- 「直流発電機の種類を答えよ」という問題で、名前は知っているが違いが説明できない
- 外部特性曲線のグラフを見ても、どの曲線がどの発電機か結びつかない
- 「分巻発電機は電圧がほぼ一定」と参考書に書いてあるが、なぜそうなるのかわからない
- 他励・分巻・直巻・複巻の回路上の違いと接続方法
- 各発電機の外部特性曲線(形と理由)
- 「分巻発電機はなぜ電圧がほぼ一定か」を回路の式で説明
- 電動機との対比で整理する覚え方
電験三種の機械科目で「直流発電機の外部特性」が問われたとき、グラフを丸暗記だけしていると応用問題で詰まります。この記事では、回路図から「なぜその形になるのか」を順番に説明します。一度原理から理解すれば、どんな問われ方をされても対応できます。
目次
まず「電動機」との対比で原理を整理する
直流機は電動機(モーター)と発電機が同じ構造です。電気エネルギーを機械エネルギーに変えるのが電動機、逆に機械エネルギーを電気エネルギーに変えるのが発電機です。
直流電動機
- 電気エネルギー → 回転(機械エネルギー)
- フレミングの左手の法則
- 電流を流すと磁界から力を受ける
- V = E + IaRa(逆起電力E)
直流発電機
- 回転(機械エネルギー)→ 電気エネルギー
- フレミングの右手の法則
- コイルが回転すると起電力が発生
- V = E − IaRa(起電力E)
電動機はV = E + IaRa(Eは回転に抵抗する逆起電力)。発電機はV = E − IaRa(EはIaRaで一部消費され、残りが端子電圧)。符号が逆になるのは「エネルギーの流れる向き」が逆だからです。

直流発電機の4種類:界磁コイルの接続方法で分類する
直流発電機の分類は「界磁コイルをどこに接続するか」で決まります。界磁コイルとは、磁束Φを作るためのコイルです。磁束Φがなければ起電力Eが発生しないので、界磁コイルは発電機の心臓部です。
| 種類 | 界磁コイルの接続先 | 界磁電流Ifの源 | 用途の例 |
|---|---|---|---|
| 他励発電機 | 外部の別電源 | 外部電源が供給 | 実験用、精密電源 |
| 分巻発電機 | 電機子と並列 | 自身の発電電圧 | 一般的な電源用途 |
| 直巻発電機 | 電機子と直列 | 負荷電流そのもの | (単独使用は少ない) |
| 複巻発電機 (和動/差動) |
分巻+直巻の両方 | 並列分(電圧)+直列分(電流) | 和動:安定電源 差動:溶接機 |
「分巻(shunt)」= 並列に分けてつなぐ。「直巻(series)」= 直列につなぐ。英語でshunt winding、series windingです。試験の問題文では「分路」「直列」と言い換えて出ることもあるので注意。

他励発電機:最もシンプル、最も安定
回路の仕組み
他励発電機の界磁コイルには、発電機自身とは別の独立した電源から電流を供給します。界磁電流Ifは外部電源が完全に管理しているので、負荷が変わっても磁束Φは変化しません。
電機子電流:Ia = IL (界磁回路は独立)
端子電圧:V = E − IaRa = E − IL·Ra
外部特性曲線(V−IL 特性)
横軸:負荷電流IL、縦軸:端子電圧Vのグラフが「外部特性曲線」です。
曲線が直線的に少しだけ下がる理由:負荷電流ILが増えると、電機子抵抗Raでの電圧降下(IaRa)が増えます。Eは変わらないので、V = E − IaRaが少しずつ下がります。この傾きはRaが小さいほど緩やかです。
✅ 磁束Φが外部固定 → 最も安定した電圧特性
✅ 界磁電流を変えることで出力電圧を自由に調整できる
⚠️ 別電源が必要 → 実用上コストがかかる

