法規科目の解説

電気工事業法を完全攻略|登録・通知・主任電気工事士の違いを図解【電験三種】

「電気工事業法って、電気工事士法と何が違うの?」と混乱していませんか?前回学んだ電気工事士法が"人"を規制する法律なら、今回の電気工事業法は"会社(事業者)"を規制する法律です。この違いを押さえるだけで、過去問は驚くほどシンプルに解けるようになります。

😩 こんな悩みはありませんか?

  • 「登録」と「通知」の違いがどっちがどっちか覚えられない
  • 主任電気工事士って誰のこと?電気主任技術者と違うの?
  • 営業所に備え付ける器具の名前と数を忘れてしまう
  • 電気工事士法・電気工事業法・電気事業法、全部似てて混乱する

💡 この記事を読めばわかること

  • 電気工事業法の正式名称と、規制対象の整理
  • 「登録(一般用扱う)」と「通知(自家用のみ扱う)」の覚え方
  • 主任電気工事士の選任要件と職務
  • 営業所に備え付ける測定器具3種(絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計)
  • 過去問パターン3問(R5下・R3・H26)の解答ポイント
📍 あなたは今ここを学習中
電験三種・法規 完全ロードマップ Chapter 1:電気事業法とその他の法規 第10回:電気工事業法
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⚡ 結論:覚えるべきは「登録 vs 通知」の対比だけ

電気工事業法で問われることの9割は、この1枚の表に収まります。

項目 登録電気工事業者 通知電気工事業者
扱う工事 一般用も扱う
(自家用兼業もOK)
自家用のみ
(500kW未満)
手続き 登録(厳しい) 通知(事後でOK)
有効期間 5年(更新必要) 更新不要
主任電気工事士 設置義務あり 設置不要
備付け器具 3種類(絶縁・接地・回路計) 5種類(上記+低圧検電・高圧検電・継電器試験など)

覚え方のコツ:一般用の人(素人)も来るから、登録は厳しい。自家用専門はプロしか相手にしないから通知だけでOK」。一般用電気工作物は素人が触る家庭の電気だから、より慎重な事前審査(登録)が必要、という考え方です。

📖 電気工事業法の正式名称と目的

電気工事業法の正式名称は「電気工事業の業務の適正化に関する法律」です。長くて覚えにくいですが、要するに「電気工事を仕事として請け負う会社のルールを定めた法律」のこと。

電気工事業法の目的:「電気工事業を営む者の登録等及びその業務の規制を行うことにより、その業務の適正な実施を確保し、もって一般用電気工作物等の保安の確保に資すること」

🆚 電気工事士法との違いを整理

前回学んだ電気工事士法と、今回の電気工事業法は名前が似ていて混乱しがちです。「何を規制するか」の対比で整理しましょう。

法律 規制対象 具体例
電気工事士法 人(個人)の資格・義務 「Aさん」という工事士個人の作業範囲を規定
電気工事業法 事業者(会社)の登録・業務 「○○電気工事株式会社」の営業所運営を規定
💡 シラスの体験談
私の勤務先の工場で受電設備の改修工事を発注するとき、業者選定の条件として「登録電気工事業者であること」という記載がありました。発注側も法律を理解していないと、適切な業者選定ができないんですね。電験の知識は意外なところで活きます。

📝 登録電気工事業者:手続きと要件

「登録電気工事業者」は、一般用電気工作物(一般家庭など)の電気工事を請け負う事業者です。一般家庭の電気工事は素人にも直接関係するため、より厳格な事前審査制(登録)が採用されています。

✅ 登録の要件

要件項目 内容
登録先 都道府県知事(1つの都道府県内)
経済産業大臣(2つ以上の都道府県にまたがる場合)
有効期間 5年間(更新が必要)
主任電気工事士 営業所ごとに設置義務あり
器具の備付け 絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計の3種
標識の掲示 営業所と工事現場に標識を掲げる義務
帳簿の備付け 工事の記録を5年間保存
⚠️ 試験で狙われる数字
「登録の有効期間=5年」「帳簿の保存期間=5年」。両方とも5年なので、まとめて「登録は5年5年」と覚えてしまいましょう。

🏢 「みなし登録」とは?

建設業の許可(電気工事業)を受けている事業者が一般用電気工作物の工事も行う場合、「みなし登録電気工事業者」として扱われます。建設業許可とは別に登録手続きをしなくていい代わりに、「届出」が必要です。これも覚えておきましょう。

📨 通知電気工事業者:自家用専門の事業者

「通知電気工事業者」は、自家用電気工作物(500kW未満)の電気工事のみを請け負う事業者です。一般家庭の工事はしません。

取引相手が工場やビルなどのプロの事業者なので、登録のような厳格な事前審査ではなく、「通知」だけで済む仕組みになっています。

✅ 通知の要件

要件項目 内容
通知先 都道府県知事 または 経済産業大臣
通知のタイミング 事業を開始する10日前まで
有効期間 なし(更新不要)
主任電気工事士 設置義務なし
器具の備付け 5種(3種+低圧検電器・高圧検電器・継電器試験装置・絶縁耐力試験装置など)

⚠️ ここを問われたら即答できる重要ポイント
「通知電気工事業者には主任電気工事士の設置義務はない」
理由:自家用設備の工事は、発注先(事業者側)に電気主任技術者がいる前提だから、二重管理は不要というロジック。

🔄 自家用と一般用を両方扱う場合は?

