見えないからイメージできない
  • 漏電ブレーカーって何をしてくれるの?
  • 自分の家は大丈夫?漏電を防ぐために今すぐできることは?
○ この記事でわかること
  • 漏電とは何かを「水漏れ」のたとえでやさしく解説
  • 漏電が起きる5つの原因──古い家は要注意
  • 漏電の3大リスク(感電・火災・電気代)を具体的に
  • 漏電ブレーカーが漏電を見つけて止める仕組み
  • 今日からできる漏電を防ぐ5つの対策

「漏電」という言葉、ニュースや電気代の明細で見たことはあるけれど、実際にどういう現象なのかはよくわからない──そんな方がほとんどだと思います。

それもそのはず。電気は目に見えない。水漏れなら床がビチャビチャになるからすぐ気づけますが、電気の漏れは目で見えません。だからこそ怖いんです。

でも大丈夫。この記事では漏電を「水漏れ」にたとえて、電気の知識がゼロの方でも「あぁ、そういうことか!」と腹落ちするように解説します。

漏電は「見えない火災の種」

住宅火災の出火原因では、こんろ・たばこと並んで電気機器や配線が上位に入ります(消防庁「消防白書」)。
そのなかでも漏電は気づかないうちに進行するのが最も恐ろしいポイントです。
感電・漏電の記事(全5本)
  1. 感電はなぜ起きる
  2. 漏電とは(この記事)
  3. アース線
  4. 漏電遮断器と配線用遮断器
  5. 漏電・感電・短絡の違い

漏電とは?──「水道管のヒビ」と同じ

漏電の図。電線の被覆(絶縁体)にヒビが入り、本来の通り道である電線から外へ電気が漏れ出して、家電の金属部分に伝わっている
漏電:被覆のヒビから電気が漏れ出す

まず結論です。

漏電の定義
漏電 = 電気が、本来の通り道(電線)から外に漏れ出している状態。

漏れを見つけて電気を自動で止めるのが漏電ブレーカー(漏電遮断器)です。行きと帰りの電流の差で漏れを見つけます(しくみは記事の中ほど)。ブレーカーが落ちたときの確かめ方は、対策の節の手前にまとめました。

これだけだとピンとこないので、水道管にたとえてみましょう。

たとえ話:水漏れと漏電は同じ

水道管は、水を「蛇口」まで運ぶための通り道ですよね。管の内側は水が通り、外側には漏れ出さないようになっています。

電線も同じです。電線の中を電気が通り、外側はゴムやビニールの「被覆(ひふく)」で覆われていて、電気が外に漏れないようになっています。この被覆のことを「絶縁体(ぜつえんたい)」と呼びます。

○

正常な状態

水道:管にヒビなし。水は蛇口まで届く。

電気:被覆(絶縁体)が健全。電気はコンセントまで届く。

×

漏電(水漏れ)の状態

水道:管にヒビが入り、壁の中で水漏れ。

電気:被覆が破れ、電気が家電のボディや壁の中に漏れ出す。

つまり漏電とは、「電線の被覆にヒビが入って、電気が外に漏れ出している」状態のこと。水道管の水漏れとまったく同じ現象が、電気の世界で起きているんです。

水漏れと漏電の決定的な違い
水漏れは目で見える。床が濡れるからすぐ気づける。
でも漏電は目に見えない。漏れた電気は壁の中や家電の金属部分を伝って、あなたが触るまで誰も気づかない。
だからこそ漏電は「見えない火災の種」と呼ばれるんです。
関連記事:そもそも電気って何?から学びたい方はこちら
そもそも「電気」って何?|電子・電流・エネルギーの正体を5分で理解する →
水道管のヒビから水が漏れる水漏れと、電線の被覆のヒビから電気が漏れる漏電を並べて比べた図
おすすめの本

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家の漏電とは別に、電気機器の中には正常でも少しずつ流れる「漏れ電流」があります。漏電との違いは次の記事で解説しています。

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正常でも流れる「見えない電流」の原因と種類

なぜ漏電は起きる?──「水道管にヒビが入る」5つの原因

漏電は突然起きるわけではありません。多くの場合、長い時間をかけて絶縁体(被覆)がダメになっていくことで発生します。その原因は主に5つです。

原因① 経年劣化(けいねんれっか)──年をとると弱くなる

これが最も多い原因です。電線の被覆(ゴムやビニール)は、年数が経つと硬くなって、ひび割れます。水道管のゴムパッキンが古くなって水漏れするのと同じです。築20年以上の家は要注意。

原因② 水濡れ・結露(けつろ)──水と電気は大敵

水は電気を通しやすい性質があります。雨漏り、水漏れ、結露などで電線や家電が濡れると、水を通じて電気が外に漏れ出します。特に洗面所・キッチン・浴室の近くの配線は危険度が高いです。

原因③ コード・プラグの傷──踏んだり折ったりは厳禁

家具の下敷きになったコード、無理な角度で曲げられたプラグの根元──こうした物理的なダメージで被覆が破れ、漏電が発生します。ペットがコードをかじるのも危険です。

原因④ ホコリ(トラッキング現象)──コンセント周りの掃除不足

コンセントに差しっぱなしのプラグの隙間にホコリがたまり、そこに湿気が加わると、ホコリが電気の通り道になってしまいます(トラッキング現象)。これも立派な漏電の一種で、最悪の場合発火します。

