法規科目の解説

【完全図解】電圧の3区分|低圧・高圧・特別高圧の境界を身近な例で覚える

電験三種の法規科目を勉強していて、「交流600V」「直流750V」「7000V」と数字が並ぶ瞬間、頭が真っ白になりませんか?でも安心してください。電圧の3区分は、私たちの身の回りにある「家のコンセント」「工場の受電設備」「送電線」と紐づけて覚えれば、二度と忘れない知識になります。

😩 こんな悩みはありませんか?

  • 「低圧・高圧・特別高圧」の境界数値が暗記できない
  • 直流と交流で境界が違うのが紛らわしくて覚えにくい
  • 「うちの工場のキュービクルは高圧?特別高圧?」がパッと答えられない
  • 過去問で電圧区分の選択肢が出ると、自信を持って選べない
  • そもそもなぜ電圧で区分する必要があるのかが理解できていない

💡 この記事を読めばわかること

  • 電圧の3区分(低圧・高圧・特別高圧)の境界値が一発で頭に入る
  • 「家=低圧/工場=高圧/送電線=特別高圧」のイメージで二度と忘れない
  • 直流と交流の境界値の違いと、その理由が理解できる
  • 電圧区分が変わると何が変わるのか(保安・工事・主任技術者)がわかる
  • 過去問頻出パターン3問を通して、本番で確実に得点できる力がつく
📍 あなたは今ここを学習中
電験三種・法規 完全ロードマップ Chapter 2:電気設備の技術基準 第16回:電圧の3区分

結論:電圧3区分は「600V・7000V」の2つの境界線で覚える

電技第2条で定められた電圧の3区分は、たった2つの境界線で決まります。

区分 交流 直流 身近な例
低圧 600V以下 750V以下 家のコンセント(100V・200V)
高圧 600V超〜7000V以下 750V超〜7000V以下 工場の受電(6600V)
特別高圧 7000V超 7000V超 送電線(66000V・275000V等)

覚え方は「家=低圧/工場=高圧/送電線=特別高圧」。これだけ押さえれば、本番で迷うことはなくなります。

電技第2条の条文|電圧区分の根拠を押さえる

電圧の3区分は、電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)第2条で定められています。まずは条文を確認しましょう。

📜 電技 第2条(電圧の種別等)

電圧は、次の区分により低圧、高圧及び特別高圧の3種とする。

  1. 低圧:直流にあっては750V以下、交流にあっては600V以下のもの
  2. 高圧:直流にあっては750Vを、交流にあっては600Vを超え、7,000V以下のもの
  3. 特別高圧:7,000Vを超えるもの

条文を見ると、3つのポイントがあることがわかります。

① 電圧は3区分のみ

「低圧」「高圧」「特別高圧」の3つだけ。「超高圧」「超低圧」などの区分は法令上存在しません。

② 直流と交流で境界値が違う(低圧/高圧の境界のみ)

低圧と高圧の境界は直流750V、交流600V。一方、高圧と特別高圧の境界は直流・交流ともに7000Vで同じです。

③ 境界値は「以下」か「超え」か

条文をよく読むと、低圧は「600V以下」、高圧は「600Vを超え」とあります。つまりちょうど600Vは低圧、600.1Vは高圧になります。試験のひっかけポイントです。

電技第2条の原文は、e-Gov法令検索「電気設備に関する技術基準を定める省令」から確認できます。

身近な例で覚える3区分|「家・工場・送電線」のイメージで完全マスター

数字だけ暗記しても、なかなか頭に残りません。電圧区分は、私たちの生活に登場する「電気設備」とセットでイメージすると、不思議と忘れなくなります。

低圧:家のコンセント・住宅街の電線

🏠 低圧の代表例

  • 家のコンセント:100V(交流)
  • エアコンやIH調理器:200V(交流)
  • 住宅街を走る低圧配電線(柱上トランスから家へ):100V/200V(交流)
  • EVの一部充電器:500V前後(直流)
  • 大型工場の制御盤の一部:400V〜600V(交流)

低圧の範囲は、私たちが日常的に触れる電気の世界です。家庭の電気はすべて低圧、住宅街の電線も低圧です。「ふだん人が触れる可能性のある電気=低圧」とイメージすると覚えやすいでしょう。

高圧:工場・ビルの受電設備(キュービクル)

