- ANDとORはわかるけど、NANDとNORの違いが曖昧
- 回路図を見て論理式に変換しろと言われると、どこから手をつけていいかわからない
- ド・モルガンの法則が覚えられない。「バーを分配して記号を反転」って何?
- 真理値表は書けるけど、それが実際の回路図とどう繋がるのかピンとこない
- 7種類の論理ゲート(AND, OR, NOT, NAND, NOR, XOR, XNOR)の記号・真理値表・論理式を比較表1枚で完全整理
- ド・モルガンの法則の意味と「絶対に忘れない覚え方」
- 回路図 → 論理式 → 真理値表 の変換手順を計算例つきで解説
電験三種の機械科目で「論理回路」が出るとき、大きく分けて2パターンあります。1つは「この回路の出力として正しいものを選べ」という正誤問題。もう1つは「論理式を簡単化せよ」「真理値表を完成させよ」という計算・作図問題です。
どちらのパターンでも、必要な知識は同じです。7種類のゲートの動作を正確に覚えているかどうか——これだけで勝負が決まります。
この記事では、7種類すべてを「イメージ」と「真理値表」で整理し、最後にド・モルガンの法則で論理式を操作する方法まで解説します。計算が苦手な方でも、一度手を動かせば試験本番で困ることはなくなります。
目次
そもそも論理回路とは?|「YES / NO の判定マシン」
論理回路とは、入力(0 or 1)を受け取り、ルールに従って出力(0 or 1)を返す回路です。コンピュータの中身は、突き詰めるとこの論理回路の組み合わせでできています。
「0」と「1」は、電気回路では「電圧が低い(OFF)」と「電圧が高い(ON)」に対応します。つまり論理回路は「スイッチがONかOFFかの組み合わせで、最終的にONにするかOFFにするかを決めるルール」です。
🚪 身近な例で考える
あなたの部屋のドアに「暗証番号ロック」がついているとします。
・ボタンAとボタンBの両方を押したら開く → これが AND回路
・ボタンAかボタンBのどちらかを押したら開く → これが OR回路
・ボタンを押していないときだけ開く → これが NOT回路
論理回路は、こうした「条件の組み合わせで結果を決めるルール」を電子部品で実現したものです。
真理値表とは?
真理値表(しんりちひょう)は、入力のすべての組み合わせに対して、出力がどうなるかを一覧にした表です。入力が2つなら 2²=4通り、3つなら 2³=8通りの行になります。
入力の全パターンを漏れなく書けるかがポイントです。2入力なら (0,0) (0,1) (1,0) (1,1) の4行。この順番(2進数で0,1,2,3)で書くと抜け漏れがなくなります。これは前回の2進数の記事で学んだ知識がそのまま活きます。

基本の3ゲート|AND・OR・NOT
すべての論理回路は、この3種類の基本ゲートの組み合わせで作れます。まずはここを完璧にしてください。
① AND(論理積)|「両方1のときだけ1」
ANDゲートは、入力が全部1のときだけ出力が1になります。イメージは「直列スイッチ」。2つのスイッチが両方ONのときだけ電気が通ります。
Y = A · B
(「A かつ B」。記号は「·」または「∧」)
| A | B | Y |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
② OR(論理和)|「どちらか1つでも1なら1」
ORゲートは、入力のどれか1つでも1なら出力が1になります。イメージは「並列スイッチ」。どちらかのスイッチが1つでもONなら電気が通ります。
Y = A + B
(「A または B」。記号は「+」または「∨」)
| A | B | Y |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 1 |
論理式の「A + B」は算術的な足し算ではありません。「AまたはB」という意味です。1 + 1 = 2 ではなく、1 + 1 = 1(どちらかが1なら1)です。ここを混同すると正誤問題でやられます。
③ NOT(論理否定)|「入力の反転」
NOTゲートは、入力を反転させるだけ。1を入れたら0、0を入れたら1。最もシンプルなゲートです。入力は1つだけ。
Y = A
(Aの上にバーを引く。「Aの否定(NOT A)」)
| A | Y |
|---|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 0 |
NOTゲートの記号は三角形の先端に小さな丸(○)がついています。この「丸」が「反転」を意味すると覚えてください。この丸は、後述するNAND・NORの記号にも出てきます。丸がついたら「出力が反転している」のサインです。

