PLCのコモン(COM)とは何か、はじめて配線図を見たときに一番つまずくのがこの端子ですよね。X0やY0といった番号は意味がわかるのに、COMだけ何をする端子なのかわからない。そんな状態から抜け出すための記事です。
- COMって書いてあるけど、何をつなぐ端子かわからない
- 先輩に「コモン落としといて」と言われたが意味が不明だった
- カタログの「独立コモン」の意味がわからず、選定で手が止まる
- コモン端子がそもそも何をまとめている端子なのか
- 共通コモン・グループコモン・独立コモンの違い
- 独立コモンをあえて選ぶ3つの場面
コモン(COM)とは、いくつもの端子が共通で使う「電気の出入口」を1つにまとめた端子のことです。電気は行って帰ってこないと流れないので、コモンをつながないとPLCは1点も動きません。そして、そのまとめ方を細かく分けたものが独立コモンです。
扱う内容:コモン端子が何をまとめている端子なのかという意味と、共通コモン・グループコモン・独立コモンという分け方の違い、そして独立コモンを選ぶ理由です。
扱わない内容:シンク/ソースの考え方、NPN・PNPセンサの違い、実際の配線手順は、それぞれ別記事で解説します。この記事では「電流がどちら向きに流れるか」には立ち入らず、端子の役割だけに絞ります。
| コモン(COM) | たくさんの端子が共通で使う出入口をまとめた端子のこと |
| 共通コモン | 全部の点を1つのコモンでまとめてあるタイプのこと |
| グループコモン | 4点ずつ、8点ずつのように小分けにしてまとめたタイプのこと |
| 独立コモン | 1点ごとにコモンが分かれていて、お互いつながっていないタイプのこと |
| 回り込み | 想定していない道を通って電気が流れてしまうこと |
この5つだけ頭に入れておけば、あとは読みながら理解できます。
コモンとは何をまとめる端子か
PLCのコモン(COM)とは、いくつもの端子が共通で使う「電気の出入口」を1本にまとめた端子のことです。コモンという言葉は英語のcommon(=共通)から来ていて、そのまま「共通端子」という意味になります。
たとえば入力が16点あるPLCでも、コモン端子は1つか2つしかありません。これは16点分の配線のうち、片側が全部同じ場所につながるからです。同じ場所に行くなら、まとめて1本にしてしまおう。それがコモンです。
コモンは「電源タップ」とよく似ています。テレビ、照明、扇風機はそれぞれ別の機器ですが、電気をもらう元は同じコンセント1か所ですよね。それぞれ壁まで配線するかわりに、タップ1つに集めて壁へ1本で戻す。PLCのコモンも、これとまったく同じ発想の端子です。
コモンは「特別な信号を扱う高機能な端子」ではありません。ただの共通の出入口です。むずかしく考えなくて大丈夫です。

なぜコモンが必要なのか
コモンが必要な理由は1つだけで、電気は「行って、帰ってくる」の1周がつながらないと流れないからです。電源を出発して、スイッチを通って、PLCに入って、電源に戻る。この輪っかが1周してはじめて、PLCは「入力がONになった」と判断します。
X0やX1といった端子は、この輪っかの「行き」の部分です。では「帰り」はどこを通るのか。その帰り道をまとめて引き受けているのがコモン端子です。
配線が半分近くまで減る
もしコモンがなければ、入力16点に対して行きと帰りで32本の電線が必要になります。コモンでまとめれば、行き16本+コモン1本の17本で済みます。
盤の中の電線が15本減るということは、端子台も小さくでき、配線ミスも減るということです。コモンは手抜きではなく、合理的な設計の結果なんですね。
「使わない入力点があるから、コモンもつながなくていい」は間違いです。コモンをつながないと、そのグループの入力は1点も動きません。動作しないときに真っ先に疑うべき端子でもあります。
電気設備の配線作業には電気工事士等の資格が必要な範囲があります。通電状態での作業(活線作業)は感電・短絡の危険があるため行わず、必ず遮断・検電・施錠(ロックアウト)を行ってから作業してください。特にコモン端子は複数の回路が集まる場所のため、1か所の短絡が広い範囲に波及します。

コモンの分け方は3種類
コモンの分け方は「何点をひとまとめにするか」の違いだけで、大きく3種類あります。役割はどれも同じで、まとめる粒の細かさが違うだけです。
| 分け方 | まとめる単位の例 | 配線の手間 | 電源を分けられるか | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| 共通コモン | 16点で1つ | いちばん楽 | 分けられない | 同じDC24Vのセンサや表示灯だけを並べるとき |
| グループコモン | 4点や8点で1つ | ふつう | グループ単位なら可 | DC側とAC側でまとまりを分けたいとき |
| 独立コモン | 1点ごと | 端子が多く手間 | 1点ずつ自由 | 電圧や電源系統がバラバラの負荷を扱うとき |
独立コモンは、リレー出力のユニットで「独立接点8点」のように書かれていることが多いです。何点でまとまっているかは機種ごとに違うため、必ず使用機種のマニュアルで端子配列図を確認してください。
カタログの「コモン数」という欄を見ると、まとめ方がすぐわかります。16点で「コモン数1」なら共通、「コモン数4」なら4点ずつのグループ、「独立接点」なら1点ごとです。
- 定義シンクとソースの違い
- 手順シンク・ソースの配線のしかた
- 定義NPNセンサとPNPセンサの違い
- 選定スイッチング電源の選び方

