QC検定 実践編

【QC検定1級】プロセス(工程)の考え方|インプット・アウトプット・変換

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 「プロセス」と「工程」は同じ意味?
  • インプット・アウトプットって何のこと?
  • 「プロセスアプローチ」がよくわからない
  • 「付加価値」の意味を説明できない
✅ この記事でわかること
  • プロセスの定義と「料理」で理解する考え方
  • インプット・変換・アウトプットの関係
  • 「付加価値」とは何か
  • プロセスアプローチの考え方と実践方法

あなたは今朝、「目玉焼き」を作りましたか?

もし作ったなら、あなたは立派な「プロセス」を実行したことになります。

「え?ただ卵を焼いただけなのに?」

そう、その「ただ卵を焼いただけ」が、まさにプロセスなんです。

🍳 目玉焼きのプロセス
インプット(入力):生卵、油、塩
変換(プロセス):フライパンで焼く
アウトプット(出力):目玉焼き

「生卵」という材料を入れて、「焼く」という作業をして、「目玉焼き」という製品が出てくる。この一連の流れが「プロセス」です。

💡 プロセスとは?(ひとことで言うと)

「何かを入れて、何かをして、何かを出す」
という一連の活動のこと

この記事では、品質管理における「プロセス」の考え方を、身近な例でわかりやすく解説します。

📘 関連記事
プロセスを管理するための作業標準書について先に読んでおくと理解が深まります。

【QC検定1級】作業標準書の作り方|誰がやっても同じ品質を実現する →

プロセスの定義|ISO 9000での正式な意味

まずは「プロセス」の正式な定義を確認しましょう。

ISO 9000(品質マネジメントシステムの用語規格)では、プロセスを次のように定義しています。

📖 ISO 9000でのプロセスの定義

「インプットをアウトプットに変換する、
相互に関連する又は相互に作用する活動の集まり」

難しそうに見えますが、要するに「入力→変換→出力」のことです。

「プロセス」と「工程」は同じ?

日本語では「プロセス」と「工程」がほぼ同じ意味で使われます。

用語使われる場面ニュアンス
プロセスISO、品質マネジメント、経営広い概念(製造以外も含む)
工程製造現場、工場製造に特化したイメージ

QC検定では両方の言葉が出てきますが、基本的には同じ意味と考えてOKです。

プロセスの3要素|インプット・変換・アウトプット

プロセスは3つの要素で構成されています。

これを理解するために、「カレーを作る」という例で考えてみましょう。

要素①|インプット(入力):何を入れるか

インプットとは、プロセスに「入れるもの」のことです。

🍛 カレーの場合のインプット
材料:肉、野菜、ルー、水
情報:レシピ(何をどう作るか)
エネルギー:ガス、電気
設備:鍋、包丁、コンロ
:料理する人

工場でいえば、原材料、部品、図面、電力、設備、作業者などがインプットにあたります。

要素②|変換(プロセス本体):何をするか

変換とは、インプットを加工・処理する「活動そのもの」です。

🍛 カレーの場合の変換
・野菜を切る
・肉を炒める
・水を入れて煮る
・ルーを溶かす
・煮込む

工場でいえば、切削、組立、溶接、塗装、検査などの作業が変換にあたります。

要素③|アウトプット(出力):何が出てくるか

アウトプットとは、プロセスから「出てくるもの」です。

🍛 カレーの場合のアウトプット
製品:カレー(おいしい料理)
副産物:野菜の皮、肉の脂
廃棄物:生ゴミ、使った油

アウトプットは「製品」だけでなく、副産物や廃棄物も含むことがポイントです。

工場でいえば、完成品、半製品、不良品、排水、排ガスなどがアウトプットにあたります。

「付加価値」とは?|プロセスの存在意義

プロセスを理解する上で、もう一つ重要な概念があります。

それが「付加価値」です。

付加価値=アウトプットの価値 − インプットの価値

付加価値とは、「プロセスを通じて、どれだけ価値が増えたか」を表します。

🍛 カレーの付加価値

インプットの価値:肉200円 + 野菜100円 + ルー100円 = 400円

アウトプットの価値:おいしいカレー1皿 = 800円(お店で売る場合)

付加価値 = 800円 − 400円 = 400円

「バラバラの材料」より「おいしいカレー」のほうが価値が高い。この「価値の増加分」が付加価値です。

付加価値を生まない活動=ムダ

ここで重要なのが、すべての活動が付加価値を生むわけではないということです。

付加価値を生む活動付加価値を生まない活動(ムダ)
野菜を切る(形が変わる)材料を取りに行く(移動)
肉を炒める(状態が変わる)鍋が空くのを待つ(待ち時間)
ルーを溶かす(味が変わる)調理器具を探す(探し物)
盛り付ける(見た目が変わる)作りすぎて捨てる(過剰生産)