NAND・NOR|「基本ゲート + NOT」の組み合わせ
NAND と NOR は、それぞれ AND と OR の出力をNOTで反転させたものです。名前の由来もそのまま「Not + AND」「Not + OR」です。
④ NAND(否定論理積)|「ANDの反転」
ANDの出力をひっくり返したもの。両方1のときだけ0、それ以外は1。ANDの真理値表の出力を全部反転させるだけです。
Y = A · B
(ANDの結果全体にバーをかける)
| A | B | Y |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
⑤ NOR(否定論理和)|「ORの反転」
ORの出力をひっくり返したもの。両方0のときだけ1、それ以外は0。ORの真理値表の出力を全部反転させるだけです。
Y = A + B
(ORの結果全体にバーをかける)
| A | B | Y |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 0 |
回路記号は元のゲート(AND or OR)の記号の出力側に小さな丸(○)がついたものです。この丸は「NOT」を意味します。丸を見たら「あ、反転してるな」と反射的に思えるようにしてください。
実は、NANDゲートだけですべての論理回路を構成できることが知られています。AND, OR, NOT のすべてをNANDの組み合わせで作れるため、ICチップの製造では「NANDゲートの集合体」として設計されることが多いです。これは電験の正誤問題で「NANDゲートのみであらゆる論理回路を構成できる → ○(正しい)」として出題されることがあります。

XOR・XNOR|「同じか違うか」を判定するゲート
⑥ XOR(排他的論理和)|「入力が違うときだけ1」
XORは「Exclusive OR(排他的OR)」の略です。ORは「どちらか1つでも1なら1」でしたが、XORは「入力が異なるときだけ1」です。両方1のときは0。ORとの違いはここだけです。
Y = A ⊕ B
(丸の中にプラス。展開すると Y = A·B + A·B)
| A | B | Y |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 1 |
| 1 | 0 | 1 |
| 1 | 1 | 0 |
⑦ XNOR(排他的論理和の否定)|「入力が同じときだけ1」
XNORはXORの反転。入力が同じときだけ1。「一致回路」とも呼ばれ、2つの値が同じかどうかを判定するときに使います。
Y = A ⊕ B
(XOR全体にバー。展開すると Y = A·B + A·B)
| A | B | Y |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
真理値表で違うのは最後の1行だけです。
・OR:A=1, B=1 のとき → Y=1(どちらかが1なら1。「両方」含む)
・XOR:A=1, B=1 のとき → Y=0(「排他的」=同じものは排除)
「XORはじゃんけんの"あいこ"を弾くゲート」と覚えると、同じ入力で0になることが直感的にわかります。

【保存版】7種類の論理ゲート比較表
ここまでの7種類を1枚の比較表に集約します。試験直前にこの表だけ見返してください。
| ゲート名 | 論理式 | 意味 | 00 | 01 | 10 | 11 | 記号の特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AND | A · B | 両方1で1 | 0 | 0 | 0 | 1 | D字型(平ら) |
| OR | A + B | どちらかが1で1 | 0 | 1 | 1 | 1 | ロケット型(尖り) |
| NOT | A | 反転 | 入力0→1、入力1→0 | 三角+丸○ | |||
| NAND | A · B | ANDの反転 | 1 | 1 | 1 | 0 | AND+丸○ |
| NOR | A + B | ORの反転 | 1 | 0 | 0 | 0 | OR+丸○ |
| XOR | A ⊕ B | 異なると1 | 0 | 1 | 1 | 0 | OR+背面に二重線 |
| XNOR | A ⊕ B | 同じなら1 | 1 | 0 | 0 | 1 | XOR+丸○ |
NANDとNORの出力を間違えるパターンが最頻出です。
・NAND:(1,1)のときだけ0。それ以外は1。
・NOR:(0,0)のときだけ1。それ以外は0。
迷ったら「元のゲート(ANDまたはOR)の真理値表を書いてから、出力を全部ひっくり返す」と確実です。