原因⑤ 施工不良──見えない場所の初期不良

壁の中の配線工事が不適切だった場合、最初から絶縁が不完全なことがあります。これは目で見えないため、何年も気づかないケースが多いです。

5つの原因まとめ
①経年劣化(被覆がひび割れ)→ 築20年以上の家は要注意
②水濡れ・結露(水が電気の通り道に)→ 水まわりの家電は特に危険
③コード・プラグの傷(物理的ダメージ)→ 踏む・折る・かじるは厳禁
④ホコリ(トラッキング現象)→ コンセント周りの掃除をサボると発火リスク
⑤施工不良(見えない初期不良)→ 定期点検でしか発見できない
漏電が起きる5つの原因(経年劣化・水漏れや結露・コードやプラグの傷・ホコリによるトラッキング・施工不良)をまとめた図

漏電が起きるとどうなる?──3つの怖いリスク

漏電を放置すると、次の3つの深刻な問題が発生します。

リスク① 感電

漏電した家電に触ると、あなたの体が「電気の通り道」になります。50mA以上の電流が流れると心肺停止の危険。濡れた手だとさらにリスクが跳ね上がります。

リスク② 火災

漏れた電気が金属やホコリを通るとき、火花(スパーク)が発生。それが可燃物に引火すると火事に。住宅火災の原因には、電気機器や配線によるものが多くあります(消防庁「消防白書」)。

リスク③ 電気代が急増

漏れた電気もメーターはカウントします。壁の中で漏電していると、使っていないのに電気代だけ上がる「見えないムダ遣い」状態。原因不明の電気代高騰は漏電のサインかも。

「うちは大丈夫」は危険な思い込み
漏電は目に見えないし、音もしないし、においもしない。だから「うちは大丈夫」と思っている人が一番危ない。
水道管の水漏れは床が濡れるから気づけるけれど、漏電に気づけるのは「漏電ブレーカーが落ちたとき」か「感電したとき」だけ。後者はもう手遅れです。
漏電の3大リスク(感電・火災・電気代の急増)をまとめた図
おすすめの道具

電気にかかわる作業の前に、電気が来ていないかを確かめる道具があると安心です。日置電機(HIOKI)の検電器 3481です。金属に触れずに、電線の被覆の上から交流40〜600Vの電圧がかかっているかを確かめられ、赤色LEDとブザーで知らせます。手元を照らす白色LEDライト付きです。

漏電ブレーカは「出発人数と到着人数」を数えている

目に見えない漏電を、どうやって検知するのか? その答えが漏電ブレーカー(漏電遮断器)です。あなたの家の分電盤にも必ずついています。

たとえ話:バスツアーの人数チェック

遠足のバスツアーを想像してください。

出発のとき、先生が「行きのバスに30人乗りました」と確認。観光地に到着して、帰りのバスの人数を数えたら30人。全員無事!──これが正常な状態。

でも、もし帰りのバスが29人だったら? 「1人いない! 迷子だ!」と先生は大騒ぎしますよね。

漏電ブレーカーは、まさにこの「先生」の役割をしています。

○

正常な状態

行きの電流 = 帰りの電流

→ 全員帰ってきた!問題なし。

×

漏電している状態

行きの電流 ≠ 帰りの電流

→ 途中で電気が「迷子」に!漏電発生!

→ 0.1秒以内に電気をストップ!

もう少し詳しく──「差が30mA以上」で即停止

漏電ブレーカーの中にはZCT(零相変流器)というセンサーが入っていて、「行きの電線を流れる電流」と「帰りの電線を流れる電流」を常に比較しています。

正常な回路では行きと帰りの電流は同じです。でも漏電が起きると、電気の一部がアース線や地面に逃げるため、帰りの電流が減ります。

この「差」が30mA(ミリアンペア)以上になったら、漏電ブレーカーが0.1秒以内に回路を遮断。電気を完全にストップさせます。

図:行きは15.000A、帰りは14.970A。戻ってこない30mAが「漏電」です

本来の通り道を流れる電流 外へ漏れ出した電流 ブレーカーの判定

洗濯機へ向かう青い粒(行き)が 15.000 A。ところが分電盤へ戻ってくる青い粒(帰り)は 14.970 A しかありません。差の 0.030 A(=30mA)が、被覆のキズから赤い経路を通って大地へ逃げてしまった分です。ZCT(零相変流器)はこの行きと帰りをいつも突き合わせていて、差が30mA以上になった瞬間に0.1秒以内で回路を切ります。図は「流れる→検知する→遮断して止まる」を7秒で繰り返しています。粒がピタッと止まる瞬間が、ブレーカーが落ちた瞬間だと思ってください。なお、アース線がつながっていないと漏れた電気の逃げ道がないので、人が触れて体を通って大地へ流れるまで差が生まれません。そのときは感電が始まってから止めることになります。アース線とセットなら人が触れる前に漏れを見つけて止められる、というのはこういう理由です。

