法規科目の解説

【電験三種】電線路・引込線・連接引込線|紛らわしい用語を図で一発整理

電技解釈の条文を読んでいると、「電線路」「電路」「引込線」「連接引込線」と似たような用語が次々と出てきて、「どれがどれだっけ…」と混乱しませんか?実はこの4つ、住宅街の電柱と家を頭に思い浮かべるだけで、一発で整理できます。

😩 こんな悩みはありませんか?

  • 「電線路」と「電路」の違いがあいまいで、毎回参考書を見返してしまう
  • 「引込線」と「連接引込線」が同じものに見えてしまう
  • 架空引込線・地中引込線の区別がついていない
  • 過去問で用語の定義が問われると、選択肢で迷ってしまう
  • 条文の文章だけだとイメージが湧かず、頭に入ってこない

💡 この記事を読めばわかること

  • 「電線路」「電路」「引込線」「連接引込線」の違いが住宅街の図で一発で理解できる
  • 4つの用語の包含関係(どれが大きくて、どれが小さいか)が整理できる
  • 架空引込線と地中引込線の区別が明確になる
  • 連接引込線の「2軒目以降の家へ伸びる線」という独特な定義を覚えられる
  • 過去問頻出パターン3問を通じて、本番で確実に得点できる
📍 あなたは今ここを学習中
電験三種・法規 完全ロードマップ Chapter 2:電気設備の技術基準 第17回:電線路・引込線・連接引込線

結論:4つの用語は「住宅街の電柱と家」で一発整理できる

紛らわしい4つの用語は、それぞれの「役割」で覚えれば混乱しません。

用語 一言でいうと 具体例
電路 電気が流れる「道」全体 家の中の配線も含む電気の通り道すべて
電線路 電気を「運ぶ」設備 電柱の電線、地中ケーブル、鉄塔の送電線
引込線 電柱から「家へ引き込む」線 電柱からあなたの家の壁に伸びる電線
連接引込線 「ある家からさらに別の家へ」分岐する線 A邸の壁→B邸の壁へと伸びる電線

覚え方のキーワードは「道(電路)>運ぶ設備(電線路)>引き込む線(引込線)>さらに分岐する線(連接引込線)」。これだけです。

電技解釈第1条の用語定義|法令上の正確な定義を確認

まずは法令上の正式な定義を押さえましょう。これらの用語は、電技解釈第1条(用語の定義)で明確に定められています。

📜 電技解釈 第1条(用語の定義)抜粋

この解釈において、用語の意義は、次の各号に定めるところによる。

  • 電路:通常の使用状態で電気が通じているところ
  • 電線:強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体、又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体
  • 電線路:発電所、蓄電所、変電所、開閉所及びこれらに類する場所並びに電気使用場所相互間の電線、並びにこれを支持し、又は保蔵する工作物
  • 引込線:架空引込線及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るもの
  • 連接引込線:一需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の引込口に至る部分の電線

条文だけ読むと「漢字の羅列で何のことかわからない」となりがちですよね。次の章から、それぞれの用語を住宅街のイメージとセットで詳しく解説していきます。

💡 シラスの体験談
私が電技解釈を初めて読んだとき、「需要場所の造営物の側面等」という表現で完全に思考が止まりました。要するに「家の壁」のことなんですよね。法令は厳密に書く必要があるので難解な表現になりがちですが、頭の中で身近な風景に翻訳しながら読むと、グッと理解しやすくなります。

電技解釈の原文は、経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(PDF)から確認できます。第1条の用語定義は、これ以降の条文を理解する大前提なので、一度ざっと目を通しておくと良いでしょう。

電路と電線路の違い|「道」と「運ぶ設備」で覚える

最も混乱しやすいのが「電路」と「電線路」の違いです。たった1文字違いですが、指している範囲がまったく違います。

電路(でんろ):電気が通じている「道」全体

📐 電路の定義

「通常の使用状態で電気が通じているところ」(電技解釈第1条)

つまり「電気が流れる場所すべて」を指す、最も広い概念です。家の壁の中の配線、コンセント、家電製品の内部の配線、すべて電路に含まれます。

電線路(でんせんろ):電気を「運ぶ」設備

📐 電線路の定義

「発電所、変電所、開閉所などの場所、または電気使用場所同士をつなぐ電線と、これを支持・保護する工作物」(電技解釈第1条 要約)

