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- V(XY)の公式が長くて覚えられない
- 和の分散はかんたんなのに、積はなぜ3つも項があるの?
- QC検定1級の積の分散の問題で手が止まる
- 積の期待値と分散の公式
- 3つの項の意味(長方形の面積で)
- 公式の導出と例題
- 平均と標準偏差を入れるだけの計算ツール
XとYが独立なら、積の期待値は E(XY)=E(X)E(Y)、積の分散は V(XY)=V(X)V(Y)+{E(Y)}²V(X)+{E(X)}²V(Y) です。和の分散 V(X)+V(Y) とちがって、相手の平均の2乗がかかった項が出てくるのがポイントです。ばらつきが平均にくらべて小さいときは、変動係数の2乗が足せる((σXY/μXY)²≒CVX²+CVY²)と覚えておくと便利です。

積の期待値と分散の公式|和との比較
| 和 X+Y | 積 XY | |
|---|---|---|
| 期待値 | E(X)+E(Y)(いつでも成り立つ) | E(X)E(Y)(独立のとき) |
| 分散(独立のとき) | V(X)+V(Y) | V(X)V(Y)+{E(Y)}²V(X)+{E(X)}²V(Y) |
和の分散は分散を足すだけですが、積の分散には相手の平均の2乗がかかった項が入ります。平均が大きいほど、相手のばらつきが何倍にも広げられるからです。
サイコロ2個の積なら、期待値は 3.5×3.5=12.25、分散は (35/12)²+3.5²×35/12+3.5²×35/12≒79.97 です。和の分散 35/6≒5.83 とくらべて、はるかに大きくなります。
和の分散はなぜ足せるのか

3つの項の意味|長方形の面積で考える
縦X×横Yの長方形の面積を考えます。縦も横も、平均のまわりで少しずつばらつきます。面積のばらつきは、次の3つから生まれます。
| 項 | 式 | 意味 |
|---|---|---|
| ① | {E(Y)}²V(X) | 横は平均のまま、縦だけがばらつく分 |
| ② | {E(X)}²V(Y) | 縦は平均のまま、横だけがばらつく分 |
| ③ | V(X)V(Y) | 縦と横のずれが重なる分(ふつうはとても小さい) |
①は「縦のずれ×平均の横」なので、縦のばらつきが平均の横の長さ倍に広がります。分散は2乗で効くので {E(Y)}² がかかります。③はずれどうしのかけ算なので、ばらつきが平均より十分小さければ、ほとんど無視できます。

V(XY)の公式の導出
分散の公式 V(Z)=E(Z²)−{E(Z)}² を、Z=XY にあてはめます。
| ステップ | 式 |
|---|---|
| ① 分散の公式 | V(XY)=E(X²Y²)−{E(XY)}² |
| ② 独立なので分けられる | E(X²Y²)=E(X²)E(Y²)、E(XY)=E(X)E(Y) |
| ③ 2乗の期待値を分散で表す | E(X²)=V(X)+{E(X)}²、E(Y²)=V(Y)+{E(Y)}² |
| ④ 代入して展開 | {V(X)+E(X)²}{V(Y)+E(Y)²}−E(X)²E(Y)² |
| ⑤ E(X)²E(Y)² が消える | V(X)V(Y)+{E(Y)}²V(X)+{E(X)}²V(Y) |
カギは③の E(X²)=V(X)+{E(X)}²(2乗の期待値=分散+期待値の2乗)です。この変形は、期待値と分散の問題で何度も使います。
期待値と分散の関係
例題:長方形の面積のばらつき
縦Xは平均10cm・標準偏差0.1cm、横Yは平均5cm・標準偏差0.2cm(独立)。面積XYの平均と標準偏差は?
| ステップ | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| ① 平均 | 10×5 | 50cm² |
| ② {E(Y)}²V(X) | 5²×0.1²=25×0.01 | 0.25 |
| ③ {E(X)}²V(Y) | 10²×0.2²=100×0.04 | 4 |
| ④ V(X)V(Y) | 0.01×0.04 | 0.0004 |
| ⑤ 分散と標準偏差 | 0.25+4+0.0004=4.2504 | σ≒2.06cm² |
分散のほとんど(約94%)は③の横のばらつきから来ています。面積のばらつきを減らしたいなら、横の寸法を管理するのが効果的、とわかります。
変動係数で近似する
V(X)V(Y) を無視して両辺を {E(X)E(Y)}² で割ると、(σXY÷μXY)²≒(σX÷μX)²+(σY÷μY)² になります。つまり、積では変動係数(標準偏差÷平均)の2乗が足せるのです。例題なら 50×√(0.01²+0.04²)≒2.06 で、ほぼ同じ値です。
和の平均・分散と部品組立の問題

積の期待値と分散の計算ツール
XとYの平均と標準偏差を入れてください(XとYは独立とします)。最初は例題の数字が入っています。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。XとYが独立のときの公式で計算しています。
独立でないときと、よくある間違い
XとYに関係があるときは、E(XY)=E(X)E(Y)+Cov(X, Y) となり、この記事の分散の公式もそのままは使えません。問題文で「独立」と書かれているかを、まず確かめましょう。
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| V(XY)=V(X)V(Y) | 相手の平均の2乗がかかった2つの項を忘れない |
| {E(X)}² と E(X²) を同じとする | E(X²)=V(X)+{E(X)}²。分散の分だけ大きい |
| 独立でないのに E(XY)=E(X)E(Y) | 共分散の分だけずれる |
| 標準偏差どうしをかける | 分散を求めてからルート |
| 和と同じく分散を足す | 積は3つの項。近似なら変動係数の2乗を足す |

よくある質問
- 独立なら E(XY)=E(X)E(Y)
- V(XY)=V(X)V(Y)+{E(Y)}²V(X)+{E(X)}²V(Y)
- 相手の平均の2乗がかかるのが和とのちがい
- 導出のカギは E(X²)=V(X)+{E(X)}²
- ばらつきが小さければ変動係数の2乗が足せる

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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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積の期待値と分散がわかったら、統計学の全体の地図で、次に学ぶ分布や検定へ進みましょう。
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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。