漏電ブレーカーが行きと帰りの電流の差で漏電を見つけ、差が30mA以上で止める仕組みを、バスの人数を数える先生にたとえた図
漏電ブレーカーの仕組みまとめ
① 行きと帰りの電流を常に比較(ZCTセンサーで監視)
② 差が30mA以上 → 「漏電している!」と判定
③ 0.1秒以内に回路を遮断 → 電気が完全にストップ

バスツアーでたとえると → 「出発30人、到着29人 → 迷子がいる!ツアー中止!」
漏電ブレーカー + アース線 = セット
漏電ブレーカーが正しく作動するためには、アース線が接続されていることが前提です。アース線があるからこそ、人が触れる前に漏電電流が地面に流れ、行きと帰りの「差」が生まれます。アース線がないと、人が触れて体に電流が流れるまで漏電ブレーカーは反応できません。
関連記事:アース線の仕組みを詳しく知りたい方はこちら
アース線とは?なぜ必要か、つけないとどうなるかと感電を防ぐ仕組み →
漏電ブレーカーが落ちたときの確かめ方
  1. 分電盤の小さなブレーカー(安全ブレーカー)を、全部「切」にする
  2. 漏電ブレーカーを「入」にもどす
  3. 安全ブレーカーを1つずつ「入」にしていく
  4. 入れたとたんに漏電ブレーカーが落ちたら、その回路が漏電しています。その安全ブレーカーだけ「切」にしたまま、漏電ブレーカーと残りの回路をもどす
  5. 漏電している回路は使わずに、電気工事店か電力会社に相談する

濡れた手で分電盤にさわらないでください。何度入れ直しても落ちる、焦げたにおいがするときは、自分で直そうとせずに相談します。

今日からできる!漏電を防ぐ5つの対策

漏電が怖いのはわかった。でも、「じゃあ何をすればいいの?」が一番大事ですよね。ここでは、今日から誰でもできる対策を5つ紹介します。

対策① コンセント周りを定期的に掃除する

冷蔵庫やテレビの裏のコンセントにホコリがたまっていませんか? 半年に1回はプラグを抜いて、乾いた布でホコリを拭き取りましょう。トラッキング現象による発火を防げます。

対策② 水まわりの家電にはアース線を接続する

洗濯機・電子レンジ・食洗機・温水便座などは、必ずアース線をつなぎましょう。アース線がないと、漏電していても人が触れるまで漏電ブレーカーが反応できないため、感電のリスクが跳ね上がります。

対策③ 傷んだコードやプラグは即交換

コードの被覆が剥がれている、プラグの根元が曲がっている、接触部分が変色している──こんな状態のコードは今すぐ使用を中止してください。「まだ使えるから」は命に関わります。

対策④ 漏電ブレーカーの「テストボタン」を月1回押す

分電盤の漏電ブレーカーには「テスト」ボタンがついています。このボタンを押すと、擬似的に漏電を起こしてブレーカーが正常に落ちるか確認できます。月に1回、テストボタンを押して動作確認しましょう。落ちなければ故障している可能性があります。

対策⑤ 築年数が古い家は電気設備の定期点検を

築20年以上の住宅では、壁の中の配線が劣化している可能性があります。電力会社や電気保安協会では無料の絶縁抵抗測定(漏電チェック)を行っています。心配な方は一度相談してみてください。

5つの対策まとめ
①コンセント周りを半年に1回掃除
②水まわりの家電にアース線を接続
③傷んだコード・プラグは即交換
④漏電ブレーカーのテストボタンを月1回押す
⑤築20年以上の家は定期点検を依頼
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まとめ──漏電は「見えない水漏れ」、だから怖い

この記事のまとめ
漏電とは? 電線の被覆(絶縁体)が破れ、電気が本来の通り道の外に漏れ出す現象。水道管のヒビから水漏れするのと同じ。
5つの原因 ①経年劣化 ②水濡れ・結露 ③コード・プラグの傷 ④ホコリ(トラッキング現象) ⑤施工不良
3大リスク ①感電(命の危険) ②火災(電気機器や配線は住宅火災の主な原因のひとつ) ③電気代の急増
漏電ブレーカー 行きと帰りの電流の「差」を監視。30mA以上の差を検知したら0.1秒以内に回路を遮断。アース線とセットで機能。
今日できる対策 ①コンセント掃除 ②アース線接続 ③傷んだコード交換 ④テストボタン月1回 ⑤古い家は定期点検

漏電は目に見えないからこそ怖い。でも、仕組みを知って、対策をしていれば怖くない。

この記事を読み終えた今、ぜひ次の3つだけやってみてください。

① 冷蔵庫の裏のコンセントを確認する(ホコリたまっていませんか?)
② 洗濯機のアース線がつながっているか確認する(緑の線がぶらぶらしていませんか?)
③ 分電盤の漏電ブレーカーのテストボタンを押す(ちゃんと落ちますか?)

この3つで、あなたと家族の安全レベルは格段に上がります。

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