実践編

標準化とは?品質管理での意味と目的、規格・単純化・モジュール化の違いを図解

標準化とは何かを表すアイキャッチ。1枚のレシピから、どの店でも同じ料理ができる

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 標準化とは「統一すること」くらいにしか説明できない
  • 「標準」と「規格」の違いがよくわからない
  • 単純化・モジュール化・互換性がごちゃごちゃになる
この記事でわかること
  • 品質管理での標準化の意味と目的
  • 標準・規格・標準化の違い、製品標準と管理標準
  • 単純化・モジュール化・互換性(組み合わせの計算ツールつき)
  • 国際から社内までの階層と、標準を守り育てるSDCA
結論|まず30秒でわかる答え

標準化とは、品質管理では、関係する人たちのあいだで「こうする」という取り決め(標準)を決めて、それをみんなで使い続ける活動のことです。標準化によって、だれがやっても同じ品質になり(ばらつきが減る)、部品や手順の種類が減ってむだが減り、ほかの会社の製品とも組み合わせられる(互換性)ようになります。標準は作っただけでは意味がなく、守って、見直して、よりよくしていくところまでが標準化です。

統計の「標準化」とは別の意味です。統計では、データから平均を引いて標準偏差で割り、平均0・標準偏差1にそろえる計算(z得点)も「標準化」と呼びます。こちらは正規分布の記事で説明しています。

標準化とは何かを表すアイキャッチ。1枚のレシピから、どの店でも同じ料理ができる
1枚のレシピでどの店でも同じ料理ができる

標準化とは?チェーン店の「レシピ」で考える

北海道でも沖縄でも同じ味の牛丼が食べられるのは、全店が同じレシピ(標準)で作っているからです。レシピを決めて、全店で使い続けることが標準化です。

チェーン店では品質管理では
レシピを決める標準を設定する
全店がレシピどおりに作る標準を活用する(守る)
お客さんの声でレシピを改良する標準を見直して改訂する
定義

QC検定でおなじみの定義(旧JIS Z 8101):標準化とは、標準を設定し、これを活用する組織的行為。
いまのJISの定義(JIS Z 8002):実在の問題や起こりうる問題について、最適な秩序を得ることを目的に、共通に、くり返して使うための取り決めを確立する活動。

標準化には、大きく3つのよいことがあります。①だれがやっても同じ品質になる(ばらつきが減る)、②部品や手順の種類が減ってむだが減る(コストが下がる)、③ほかの製品と組み合わせて使える(互換性)。USBのケーブルがどのメーカーのスマホにも使えるのは、標準化のおかげです。

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標準化をチェーン店のレシピにたとえた図。標準を決める、全店で使う、よくなったら見直して改訂する
標準を決め、全店で使い、見直して改訂する

「標準」「規格」「標準化」の違い

標準は取り決めそのもの、規格は標準のうち品物やサービスの技術的なことを決めたもの、標準化はそれを作って使う活動です。

用語意味例
標準関係する人たちが公平に得をするよう、統一・単純化のために決めた取り決め作業標準書、品質マニュアル、検査基準
規格標準のうち、品物やサービスに関係する技術的なことを決めたものJIS・ISO・IECの規格、社内の部品規格・材料規格
標準化標準を決めて、使う活動社内のルールづくりと運用、規格づくり

製品標準と管理標準

種類対象例
製品標準モノ(寸法・形・性能・材料)ねじの寸法、紙のA4・B5、乾電池の単3・単4、USBの形
管理標準コト(仕事の手順・方法・責任)作業標準書、検査手順書、QC工程表、クレーム処理の規定
標準と規格の関係の図。規格は標準の一部。標準にはモノについての製品標準と、コトについての管理標準がある
規格は標準の一部:製品標準と管理標準

単純化・モジュール化・互換性|標準化の3つの手段

手段やること例
単純化種類の数を減らす(引き算)ねじを100種類から10種類にしぼる
モジュール化共通の部品の組み合わせで多くの製品を作る(かけ算)パソコンのCPU・メモリ・ストレージの組み合わせ、レゴブロック
互換性置きかえても同じ働きをするようにそろえるどのメーカーの単3電池でも同じリモコンに使える

モジュール化の組み合わせの計算ツール

モジュールの種類ごとに、何通りの品ぞろえがあるかを入れてください(使わない欄は空欄のまま)。

入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

標準化の3つの手段の図。単純化は種類を減らす、モジュール化は組み合わせで製品を増やす、互換性はちがうメーカーでも置きかえられる
単純化・モジュール化・互換性の3つの手段