🏭 高圧の代表例

  • 工場やビルの受電:6,600V(交流/日本の標準)
  • キュービクル(高圧受電設備)内部の母線:6,600V
  • 住宅街の電柱の上の方の電線(柱上トランスへ入る側):6,600V
  • 地方の配電線:3,300V(交流/一部地域)

高圧の代表は、日本全国どこにでもある「6,600V」です。工場・ビル・大型施設の受電は、ほぼすべて6,600Vの高圧で受電し、構内のキュービクル(高圧受電設備)で低圧(100V/200V/400V)に変換されて使われます。

💡 シラスの体験談
私が勤務する工場の受電も6,600Vです。社員が「うちの電気は何ボルトで来ているの?」と聞かれて即答できると、ちょっとしたエンジニアの一目置かれポイントになります。電験三種の知識は、こういう日常会話でも役立ちます。

特別高圧:送電線・大規模需要家

⚡ 特別高圧の代表例

  • 大規模工場・データセンター・大型ビルの受電:22,000V/66,000V
  • 地域の配電用変電所への送電線:66,000V
  • 都市部の主要送電線(鉄塔上):154,000V/275,000V
  • 長距離送電(500kV超電圧送電線):500,000V
  • 新幹線の架線:25,000V(交流)

特別高圧の世界は、もはや「人が直接触れる電気」ではありません。電圧があまりに高いため、空気を介して放電する危険があり、専用の鉄塔・がいし・離隔距離が必要になります。

「家・工場・送電線」3段階イメージ図

⚡ 特別高圧(7,000V超)

発電所 → 超高圧送電線 → 一次変電所(500,000V〜66,000V)

⬇ 降圧

🏭 高圧(600V超〜7,000V以下)

配電用変電所 → 配電線 → 工場のキュービクル(6,600V)

⬇ 降圧

🏠 低圧(600V以下)

柱上トランス → 家のコンセント(100V/200V)

💡 まとめのイメージ

電気は「特別高圧 → 高圧 → 低圧」と段階的に電圧を下げながら、発電所から私たちの家のコンセントまで運ばれてきます。電圧が高いほど効率よく長距離を運べる一方、危険性も高くなるため厳しい保安基準が課せられます。これが電圧を3区分に分ける理由です。

直流と交流で境界値が違う理由|なぜ低圧の境界だけ違うのか?

電技第2条で最も混乱しやすいのが、低圧と高圧の境界が直流750V/交流600Vと異なる点です。なぜこんな複雑なルールになっているのでしょうか?理由を理解すれば、忘れにくくなります。

理由:交流の「実効値」と「最大値」の関係

交流の電圧は、時間とともに+方向と−方向に振動します。「600V」というのは、その振幅から求めた「実効値(RMS値)」のことです。

交流の実効値と最大値(ピーク電圧)の関係は、次のようになります。

📐 交流の最大値の計算

最大値 = 実効値 × √2 ≈ 実効値 × 1.414

つまり、交流600V(実効値)の最大値は:
600V × √2 ≈ 848V

注目してください。交流600Vの「最大値(瞬間的なピーク)」は約848Vです。これに対して直流の境界は750V。つまり、交流のピーク電圧(848V)と直流の境界(750V)はだいたい同じくらいの「危険度」になるように設定されているのです。

直流と交流の境界値の本当の意味

電圧種別 表示値 最大値(実際の瞬間値)
交流600V(実効値) 600V 約848V
直流750V 750V 750V(一定)

直流は時間によって変化せず常に一定なので、表示値=最大値です。一方、交流は表示値(実効値)の√2倍が最大値。だから、感電や絶縁破壊のリスクを揃えるために、交流の境界は直流より低く設定されているのです。

📌 覚え方のコツ
交流は瞬間値が高くなるから境界値が低い」と理解しましょう。交流600V × √2 ≈ 848V ≈ 直流750V、と暗算できれば完璧です。なお、高圧と特別高圧の境界(7,000V)は直流も交流も同じです。これは7,000Vともなると、もう実効値の細かい差は安全上の意味を持たないからです。

電圧区分で何が変わるのか?|保安・工事・主任技術者への影響

電圧の3区分は、ただ分類するためだけのものではありません。区分によって適用される保安ルールや必要な資格が大きく変わります。これも試験で問われるポイントです。

電圧区分による違い一覧

項目 低圧 高圧 特別高圧
電気工事士の資格 第二種でOK 第一種が必要 電気工事士法対象外(別途規定)
絶縁抵抗値 0.1〜0.4MΩ以上 絶縁耐力試験で確認 絶縁耐力試験で確認
接地工事 C種・D種 A種・B種 A種・B種
主任技術者の資格 不要(一般用) 第三種以上 第二種・第一種
立入禁止措置 不要(基本) 柵・塀の設置義務 高い柵・塀+立入禁止表示
離隔距離 小さい 中程度 電圧階級ごとに大きく規定