分巻発電機:なぜ電圧がほぼ一定なのか?
「分巻発電機は電圧変動が小さい」と参考書に書かれていますが、これが最も試験で問われる「なぜ?」です。回路の式から丁寧に追います。
回路の仕組みと電流の流れ
電機子電流:Ia = IL + If (電機子が界磁と負荷の両方に供給)
端子電圧:V = E − Ia·Ra = E − (IL + If)·Ra
「なぜ電圧がほぼ一定か」を段階的に追う
負荷電流ILが増えたとき、端子電圧Vがどう変化するかを追います。
ILが増える → Ia = IL + If が増える → Ia·Ra の電圧降下が増える → Vが少し下がる
Vが下がる → If = V/Rf も少し下がる → 磁束Φが少し減る → 起電力Eが少し下がる(E = kΦn)
EとVが連動して下がるループが回る。ただし、このループ変動は非常に小さい。理由:Rfは大きな抵抗(界磁コイル)なのでIfの変化はわずか。ΦもEもほとんど変化しない。
Ifがほぼ一定 → Φがほぼ一定 → Eがほぼ一定。Vの変動はほぼIaRaの増加分だけ。他励発電機とほぼ同じ安定した外部特性になる。
「分巻発電機の安定性」は、製造ラインの圧力レギュレータに似ています。配管に複数の機器がつながっても圧力が一定に保たれるのは、レギュレータ自身がフィードバックで微調整しているから。分巻発電機は界磁回路が自動的に電圧を安定させるセルフ調整機構を内蔵しているのです。
分巻の外部特性は他励よりわずかに傾きが急ですが、非常に安定した電圧特性です。実用上は他励と同じくらい安定しているため、一般的な直流電源用途に最もよく使われます。

直巻発電機:負荷電流そのものが磁束を作る
回路の仕組み
直巻発電機は界磁コイルが電機子と直列につながっています。つまり負荷電流ILがそのまま界磁電流Ifになります(Ia = IL = If)。
端子電圧:V = E − Ia(Ra + Rs)
※ Rs:直巻界磁コイルの抵抗
磁束:Φ = f(IL) ← 負荷電流によって変化する
外部特性が「山なり」になる理由
| 負荷状態 | IL(≒If) | 磁束Φ | 起電力E | 端子電圧V |
|---|---|---|---|---|
| 無負荷 | ほぼ0 | ほぼ0 | ほぼ0 | ほぼ0(発電しない!) |
| 軽負荷〜中負荷 | 増加中 | 増加中 | 増加中 | 上昇(E増大が支配的) |
| 重負荷(磁気飽和後) | 大 | 飽和(頭打ち) | 頭打ち | 急落(Ia(Ra+Rs)が支配的) |
無負荷(IL = 0)では発電しません。残留磁気があれば多少の起電力が出ますが、実用的な電圧は出ません。そのため直巻発電機を単独の電源として使うことは少なく、複巻発電機の直巻界磁コイルとして使われる場合がほとんどです。

複巻発電機:分巻と直巻の「いいとこ取り」か「逆転利用」か
複巻発電機は分巻界磁コイルと直巻界磁コイルの両方を持っています。この2つの磁束を同方向に足すか(和動)、逆方向に引き算するか(差動)で、まったく異なる特性になります。
和動複巻(かどうふくまき)
分巻磁束 + 直巻磁束(同方向)
- ILが増えると直巻コイルの磁束が増える
- Eが補強され、Vの低下を打ち消す
- 外部特性:ほぼ完全にフラット
- 用途:安定した直流電源
差動複巻(さどうふくまき)
分巻磁束 − 直巻磁束(逆方向)
- ILが増えると直巻コイルが磁束を打ち消す
- Eが急減し、Vが急落する
- 外部特性:急降下型(垂下特性)
- 用途:溶接機(短絡時に大電流を防ぐ)
「和動複巻の外部特性は他励・分巻より安定(フラット)」が鉄則です。分巻界磁が電圧を安定させ、直巻界磁がIaRa降下を補償するため、理想的には無負荷から全負荷まで端子電圧が変わらない「定電圧特性」を実現できます。

