抜取検査

【第10回・保存版】JIS Z 9015(計数抜取検査)の使い方|表の読み方を実例で完全マスター

品質管理部門に配属されて最初に渡されるのが、この「JIS Z 9015-1(計数抜取検査)」という規格書です。ページを開くと、そこにはびっしりと数字が並んだ表が...。

「この表、どこから読めばいいの...?」
「ロットサイズ500個の時、サンプル数はどこに書いてあるの?」
「AcとReって何?どっちが合格の基準?」
「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査...何が違うの?」

安心してください。この記事を読めば、明日から自信を持って表を使えるようになります。実は、JIS Z 9015の表は「たった3ステップ」で読めるのです。

✅ この記事で分かること

  • JIS Z 9015の表を3ステップで読む方法(初心者向け)
  • サンプル文字記号(A~R)の意味と使い方
  • Ac(合格判定個数)とRe(不合格判定個数)の違い
  • なみ・ゆるい・きつい検査の切替タイミング
  • 実例演習5問で完全マスター

この記事は「表を見たことがない人」を前提に、スクリーンショット付きで徹底解説します。最後まで読めば、あなたも現場で「検査のプロ」として頼られる存在になれますよ。

📘 JIS Z 9015とは?【超基礎知識】

📖 JIS Z 9015の正式名称と位置づけ

JIS Z 9015-1の正式名称は「計数値検査に対する抜取検査手順 - 第1部: ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式」です。

項目 内容
規格番号 JIS Z 9015-1:2006
対応国際規格 ISO 2859-1(旧MIL-STD-105E)
検査対象 計数値(良品/不良品を数える検査)
主な用途 受入検査、工程検査、出荷検査

💡 初心者向けポイント
JIS Z 9015は「何個サンプルを検査すればいいか」「何個まで不良があったら不合格にするか」を決めるための表です。この表さえ読めれば、検査業務の8割は理解したも同然です。

🗂️ JIS Z 9015シリーズの構成

JIS Z 9015は全4部構成ですが、実務で99%使うのは「第1部」だけです。

内容 実務での使用頻度
第1部 AQL指標型抜取検査(本記事で解説) ★★★★★
第2部 孤立ロットの検査(LQ指標) ★☆☆☆☆
第3部 スキップロット抜取検査 ★★☆☆☆
第4部 平均出検品質の評価 ★☆☆☆☆

この記事ではJIS Z 9015-1(第1部)に絞って解説します。これだけで現場の検査業務は完璧にこなせます。

🎯 表の読み方【超シンプル3ステップ】

JIS Z 9015の表は、以下の3ステップだけで読めます。難しく考える必要はありません!

📌 表を読む3ステップ

  1. ロットサイズから「サンプル文字記号」を探す(表1使用)
  2. サンプル文字記号とAQL値から「サンプル数」を特定(表2使用)
  3. 同じセルでAc(合格判定個数)とRe(不合格判定個数)を確認

たったこれだけです!では、実例を使って1ステップずつ解説します。

📍 ステップ1: ロットサイズから「サンプル文字記号」を探す

まず、表1「サンプル文字記号」を使います。この表は規格書の最初の方に載っています。

📝 例題1
ロットサイズ: 500個
検査水準: 一般検査水準Ⅱ(最も標準的)

👉 表1を見ると...
ロットサイズ「281~500」の行 × 検査水準Ⅱの列 = サンプル文字記号「H」

ロットサイズ 水準Ⅰ 水準Ⅱ(標準) 水準Ⅲ
2~8 A A B
9~15 A B C
16~25 B C D
151~280 F G H
281~500 G H ← これ! J
501~1200 H J K

これで「H」という記号が手に入りました!次はこの記号を使って、実際のサンプル数を調べます。

📍 ステップ2: サンプル文字記号とAQL値から「サンプル数」を特定

次に、表2「1回抜取検査(なみ検査)」を使います。これが規格書のメインの表です。

📝 例題1(続き)
サンプル文字記号: H
AQL: 1.0%(重欠陥の標準値)

👉 表2を見ると...
記号「H」の行 × AQL「1.0」の列 = サンプル数50個

記号 サンプル数(n) AQL 0.65 AQL 1.0 AQL 1.5 AQL 2.5
F 20 0 / 1 0 / 1 0 / 1 1 / 2
G 32 0 / 1 1 / 2 1 / 2 2 / 3
H 50 0 / 1 1 / 2 ← これ! 2 / 3 3 / 4
J 80 1 / 2 2 / 3 3 / 4 5 / 6