標準化の4つの階層|国際・国家・団体・社内

階層代表的な規格・標準使われる範囲
国際標準化ISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)世界
国家標準化JIS(日本産業規格)、ANSI(米)、DIN(独)、BS(英)国内
団体標準化業界団体の規格業界の中
社内標準化作業標準書、社内規格、品質マニュアル、QC工程表自社の中

国際標準化を頂点に、国家・団体の標準化を中間にはさみ、社内標準化を土台とするピラミッドの形が望ましい、という考え方がQC検定でよく問われます。グローバルに売る製品ほど、国際規格に合わせることが大切になります。

標準化の4つの階層のピラミッドの図。頂点が国際標準化(ISO・IEC)、次に国家標準化(JIS)、団体標準化、土台が社内標準化
国際・国家・団体・社内の4つの標準化

標準は守って育てる|SDCAと作業標準の作り方

標準を決めたら、まず守って結果を見る(SDCA)。改善できるところが見つかったら、PDCAで改善し、新しいやり方を標準に入れて、またSDCAで守ります。

サイクル役割
SDCA(Standardize・Do・Check・Act)今の標準を守り、よい状態を保つ(維持)
PDCA(Plan・Do・Check・Act)今より上の水準をめざして変える(改善)

作業標準書に書くこと

  • 目的と範囲:何のための、どの作業の標準か
  • 手順:順番どおりに、1つの手順に1つの動作で
  • 急所(ポイント):品質や安全を左右するところと、その理由
  • 使う物:設備・治具・材料・測定器と、その条件
  • 異常のときの処置:いつもと違うとき、だれに知らせ、どうするか
  • 版と日付:いつ、だれが、なぜ改訂したか

文字だけでなく、写真や図を入れ、新人が読んでもその通りにできるかで確かめます。現場のやり方が変わったのに標準を直さないと、標準は形だけになります。

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PDCAとSDCAの使い分け

SDCAとPDCAの図。SDCAで今の標準を守り、PDCAで改善し、新しい標準に上書きして一段上がる
SDCAで守り、PDCAで改善して標準を上書きする

標準化でよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
標準を作れば標準化は終わり使って、見直して、改訂するまでが標準化
規格は公的な機関が作ったものだけ社内の部品規格・材料規格も規格
標準化すると改善が止まる標準は改善の出発点。よくなったら標準を上書きする
単純化とモジュール化は同じ単純化は種類を減らす、モジュール化は組み合わせで増やす
細かく決めるほどよい急所をはっきりさせ、守れる量にする
標準化のよくある間違いの図。作れば終わりではなく使って見直すまで、社内規格もある、標準は改善の出発点、急所をはっきりさせる
標準化で起きやすい4つの間違い

よくある質問

Q. 標準化とは簡単にいうと?

A. 「こうする」という取り決め(標準)を決めて、みんなで使い続ける活動です。だれがやっても同じ結果になります。

Q. 標準化の目的は?

A. 品質のばらつきを減らす、種類を減らしてむだを省く、互換性を持たせる、技術や知識を組織に残す、などです。

Q. 標準と規格の違いは?

A. 標準は取り決め全般で、規格はそのうち品物やサービスに関係する技術的なことを決めたものです。規格は標準の一部です。

Q. 単純化とモジュール化の違いは?

A. 単純化は種類の数を減らすこと、モジュール化は共通の部品の組み合わせで多くの製品を作ることです。

Q. 製品標準と管理標準の違いは?

A. 製品標準はモノ(寸法・性能など)、管理標準はコト(仕事の手順や方法、責任)についての標準です。

Q. 統計の標準化とは違う?

A. 違います。統計の標準化はデータを平均0・標準偏差1にそろえる計算で、品質管理の標準化とは別の意味です。

まとめ
  • 標準化=標準を決めて、使う活動。チェーン店のレシピ
  • 規格は標準のうち、品物やサービスの技術的なことを決めたもの
  • 製品標準はモノ、管理標準はコト
  • 単純化は減らす、モジュール化は組み合わせる、互換性は置きかえられる
  • 国際→国家→団体→社内のピラミッド
  • SDCAで守り、PDCAで改善し、標準を上書きする
標準化のまとめの図。標準を決めて使う、規格は標準の一部、単純化とモジュール化、SDCAで守る
標準化の要点:決めて使い、SDCAで守る
この記事の理解を深める本と道具
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品質管理の全体を、1冊で見渡したいときに向いています。品質管理と品質改善の基本を、図解でわかりやすくまとめた本です(日本実業出版社)。

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S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーで回路設計・生産技術(品質改善)の実務

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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