抜取検査

抜取検査の判定能力とOC曲線|二項・超幾何・ポアソン分布の使い分けを完全図解

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 抜取検査で「二項分布」「超幾何分布」「ポアソン分布」が出てきて混乱する
  • OC曲線って何を表しているのかイメージできない
  • QC検定の穴埋め問題で、どの分布を選べばいいか迷ってしまう
✅ この記事でわかること
  • 抜取検査の「判定能力」とは何かをイメージで理解
  • 二項分布・超幾何分布・ポアソン分布の使い分けルール
  • OC曲線(検査特性曲線)の意味と読み方

「抜取検査の判定能力は、○○分布で計算し…」

QC検定でよく出るこの穴埋め問題、正直どれを選べばいいか迷いますよね。

でも安心してください。
実は、たった1つの判断基準を覚えれば、もう迷いません。

この記事では、抜取検査で使う確率分布の使い分けと、OC曲線の意味を中学生でもわかるように図解で徹底解説します。

抜取検査の「判定能力」とは?

まず、「判定能力」という言葉の意味を押さえましょう。

判定能力 = 良いロットを「合格」、悪いロットを「不合格」と正しく判定できる力

抜取検査は、ロットの中から一部だけサンプルを取り出して検査します。
そのため、「本当は良いロットなのに不合格にしてしまう」「本当は悪いロットなのに合格にしてしまう」というミスが起こりえます。

このミスがどれくらい起こりやすいか(起こりにくいか)を表すのが「判定能力」です。

💡 イメージで理解
判定能力は「検査の目の良さ」のようなものです。
目が良ければ、良品と不良品を正確に見分けられます。
目が悪いと、見間違いが多くなります。

合格の確率 L(P) とは?

判定能力を数値で表すために使うのが「合格の確率 L(P)」です。

📐 定義
L(P) = ロットの不良率がPのとき、そのロットが「合格」と判定される確率

たとえば、不良率5%のロットを検査したとき、合格と判定される確率が90%なら、
L(0.05) = 0.90 と表します。

このL(P)を計算するために、確率分布を使います。
ここが今日のメインテーマです。

確率分布の使い分け|これがQC検定の頻出ポイント!

抜取検査でL(P)を計算するとき、3つの確率分布が登場します。
状況によって使い分けるルールを覚えましょう。

基本は「二項分布」で計算する

計数値抜取検査(不適合品の「数」で合否判定する検査)では、基本的に二項分布を使います。

📐 なぜ二項分布?
二項分布は「n回試行して、成功がx回起こる確率」を計算する分布です。

抜取検査では:
・n個のサンプルを取り出す
・その中に不適合品がx個ある確率を求める

まさにピッタリの分布なんですね。

サンプルサイズをn、合格判定個数をcとすると、
「不適合品がc個以下のとき合格」なので、L(P)は次のように計算します。

📐 二項分布による合格確率
L(P) = Σ
c
x=0
ₙCₓ × Pˣ × (1-P)ⁿ⁻ˣ

n:サンプルサイズ、c:合格判定個数、P:ロットの不良率

ロットサイズが小さい or 厳密に求めたい → 「超幾何分布」

ここが重要なポイントです。

二項分布には「復元抽出」という前提があります。
つまり、「1個取り出して検査したら、また元に戻す」という想定です。

しかし、実際の抜取検査は「非復元抽出」(取り出したら戻さない)ですよね。

⚠️ 問題が起きるケース
ロットサイズN(母集団の大きさ)が小さいと、
「復元抽出」と「非復元抽出」で確率が大きくズレます。

たとえば、100個のロットから50個取り出す場合、
1個目で不良品を引くと、2個目の不良率は変わってしまいます。

このようなケースでは、超幾何分布を使って厳密に計算します。

💡 超幾何分布を使う場面
・ロットサイズNが小さい場合
・確率を厳密に求めたい場合
・「ロットサイズNを含めて」計算する場合
分布抽出方法使う場面
二項分布復元抽出(独立試行)基本形・ロットが大きい場合
超幾何分布非復元抽出ロットが小さい・厳密計算