表の見方は簡単です。左端の「記号」列でH行を探し、上部の「AQL 1.0」列と交差するセルを見るだけです。

📍 ステップ3: Ac(合格判定個数)とRe(不合格判定個数)を確認

先ほど見つけたセルには「1 / 2」と書かれていました。この意味は:

「1 / 2」の意味
・左側の数字「1」= Ac(合格判定個数)
・右側の数字「2」= Re(不合格判定個数)

つまり...
✅ 不良が1個以下なら合格
❌ 不良が2個以上なら不合格

🎯 例題1の最終回答
ロットサイズ500個、AQL 1.0%の場合:
・サンプル数: 50個
・合格基準: 不良1個以下で合格
・不合格基準: 不良2個以上で不合格

これで表の読み方は完璧です!あとは練習あるのみです。次は実例演習で定着させましょう。

📝 実例演習5問【これで完全マスター】

ここからは実際の現場でよくあるケースを5問用意しました。自分で考えてから答えを見ることで、確実に身につきます!

📚 演習問題1: 電子部品の受入検査

📦 状況
・製品: ICチップ
・ロットサイズ: 1,200個
・AQL: 0.4%(致命的欠陥)
・検査水準: 一般検査水準Ⅱ

❓ 問題: サンプル数、Ac、Reを答えよ

🔍 解答を見る(クリック)

✅ 正解
① ロット1,200個 → 表1で「501~1200」× 水準Ⅱ = 記号「J」
② 記号J × AQL 0.4 → 表2を引く
③ サンプル数: 80個
④ Ac/Re: 0 / 1

つまり...
80個サンプルを検査して、不良が1個でも出たら不合格です。AQL 0.4%は非常に厳しい基準ですね。

📚 演習問題2: 食品のラベル検査(軽欠陥)

📦 状況
・製品: 缶詰(ラベル外観検査)
・ロットサイズ: 3,000個
・AQL: 2.5%(軽欠陥=ラベル汚れ)
・検査水準: 一般検査水準Ⅱ

❓ 問題: サンプル数、Ac、Reを答えよ

🔍 解答を見る(クリック)

✅ 正解
① ロット3,000個 → 表1で「1201~3200」× 水準Ⅱ = 記号「K」
② 記号K × AQL 2.5 → 表2を引く
③ サンプル数: 125個
④ Ac/Re: 7 / 8

つまり...
125個サンプルを検査して、不良が7個以下なら合格です。軽欠陥は比較的緩い基準ですね。

📚 演習問題3: 小ロットの場合

📦 状況
・製品: 試作品の金属部品
・ロットサイズ: 50個(小ロット)
・AQL: 1.0%
・検査水準: 一般検査水準Ⅱ

❓ 問題: サンプル数、Ac、Reを答えよ

🔍 解答を見る(クリック)

✅ 正解
① ロット50個 → 表1で「26~50」× 水準Ⅱ = 記号「D」
② 記号D × AQL 1.0 → 表2を引く
③ サンプル数: 8個
④ Ac/Re: 0 / 1

つまり...
8個サンプルを検査して、不良が1個でも出たら不合格です。小ロットはサンプル数も少ないですが、Acが0なので厳しいです。

📚 演習問題4: 検査水準Ⅲ(厳しい検査)

📦 状況
・製品: 自動車のブレーキ部品(安全部品)
・ロットサイズ: 500個
・AQL: 0.65%
・検査水準: 一般検査水準Ⅲ(厳しい)

❓ 問題: サンプル数、Ac、Reを答えよ

🔍 解答を見る(クリック)

✅ 正解
① ロット500個 → 表1で「281~500」× 水準Ⅲ = 記号「J」
(注: 水準Ⅱなら「H」ですが、Ⅲは1ランク上の「J」になります)
② 記号J × AQL 0.65 → 表2を引く
③ サンプル数: 80個
④ Ac/Re: 1 / 2

つまり...
80個サンプルを検査して、不良が1個以下なら合格です。水準Ⅲを使うとサンプル数が増えて、より厳密な検査になります。

📚 演習問題5: 大ロット×厳しいAQL

📦 状況
・製品: 医療用注射器(クラスⅡ医療機器)
・ロットサイズ: 10,000個
・AQL: 0.25%(極めて厳しい)
・検査水準: 一般検査水準Ⅱ

❓ 問題: サンプル数、Ac、Reを答えよ

🔍 解答を見る(クリック)

✅ 正解
① ロット10,000個 → 表1で「3201~10000」× 水準Ⅱ = 記号「L」
② 記号L × AQL 0.25 → 表2を引く
③ サンプル数: 200個
④ Ac/Re: 1 / 2

つまり...
200個サンプルを検査して、不良が1個以下なら合格です。大ロット×厳しいAQLの組み合わせでは、サンプル数が200個にもなります!

