機械科目の解説

【電験三種・機械】照明の計算パターン|点光源の照度・平均照度・光源数の求め方

😣 こんな状態になっていませんか?
  • 光束・光度・照度の定義はわかった。でも計算問題になると手が止まる
  • cosθ が出てくるたびに「これ何の角度だっけ?」と混乱する
  • 「水平面照度」と「鉛直面照度」の使い分けがわからない
  • B問題の選択肢で照明が出ると「捨て問」にしてしまう
✅ この記事でわかること
  • 照明計算の3大パターンと、それぞれの解法手順
  • cosθ を図から一発で読み取るテクニック
  • 「水平面照度」と「鉛直面照度」の公式の違い
  • 平均照度から光源数を逆算する方法
  • すべて途中式つきで、自分でも再現できる

前回の記事では、光束・光度・照度・輝度の「定義とイメージ」を整理しました。

今回は、その知識を使って「実際に計算で点を取る」ための記事です。

照明の計算問題は、出題パターンがほぼ3つに絞られます。パターンを知っていれば、本番で「あ、これはパターン②だ」と即座に判断でき、5分以内に解き切れます。

照明は、機械科目の中で最もコスパよく得点できるテーマです。計算量が少なく、覚える公式も3つだけ。この記事で完全にマスターしてください。

照明計算の「3大パターン」を先に全部見せます

電験三種の照明計算は、以下の3パターンでほぼすべてカバーできます。まず全体像を掴んでください。

No. パターン名 使う公式 問われ方の例 出題頻度
点光源の照度
(水平面 / 鉛直面)
E = I cosθ / r² 「点Pの水平面照度を求めよ」 ★★★★★
平均照度の計算
(光束法)
E = NF·U·M / A 「作業面の平均照度を求めよ」 ★★★★☆
必要光源数の逆算
(光束法の変形)
N = E·A / (F·U·M) 「300 lx を確保するには何灯必要か」 ★★★★☆
💡 攻略の方針
パターン❶はA問題(小問)で頻出。パターン❷❸はB問題(大問・選択)で出ます。

パターン❶を確実に得点し、余裕があればB問題でパターン❷❸を選択する——この戦略がおすすめです。照明のB問題は他のテーマ(パワエレ・自動制御など)と比べて計算がシンプルなので、「迷ったら照明を選べ」と言われるほどです。

それでは、パターン❶から順番に、途中式つきで解説していきます。

パターン❶ 点光源の照度 ─ cosθ の「正体」を暴く

照明計算で最もよく使う公式がこれです。

📐 点光源による照度の公式

E = I · cosθ / r²

E:照度 [lx] I:光度 [cd] r:光源から照射点までの距離 [m] θ:入射角

この公式自体はシンプルですが、多くの人がつまずくのは「θ は何の角度なのか」「cosθ をどう処理するのか」の2点です。ここを完全に解決します。

θ(入射角)とは何か ─「光と面が何度で当たっているか」

θ(シータ)は、「光の進む方向」と「照らされる面の法線(垂直方向)」がなす角度です。

もっと簡単に言うと:

⬇️

真上から照らす(θ = 0°)

  • 光が面に垂直に当たる
  • cos 0° = 1
  • 照度は最大
↘️

斜めから照らす(θ = 60°)

  • 光が面に斜めに当たる
  • cos 60° = 0.5
  • 照度は半分に減る
💡 イメージで覚える
懐中電灯で壁を照らす場面を想像してください。

真正面から照らす → 丸く明るい(θ = 0°、cosθ = 1)
斜めから照らす → 楕円に広がって暗い(θ が大きい、cosθ < 1)

