統計学基礎

平均値とは?求め方と4つの種類(加重・幾何・調和平均)を例題で図解|計算ツール付き

平均値とは何かを表すアイキャッチ。板の上に置いたおもりが、平均値の位置の支点でつり合っている

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 平均値を出して報告したら「実態とちがう」と言われた
  • 加重平均・幾何平均・調和平均の使い分けがわからない
  • 平均値と中央値、どちらを見ればいいのか迷う
この記事でわかること
  • 平均値とは何か、求め方と手計算のコツ
  • 4つの平均(算術・加重・幾何・調和)の使い分け
  • 平均値が外れ値に弱い理由と、中央値との見比べ方
  • データを貼るだけの計算ツール
結論|まず30秒でわかる答え

平均値とは、データをすべて足して、データの個数で割った値です。データをシーソーに並べたとき、ちょうどつり合う「重心」の位置を表します。ふだんの平均(算術平均)のほかに、重みをつける加重平均、成長率に使う幾何平均、速さに使う調和平均があり、外れ値に弱いので中央値と並べて見るのが基本です。

平均値とは何かを表すアイキャッチ。板の上に置いたおもりが、平均値の位置の支点でつり合っている
平均値は板がつり合う支点の位置

平均値とは?求め方は「合計÷個数」

平均値は、バラバラのデータを「だいたいこのくらい」という1つの数にまとめる代表値です。

公式

平均値 x̄ =(x₁+x₂+…+xₙ)÷ n

x̄は「エックスバー」と読みます。nはデータの個数です。

例題:部品5個の長さの平均

部品5個の長さが 10.3, 10.0, 9.9, 10.1, 9.8 mm のとき、合計は50.1なので、平均値は 50.1÷5=10.02 mm です。

手計算のコツ(仮平均):だいたいの値(ここでは10)を決めて、そこからの差だけを足します。差は +0.3, 0, −0.1, +0.1, −0.2 で合計0.1。0.1÷5=0.02 なので、平均は 10+0.02=10.02 です。大きな数をそのまま足すより、まちがいが減ります。

平均値は「重心」

数直線の板に、データの位置に同じ重さのおもりを置くと、板は平均値の位置でつり合います。式でいうと、平均値からの差(偏差)を全部足すと必ず0になります。上の例でも +0.28, −0.02, −0.12, +0.08, −0.22 で合計0です。この性質が、あとで出てくる分散や標準偏差の土台になります。

平均値を重心で表した図。部品5個の長さ9.8から10.3を板に置くと、平均10.02の位置でつり合う。平均値は合計÷個数で、平均からの差の合計は0
部品5個の平均10.02は、板がつり合う重心の位置

平均値の弱点|外れ値1つで大きく動く

重心なので、遠くに1つだけ重いおもりがあると、つり合う位置が大きくずれます。これが平均値のいちばんの弱点です。

あるラインの10日間の不良個数が 2, 1, 3, 2, 2, 1, 2, 3, 2, 32 個だったとします。最後の日だけ、設備の故障で32個出ました。

見方値ふだんの日の実感
平均値5.0個10日のうち9日は3個以下なので、実感より大きい
中央値2個ふだんの日に近い
32個の日を除いた平均2.0個ふだんの日に近い

平均値と中央値が大きくちがうときは、外れ値があるか、分布が片側に長くのびているサインです。「平均だけでは実態がわからない」と言われるのは、こういうときです。ただし、32個の日を勝手に消してよいわけではありません。品質管理では、むしろその日に何が起きたかを調べることが大事です。

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外れ値で平均値が動くことを示す図。10日間の不良個数のうち1日だけ32個あり、平均値は5.0になるが中央値は2のまま
外れ値が1日あると平均は5.0、中央値は2のまま

平均値の4つの種類と使い分け

「平均」には種類があり、データの性質に合わないものを使うと、答えがまちがいます。

種類求め方使う場面
算術平均合計÷個数長さ・重さ・点数など、足し算で意味が通じるデータ
加重平均(値×重み)の合計÷重みの合計個数のちがうグループの率をまとめる
幾何平均全部かけて、n乗根伸び率・倍率など、かけ算でつながるデータ
調和平均個数÷(逆数の合計)同じ距離・同じ量あたりの速さや能率