品質管理では、付加価値を生む活動を最大化し、ムダを最小化することを目指します。

💡 ポイント
「お客様がお金を払ってもいいと思う活動」が付加価値を生む活動です。お客様は「野菜を切る作業」にはお金を払ってくれますが、「材料を探す時間」にはお金を払ってくれません。

プロセスの連鎖|前工程・後工程の関係

実際の仕事では、プロセスが1つだけということはありません。

複数のプロセスが「つながって」最終的な製品やサービスが生まれます。

プロセスの連鎖とは?

あるプロセスのアウトプットが、次のプロセスのインプットになります。

🍛 カレー定食を作るプロセスの連鎖

プロセス①「ご飯を炊く」
 米 → 炊飯 → ご飯

プロセス②「カレーを作る」
 材料 → 調理 → カレー

プロセス③「盛り付ける」
 ご飯 + カレー → 盛り付け → カレー定食

プロセス①②のアウトプット(ご飯、カレー)が、プロセス③のインプットになっていますね。

「後工程はお客様」という考え方

品質管理で有名な言葉に「後工程はお客様」があります。

これは、自分の次の工程を「お客様」だと思って、良いものを渡そうという考え方です。

🍳 「後工程はお客様」の例
悪い例:「ご飯がベチャベチャでも、盛り付け担当が何とかしてくれるだろう」

良い例:「盛り付け担当が盛りやすいように、ちょうどいい硬さのご飯を炊こう」

自分の工程で問題を作らない。次の工程が困らないようにする。この意識が品質の連鎖を生みます。

⚠️ 反対の考え方「前工程は仕入先」
同様に、自分の前の工程を「仕入先」と考え、「良いインプットをもらう」ことも重要です。悪いインプットが来たら、そのまま受け入れずに前工程にフィードバックします。

プロセスに影響を与える要因|4M+1E

プロセスのアウトプット(品質)は、さまざまな要因に影響されます。

代表的なものが「4M+1E」です。

4M+1Eとは?

🔧 プロセスに影響する4M+1E

Man(人):作業者の技能、経験、体調
Machine(機械):設備の精度、調整状態、故障
Material(材料):原材料の品質、ロット差
Method(方法):作業手順、条件、標準
Environment(環境):温度、湿度、照明、清浄度

カレー作りで考えてみましょう。

要因カレーの例品質への影響
Man(人)料理の腕前、集中力初心者は失敗しやすい
Machine(機械)コンロの火力、鍋の状態火力が弱いと煮込み不足
Material(材料)肉の鮮度、野菜の品質古い材料は味が落ちる
Method(方法)レシピ、煮込み時間手順を間違えると失敗
Environment(環境)気温、湿度暑い日は食材が傷みやすい

プロセスを管理するとは、この4M+1Eを適切にコントロールすることです。

プロセスアプローチとは?|ISO 9001の基本概念

ISO 9001(品質マネジメントシステム)では、「プロセスアプローチ」という考え方を重視しています。

プロセスアプローチの定義

📖 プロセスアプローチとは

活動とそれに関連する資源を「プロセス」として管理し、
プロセスの相互作用(つながり)を理解・管理することで、
望ましい結果をより効率的に達成する方法

難しそうに聞こえますが、要するに「仕事を『プロセス』の視点で見よう」ということです。

従来のアプローチ vs プロセスアプローチ

従来のアプローチプロセスアプローチ
視点部門・担当者ごとプロセス(仕事の流れ)ごと
管理の単位「誰がやったか」「どのプロセスか」
問題の原因「誰のせいか」「どのプロセスに問題があるか」
改善の対象人の教育・注意プロセス自体の改善
🍳 カレーがまずかった場合の違い
従来:「Aさんの腕が悪い。もっと練習しろ」