この表からわかるのは、電圧が高くなるほど保安ルールが厳しくなるということです。これは試験対策だけでなく、実務でも非常に重要な感覚です。「うちの工場は6,600V受電(高圧)だから、第一種電気工事士の有資格者でないと工事できない」という判断が、現場で求められます。

⚠ 試験での注意点
「電圧が高くなると何が変わるか」という問題は、本記事の表のような形で頻繁に出題されます。「低圧→高圧」「高圧→特別高圧」の境界をまたいだ瞬間に、どんな保安ルールが追加されるかを整理しておきましょう。

電圧区分のよくある間違い|試験で失点しないための3つの罠

電圧区分の問題で失点する人には、典型的な「3つの罠」があります。事前に知っておけば、本番で同じミスを避けられます。

⚠ 罠①:「以下」と「未満」を混同する

電技第2条は「600V以下」「7,000V以下」と書かれています。「未満」ではありません。
:交流600Vはちょうど低圧の上限。600Vは低圧、600.1Vから高圧。
:「600V未満が低圧」と覚えると、ちょうど600Vが高圧扱いになってしまい間違い。

⚠ 罠②:直流と交流の境界値を逆に覚える

直流750V、交流600V。順番を逆に覚える人が非常に多いです。
覚え方:「交流は変動するから危険=低い境界(600V)」「直流は一定だから安全側=高い境界(750V)」とイメージで覚える。

⚠ 罠③:高圧の上限値を6,600Vと勘違い

日本の高圧受電の代表値が6,600Vなので、「6,600V=高圧の上限」と覚えてしまう人がいますが、これは間違いです。
:高圧の上限は7,000V。6,600Vは「日本で標準的に使われている高圧」ですが、法律上は7,000Vまでが高圧です。
たとえば中東の一部地域では6,900Vの配電もあり、これも法律上は高圧です。

💡 シラスの体験談
私も最初に勉強したとき、罠②(直流と交流の境界)で迷いました。試験本番の選択肢に「直流600V以下/交流750V以下」と書かれていて、一瞬「あれ?合ってる?」と思ったのです。事前に「交流は√2倍がかかるから境界が低い」と理由まで理解していれば、こういう引っかけにも動じなくなります。

🎯 理解度テスト(過去問チャレンジ・全3問)

📋 出題①:平成24年度 法規 問1

次の文章は、「電気設備技術基準」における電圧の種別に関する記述である。

電圧は、次の区分により低圧、高圧及び特別高圧の3種とする。

低圧:直流にあっては( ア )以下、交流にあっては( イ )以下のもの
高圧:直流にあっては( ア )を、交流にあっては( イ )を超え、( ウ )以下のもの
特別高圧:( ウ )を超えるもの

上記の記述中の空白箇所(ア)(イ)(ウ)に当てはまる組合せとして、最も適切なものを次の中から選びなさい。

選択肢 (ア) (イ) (ウ)
(1)600V750V7,000V
(2)750V600V7,000V
(3)600V750V6,600V
(4)750V600V6,600V
(5)1,000V750V7,000V
▼ 解答と解説を見る

正解:(2)(ア)750V/(イ)600V/(ウ)7,000V

電技第2条の条文がそのまま空欄補充で問われている定番の出題です。「直流750V/交流600V」の順番、そして高圧と特別高圧の境界は7,000V(6,600Vではない!)という点が問われています。本記事の「よくある間違い」で紹介した罠②と罠③が両方仕掛けられている問題です。「直流は一定だから境界が高い(750V)」「日本標準の6,600Vは法律上の境界ではない」を押さえていれば確実に正解できます。

📋 出題②:平成20年度 法規 問2(一部改変)

「電気設備技術基準」における電圧の区分について、誤っているものを次の中から選びなさい。

  1. 交流600Vは低圧に区分される。
  2. 直流750Vは低圧に区分される。
  3. 交流6,600Vは高圧に区分される。
  4. 直流7,000Vは特別高圧に区分される。
  5. 交流20,000Vは特別高圧に区分される。
▼ 解答と解説を見る

