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- 平均値を出して報告したら「実態とちがう」と言われた
- 加重平均・幾何平均・調和平均の使い分けがわからない
- 平均値と中央値、どちらを見ればいいのか迷う
- 平均値とは何か、求め方と手計算のコツ
- 4つの平均(算術・加重・幾何・調和)の使い分け
- 平均値が外れ値に弱い理由と、中央値との見比べ方
- データを貼るだけの計算ツール
平均値とは、データをすべて足して、データの個数で割った値です。データをシーソーに並べたとき、ちょうどつり合う「重心」の位置を表します。ふだんの平均(算術平均)のほかに、重みをつける加重平均、成長率に使う幾何平均、速さに使う調和平均があり、外れ値に弱いので中央値と並べて見るのが基本です。

平均値とは?求め方は「合計÷個数」
平均値は、バラバラのデータを「だいたいこのくらい」という1つの数にまとめる代表値です。
平均値 x̄ =(x₁+x₂+…+xₙ)÷ n
x̄は「エックスバー」と読みます。nはデータの個数です。
例題:部品5個の長さの平均
部品5個の長さが 10.3, 10.0, 9.9, 10.1, 9.8 mm のとき、合計は50.1なので、平均値は 50.1÷5=10.02 mm です。
手計算のコツ(仮平均):だいたいの値(ここでは10)を決めて、そこからの差だけを足します。差は +0.3, 0, −0.1, +0.1, −0.2 で合計0.1。0.1÷5=0.02 なので、平均は 10+0.02=10.02 です。大きな数をそのまま足すより、まちがいが減ります。
平均値は「重心」
数直線の板に、データの位置に同じ重さのおもりを置くと、板は平均値の位置でつり合います。式でいうと、平均値からの差(偏差)を全部足すと必ず0になります。上の例でも +0.28, −0.02, −0.12, +0.08, −0.22 で合計0です。この性質が、あとで出てくる分散や標準偏差の土台になります。

平均値の弱点|外れ値1つで大きく動く
重心なので、遠くに1つだけ重いおもりがあると、つり合う位置が大きくずれます。これが平均値のいちばんの弱点です。
あるラインの10日間の不良個数が 2, 1, 3, 2, 2, 1, 2, 3, 2, 32 個だったとします。最後の日だけ、設備の故障で32個出ました。
| 見方 | 値 | ふだんの日の実感 |
|---|---|---|
| 平均値 | 5.0個 | 10日のうち9日は3個以下なので、実感より大きい |
| 中央値 | 2個 | ふだんの日に近い |
| 32個の日を除いた平均 | 2.0個 | ふだんの日に近い |
平均値と中央値が大きくちがうときは、外れ値があるか、分布が片側に長くのびているサインです。「平均だけでは実態がわからない」と言われるのは、こういうときです。ただし、32個の日を勝手に消してよいわけではありません。品質管理では、むしろその日に何が起きたかを調べることが大事です。
中央値とは?平均値・最頻値との違い

平均値の4つの種類と使い分け
「平均」には種類があり、データの性質に合わないものを使うと、答えがまちがいます。
| 種類 | 求め方 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 算術平均 | 合計÷個数 | 長さ・重さ・点数など、足し算で意味が通じるデータ |
| 加重平均 | (値×重み)の合計÷重みの合計 | 個数のちがうグループの率をまとめる |
| 幾何平均 | 全部かけて、n乗根 | 伸び率・倍率など、かけ算でつながるデータ |
| 調和平均 | 個数÷(逆数の合計) | 同じ距離・同じ量あたりの速さや能率 |
加重平均:2つのラインの不良率
Aラインは1,000個つくって不良率1%(10個)、Bラインは200個つくって不良率4%(8個)。2つを足して2で割ると2.5%ですが、全体では1,200個中18個なので、本当の不良率は 1.5% です。個数で重みをつけた加重平均 (1,000×1%+200×4%)÷1,200 が正解です。確率で重みをつけた平均が、期待値です。
期待値とは?意味と計算方法
幾何平均:生産量の伸び率
生産量が1年目に20%増え、2年目に20%減ったとします。算術平均だと (+20−20)÷2=0%ですが、実際は 1.2×0.8=0.96 で、2年前より4%減っています。1年あたりの伸びは √0.96≒0.980、つまり 約−2.0% です。倍率は足さずにかけるので、幾何平均を使います。
調和平均:往復の平均の速さ
30kmの道を、行きは時速30km(1時間)、帰りは時速60km(0.5時間)で走ると、往復60kmに1.5時間なので平均は 時速40km です。(30+60)÷2=45 ではありません。遅いほうに長い時間がかかっているからです。調和平均 2÷(1/30+1/60)=40 で正しく求められます。
まず「そのデータは足し算で意味が通じる?」と考えます。通じれば算術平均(個数がちがえば加重平均)。倍率なら幾何平均。「同じ距離あたりの速さ」なら調和平均です。正の数では、いつも 算術平均 ≧ 幾何平均 ≧ 調和平均 になります。

平均値の計算ツール
データを、カンマ・スペース・改行で区切って入れてください。重みは、加重平均を出したいときだけ、データと同じ順番で入れます(空欄でも動きます)。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

平均値でよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| 平均値の人がいちばん多い | いちばん多いのは最頻値。分布がかたよると平均値とずれる |
| 率の平均は、率を足して割る | 個数がちがえば、個数で重みをつけた加重平均 |
| 伸び率の平均は、足して割る | 倍率をかけて、n乗根をとる(幾何平均) |
| 平均が規格内なら全部OK | ばらつきが大きければ規格外も出る。標準偏差もセットで見る |
| 外れ値は消せばよい | 原因を調べてから扱いを決める。品質管理では外れ値こそ手がかり |
平均値を見るときは、「中央値」「ばらつき(標準偏差)」「分布の形(ヒストグラム)」の3つを一緒に確かめると、実態を見誤りません。
ヒストグラムとは?作り方と形の見方

よくある質問
- 平均値=合計÷個数。データの重心で、偏差の合計は0
- 手計算は仮平均からの差を足すと楽
- 外れ値に弱いので、中央値と並べて見る
- 率は加重平均、伸び率は幾何平均、速さは調和平均
- 平均だけでなく、ばらつきと分布の形も確かめる

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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
次に読むべき記事
平均値の次は、データが平均のまわりにどれくらい散らばっているか、ばらつきを数にしましょう。
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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。