🎉 5問全て解けましたか?
これであなたもJIS Z 9015の表を自由自在に使いこなせるようになりました!現場で困ることはもうありません。

🔄 なみ・ゆるい・きつい検査の切替ルール

JIS Z 9015の最大の特徴は、サプライヤーの品質実績に応じて検査を動的に変更できることです。

🌊 なみ検査(通常モード)

検査開始時は「なみ検査」からスタートします。これが標準です。

😊 ゆるい検査(品質優良時)

✅ ゆるい検査への切替条件
以下の条件をすべて満たす場合:

  1. 現在「なみ検査」を実施している
  2. 連続10ロットが合格している
  3. 生産が安定している(製造側の要因)
  4. 発注者がゆるい検査を承認している

ゆるい検査では、サンプル数が約60%に削減されます。ただし、Ac/Re値は変わりません。

検査モード 記号H×AQL1.0の場合 サンプル数 Ac / Re
なみ検査 表2-A(なみ) 50個 1 / 2
ゆるい検査 表2-B(ゆるい) 32個(-36%) 1 / 2

😤 きつい検査(品質不良時)

❌ きつい検査への切替条件
以下の条件のいずれかに該当する場合:

  • 連続2ロットが不合格になった
  • 連続5ロット中2ロットが不合格になった

きつい検査では、サンプル数は変わりませんが、Ac値が厳しくなります

検査モード 記号H×AQL1.0の場合 サンプル数 Ac / Re
なみ検査 表2-A(なみ) 50個 1 / 2
きつい検査 表2-C(きつい) 50個(同じ) 0 / 1(厳しい!)

⚠️ きつい検査の解除条件
きつい検査モード中に連続5ロット合格すると、なみ検査に戻ります。ただし、連続5ロット中に1ロットでも不合格があると、きつい検査の継続カウントがリセットされます。

🔄 切替の全体像(フローチャート)

現在の状態 条件 次の状態
なみ検査 連続10ロット合格 → ゆるい検査
なみ検査 連続2ロット不合格 or 5中2不合格 → きつい検査
ゆるい検査 1ロットでも不合格 → なみ検査
きつい検査 連続5ロット合格 → なみ検査

⚠️ よくある間違いと注意点

❌ 間違い1: サンプル数を自己判断で変更

問題点: 「50個も検査するの面倒だから、30個にしちゃおう」

なぜダメか: JIS Z 9015は統計的に設計されています。サンプル数を勝手に変えると、OC曲線(検査特性)が崩れ、AQLの意味が失われます。必ず表に従ってください。

❌ 間違い2: AcとReの意味を逆に理解

問題点: 「Ac=1だから、不良が1個出たら不合格だよね?」

正しい理解: Ac=1は「不良が1個以下なら合格」です。逆ではありません!
・不良0個 → 合格
・不良1個 → 合格
・不良2個以上 → 不合格(Re=2のため)

❌ 間違い3: ロットサイズとサンプル数を混同

問題点: 「ロット500個だから、500個全部検査するんだよね?」

正しい理解: ロットサイズ500個は製造された製品の総数です。検査するのはサンプル50個だけ(記号H×AQL1.0の場合)です。全数検査ではありません。

🎯 まとめ: JIS Z 9015は怖くない!

✅ この記事で学んだこと

  • JIS Z 9015の表はたった3ステップで読める
  • サンプル文字記号(A~R)は、ロットサイズと検査水準で決まる
  • Ac=合格判定個数、Re=不合格判定個数(左/右の順番)
  • なみ・ゆるい・きつい検査は、品質実績で自動切替できる
  • 実例演習で5問解けば、現場で困らない

最初は複雑に見えるJIS Z 9015の表も、「表1→表2→Ac/Re確認」という流れさえ覚えれば、誰でも使えるようになります。

明日から現場で自信を持って検査基準を設定してください。あなたはもう「JIS Z 9015マスター」です!

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