正解:(4)直流7,000Vは特別高圧に区分される。

この問題は、本記事の「よくある間違い」で紹介した罠①(「以下」と「未満」の混同)を直撃する問題です。

電技第2条では「高圧は7,000V以下のもの」「特別高圧は7,000Vを超えるもの」と定められています。つまりちょうど7,000Vは高圧であり、特別高圧ではありません。

他の選択肢を見ると:
(1) 交流600Vは「600V以下」で低圧→正
(2) 直流750Vは「750V以下」で低圧→正
(3) 交流6,600Vは600V超〜7,000V以下で高圧→正
(5) 交流20,000Vは7,000V超で特別高圧→正

「以下」「を超える」の文言を正確に押さえることが、こうした正誤問題の鍵となります。

📋 出題③:平成26年度 法規 問1(応用問題)

次の電気設備について、その電圧区分の組合せとして、最も適切なものを次の中から選びなさい。

① 一般家庭の屋内配線(単相3線式、対地電圧100V)
② 工場で受電する交流の電圧(公称電圧6,600V)
③ 都市部の配電用変電所から需要家へ送電する交流の電圧(公称電圧22,000V)
④ 蓄電池システムの直流バス(DC700V)

選択肢
(1)低圧高圧高圧低圧
(2)低圧高圧特別高圧低圧
(3)低圧高圧特別高圧高圧
(4)低圧特別高圧特別高圧高圧
(5)高圧高圧特別高圧低圧
▼ 解答と解説を見る

正解:(2)(①低圧/②高圧/③特別高圧/④低圧)

本問は、具体的な電気設備が実際にどの電圧区分に該当するかを問う応用問題です。本記事で学んだ「家・工場・送電線」のイメージがそのまま使えます。

① 一般家庭の100V → 交流600V以下なので低圧
② 工場受電の6,600V → 交流600V超〜7,000V以下なので高圧
③ 配電用変電所からの22,000V → 7,000V超なので特別高圧
④ 蓄電池の直流700V → 直流750V以下なので低圧(直流なので750V基準!交流の600V基準ではない点に注意)

特に④は本記事で強調した「直流と交流の境界値が違う」という知識が問われています。「DC700V」と見て反射的に「600Vを超えているから高圧?」と判断すると間違えます。直流の境界は750Vなので、700Vは低圧です。

実務でも、太陽光発電のパネル直流電圧(600〜1,000V程度)やEV充電器の直流電圧の扱いで、この知識は直接役立ちます。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題

まとめ|電圧3区分は法規攻略の「最初の関門」

本記事のエッセンスをもう一度整理します。

  • 電圧3区分の境界値:低圧(交流600V以下/直流750V以下)、高圧(〜7,000V)、特別高圧(7,000V超)
  • 身近な例:家のコンセント=低圧/工場の6,600V受電=高圧/送電線=特別高圧
  • 直流と交流で境界が違う理由:交流の実効値の√2倍が最大値となり、ピーク電圧でリスクを揃えるため
  • 電圧区分で変わるもの:電気工事士の資格、接地工事の種別、主任技術者の資格、立入禁止措置など
  • 3つの罠:「以下」と「未満」の混同/直流と交流の境界値の逆転/7,000Vと6,600Vの混同

電圧3区分は、Chapter 2の最初の関門であり、これ以降の電技解釈のあらゆる条文に登場する基本中の基本です。次の記事では、電圧区分と並んで紛らわしい「電線路・引込線・連接引込線」の用語を整理していきます。

🗺️ 電験三種・法規シリーズの全体地図

あなたが今読んでいるのは第16回 / 全68回です。

Chapter 0:法規の全体像と勉強戦略(全3記事)
Chapter 1:電気事業法とその他の法規(全14記事)
Chapter 2:電気設備の技術基準(全29記事)⬅ いまここ
Chapter 3:電気施設管理・B問題対策(全15記事)
Chapter 4:演習・直前対策(全5記事)
Chapter 5:法令改正対応(全2記事)

📚 次に読むべき記事

▶ シリーズ次の記事(第17回)

電線路・引込線・連接引込線|紛らわしい用語を図で一発整理

電圧区分の次は用語整理。混同しがちな「電線路」「引込線」を図解でクリアに区別します。

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📝 この記事を書いた人

シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。

最終更新:2026年5月16日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索 で必ずご確認ください。

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