外部特性曲線を4種類まとめて比較する
試験では「外部特性曲線のグラフを見て、種類を当てる」問題が出ます。4つの曲線の形と上下関係を整理しておきましょう。
| 種類 | 曲線の形 | 電圧変動 | 無負荷電圧 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|
| ①和動複巻 | ほぼ水平 | 最小 | V₀ | 直巻で降下を補償 |
| ②他励 | 直線・緩傾き | 小 | V₀ | 最安定。外部電源が必要 |
| ③分巻 | 緩やかな下降曲線 | 小〜中 | V₀ | 実用上は他励と同等 |
| ④直巻 | 山なり(先に上昇→急降下) | 非常に大 | ほぼ0 | 無負荷で発電不可 |
| ⑤差動複巻 | 急降下(垂下特性) | 非常に大(意図的) | V₀ | 溶接機など定電流用途 |

試験で問われる計算パターン
典型問題:分巻発電機の端子電圧を求める
分巻発電機において、電機子巻線抵抗 Ra = 0.2 Ω、界磁抵抗 Rf = 100 Ω、起電力 E = 220 V、負荷電流 IL = 50 A のとき、端子電圧 V を求めよ。
If = V / Rf = V / 100
Ia = IL + If = 50 + V/100
V = E − Ia × Ra
V = 220 − (50 + V/100) × 0.2
V = 220 − 10 − 0.002V
1.002V = 210
V ≒ 209.6 V
If = 209.6 / 100 = 2.1 A(ILの50 Aに比べて小さく、IfがILに大きな影響を与えないことがわかる)
分巻発電機の問題では「Ia = IL + If」の関係が重要です。Ifは V/Rf で求まり、Vを含む連立方程式になります。Rfが大きいとIfが小さく、ILに比べて無視できる場合もありますが、試験では正確に Ia = IL + If で立式することを忘れないでください。
他励発電機の問題
他励発電機で、起電力 E = 240 V、電機子抵抗 Ra = 0.4 Ω、負荷電流 IL = 80 A のとき、端子電圧 V を求めよ。
他励は Ia = IL なので直接代入できます。
V = E − Ia × Ra = 240 − 80 × 0.4 = 240 − 32 = 208 V

直流電動機との対比で覚える(混同しないための整理)
直流機は発電機と電動機で構造が同じため、試験では「電動機の問題と発電機の問題がセットで出る」ことがあります。式の符号が逆になるだけですが、混同すると失点します。
| 比較項目 | ⚡→🔄 直流電動機 | 🔄→⚡ 直流発電機 |
|---|---|---|
| エネルギー変換 | 電気→機械 | 機械→電気 |
| フレミングの法則 | 左手の法則 | 右手の法則 |
| 電圧式 | V = E + IaRa (EはVに逆らう逆起電力) |
V = E − IaRa (EがVを押し出す) |
| 分巻の電機子電流 | Ia = IL − If (電源から電動機とIfに電流が分流) |
Ia = IL + If (電機子がILとIfを供給) |
| ILが増えると | IaRaが増→Eが減→回転数n低下 | IaRaが増→Vが低下 |
電動機は「電流を流したら動く → V = E + IaRa」。発電機は「動かしたら電気が出る → V = E − IaRa」。方向が逆なので符号が逆、それだけです。分巻のIaも「誰が誰に電流を供給しているか」を考えれば迷いません。

まとめ:4種類の外部特性を「一言」で覚える
| 和動複巻 | 「最も安定」。分巻+直巻が磁束を足し合わせて電圧降下を補償 |
| 他励 | 「外部管理で安定」。IaRa降下だけが電圧を下げる。外部電源が必要 |
| 分巻 | 「ほぼ一定」。IfがV/Rfで自己調整するため磁束Φがほぼ変わらずEが安定 |
| 直巻 | 「山なり」。ILがそのままIfなので負荷依存。無負荷で発電不可 |
| 差動複巻 | 「急降下(垂下特性)」。磁束を打ち消し合う→定電流特性→溶接機に使用 |
| 発電機の基本式 | V = E − IaRa(電動機は V = E + IaRa)。符号が逆なのはエネルギーの向きが逆だから |
外部特性曲線の形を丸暗記するのではなく、「回路でどう電流が流れるか」→「だからEとVがこう変わる」という因果関係で覚えると、グラフのどの問われ方にも対応できます。
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