こちらは「電気を遠くまで運ぶための設備」を指します。電柱、鉄塔、それらに張られた電線、地中に埋設されたケーブルなどが「電線路」です。

電路と電線路の包含関係

比較項目 電路 電線路
指すもの 電気の流れる「道」全般 電気を運ぶための「設備」
範囲 家の中も含む全範囲(広い) 電柱・鉄塔・地中ケーブルなど(狭い)
具体例 家のコンセント、屋内配線、電線路の電線 電柱とその電線、地中送電ケーブル
関係性 電線路 ⊂ 電路(電線路は電路の一部)

💡 覚え方のコツ

「電路」は道路全体/「電線路」は高速道路のようなイメージです。高速道路(電線路)も道路全体(電路)の一部ですが、特に長距離輸送を担う重要な区間という位置づけになっています。

引込線(ひきこみせん)とは?|「電柱から家へ」最後の電線

「引込線」は、その名の通り「電気を家に引き込むための電線」です。私たちの生活に最も身近な電線路です。

引込線の定義

📜 引込線の定義(電技解釈第1条)

架空引込線及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るもの

分解すると、引込線とは以下の電線を指します。

① 電柱から家まで宙を渡る電線(架空引込線)

電柱の上から、あなたの家の壁の取付点まで、空中を渡って引かれる電線。住宅街でよく見かけるあの斜めに張られた電線です。

② 家の壁を伝って引込口へ向かう電線

家の壁の取付点(引込線取付点)から、電気メーターのある「引込口」までの電線です。これも引込線に含まれます。

架空引込線と地中引込線

引込線は、引き込み方法によって2種類に分けられます。

種類 設置方法 よく見る場所
架空引込線 電柱から家の壁まで空中に張る 一般的な住宅街・郊外
地中引込線 地中に埋設されたケーブルで家まで引き込む 無電柱化エリア・新興住宅地・都市部
⚠ 試験での注意点
引込線は「需要場所の引込口に至るもの」と定義されています。つまり「家の中の配線(屋内配線)は引込線には含まれない」という点が重要です。引込線はあくまで「家の外から、引込口まで」の電線を指します。屋内配線は「屋内電路」と呼ばれる別の概念です。
💡 シラスの体験談
私が住んでいる住宅街では、新しく建てられた家は地中引込線になっていることが多く、電柱から細い斜めの電線が出ていないのですっきり見えます。一方、古い住宅街では電柱から斜めに伸びる架空引込線が当たり前。窓の外を見れば、それが「架空引込線」だとすぐわかります。試験勉強と日常風景がリンクすると、用語の定義がスッと頭に入ります。

連接引込線(れんせつひきこみせん)とは?|「家から家へ」の珍しい引き込み方

「連接引込線」は4つの用語の中で最もイメージしにくい概念です。しかし、定義をきちんと押さえれば、過去問で確実に得点できる項目になります。

連接引込線の定義

📜 連接引込線の定義(電技解釈第1条)

一需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の引込口に至る部分の電線

この定義を分解すると、3つの条件が見えてきます。

連接引込線の3つの条件

条件①:ある家の引込線から分岐している

電柱から直接ではなく、一度どこかの家(A邸)に引き込まれた引込線から枝分かれします。電柱から直接2軒目(B邸)に行くのは「連接引込線」ではありません。

条件②:支持物(電柱など)を経由しない

A邸からB邸へ向かう電線は、途中で電柱や鉄塔などの支持物を使わないのが特徴です。途中で電柱を経由すると、それは別の「引込線」になります。

条件③:別の家(需要場所)の引込口に至る

A邸とは別の需要場所(B邸)の引込口までを「連接引込線」と呼びます。同じ家の中の分岐は連接引込線ではありません。

具体的なイメージ|A邸 → B邸の電線

電柱

⬇ 引込線

A邸(最初の家)

引込線で電気を受ける

連接引込線(支持物なしで直接)

B邸(2軒目の家)

A邸からの連接引込線で電気を受ける

💡 連接引込線が使われる場面

連接引込線は、たとえば「A邸の裏にB邸がある」同じ敷地内に離れがある」「長屋形式の建物」など、電柱から直接引くのが難しい配置の家に電気を供給するときに使われます。日本の古い住宅街でしばしば見られる施工方法です。