斜めになるほど光が広がって「薄まる」から、照度が下がる。cosθ はこの「薄まり具合」を数値化したものです。

超重要:「水平面照度」と「鉛直面照度」の違い

試験問題では「水平面照度を求めよ」「鉛直面照度を求めよ」と指定されます。ここを間違えると、cosの付け方が変わるため、全部ずれます。

以下の図を想像してください。天井に点光源があり、床のある点Pを照らしています。光源の真下の点をOとし、O→Pの水平距離を d、光源の高さを h とします。

求めるもの 公式 cosθ の意味
水平面照度 Eh Eh = I cos³θ / h² 床面(水平面)に対する入射角を考慮。
cosθ = h / r なので、I cosθ / r² を h で整理すると cos³θ が出る
鉛直面照度 Ev Ev = I cos²θ·sinθ / h² 壁面(鉛直面)に対する入射角を考慮。
sinθ = d / r が加わる
⚠️ なぜ cos³θ になるのか(途中式)
基本公式 E = I cosθ / r² の r を h(高さ)で表すと:

r = h / cosθ(直角三角形の関係)なので
r² = h² / cos²θ

これを代入すると:
Eh = I cosθ / (h² / cos²θ) = I cos³θ / h²

つまり cos³θ は「r² を h² に変換した」ために出てきたもので、新しい公式を覚えたわけではありません。基本公式の変形です。
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計算例①:斜め下の水平面照度

【問題】
光度 I = 500 cd の点光源が、高さ h = 4 m の天井に設置されている。
光源の真下から水平距離 d = 3 m 離れた点Pの水平面照度を求めよ。

STEP 1:cosθ を求める

光源・真下の点O・点Pで直角三角形ができます。

h = 4 m(高さ=隣辺)、d = 3 m(水平距離=対辺)
r = √(h² + d²) = √(16 + 9) = √25 = 5 m

cosθ = h / r = 4 / 5 = 0.8

STEP 2:水平面照度を計算

方法A(基本公式をそのまま使う):
Eh = I cosθ / r² = 500 × 0.8 / 5² = 400 / 25 = 16 lx

方法B(cos³θ型を使う):
Eh = I cos³θ / h² = 500 × 0.8³ / 4² = 500 × 0.512 / 16 = 256 / 16 = 16 lx
💡 どちらの方法を使うべき?
結果は同じです。r が問題文に直接与えられている場合は方法A(E = Icosθ/r²)が速い。h と d が与えられている場合は方法B(E = Icos³θ/h²)が r を計算する手間が省けて速い。問題文を見て使い分けてください。

計算例②:2つの光源がある場合

【問題】
高さ h = 3 m の天井に、光度 I = 200 cd の点光源AとBが水平距離 8 m 離れて設置されている。AとBの中点の真下にある点Pの水平面照度を求めよ。

STEP 1:光源1つ分の照度を求める

点PはA, Bの中点の真下なので、A→Pの水平距離 d = 8 / 2 = 4 m
r = √(3² + 4²) = √(9 + 16) = √25 = 5 m
cosθ = h / r = 3 / 5 = 0.6

光源Aによる水平面照度:
EA = I cosθ / r² = 200 × 0.6 / 25 = 120 / 25 = 4.8 lx

STEP 2:2つ分を足す(重ね合わせの原理)

対称なので EB = EA = 4.8 lx

E = EA + EB = 4.8 + 4.8 = 9.6 lx
⚠️ 重要:照度は「足し算」できる
照度はスカラー量(方向を持たない量)なので、複数の光源からの照度はそのまま足すだけでOKです。ベクトルのように分解・合成する必要はありません。これは試験でも頻出の知識です。

パターン❷ 平均照度の計算 ─ 「光束法」

パターン❶は「点光源が1個 or 数個」の問題でした。パターン❷は、部屋全体に複数の照明器具を設置して、作業面の平均的な明るさを求める問題です。

使う手法を「光束法」(ルーメン法)と呼びます。

📐 光束法の公式

E = N · F · U · M / A

E 平均照度 [lx]
N 照明器具の台数
F 1台あたりの光束 [lm]
U 照明率:光源の光のうち作業面に届く割合(0〜1)
M 保守率(減光補償率):汚れ・劣化による減衰を見込む係数(0〜1)
A 作業面の面積 [m²]