従来の累積確率曲線 → 「ポアソン分布」または「正規分布」で近似

二項分布や超幾何分布は、正確な計算ができる反面、計算がとても面倒です。

特に、nが大きくなると組み合わせの計算(ₙCₓ)が爆発的に増えます。
電卓がなかった時代、これは大きな問題でした。

そこで、近似計算が使われてきました。

📐 近似の使い分け
ポアソン分布で近似:
・nが大きく、Pが小さい場合(np ≤ 5程度)
・「めったに起きないこと」の確率計算に向く

正規分布で近似:
・nが十分大きく、npもn(1-P)も5以上の場合
・計算が最も簡単になる

「従来から用いられている累積確率曲線」というのは、この近似を使って作られたグラフのことです。

分布の使い分け|一覧表で整理

ここまでの内容を、一覧表で整理しましょう。
QC検定ではこの表の内容がそのまま出題されます。

条件使う分布特徴
基本形(n, cで計算)二項分布独立試行の基本モデル
Nが小さい/厳密計算超幾何分布非復元抽出を考慮
近似(nが大、Pが小)ポアソン分布計算が簡略化できる
近似(nが十分大)正規分布最も計算が楽
💡 覚え方のコツ
「二項が基本、超幾何は厳密、ポアソン・正規は近似」

この流れを覚えておけば、穴埋め問題は完璧です!

OC曲線(検査特性曲線)とは?

さて、最後のキーワード「OC曲線」について解説します。

OC曲線 = ロットの品質と合格確率の関係を示すグラフ

OC曲線は「Operating Characteristic curve」の略で、日本語では「検査特性曲線」と呼びます。

📐 OC曲線とは
横軸:ロットの不良率 P
縦軸:合格の確率 L(P)

ロットの品質に対する合格確率の推移を曲線で示したもの

このグラフを見れば、「不良率がどれくらいのロットが、どれくらいの確率で合格するか」が一目でわかります。

OC曲線の形と意味

理想的なOC曲線と現実のOC曲線を比べてみましょう。

理想的なOC曲線

理想的には、「良いロット(P ≤ p₀)は100%合格、悪いロット(P > p₁)は100%不合格」となるべきです。
この場合、OC曲線は「階段状」になります。

現実のOC曲線

しかし、抜取検査では全数を見るわけではないので、どうしても誤判定のリスクがあります。
そのため、OC曲線は「なだらかなS字カーブ」になります。

不良率P合格確率L(P)意味
P = 0%(完璧なロット)L(P) = 100%必ず合格
P = 小さいL(P) = 高いほぼ合格
P = 大きいL(P) = 低いほぼ不合格
P = 100%(全部不良)L(P) = 0%必ず不合格

生産者危険(α)と消費者危険(β)

OC曲線を見ると、2種類のリスクが見えてきます。

リスク記号意味誰が困る?
生産者危険α良いロットが不合格になる確率生産者(売り手)
消費者危険β悪いロットが合格になる確率消費者(買い手)
💡 覚え方
生産者危険α:「あわてんぼう」の誤り
→ 良いものを「悪い!」と間違える(第1種の過誤)

消費者危険β:「ぼんやり者」の誤り
→ 悪いものを「良い」と見逃す(第2種の過誤)

練習問題で知識を確認しよう

ここまで学んだ知識を、練習問題で確認しましょう。

📝 練習問題

次の文章の【 】に入る最も適切な語句を、下の選択肢から選びなさい。

計数値抜取検査において、サンプル中の不適合品数の確率を求める際、サンプルサイズnと合格判定個数cがわかっている場合は【 ア 】分布を用いる。一方、ロットサイズNが小さく厳密な確率計算が必要な場合は【 イ 】分布を用いる。また、計算を簡略化するために【 ウ 】分布で近似することもある。これらの計算結果から、ロットの不良率と合格確率の関係をグラフ化したものを【 エ 】曲線と呼ぶ。

【選択肢】
①正規 ②二項 ③ポアソン ④超幾何 ⑤t ⑥OC ⑦AOQ ⑧管理

解答と解説

空欄解答選択肢理由
二項n, cで計算する基本形 → 二項分布
超幾何Nが小さい・厳密計算 → 超幾何分布
ポアソン計算の簡略化 → ポアソン近似
OC品質vs合格確率のグラフ → OC曲線
💡 間違いやすいポイント
「正規分布」も近似に使えることを知っておきましょう。
ただし、QC検定では「従来から用いられている」という文脈ではポアソン分布が正解になることが多いです。

また、「AOQ曲線」(平均出検品質曲線)という別の曲線もあるので、OC曲線と混同しないように注意!

まとめ

この記事では、抜取検査の判定能力とOC曲線について解説しました。

📌 この記事のポイント
1. 判定能力 = 良いロットを合格、悪いロットを不合格と正しく判定できる力

2. 確率分布の使い分け
・基本形 → 二項分布
・Nが小さい/厳密計算 → 超幾何分布
・近似計算 → ポアソン分布(または正規分布)

3. OC曲線 = ロットの品質(不良率P)と合格確率L(P)の関係を示す曲線

「二項が基本、超幾何は厳密、ポアソンは近似」
この合言葉を覚えておけば、QC検定の穴埋め問題は怖くありません!

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