- 「光束」「光度」「照度」「輝度」——4つの用語が全部同じに見える
- 単位の「lm」「cd」「lx」「cd/m²」が何を表しているのか覚えられない
- 参考書の図を見ても、ステラジアン(sr)の時点で頭がフリーズする
- 電験三種の過去問で照明が出ると、そっと飛ばしてしまう
- 光束・光度・照度・輝度の意味の違いが「水道のたとえ」で直感的にわかる
- 4つの量の関係と単位を1枚の表で整理できる
- 電験三種で実際に出る公式と使い方がわかる
- 「ステラジアン」が怖くなくなる
照明分野は、電験三種「機械」科目の中でも暗記量が少なく、得点源にしやすいテーマです。
にもかかわらず苦手にしている人が多い理由は、たった一つ。
「光束」「光度」「照度」「輝度」の4つが、何が何だかわからない。
逆に言えば、この4つさえ区別できれば、照明分野の問題はほぼ解けます。
この記事では、4つの量の違いを「水道」にたとえて、一発で理解できるようにします。数式の前に、まずイメージを掴んでください。イメージさえあれば、公式は自然と頭に入ります。
目次
まず全体像をつかむ ─ 4つの量の「役割」
いきなり公式に入る前に、「何を測りたいか」を整理します。これがわかるだけで、4つの量は一気に区別できるようになります。
| 量 | 単位 | 何を測っている? | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| 光束 | lm(ルーメン) | 光源が全方向に出す光の総量 | 蛇口から出る水の総量 |
| 光度 | cd(カンデラ) | ある方向に出る光の強さ | ホースの水圧(向きがある) |
| 照度 | lx(ルクス) | 受ける側の面がどれだけ明るいか | 花壇に降り注ぐ水の量(単位面積あたり) |
| 輝度 | cd/m² | 光源や反射面がどれだけまぶしく見えるか | 水面の反射のギラつき |
4つの量は「出す側」か「受ける側」かで大きく2つに分けられます。
・出す側の量 → 光束(総量)、光度(方向別の強さ)、輝度(まぶしさ)
・受ける側の量 → 照度(面にどれだけ当たっているか)
まず「照度だけが受ける側」と覚えてください。これだけで混乱が半分になります。

「水道のたとえ」で4量を一気にイメージする
ここからが本題です。「スプリンクラーで芝生に水をまく」場面を想像してください。この1つのたとえで、4つの量が全部つながります。
光束(lm)= 蛇口から出る「水の総量」
蛇口を全開にしたとき、1分間に出る水の総量。これが光束に相当します。
光源(電球やLED)が全方向にまき散らす光の総量が光束です。方向は関係ありません。「この電球はどれだけたくさんの光を出すか」というポテンシャルの大きさを表します。
LED電球のパッケージに書いてある「810 lm」は光束です。「この電球は全方向に合計810ルーメンの光を出しますよ」という意味。ワット数(消費電力)とは別物です。
光度(cd)= ホースを「ある方向」に向けたときの水圧
今度はスプリンクラーではなく、ホースを手で持って特定の方向に水を飛ばす場面を想像してください。
同じ蛇口(=同じ光束)でも、ホースの先を絞れば、一方向に強い水圧で飛ばせます。これが光度です。
懐中電灯がまさにこれ。電球としての光束は大きくなくても、反射板で光を一方向に集めるから、照らした先が明るく見える。つまり光度が高いわけです。
太陽(裸電球)
- 光束:ものすごく大きい
- 光度:全方向にまんべんなく → 方向ごとの光度は「均等」
懐中電灯
- 光束:小さい(電池1本分)
- 光度:一方向に集中 → 正面の光度は非常に高い
光度 I = dF / dω [cd]
dF:微小な光束 [lm]、dω:微小な立体角 [sr]
つまり「ある方向の微小な立体角あたりに、どれだけの光束が集中しているか」が光度です。
光束÷立体角=光度。水の総量÷ホースの開き具合=水圧、と同じ関係です。