「照明率」と「保守率」をイメージで理解する

この2つの係数は名前が似ていて混乱しやすいので、工場のラインで考えます。

🎯

照明率 U

蛍光灯が出す光の何割が作業面に届くか
天井や壁に吸収される光もあるため、通常は 0.4〜0.7 程度。

たとえ:スプリンクラーで芝生に水をまくとき、風で飛んだり蒸発したりして、実際に芝生に届くのは6割 → U = 0.6

🧹

保守率 M

ランプの汚れや劣化で時間とともに暗くなる分を見込む係数。
新品 = 1.0 だが、実運用では 0.6〜0.8 程度。

たとえ:新品のホースは水がよく出るが、半年使うとカルキで詰まって水量が7割に → M = 0.7

計算例③:平均照度を求める

【問題】
間口 10 m × 奥行 8 m の事務室に、1台あたり光束 3200 lm の蛍光灯を 20 台設置した。照明率 0.6、保守率 0.7 のとき、作業面の平均照度を求めよ。
A = 10 × 8 = 80 m²

E = N · F · U · M / A
 = 20 × 3200 × 0.6 × 0.7 / 80
 = 20 × 3200 × 0.42 / 80
 = 26,880 / 80
 = 336 lx
💡 答え:336 lx
JIS基準では事務室の推奨照度は 300〜750 lx なので、336 lx は「一般事務としては最低限クリア」というレベルです。こうした実務感覚と紐づけて覚えると、計算結果の妥当性チェックにも使えます。
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パターン❸ 必要光源数の逆算 ─ B問題の定番

パターン❷の公式をN(灯数)について解くだけです。新しい公式を覚える必要はありません。

📐 必要光源数の公式

N = E · A / (F · U · M)

E(欲しい照度)× A(面積)を、F(1台の光束)× U(照明率)× M(保守率)で割る。

計算例④:必要な蛍光灯の台数を求める

【問題】
間口 12 m × 奥行 10 m の教室で、作業面の平均照度を 500 lx 以上にしたい。
1台あたりの光束 5000 lm、照明率 0.5、保守率 0.8 のとき、最低何台の蛍光灯が必要か

STEP 1:公式に代入

A = 12 × 10 = 120 m²

N = E · A / (F · U · M)
 = 500 × 120 / (5000 × 0.5 × 0.8)
 = 60,000 / 2,000
 = 30 台

STEP 2:端数処理に注意!

⚠️ 超重要:灯数は必ず「切り上げ」
もし計算結果が 28.5 台のように端数が出た場合、必ず切り上げて 29 台とします。28 台では要求照度を下回ってしまうからです。

これは試験のひっかけポイントです。選択肢に「28」と「29」が並んでいたら「29」を選んでください。

B問題ではさらに「消費電力」まで聞かれる

B問題では、灯数を求めた後に「合計消費電力は何 kW か」と追加で聞かれることがあります。この場合の手順は以下の通りです。

📐
STEP 1
必要灯数 N を求める
💡
STEP 2
1台の消費電力 P を確認
STEP 3
合計 = N × P [W]
🔧 現場の声
実務では「ランプ効率(lm/W)」も重要です。同じ照度を達成するのに、LED(効率 100 lm/W 以上)なら蛍光灯(効率 60〜80 lm/W)よりも少ない電力で済みます。試験問題で「ランプ効率」が与えられたら、F = P × 効率 で光束を求めてから光束法に入ります。

試験本番で迷わない ─ 3パターン判別チャート

問題を開いたとき、最初の10秒で「どのパターンか」を判定できれば、解答時間が大幅に短縮されます。以下のフローで判定してください。

判定① 問題文を見る

「点光源」「光度 ○○ cd」「高さ h」「距離 r」というキーワードがあるか?
YES → パターン❶(E = Icosθ / r²)
NO → 判定②へ

判定② 何を求めるか

「平均照度」を求めよ、と書いてあるか?
YES → パターン❷(E = NF·U·M / A)
NO → 判定③へ

判定③ 灯数を聞いている?

