📌 この記事の位置づけ
「実験計画法の基礎概念シリーズ」第4回。前回は「因子と水準」を学びました。今回は「なぜ同じ条件で何度も実験するのか?」という疑問に答えます。
「同じ条件で何回もやるのって、時間の無駄じゃない?」
「1回やれば結果は出るのに、なぜ繰り返すの?」
その気持ち、よくわかります。
でも、1回だけの結果は「たまたま」かもしれないのです。繰り返しがないと、本当の効果と偶然を区別できません。
目次
繰り返しとは?【同じ条件で複数回やること】
繰り返し(くりかえし)とは、同じ実験条件で複数回データを取ることです。
英語では「Replication(レプリケーション)」と言います。
📖 繰り返しの定義
同一の実験条件のもとで、2回以上測定を行うこと。
データのバラつき(誤差)を把握するために必要。
🎯 具体例:的当てゲームで考える
あなたが的当てゲームをするとします。
1回だけ投げて、ど真ん中に当たった。
これであなたは「名人」と言えるでしょうか?
1回だけの結果
🎯
ど真ん中!
→ でも「たまたま」かも?
3回繰り返した結果
🎯🎯🎯
3回ともど真ん中!
→ これは「実力」!
繰り返すことで、「たまたま」と「本当の実力」を区別できるのです。
なぜ繰り返しが必要なのか?【3つの理由】
① 誤差の大きさを知るため
どんなに精密な実験でも、結果には必ずバラつき(誤差)があります。
繰り返しをすることで、「このくらいのバラつきは普通なんだな」という誤差の大きさを知ることができます。
💡 例:同じ条件で3回実験した結果
98 → 100 → 102
→ 「±2くらいのバラつきは普通」とわかる
この「普通のバラつき」がわからないと、条件を変えたときの差が「本当の効果」なのか「ただの誤差」なのか判断できません。
② 平均値の信頼性を上げるため
1回だけの測定値は、たまたま高かったり低かったりする可能性があります。
でも、複数回の平均を取れば、より「真の値」に近づきます。
| 繰り返し回数 | データ | 平均値 | 信頼性 |
|---|---|---|---|
| 1回 | 102 | 102 | 😟 低い |
| 3回 | 98, 100, 102 | 100 | 😊 まあまあ |
| 5回 | 97, 99, 100, 101, 103 | 100 | 😄 高い |
繰り返し回数が増えるほど、平均値が安定し、信頼性が高まります。
③ 「効果あり」と言い切るため
実験計画法の目的は、「この因子を変えると結果が変わる」と統計的に証明することです。
繰り返しがないと、以下のような判断ができません。
🤔 条件Aの結果:100、条件Bの結果:105
この「5の差」は…
・条件を変えた本当の効果?
・ただの誤差(たまたま)?
→ 繰り返しがないと、判断できない!
繰り返しによって誤差の大きさがわかれば、「5の差は誤差より大きいから、本当の効果だ」と言い切れるようになります。
繰り返しは何回がベスト?
「じゃあ、何回繰り返せばいいの?」という疑問が出てきますよね。
一般的には、2〜5回が目安です。
| 繰り返し回数 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 2回 | 最低限の誤差把握 | 信頼性はやや低い |
| 3回 | バランスが良い(推奨) | — |
| 5回以上 | 高い信頼性 | 時間・コスト増 |
迷ったら3回から始めるのがおすすめです。
まとめ
📌 この記事のポイント
- 繰り返し=同じ条件で複数回データを取ること
- 繰り返しがないと「たまたま」と「本当の効果」を区別できない
- 誤差の大きさを知り、平均値の信頼性を上げるために必要
- 一般的には2〜5回、迷ったら3回が目安
次の記事では、実験計画法の土台となる「実験の3原則」を解説します。これを知らないと、どんなに頑張っても正しい結論が出せません。
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