連接引込線の制限|どこまで伸ばしていいか

連接引込線には、低圧の場合に施設の制限があります。電技解釈第116条で次のように定められています。

制限項目 低圧連接引込線の規定
引込線からの分岐点から、被分岐側の家までの長さ 100m以下
幅員(道路の幅)が広い道路を横断するか 幅員5mを超える道路の横断は不可
屋内を通過するか 屋内を通過してはならない

特に「100m以下」「幅員5m超の道路を横断しない」「屋内を通過しない」の3点は試験頻出です。覚えておきましょう。

4つの用語の包含関係|どれが大きくて、どれが小さい?

ここまで学んだ4つの用語の関係を、最終整理します。包含関係(どれが何を含むか)を理解すれば、過去問で「どの用語が当てはまるか」を瞬時に判断できるようになります。

包含関係の図解

⬛ 電路(最も広い)

電気が通じているところすべて(家の中の配線も含む)

🔹 電線路(電気を運ぶ設備)

電柱・鉄塔・地中ケーブルなど

🔸 引込線(電柱から家へ)

需要場所の引込口に至る電線

🔻 連接引込線(A家→B家へ)

引込線から分岐して別の需要場所へ

💡 包含関係のまとめ

電路 ⊃ 電線路 ⊃ 引込線 ⊃ 連接引込線
※「⊃」は「含む」という意味。電路は電線路を含み、電線路は引込線を含み、引込線は連接引込線を含む、という関係です。

用語の使い分けクイックリファレンス

以下は試験対策の最終チートシートです。どの用語が問われているかを瞬時に判断できるようになります。

場面・状況 該当する用語
家のコンセントから家電製品までの電気の通り道 電路
住宅街に並ぶ電柱とその上の電線 電線路
電柱から家の壁まで斜めに引かれた電線 引込線(架空引込線)
無電柱化エリアで地中ケーブルから家に引き込まれる電線 引込線(地中引込線)
A邸の壁から、隣のB邸の壁へ直接渡される電線 連接引込線
山中の鉄塔に張られた送電線 電線路
変電所内部の電気が流れる設備全般 電路

🎯 理解度テスト(過去問チャレンジ・全3問)

📋 出題①:令和2年度 法規 問7

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧連接引込線の施設に関する記述である。

低圧連接引込線は、次の各号により施設すること。

  1. 引込線から分岐する点から( ア )mを超える地域に渡らないこと
  2. 幅( イ )mを超える道路を横断しないこと
  3. ( ウ )を通過しないこと

上記の記述中の空白箇所(ア)(イ)(ウ)に当てはまる組合せとして、最も適切なものを次の中から選びなさい。

選択肢 (ア) (イ) (ウ)
(1)1005屋内
(2)1505屋内
(3)1004屋外
(4)1504屋外
(5)1006屋内
▼ 解答と解説を見る

正解:(1)(ア)100/(イ)5/(ウ)屋内

電技解釈第116条の低圧連接引込線の施設規定がそのまま問われています。本記事の「連接引込線の制限」で解説した3つの数値・条件が、ここで活きてきます。

覚えるべき3つの数値・条件
① 100m以下(分岐点から)
② 5m超の道路を横断しない
③ 屋内を通過しない

「100」「5」「屋内」と語呂で「連接引込線は100・5・屋内NG」と覚えるとよいでしょう。連接引込線は法規B問題でも頻出のため、確実に押さえておきたい論点です。

📋 出題②:平成29年度 法規 問1

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における用語の定義に関する記述である。

( ア )とは、発電所、蓄電所、変電所、開閉所及びこれらに類する場所並びに電気使用場所相互間の電線並びにこれを支持し、又は保蔵する工作物をいう。

上記の記述中の空白箇所(ア)に当てはまる語句として、最も適切なものを次の中から選びなさい。

  1. 電線
  2. 電路
  3. 電線路
  4. 引込線
  5. 連接引込線
▼ 解答と解説を見る

正解:(3)電線路

電技解釈第1条における「電線路」の定義そのものが問われている定番問題です。本記事の「電路と電線路の違い」で詳しく解説した通り、電線路は「発電所等の場所間や電気使用場所相互間の電線、およびそれを支持・保蔵する工作物」と定義されています。

