電力科目の解説

【電験三種・電力】発電方式の全体像|水力・火力・原子力・新エネの特徴比較で得点源にする

発電方式って、結局どう違うの?
「水力、火力、原子力...全部覚えないとダメ?」
「電験三種の電力科目で、どこが重要なの?」

こんな疑問を持っていませんか?

実は、電力科目で最初に押さえるべきは「発電方式の全体像」です。
この記事では、水力・火力・原子力・新エネルギーの4つの発電方式を、中学生でもわかるように比較しながら徹底解説します💡

読み終わる頃には、「なるほど!こういう違いがあるのか!」とスッキリ理解でき、試験でも自信を持って解答できるようになります✨

⚡ なぜ「発電方式」を最初に学ぶべきなのか?

電験三種の電力科目は、「発電」「送電」「変電」「配電」の4つの分野で構成されています。

その中でも「発電」は全ての出発点です。
なぜなら、電気は「作る→送る→変える→配る」という流れで私たちの元に届くからです。

💡 発電方式を学ぶメリット

  • 各発電方式の仕組みがイメージできる
  • 試験で頻出の計算問題の土台になる
  • 日本のエネルギー政策が理解できる
  • 他の科目(理論・機械)とのつながりが見える

それでは、日本の電気を支える4つの柱を見ていきましょう!

💧 水力発電|自然の力を使うクリーンエネルギー

水力発電の仕組み|滝のエネルギーで発電する

水力発電は、高い所から落ちる水の力でタービンを回し、発電する方式です。

例えるなら、「水車小屋」と同じ原理です💧
昔の水車が川の流れで回っていたように、水力発電所ではダムに貯めた水を高い所から落とし、その勢いでタービン(巨大な水車)を回します。

📘 水力発電の基本公式(超重要!)

P = 9.8 × Q × H × η

P:出力(kW)
9.8:重力加速度(m/s²)
Q:水量(m³/s)
H:有効落差(m)
η:効率(水車効率×発電機効率)

👉 この公式はほぼ毎年出題されます!必ず暗記しましょう✨

水力発電の3つのタイプ

タイプ 仕組み メリット デメリット
ダム式 ダムで水を貯めて発電 出力調整が自由、大容量 建設コスト大、環境影響
流れ込み式 川の自然な流れで発電 建設コスト小、環境負荷小 出力が不安定、小容量
揚水式 夜間に水を汲み上げ、昼間に発電 電力の需給調整に最適 揚水に電力を消費(効率70%程度)

特に揚水式は、「電気の貯金箱」のような役割を果たします。
夜間の余った電力で水を上のダムに汲み上げ、電力が足りない昼間に落として発電する仕組みです🔄

水力発電のメリット・デメリット

✅ メリット

  • CO2を出さないクリーンエネルギー
  • 燃料費がゼロ(水は無料)
  • 出力調整が早い(数分で最大出力)
  • 半永久的に使える

❌ デメリット

  • 建設コストが高い
  • 降水量に左右される
  • 適地が限られる(山が必要)
  • 環境への影響(ダム建設)

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水力発電の計算問題では、理論科目の「電力の公式」が基礎になります。

🔥 火力発電|日本の電力の主力

火力発電の仕組み|燃料を燃やして蒸気を作る

火力発電は、石炭・石油・LNG(液化天然ガス)を燃やして蒸気を作り、その蒸気でタービンを回して発電する方式です。

例えるなら、「蒸気機関車」と同じ原理です🚂
昔の蒸気機関車が石炭を燃やして蒸気を作り、その力で走っていたように、火力発電所でも燃料を燃やして高温高圧の蒸気を作り、タービン(巨大な風車)を回します。

火力発電の5つのステップ

  1. ① 燃料投入:石炭・石油・LNGをボイラーに投入
  2. ボイラー(蒸気発生):燃料を燃やして水を沸騰させ、高温高圧の蒸気を作る
  3. ③ 蒸気タービン:蒸気の力でタービンを高速回転させる
  4. ④ 発電機:タービンの回転で磁界を変化させ、電気を作る
  5. ⑤ 復水器:使い終わった蒸気を冷やして水に戻し、再びボイラーへ

👉 この「燃料→蒸気→タービン→発電機」の流れが試験でよく問われます!

火力発電の熱効率(計算問題頻出!)

火力発電では、「熱効率」の計算問題がほぼ毎年出題されます。

📘 熱効率の公式(超重要!)

η = (電気出力 ÷ 投入熱量) × 100 [%]

電気出力:発電所から送り出す電力(kW)
投入熱量:燃料が持つエネルギー(kW)

💡 例えるなら「車の燃費」と同じです!
ガソリン10リットルで100km走れる車と、50kmしか走れない車では、前者の方が「効率が良い」ですよね。火力発電も同じで、同じ燃料でどれだけ電気を作れるかを表すのが熱効率です🚗

火力発電の3つのタイプ

タイプ 仕組み 熱効率 特徴
汽力発電 蒸気タービンのみ 約40% 最も一般的、石炭・石油を使用
ガスタービン発電 ガスで直接タービンを回す 約30% 起動が早い、LNGを使用
コンバインドサイクル ガス+蒸気のハイブリッド 約60% 最高効率、最新技術

特にコンバインドサイクルは、「一石二鳥」の発電方式です✨
まずLNGを燃やしてガスタービンを回し、その排熱で蒸気を作って蒸気タービンも回す。つまり1回の燃料で2回発電するため、効率が約60%と非常に高いのです!