論理式の基本法則|式を簡単にするための「道具」
論理式を操作するルールをブール代数と呼びます。試験で式の簡単化をする際に必要な法則を整理します。全部覚える必要はなく、太字の法則だけ使いこなせれば十分です。
| 法則名 | AND 系(·) | OR 系(+) |
|---|---|---|
| 同一律 | A · 1 = A | A + 0 = A |
| 零元律 | A · 0 = 0 | A + 1 = 1 |
| べき等律 | A · A = A | A + A = A |
| 補元律 | A · A = 0 | A + A = 1 |
| 二重否定 | A = A(バー2回で元に戻る) | |
| ★ 分配律 | A · (B + C) = A·B + A·C | A + (B · C) = (A+B) · (A+C) |
| ★ 吸収律 | A · (A + B) = A | A + (A · B) = A |
分配律は普通の算数の「A × (B + C) = A×B + A×C」と同じ形です。ブール代数は特別なものではなく、普通の算数の延長線上にあります。ただし「A + A = A」「A · A = A」のように、普通の算数と違う部分もあるので注意してください。

ド・モルガンの法則|論理回路の最重要法則
ド・モルガンの法則は、電験三種の論理回路問題で最も使用頻度が高い法則です。NANDやNORの式を展開するとき、複雑な論理式を簡単化するとき、必ず登場します。
ド・モルガンの法則(2つだけ)
法則①(ANDのバーを外す)
A · B = A + B
全体のバーを外すとき:
「·」を「+」に変え、各要素にバーをつける
法則②(ORのバーを外す)
A + B = A · B
全体のバーを外すとき:
「+」を「·」に変え、各要素にバーをつける
絶対に忘れない覚え方:「バーを外すときは、3つ全部変える」
ド・モルガンの法則を使うときは、次の3つの操作を同時に行うだけです。
「·」⇄「+」
🎯 口で唱える覚え方
「全体のバーを外して、演算ひっくり返して、個別にバーをつける」
これを「外す・返す・つける」の3語で覚えてください。
試験中に迷ったら「外す・返す・つける」と唱えながら手を動かせば、確実に変換できます。
ド・モルガンの法則で「NANDをバラす」計算例
NAND の論理式 Y = A · B をド・モルガンの法則で展開してみましょう。
元の式: Y = A · B
① 全体のバーを外す
② 「·」を「+」に変える
③ 各要素にバーをつける
Y = A + B
これは「Aでない、または、Bでない」という意味です。NAND(両方1のときだけ0)と確かに同じ動作ですね。
ド・モルガンの法則の結果が正しいか不安なときは、変換前と変換後の式をそれぞれ真理値表に展開して一致するか確認しましょう。4行書くだけなので30秒で終わります。試験の見直し時間に「真理値表で検算」は非常に有効です。

実践|回路図から論理式を読み取り、真理値表を完成させる手順
電験三種の論理回路問題は、次の3ステップで解けます。
論理式を書く
簡単化する
各入力の出力を確認
計算例:NAND2つで構成された回路
以下のような回路を考えます。入力A, BがまずNANDゲートに入り、その出力が次のNANDゲートの両方の入力に接続されているケースです。
A ──┐
├── NAND ──┬── NAND ── Y
B ──┘ └──┘
第1段のNANDの出力が、第2段のNANDの「両方の入力」に入る
STEP 1:回路図から論理式を書く
入力側(手前)から順に式を書いていきます。
第1段のNAND出力: X = A · B
第2段のNAND出力: Y = X · X
STEP 2:論理式を簡単化する
Y = X · X
↓ べき等律(X · X = X)を使う
Y = X
↓ X = A · B を代入
Y = A · B
↓ 二重否定(バー2つで元に戻る)
Y = A · B
なんと、NANDを2段つなげるとANDになります。「NANDの反転をさらに反転」で元に戻るわけです。
STEP 3:真理値表で確認する
| A | B | X = A·B | Y = A · B |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 | 0 |
| 0 | 1 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 1 | 0 |
| 1 | 1 | 0 | 1 |
Yの列はANDの真理値表と一致しています。計算結果の通りです。
回路図が複雑で「どこから式を書けばいいかわからない」ときは、出力側(右端)から逆にたどるのがコツです。最終出力のゲートを見て「入力は何か?」をたどり、中間の出力を文字(X, Y, Z…)で置いて1段ずつ式を書きます。