プロセスアプローチ:「煮込みプロセスに問題がある。レシピを改善しよう」

「人」ではなく「プロセス」に着目することで、根本的な改善ができるようになります。

プロセスアプローチの3つのメリット

✅ プロセスアプローチのメリット

① 全体最適ができる
 部門ごとに最適化しても、全体では非効率なことがある
 → プロセス全体を見ることで、本当の最適化ができる

② 再発防止がしやすい
 「人のミス」で終わらせず、プロセスを改善する
 → 同じ問題が繰り返されない

③ 継続的改善ができる
 プロセスのパフォーマンスを測定・分析できる
 → データに基づいた改善ができる

プロセスの「見える化」|フローチャートとQC工程図

プロセスを管理するには、まず「見える化」が必要です。

頭の中だけで理解していても、共有できません。図に描いて、誰でも理解できるようにしましょう。

見える化ツール①|フローチャート

フローチャートは、プロセスの流れを図形と矢印で表したものです。

📊 フローチャートの基本記号
○(楕円):開始・終了
□(四角):処理・作業
◇(ひし形):判断・分岐
→(矢印):流れの方向

フローチャートを使うと、「どこで分岐があるか」「どこに戻るか」が一目でわかります。

見える化ツール②|QC工程図(QC工程表)

QC工程図は、製造工程ごとに「何を管理するか」を一覧にしたものです。

📋 QC工程図に記載する内容
・工程名
・管理項目(何を管理するか)
・管理特性(どの品質特性を見るか)
・管理方法(どうやって管理するか)
・判定基準(OKかNGか)
・使用する設備・計測器
・担当者

フローチャートが「流れ」を見せるのに対し、QC工程図は「各工程の管理ポイント」を見せます。

プロセスの継続的改善|PDCAサイクル

プロセスは、一度作ったら終わりではありません。

継続的に改善していくことが大切です。そのためのフレームワークがPDCAサイクルです。

🔄 PDCAサイクル

P(Plan)計画:目標を決め、計画を立てる
D(Do)実行:計画通りに実行する
C(Check)確認:結果を測定し、計画と比較する
A(Act)処置:問題があれば原因を分析し、改善する

このサイクルを繰り返し回すことで、プロセスがどんどん良くなっていきます。

🍛 カレー作りのPDCA
P:「今日は辛口のカレーを作ろう」と計画
D:レシピ通りに作る
C:味見をしてみる → 「あれ、あまり辛くない」
A:「次はスパイスを増やそう」と改善

→ 次のサイクルでもっとおいしいカレーが作れる!

まとめ|プロセスの考え方は品質管理の基本

この記事では、プロセス(工程)の考え方を解説しました。

📝 この記事のポイント

プロセスとは「インプット→変換→アウトプット」の一連の活動

インプットは材料・情報・エネルギー・設備・人など、変換は作業・処理、アウトプットは製品・副産物・廃棄物

付加価値=アウトプットの価値−インプットの価値。ムダは付加価値を生まない活動

✅ プロセスは連鎖する。「後工程はお客様」の意識で良いものを渡す

✅ プロセスに影響する要因は4M+1E(人・機械・材料・方法・環境)

プロセスアプローチは「人」ではなく「プロセス」に着目する考え方

✅ プロセスはPDCAサイクルで継続的に改善する

「プロセス」という言葉は難しく聞こえますが、要するに「何かを入れて、何かをして、何かを出す」という当たり前のことです。

この「当たり前」を意識して仕事を見ると、どこに問題があるか、どこを改善すべきかが見えてきます。

明日から、自分の仕事を「インプット→変換→アウトプット」の視点で見てみませんか?

キーワード解説一覧|試験対策用

用語意味
プロセス(工程)インプットをアウトプットに変換する、相互に関連する活動の集まり(ISO 9000定義)
インプット(入力)プロセスに入れるもの。材料、情報、エネルギー、設備、人など
アウトプット(出力)プロセスから出てくるもの。製品、副産物、廃棄物など
変換インプットをアウトプットに変える活動そのもの。加工、処理、作業など
付加価値プロセスを通じて増加した価値。アウトプットの価値−インプットの価値
ムダ付加価値を生まない活動。移動、待ち、探し物、過剰生産など
後工程はお客様自分の次の工程を「お客様」と考え、良いアウトプットを渡すという考え方
4MMan(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)の4要素
4M+1E4MにEnvironment(環境)を加えた5要素
プロセスアプローチ活動をプロセスとして管理し、プロセスの相互作用を理解・管理する方法(ISO 9001の基本概念)
プロセスの連鎖複数のプロセスがつながること。あるプロセスのアウトプットが次のプロセスのインプットになる
フローチャートプロセスの流れを図形と矢印で表した図。流れの可視化に使う
QC工程図(QC工程表)各工程の管理項目・管理方法を一覧にした表。管理ポイントの可視化に使う
PDCAサイクルPlan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Act(処置)の継続的改善サイクル
SDCAサイクルStandardize(標準化)→Do(実行)→Check(確認)→Act(処置)の日常管理サイクル
継続的改善パフォーマンスを向上させるために繰り返し行う活動(ISO 9000定義)

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