機械科目の解説

【図解でスッキリ】三相変圧器の結線|Y結線とΔ結線の違いを完全攻略

😰 こんな悩み、ありませんか?

  • Y結線とΔ結線の違いがよく分からない
  • 「√3倍」がどこから出てくるのか理解できない
  • Y-ΔとかΔ-Yとか、組み合わせが多すぎて混乱する
  • 結局、試験でどう使えばいいの?

📌 この記事の結論

Y結線は「星形に中心でつなぐ」→ 線間電圧が√3倍になる。Δ結線は「三角形につなぐ」→ 線間電圧=相電圧。この2つの形をイメージできれば、どんな組み合わせも怖くありません!

📚 前提知識: この記事を読む前に「変圧器の試験」を読んでおくとスムーズです。用語が分からないときは「変圧器の用語辞典」もどうぞ。

三相変圧器の結線は、電験三種で必ず出題される重要テーマです。

でも、「Y」とか「Δ」とか、なんだかアルファベットが飛び交って混乱しますよね。

安心してください。この記事では、「形」をイメージすることで直感的に理解できるように解説します。

「星の形」と「三角形の形」、この2つのイメージだけ覚えれば、結線の問題は怖くなくなりますよ!

⭐ Y結線(スター結線)とは?

まずはY結線から理解しましょう。

「Y」という文字を思い浮かべてください。3本の線が中心の1点で合流している形ですよね。

Y結線の形をイメージしよう

☕ たとえ話:3人が手をつなぐ

3人の人が、中央で片手ずつ握り合っている状態を想像してください。それぞれの人のもう一方の手が外に伸びています。これがY結線のイメージです。中央で手をつないでいる部分が「中性点」と呼ばれます。

この形には、とても重要な特徴があります。

相電圧と線間電圧の関係

Y結線で覚えるべき公式はこれです:

Y結線の電圧関係

V線間 = √3 × V

「なぜ√3が出てくるの?」と思いますよね。

これ、実は三角形の幾何学から来ています。

💡 √3の正体

3本の線が中心から120°ずつの角度で広がっています。この角度で配置されたベクトルの「差」を計算すると、自動的に√3(≒1.732)が出てくるのです。数学的な証明は難しいですが、「120°の配置だから√3」とセットで覚えればOKです!

Y結線の電流関係

電圧とは逆に、電流は同じになります。

Y結線の電流関係

I = I

なぜかというと、Y結線では電流が中性点を通って一直線に流れるからです。分岐しないので、線電流と相電流は同じ値になります。

🔺 Δ結線(デルタ結線)とは?

次はΔ結線です。

「Δ(デルタ)」はギリシャ文字で、三角形の形をしています。その名の通り、コイルを三角形につなぐのがΔ結線です。

Δ結線の形をイメージしよう

☕ たとえ話:3人が輪になって手をつなぐ

今度は3人が輪になって両隣の人と手をつないでいる状態を想像してください。誰も中央にはいません。上から見ると三角形の形になっていますね。これがΔ結線のイメージです。

相電圧と線間電圧の関係

Δ結線の公式はとてもシンプルです:

Δ結線の電圧関係

V線間 = V

なぜ同じなのでしょうか?

💡 なぜ電圧が同じ?

Δ結線では、コイルが2つの線の「間」に直接つながっているからです。コイルにかかる電圧(相電圧)がそのまま線間電圧になります。中性点を経由しないので、√3は出てきません。

Δ結線の電流関係

電圧がシンプルな代わりに、電流は√3倍になります。

Δ結線の電流関係

I = √3 × I

三角形の各頂点では、2つのコイルからの電流が合流します。この合流によって√3倍になるのです。

⚡ Y結線とΔ結線の違いを一覧表で比較

ここまでの内容を表にまとめましょう。この表は試験直前の確認にも使えます!

項目 ⭐ Y結線(スター) 🔺 Δ結線(デルタ)
形のイメージ 星形・中心で合流 三角形・輪でつながる
中性点 あり なし
線間電圧と相電圧 VL = √3 × Vp VL = Vp
線電流と相電流 IL = Ip IL = √3 × Ip
√3がつく場所 電圧 電流

🎯 暗記のコツ:√3はどこにつく?

「Y」と「Δ」の字をよく見てください。

  • Y結線:「Y」は上に広がる形 → 電圧が広がる(√3倍)
  • Δ結線:「Δ」は三角形で電流が合流 → 電流が合流(√3倍)

🔄 変圧器の4つの結線パターン

三相変圧器には一次側(入力側)二次側(出力側)があります。

それぞれの側でY結線かΔ結線かを選べるので、4つの組み合わせができます。

4つの結線パターン一覧

結線名 一次側 二次側 特徴・用途
Y-Y結線 Y(スター) Y(スター) 中性点接地可能。励磁電流の第3調波で電圧波形がひずむことがある
Y-Δ結線 Y(スター) Δ(デルタ) 高電圧→低電圧への変換。配電用変圧器で多用
Δ-Y結線 Δ(デルタ) Y(スター) 低電圧→高電圧への変換。発電所の昇圧用
Δ-Δ結線 Δ(デルタ) Δ(デルタ) 第3調波の問題なし。1台故障でもV結線で運転継続可能

電圧の変換比を考えよう

例えばY-Δ結線で、巻数比が1:1だとしましょう。

📝 例題:Y-Δ結線での電圧変換

条件:一次側線間電圧 6,600V、巻数比 1:1

① 一次側相電圧 = 6,600 ÷ √3 = 3,810V(Y結線なので)

② 二次側相電圧 = 3,810V(巻数比1:1なので同じ)

③ 二次側線間電圧 = 3,810V(Δ結線なので相電圧=線間電圧)

→ 結果:6,600V → 3,810V に降圧!

巻数比が1:1でも、結線の組み合わせで電圧が変わるところがポイントです。

🔧 【ボーナス知識】V結線とは?

Δ-Δ結線の変圧器で、1台が故障した場合の話です。

3台のうち1台が壊れても、残り2台だけで三相電力を送ることができます。これをV結線(開放Δ結線)といいます。

V結線の出力容量

V結線の出力

Δ-Δ結線の約 57.7%(= 1/√3 ≒ 0.577)

☕ たとえ話:三脚と二脚

カメラの三脚を想像してください。3本の足でしっかり立っていますよね。でも1本折れても、残り2本で何とか支えられます。ただし安定性(出力)は落ちる。これがV結線のイメージです。

🎯 試験での出題ポイント

  • V結線の出力はΔ-Δの約57.7%(1/√3)
  • V結線の利用率は86.6%(√3/2)
  • 「なぜ2/3ではなく1/√3なのか」が問われることも

📌 まとめ

この記事のポイント

項目 Y結線 Δ結線
線間電圧 √3 × 相電圧 =相電圧
線電流 =相電流 √3 × 相電流
  • 4つの結線パターン:Y-Y、Y-Δ、Δ-Y、Δ-Δ
  • V結線:Δ-Δの1台故障時、出力は約57.7%(1/√3)
  • 暗記のコツ:Y→電圧に√3、Δ→電流に√3

三相変圧器の結線は、「形をイメージする」ことで格段に理解しやすくなります。

「星形」と「三角形」、そして「√3がどこにつくか」を押さえておけば、試験でも自信を持って解答できますよ!

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