照度(lx)= 芝生に「降り注いだ水の量」(単位面積あたり)
スプリンクラーで水をまいた結果、芝生1m²あたりにどれだけの水が降り注いだか。これが照度です。
ポイントは「受ける側」の量だということ。光源の性能ではなく、照らされた面がどれだけ明るいかを表します。
照度 E = F / A [lx = lm/m²]
F:面に到達する光束 [lm]、A:受光面の面積 [m²]
「1m²あたりに1lmの光が当たっている状態」が1ルクスです。
同じ懐中電灯でも、壁に近づけると小さい範囲が明るくなり(照度が高い)、離すと広い範囲が薄暗くなります(照度が低い)。光束は変わっていないのに、照度は変わる。これが「出す側」と「受ける側」の違いです。
輝度(cd/m²)= 水面の「ギラつき」
晴れた日に湖を見ると、水面がギラギラとまぶしいですよね。水面自体が光を出しているわけではなく、太陽の光を反射して「まぶしく見えている」だけです。
この「見る側が感じるまぶしさ」が輝度です。
輝度 L = I / A·cosθ [cd/m²]
I:光度 [cd]、A:光源(または反射面)の見かけの面積 [m²]、θ:面の法線と視線のなす角
つまり「単位面積あたり、ある方向にどれだけの光度が出ているか」が輝度です。
光度を面積で割っているから、単位が cd/m² になります。
工場の検査工程で「まぶしくて検査しづらい」という問題が起きたら、それは輝度が高すぎるということです。照度は十分でも輝度が高いとグレア(まぶしさ)が発生して作業効率が落ちます。照度と輝度は別の量——これを理解しているだけで、照明設計の議論についていけるようになります。
ステラジアン(sr)は怖くない ─「円すいの開き具合」
照明の公式に必ず出てくる「ステラジアン(sr)」。これで挫折する人が多いですが、実はシンプルです。
ステラジアンとは、「立体角」の単位です。平面の角度(度やラジアン)の「3次元版」だと思ってください。
ラジアン(rad)
- 平面の角度の単位
- 円全体 = 2π rad
- 半径rの円で、弧の長さ = r のとき 1 rad
ステラジアン(sr)
- 立体(3D)の角度の単位
- 球全体 = 4π sr
- 半径rの球で、面積 = r² の部分を切り取ったとき 1 sr
球全体の立体角 = 4π [sr]
これさえ覚えれば、「全方向に均等に光を出す光源(点光源)」の問題は必ず解けます。
例:光束 F [lm] の点光源の光度 I = F / 4π [cd]

4量の関係を「水道モデル」で完全整理
ここまでの内容を、1枚のフローで整理します。上から下へ流れる「水」をイメージしてください。
光源が全方向に出す光の総量。蛇口から出る水の総量。
→ これが出発点。すべてはここから始まる。
光束を立体角(ω)で割ると光度。ホースを絞って特定方向に集中させた水圧。
→ 方向ごとの「光の強さ」。
面に到達した光束を面積(A)で割ると照度。芝生1m²あたりの水量。
→ 「受ける側」がどれだけ明るいか。
光度を見かけの面積で割ると輝度。水面のギラつき。
→ 「見る人」がどれだけまぶしく感じるか。
4つの量は、「何かを何かで割る」という関係で全部つながっています。
・光束 → 立体角で割る → 光度
・光束 → 面積で割る → 照度
・光度 → 面積で割る → 輝度
「全体の量」を「範囲(角度 or 面積)」で割って「密度」にする——これが照明の4量の本質です。単位の計算もこれで全部説明がつきます。

単位一覧表と変換公式を1枚にまとめる
試験直前に見返せるよう、4量の単位・公式・水道のたとえを1つの表にまとめました。スクリーンショットして保存しておくと便利です。
| 量 | 記号 | 単位 | 定義式 | 水道のたとえ | 出す側 / 受ける側 |
|---|---|---|---|---|---|
| 光束 | F | lm | (基本量) | 水の総量 | 出す側 |
| 光度 | I | cd | I = F / ω | ホースの水圧 | 出す側 |
| 照度 | E | lx = lm/m² | E = F / A | 芝生への散水量/m² | 受ける側 |
| 輝度 | L | cd/m² | L = I / (A cosθ) | 水面のギラつき | 出す側 |
試験で頻出の変換公式3つ
上の表をもとに、電験三種で実際に使う公式を3つだけ覚えてください。
I = F / 4π [cd]
全方向に均等に光る点光源の場合。立体角ω = 4π sr を代入しただけです。
E = I cosθ / r² [lx]
r:光源から受光面までの距離 [m]、θ:光の入射角
距離が2倍になると照度は1/4。これが「逆二乗の法則」です。懐中電灯で壁を遠くから照らすと暗くなる、あの現象を式にしたものです。
E = F × U × M / A [lx]
U:照明率(光源の光のうち、作業面に届く割合)
M:保守率(汚れによる減衰を考慮する係数)
A:作業面の面積 [m²]
室内照明の問題で頻出。「必要な照度を得るために何灯の蛍光灯が要るか?」という計算に使います。