火力発電のメリット・デメリット

✅ メリット

  • 出力が安定(24時間発電可能)
  • 大容量(1基で数十万kW)
  • 立地の自由度が高い(海沿いが多い)
  • 技術が確立されている

❌ デメリット

  • CO2を排出(地球温暖化)
  • 燃料費がかかる
  • 資源の枯渇リスク
  • 燃料の輸入依存(日本は99%輸入)

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⚛️ 原子力発電|核分裂のエネルギーを利用

原子力発電の仕組み|ウランの核分裂で熱を作る

原子力発電は、ウラン燃料の核分裂で発生する熱を使って蒸気を作り、タービンを回して発電する方式です。

例えるなら、「巨大なカイロ」です⚛️
冬に使い捨てカイロが鉄の酸化熱で温まるように、原子力発電ではウランの核分裂で膨大な熱が発生します。その熱で水を沸騰させて蒸気を作る点は、火力発電と同じです。

原子力発電の2つのタイプ

タイプ 正式名称 仕組み 日本での採用
PWR 加圧水型軽水炉 一次冷却水と二次冷却水を分離 関西・四国・九州電力など
BWR 沸騰水型軽水炉 原子炉で直接蒸気を作る 東京電力・東北電力など

🔍 PWRとBWRの違い(試験によく出る!)

PWR(加圧水型):原子炉の水は放射性だが、二次側の蒸気は非放射性。タービンが汚染されないメリット。

BWR(沸騰水型):原子炉で直接蒸気を作るため構造がシンプル。ただしタービン側も放射性になる。

💡 例えるなら「二段階加熱」vs「直接加熱」
PWRは湯煎(二段階)、BWRは直火(直接)のイメージです🍳

原子力発電のメリット・デメリット

✅ メリット

  • CO2を出さない
  • 少量の燃料で大電力(ウラン1gで石油2トン相当)
  • 24時間安定発電
  • 燃料費が安い

❌ デメリット

  • 事故リスク(放射能漏れ)
  • 放射性廃棄物の処理問題
  • 建設コストが非常に高い
  • 廃炉に数十年かかる

🌱 新エネルギー(再生可能エネルギー)|未来の主役

再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーは、太陽光・風力・地熱・バイオマスなど、自然界に常に存在するエネルギーを使う発電方式です。

例えるなら、「畑の野菜」です🌾
石油や石炭は「掘ったら終わり」の資源ですが、太陽光や風力は毎日生まれ変わる資源。まるで畑の野菜のように、使っても減らないのが最大の特徴です✨

再生可能エネルギー4つのタイプ

タイプ 仕組み メリット デメリット
☀️ 太陽光発電 太陽電池で光→電気に変換 設置場所を選ばない、メンテナンス少 夜間・雨天は発電不可、変換効率15-20%
💨 風力発電 風でプロペラを回す 夜間も発電可、CO2ゼロ 風速に依存、騒音・鳥衝突問題
🌋 地熱発電 地下のマグマ熱で蒸気を作る 24時間安定、天候に左右されない 適地が限定(火山地帯)、温泉地との競合
🌱 バイオマス発電 木材・廃棄物を燃やす CO2ニュートラル、廃棄物処理 燃料確保が課題、発電効率低め

💡 再生可能エネルギーの課題

再生可能エネルギーの最大の課題は「出力の不安定さ」です。
太陽光は夜間・雨天で発電できず、風力は風が吹かないと止まってしまいます。

そのため、「蓄電池」や「揚水発電」との組み合わせが重要になります🔋

📊 4つの発電方式を一覧比較

項目 水力 火力 原子力 新エネ
エネルギー源 水の位置エネルギー 化石燃料の燃焼熱 核分裂の熱 太陽光・風・地熱など
CO2排出 なし あり なし なし
燃料費 なし 高い 安い なし
出力安定性 高い(降水量次第) 非常に高い 非常に高い 低い(天候依存)
建設コスト 高い 非常に高い 低〜中
日本での割合(2023年) 約7% 約70% 約5% 約18%

📌 試験で問われるポイント

  • 水力発電:出力計算(P=9.8QHη)、揚水式の仕組み
  • 火力発電:熱効率計算、コンバインドサイクルの原理
  • 原子力発電:PWRとBWRの違い、核燃料サイクル
  • 新エネルギー:各発電方式の特徴、FIT制度

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✅ まとめ|発電方式の全体像を押さえて得点源にする

この記事では、電験三種・電力科目の基礎となる「発電方式の全体像」を、水力・火力・原子力・新エネルギーの4つに分けて徹底解説しました。

📌 この記事のポイント

  • 水力発電:水の位置エネルギーを利用。公式P=9.8QHηは超重要
  • 火力発電:日本の主力(約70%)。熱効率計算が頻出
  • 原子力発電:PWRとBWRの違いを押さえる
  • 新エネルギー:太陽光・風力が急成長。出力不安定が課題
  • 各発電方式のメリット・デメリットを理解する

発電方式の全体像を理解することで、電力科目の他の分野(送電・変電・配電)もスムーズに理解できるようになります💡

特に「水力発電の出力計算」「火力発電の熱効率計算」は、ほぼ毎年出題される超重要ポイントです。
公式を丸暗記するだけでなく、「なぜその公式になるのか?」を理解しておくと、応用問題にも対応できます✨

次は、各発電方式の詳細な計算問題送電・配電の仕組みを学んでいきましょう!
一歩ずつ着実に進めば、必ず合格できます🚀

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