独立コモンを選ぶ3つの場面
独立コモンを選ぶ理由は、値段が高くて端子も増えるにもかかわらず、それを上回るメリットがあるからです。次の3つのどれかに当てはまったら、独立コモンを検討してください。
電圧の違う負荷が混ざるとき。DC24Vの表示灯とAC200Vの電磁開閉器を同じユニットで動かしたい、というケースです。共通コモンでは電源が1系統に縛られるため、そもそも混ぜられません。
電源系統を分けたいとき。非常停止を押したら切れる系統と、切れずに残す系統を1つのユニットに同居させたい場合です。コモンが分かれていれば、片方だけを確実に切れます。
相手先の設備へ信号を渡すとき。自分の装置から、別会社の装置や上位設備へ接点信号を出す場合です。相手の電源は自分の電源と別物なので、コモンを共有してはいけません。
判断の合言葉は「電源が2種類以上出てきたら独立コモンを疑う」です。逆に、全部同じDC24Vで完結するなら共通コモンで十分です。

共通コモンで起きる「回り込み」
回り込みとは、想定していない道を通って電気が流れてしまうことです。共通コモンのユニットに、무理やり2種類の電源をつないだときに起こります。
コモンは内部でつながっているので、電源Aと電源Bがコモンを通じて手をつないだ状態になります。すると、切ったはずのランプがうっすら光る、押していないのに機器が動く、といった不可解な現象が出ます。最悪の場合は電源同士がぶつかって短絡します。
回り込みは「たまにしか起きない」ため、原因の特定にとても時間がかかります。しかも配線図の上では正しく見えることが多いです。はじめから独立コモンを選んでおくのが、いちばん確実な予防になります。
10秒でできる判定チェック
| 確認すること | 1つでもYESなら |
|---|---|
| つなぐ負荷の電圧が2種類以上ある | 独立コモン |
| 交流と直流が混ざっている | 独立コモン |
| 装置の外へ接点信号を出す点がある | 独立コモン |
| 非常停止で切る系統と残す系統が混在する | 独立コモン |
| 上のすべてがNOで、全点が同じDC24V | 共通コモンで可 |

メーカーで呼び方が違う
コモンがわかりにくい最大の原因は、同じ役割の端子なのにメーカーや機種で名前がバラバラなことです。はじめは戸惑って当然なので、対応表で整理しておきましょう。
| 端子の表記 | 読み方・意味 | 見かける場所 |
|---|---|---|
| COM | いちばん標準的なコモンの表記 | 入力・出力とも広く |
| C1 / C2 | グループごとに番号を振ったコモン | グループコモンの出力側 |
| 0V / 24V | 電源のどちら側を共通にするかを名前で表したもの | 入力ユニット |
| S/S | 共通端子と切替端子を兼ねたもの。0V側に接続するか24V側に接続するかで動作が変わる | 三菱FXシリーズなど |
| 独立接点 | 1点ごとにコモンが分かれている、の意味 | リレー出力ユニットの仕様欄 |
「プラスコモン」「マイナスコモン」という言い方も現場でよく出てきます。これはコモン端子に電源のプラス側をつなぐか、マイナス側(0V)をつなぐかを表した呼び方です。呼び方が違うだけで、端子の役割そのものは同じです。どちら側をつなぐかは機種によって決まっているため、必ず使用機種のマニュアルで確認してください。

よくある勘違い3つ
最後に、はじめのころに必ずと言っていいほどやってしまう勘違いを3つ挙げます。ここを知っておくだけで、トラブルの大半は避けられます。
勘違い①コモン=アース
コモンとアース(FG)はまったくの別物です。コモンは信号を成立させるための共通端子、アースは人を感電から守り、機器を安全に保つための接地です。
見た目が似ているからと勝手に共通にすると、意図しない電流の通り道ができて誤動作の原因になります。接地まわりの基礎を固めたい方は漏電とは何かの記事もあわせて読んでみてください。
勘違い②1端子に何本でも入る
コモンは配線が集まるので、つい1つの端子ネジに何本も共締めしたくなります。しかし端子1か所に接続できる電線の本数は、メーカーが仕様として決めています。
本数を超えると締め付けが甘くなり、そこだけ抵抗が大きくなって発熱します。足りないときは中継の端子台を使って分けるのが正解です。
勘違い③入力と出力で兼用できる
入力側のコモンと出力側のコモンは、名前が同じでも別の端子です。内部でつながっていない機種がほとんどなので、原則として兼用しません。
迷ったときの正解は1つで、マニュアルの端子配列図を見ることです。どの端子がどこまでまとまっているかは、必ず図で示されています。

よくある質問
- コモン(COM)とは、複数の端子が共通で使う電気の出入口をまとめた端子のこと
- 電気は1周しないと流れないので、コモンをつながないと1点も動かない
- 分け方は共通コモン・グループコモン・独立コモンの3種類で、違いは「何点でまとめるか」だけ
- 独立コモンを選ぶのは、電圧が違う・電源系統を分けたい・外部へ信号を出す、の3場面
- コモンとアース(FG)は別物。共締めのしすぎと入出力の兼用も避ける
メーカーで電気設計・制御・品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
📚 次に読むべき記事
コモンと混同しやすいアース(接地)の役割が、根本から理解できます。
端子の緩みや共締めのしすぎがなぜ危険なのか、その理由がわかります。
電流が1周する意味からやり直したい方は、ここへ戻るのが近道です。