計算例で手を動かす ─ 点光源の照度を求める
公式は覚えた。でも「使えるか」は別問題です。実際に手を動かして確認しましょう。
例題:点光源の真下の照度
光束 1000 lm の点光源が、床から3mの高さに設置されている。この光源は全方向に均等に光を出す。
光源の真下の床面の照度 E [lx] を求めよ。
STEP 1:光度 I を求める
全方向均等 → 立体角は 4π sr なので:
STEP 2:照度 E を求める(逆二乗の法則)
「真下」なので入射角 θ = 0°、cosθ = 1。距離 r = 3m なので:
「真下」の問題では cosθ = 1 になるので、事実上 E = I / r² だけで解けます。
斜めから照らす問題のときだけ cosθ が登場する、と覚えておくと混乱しません。
ありがちなミスと対策
| ありがちなミス | 対策 |
|---|---|
| F = 1000 をそのまま E = F / r² に入れてしまう | E = I / r² の「I」は光度(cd)。光束(lm)ではない。まず I = F / 4π で光度に変換してから使う。 |
| r を二乗し忘れる | 「逆二乗の法則」なので、必ず r² で割る。r = 3 なら 9 で割る。 |
| 「真下」なのに cosθ を忘れて cos30° などを使う | 「真下」= 光が真っすぐ当たる = θ = 0° = cosθ = 1。問題文の「真下」を見たら cosθ は消えると覚える。 |

もう迷わない ─ 4量の「判別フローチャート」
過去問を解くとき、「この問題はどの量を使えばいいんだ?」と迷うことがあります。以下のフローで判定してください。
| 判定条件 | 答え | 使う公式 |
|---|---|---|
| 「光源が出す光の総量」を聞かれている | 光束 F | F = I × ω |
| 「ある方向の光の強さ」を聞かれている | 光度 I | I = F / ω |
| 「面がどれだけ明るいか」を聞かれている | 照度 E | E = I cosθ / r² |
| 「まぶしさ」「見た目の明るさ」を聞かれている | 輝度 L | L = I / (A cosθ) |
最も多いミスは「照度」と「輝度」の混同です。
・照度:面に降り注ぐ光の量(花壇に降る水)
・輝度:面から出ていく光の量(水面のギラつき)
問題文に「机上面の照度」と書いてあれば照度(受ける側)。「蛍光灯の輝度」と書いてあれば輝度(出す側)。主語が「面」なら照度、「光源・反射面」なら輝度と覚えましょう。

電験三種・照明分野の「出題パターン」と攻略法
機械科目の照明分野は、出題パターンがほぼ決まっています。以下の3パターンをマスターすれば、本番で確実に得点できます。
パターン❶:点光源の照度計算
出題率:★★★★★(最頻出)
「点光源から r [m] 離れた面の照度を求めよ」というパターン。先ほどの計算例がそのまま使えます。
パターン❷:室内照明の必要灯数計算
出題率:★★★★☆(頻出)
「教室の机上面で300 lxを確保するには、何灯の蛍光灯が必要か」というパターン。
N:灯数、F:1灯の光束 [lm]、U:照明率、M:保守率、A:面積 [m²]
パターン❸:光束・光度・照度・輝度の定義に関する穴埋め問題
出題率:★★★☆☆
「( )は、光源のある方向への単位立体角あたりの光束である」のような穴埋め。定義と単位をセットで覚えていれば即答できます。
照明分野は「4量の定義」「逆二乗の法則」「照明率を使った灯数計算」の3つを押さえれば十分です。他の機械科目のテーマ(変圧器、誘導機など)と比べて計算が単純なので、「捨てずに取る」が正解です。

まとめ ─ 4量の違いは「何を割ったか」で決まる
✅ この記事のポイント
- 光束(lm)= 光源が出す光の総量(水の総量)
- 光度(cd)= 光束 ÷ 立体角 → ある方向の光の強さ(ホースの水圧)
- 照度(lx)= 光束 ÷ 面積 → 受ける側の明るさ(芝生への散水量/m²)
- 輝度(cd/m²)= 光度 ÷ 面積 → まぶしさ(水面のギラつき)
- 4量はすべて「全体 ÷ 範囲 = 密度」の関係
- 照度だけが「受ける側」の量。残り3つは「出す側」
- 球全体の立体角 = 4π sr。点光源の問題はこれだけで解ける
- 照明分野は機械科目の得点源。3パターンを覚えて確実に取る
照明の4量は、最初は混乱して当然です。でも「水道のたとえ」で一度イメージを掴めば、もう迷いません。
公式を「暗記」するのではなく、「なぜその形になるのか」をイメージで理解する。これが電験三種を楽に突破するコツです。
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