混同しがちな選択肢を整理すると:
(1) 電線:電気を伝送する導体そのもの
(2) 電路:電気が通じているところ全般(電線路を含む広い概念)
(3) 電線路:本問の正解。電気を運ぶ設備全体
(4) 引込線:電線路の一種で、電柱から家の引込口までの電線
(5) 連接引込線:引込線から分岐して別の需要場所に至る電線

条文の「発電所」「変電所」「これを支持し又は保蔵する工作物」というキーワードに反応できれば、即座に「電線路」とわかります。

📋 出題③:平成25年度 法規 問1

「電気設備技術基準の解釈」に基づく用語の定義について、最も適切なものを次の中から選びなさい。

  1. 電路とは、発電所、変電所その他これらに類する場所間の電線及びこれを支持し、又は保蔵する工作物のことである。
  2. 電線路とは、通常の使用状態で電気が通じているところのことである。
  3. 引込線とは、架空引込線及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るもののことである。
  4. 連接引込線とは、電柱から需要場所の引込口に至る部分の電線のことである。
  5. 架空電線路とは、地中に施設する電線路のことである。
▼ 解答と解説を見る

正解:(3)引込線とは、架空引込線及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るもののことである。

本問は、4つの用語の定義が入れ替えられて出題された応用問題です。本記事で学んだ「包含関係」と「正確な定義」を押さえていれば、選択肢を即座に判別できます。

各選択肢の解説
(1) ❌ これは「電線路」の定義(電路と電線路が逆)
(2) ❌ これは「電路」の定義(電線路と電路が逆)
(3) ⭕ 正解。「引込線」の正確な定義
(4) ❌ これは普通の「引込線」の説明。連接引込線は「ある需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の引込口に至る部分の電線」
(5) ❌ 架空電線路は地上(空中)に施設するもの。地中に施設するのは地中電線路

この問題は「電路と電線路の入れ替え」「引込線と連接引込線の入れ替え」という典型的な引っかけパターンが詰め込まれています。本記事の包含関係を理解しておけば、(1)と(2)の入れ替えは「電路の方が広い」というイメージから即座に見破れます。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題

まとめ|用語整理は法規攻略の基盤になる

本記事のエッセンスをもう一度整理します。

  • 電路:電気が通じているところすべて。最も広い概念(家の中の配線も含む)
  • 電線路:電気を運ぶ設備。電柱・鉄塔・地中ケーブルなど
  • 引込線:電柱から需要場所の引込口に至る電線(架空引込線と地中引込線がある)
  • 連接引込線:ある需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ずに別の需要場所へ至る電線
  • 包含関係:電路 ⊃ 電線路 ⊃ 引込線 ⊃ 連接引込線
  • 連接引込線の3つの制限:100m以下/5m超の道路横断不可/屋内通過不可

用語の正確な理解は、これ以降の電技解釈の条文を読み解く基盤になります。次の記事では、これらの「電線」を実際にどう接続するかのルールを学びます。

🗺️ 電験三種・法規シリーズの全体地図

あなたが今読んでいるのは第17回 / 全68回です。

Chapter 0:法規の全体像と勉強戦略(全3記事)
Chapter 1:電気事業法とその他の法規(全14記事)
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Chapter 4:演習・直前対策(全5記事)
Chapter 5:法令改正対応(全2記事)

📚 次に読むべき記事

▶ シリーズ次の記事(第18回)

電線の接続のルール|「断線・引張強さ20%減少させない」の意味

用語が整理できたら、次は電線同士の「接続」のルール。実務でも頻繁に問われる重要論点です。

🗺️ 全体ロードマップ

【2026年完全版】電験三種「法規」完全攻略ロードマップ|全68ステップ

法規科目を最短で攻略するための学習地図。学習の進捗を確認しましょう。

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電圧の3区分|低圧・高圧・特別高圧の境界を「家・工場・送電線」で覚える

引込線も電圧によって規制が異なります。電圧区分の知識と合わせると、用語の理解がより深まります。

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本記事の用語定義は電技解釈第1条が根拠。電技と電技解釈の位置づけを再確認しましょう。

📝 この記事を書いた人

シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。

最終更新:2026年5月16日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索 で必ずご確認ください。

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