加重平均:2つのラインの不良率

Aラインは1,000個つくって不良率1%(10個)、Bラインは200個つくって不良率4%(8個)。2つを足して2で割ると2.5%ですが、全体では1,200個中18個なので、本当の不良率は 1.5% です。個数で重みをつけた加重平均 (1,000×1%+200×4%)÷1,200 が正解です。確率で重みをつけた平均が、期待値です。

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幾何平均:生産量の伸び率

生産量が1年目に20%増え、2年目に20%減ったとします。算術平均だと (+20−20)÷2=0%ですが、実際は 1.2×0.8=0.96 で、2年前より4%減っています。1年あたりの伸びは √0.96≒0.980、つまり 約−2.0% です。倍率は足さずにかけるので、幾何平均を使います。

調和平均:往復の平均の速さ

30kmの道を、行きは時速30km(1時間)、帰りは時速60km(0.5時間)で走ると、往復60kmに1.5時間なので平均は 時速40km です。(30+60)÷2=45 ではありません。遅いほうに長い時間がかかっているからです。調和平均 2÷(1/30+1/60)=40 で正しく求められます。

覚え方

まず「そのデータは足し算で意味が通じる?」と考えます。通じれば算術平均(個数がちがえば加重平均)。倍率なら幾何平均。「同じ距離あたりの速さ」なら調和平均です。正の数では、いつも 算術平均 ≧ 幾何平均 ≧ 調和平均 になります。

平均値の4つの種類の図。算術平均は長さや点数、加重平均は個数のちがう率、幾何平均は伸び率、調和平均は同じ距離の速さに使う
算術・加重・幾何・調和の4つの平均の使い分け

平均値の計算ツール

データを、カンマ・スペース・改行で区切って入れてください。重みは、加重平均を出したいときだけ、データと同じ順番で入れます(空欄でも動きます)。

入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

加重平均の図。Aラインは1,000個で不良率1%、Bラインは200個で4%。足して2で割ると2.5%だが、全体では18÷1,200で1.5%
個数の違う率は加重平均:2.5%ではなく1.5%

平均値でよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
平均値の人がいちばん多いいちばん多いのは最頻値。分布がかたよると平均値とずれる
率の平均は、率を足して割る個数がちがえば、個数で重みをつけた加重平均
伸び率の平均は、足して割る倍率をかけて、n乗根をとる(幾何平均)
平均が規格内なら全部OKばらつきが大きければ規格外も出る。標準偏差もセットで見る
外れ値は消せばよい原因を調べてから扱いを決める。品質管理では外れ値こそ手がかり

平均値を見るときは、「中央値」「ばらつき(標準偏差)」「分布の形(ヒストグラム)」の3つを一緒に確かめると、実態を見誤りません。

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平均値のよくある間違いの図。いちばん多いのは最頻値、率は個数で重みをつける、伸び率は幾何平均、平均が規格内でもばらつきを見る
平均値で起きやすい4つの間違い

よくある質問

Q. 平均値とは簡単にいうと?

A. データをすべて足して個数で割った値です。データの重心、つまりつり合う位置を表します。

Q. 平均値と中央値の違いは?

A. 平均値は合計÷個数、中央値は小さい順に並べた真ん中の値です。外れ値があると平均値だけが大きく動きます。

Q. 加重平均はどんなときに使う?

A. 個数や大きさのちがうグループの平均や率をまとめるときです。値に重みをかけて足し、重みの合計で割ります。

Q. 幾何平均と調和平均はいつ使う?

A. 幾何平均は伸び率や倍率、調和平均は同じ距離あたりの速さのように、逆数で考えると足せる量に使います。

Q. Excelで平均値を求めるには?

A. AVERAGE(算術平均)、MEDIAN(中央値)、GEOMEAN(幾何平均)、HARMEAN(調和平均)を使います。

まとめ
  • 平均値=合計÷個数。データの重心で、偏差の合計は0
  • 手計算は仮平均からの差を足すと楽
  • 外れ値に弱いので、中央値と並べて見る
  • 率は加重平均、伸び率は幾何平均、速さは調和平均
  • 平均だけでなく、ばらつきと分布の形も確かめる
平均値のまとめの図。合計÷個数で重心、外れ値に弱い、中央値と見比べる、加重・幾何・調和平均を使い分ける
平均値の要点:外れ値に弱く、中央値と見比べる
この記事の理解を深める本と道具
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S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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