「何台(何灯)必要か」を求めよ、と書いてあるか?
YES → パターン❸(N = E·A / (F·U·M))

💡 実は全部つながっている
パターン❶は「1点の照度」を求める点の計算
パターン❷❸は「部屋全体の平均照度」を求める面の計算

使う公式が違うのは、考える対象が「点」か「面」かの違いです。
問題文に「点P」と書いてあれば❶、「平均」「部屋全体」と書いてあれば❷❸。この判断だけで OK です。
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照明計算でやりがちなミス5選と対策

照明計算は公式がシンプルな分、ケアレスミスで失点するパターンがほとんどです。本番で落とさないよう、ありがちなミスと対策をまとめました。

# ありがちなミス 対策
1 光束 F [lm] と光度 I [cd] を取り違える パターン❶は光度 I [cd]を使う。パターン❷❸は光束 F [lm]を使う。問題文の単位を必ず確認する。
2 r を二乗し忘れる 逆「二乗」の法則。r = 5 なら 25 で割る。計算用紙に r² = と先に書いてから代入する癖をつける。
3 水平面照度なのにcosθ を1回しか掛けない(cos³θ を忘れる) r で計算する方法Aなら cosθ は1回。h で計算する方法Bなら cos³θ。方法を統一して使い分ける。
4 灯数 N の端数を切り捨て 灯数は「○○ lx 以上」を満たすため、必ず切り上げ。N = 28.3 なら 29 台。
5 複数光源の問題で足し忘れ 照度はスカラー量。複数光源がある場合、それぞれの照度をすべて足し合わせる。問題文の光源の数を見落とさない。
🔧 現場の声
実務でも「光束」と「光度」の混同は起きます。LED照明のカタログには光束 [lm] が書いてありますが、スポットライトのカタログには光度 [cd] が書いてあることが多い。「何の数値が与えられているか」を読み取る力が、試験でも実務でも問われます。

試験直前に見返す ─ 照明計算の公式早見表

この記事の公式をすべて1枚にまとめました。試験前日の最終チェックに使ってください。

📋 照明計算 公式早見表

パターン 公式 使い方のコツ
❶-A 点光源
(r が既知)
E = I cosθ / r² 真下なら cosθ = 1。r を直接代入。
❶-B 水平面照度
(h, d が既知)
Eh = I cos³θ / h² cosθ = h / √(h²+d²) を先に計算。
❶-C 鉛直面照度
(h, d が既知)
Ev = I cos²θ sinθ / h² sinθ = d / √(h²+d²)。cos²θ × sinθ。
❷ 平均照度 E = NFU M / A F は光束 [lm]。U, M は 0〜1。
❸ 必要灯数 N = EA / (FUM) 端数は切り上げ
補助公式 I = F / 4π 均等放射の点光源。光束→光度の変換。

まとめ ─ 照明は「3パターン」で全問対応できる

✅ この記事のポイント

  • パターン❶:点光源の照度 → E = I cosθ / r²(最頻出)
  • パターン❷:平均照度 → E = NFU M / A(光束法)
  • パターン❸:必要灯数 → N = EA / (FUM)(❷の変形)
  • 水平面照度は cos³θ 型、鉛直面照度は cos²θ sinθ 型
  • cosθ の正体は「光の斜め具合による薄まり」の数値化
  • 照度はスカラー量 → 複数光源は足し算
  • 灯数は必ず切り上げ
  • 照明は機械科目で最もコスパよく得点できるテーマ。B問題の選択肢としても有力

照明の計算は、覚える公式が3つだけで、計算も四則演算と三角関数の基本だけです。変圧器の等価回路やパワエレの波形計算と比べると、圧倒的にシンプル。

「迷ったら照明を選べ」——この言葉を胸に、本番ではB問題の選択肢として照明を有力候補にしてください。

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