実践例|ド・モルガンの法則で論理式を簡単化する
もう1問、実際に試験で出そうな式を簡単化してみましょう。
例題:Y = A · B + A · B + A · B を簡単化せよ
元の式: Y = A·B + A·B + A·B
↓ 第2項と第3項をくくり出す(分配律の逆:A を共通因子として)
Y = A·B + A·(B + B)
↓ 補元律(B + B = 1)を使う
Y = A·B + A·1
↓ 同一律(A · 1 = A)を使う
Y = A·B + A
↓ 吸収律(A + A·B = A + B)を使う
Y = A + B
一見複雑な式が、実はただのORでした。このように、ブール代数の法則を使うと式が劇的にシンプルになることがあります。
① まず共通因子をくくり出す(分配律の逆)
② 補元律(A + A = 1)が使えないか探す
③ 吸収律が使えないか探す
この3ステップを順に試すだけで、ほとんどの簡単化問題は解けます。

正誤問題で狙われる「ひっかけポイント」総整理
| No. | ひっかけ選択肢の例 | 正誤 | 正しい知識 |
|---|---|---|---|
| 1 | NANDゲートは、入力がすべて1のとき出力が1になる | × | すべて1のとき0。NANDはANDの反転 |
| 2 | XORゲートは、入力が両方1のとき出力が1になる | × | 両方1のとき0。「排他的」=同じなら排除 |
| 3 | OR回路の論理式で 1 + 1 = 2 である | × | 論理式の「+」は算術演算ではない。1+1=1 |
| 4 | ド・モルガンの法則:A·B = A · B | × | 「·」は「+」に変わる。正しくは A + B |
| 5 | NANDゲートだけであらゆる論理回路を構成できる | ○ | 正しい。NANDは「万能ゲート」。NORも同様 |
| 6 | XNOR回路は「一致回路」とも呼ばれ、入力が同じとき出力が1になる | ○ | 正しい。XNORは「同じなら1」 |
ド・モルガンの法則で演算記号を反転し忘れるのが、不正解の原因No.1です。「全体のバーを外したら、·と+を必ずひっくり返す」——これを忘れないでください。「外す・返す・つける」です。

まとめ
📝 この記事のポイント
✅ 論理回路は7種類:AND, OR, NOT, NAND, NOR, XOR, XNOR
✅ NAND=ANDの反転、NOR=ORの反転。記号の先端に丸(○)がついたら反転
✅ XOR=「異なるとき1」、XNOR=「同じとき1」。ORとの違いは(1,1)の出力だけ
✅ ド・モルガンの法則は「外す・返す・つける」で覚える
✅ 回路図→論理式→簡単化→真理値表 の3ステップで解く
✅ 簡単化のコツ:①共通因子くくり出し → ②補元律 → ③吸収律 の順で試す
✅ NANDゲートだけですべての論理回路を構成できる(万能ゲート)
論理回路は、7種類のゲートの動作さえ正確に覚えていれば確実に得点できる分野です。特にド・モルガンの法則は「外す・返す・つける」と口で唱えながら手を動かす練習を2〜3回やれば、もう忘れません。試験前にこの記事の比較表とひっかけポイント一覧を見返してみてください。
📚 次に読むべき記事
論理回路と密接に関わるn進数の変換方法。2の補数や加減算の手順を解説しています。
機械科目の全10分野の出題傾向と、効率的な勉強順序がわかるロードマップ記事です。
合格者が「もっと早く買えばよかった」と後悔したアイテムをランキング形式で紹介。