「うちは家庭用も工場用も両方やる」という事業者は、登録電気工事業者になればOKです。登録は上位互換であり、登録さえあれば自家用工事も扱えます。

逆に、通知電気工事業者は自家用しか扱えないため、一般用工事を請け負うには登録手続きが別途必要です。

👷 主任電気工事士の選任要件と職務

「主任電気工事士」は、登録電気工事業者の営業所ごとに設置義務がある責任者です。電験三種で混同しやすい「電気主任技術者」とは全く別物なので注意してください。

⚠️ 紛らわしい3つの「主任」を整理
主任電気工事士(電気工事業法):登録電気工事業者の営業所責任者
電気主任技術者(電気事業法):自家用電気工作物の保安監督者
主任技術者(建設業法):建設工事現場の技術責任者

試験では①の話なのに②の知識で答えると間違えます。

✅ 主任電気工事士になれる人

パターン 資格要件 実務経験
パターン① 第一種電気工事士 不要
パターン② 第二種電気工事士 3年以上必要

📋 主任電気工事士の職務

電気工事業法第20条で、主任電気工事士の職務が定められています。

職務 内容
指導監督 一般用電気工作物に係る電気工事の作業を管理する
指示への従事 電気工事士等は、主任電気工事士の指示に従う義務がある
📌 試験で問われる比較ポイント
電気主任技術者は「保安監督」(事業用電気工作物の管理)。主任電気工事士は「工事の指導監督」(一般用電気工事の現場管理)。役割が違うので混同しないように。

🔧 備付け器具:3種類を確実に覚える

電気工事業者は、営業所ごとに測定器具を備え付ける義務があります。これは過去問で頻出するので、必ず覚えましょう。

📐 登録電気工事業者の備付け器具(3種)

器具名 用途 通称
絶縁抵抗計 電線と大地、電線同士の絶縁が良いか測る メガー
接地抵抗計 アース線がちゃんと地面に繋がっているか測る アーステスター
回路計 電圧・電流・抵抗を測れる万能計測器 テスター
📌 語呂合わせで覚える
続を避!」
縁抵抗計 + 地抵抗計 + 路計
少し強引ですが、これで3種類の頭文字を一気に思い出せます。

📐 自家用電気工作物も扱う場合の追加器具

自家用電気工作物の工事も行う場合(=通知電気工事業者、または自家用も兼業する登録電気工事業者)は、上記3種に加えて以下の器具も備える必要があります。

追加器具 用途
低圧検電器 600V以下の充電部の検電
高圧検電器 高圧電路の検電
継電器試験装置 保護継電器の動作試験
絶縁耐力試験装置 高圧機器の絶縁耐力試験
💡 シラスの体験談
工場の年次点検に立ち会うとき、業者さんが持ってくる工具箱の中身を見て「あ、これ電験で覚えた絶縁抵抗計だ」と気づいたことがあります。法律で備え付け義務がある器具を実物で見ると、知識が一気に立体的になります。

📝 過去問パターン徹底分析

電気工事業法は、近年の電験三種・法規で頻出度が高まっているテーマです。出題されやすい3つの観点を押さえましょう。

出題年度 問題番号 出題テーマ
平成26年度 問4 登録電気工事業者の義務(標識・帳簿・器具)
令和3年度 問2 営業所に備える器具(測定器3種)
令和5年度下期 問2 登録・通知の違いと主任電気工事士

🎯 頻出する3つの観点

観点①:登録と通知の使い分け
「一般用電気工作物の工事を行うには( ア )が必要、自家用のみなら( イ )でよい」という穴埋め問題。「登録=一般用も扱う、通知=自家用のみ」を即答できるように。

観点②:備付け器具の名称
「絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計」の3種は必須暗記。選択肢に「電力計」「周波数計」などの引っ掛けが入ることがあるので注意。

観点③:主任電気工事士の要件
「第二種電気工事士で主任電気工事士になるには、3年以上の実務経験が必要」。この"3年"の数字が選択肢で変えられる罠が多発します。

🎯 理解度テスト(過去問チャレンジ)

📋 出題:令和3年度 法規 問2(要約)

次の文章は、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づく、電気工事業者が営業所ごとに備え付けなければならない器具に関する記述である。一般用電気工事のみの業務を行う営業所において、備え付けなければならない器具として、適切なものはどれか。

  1. 絶縁抵抗計、電力計、回路計
  2. 絶縁抵抗計、接地抵抗計、回路計
  3. 絶縁抵抗計、接地抵抗計、検相器
  4. 絶縁抵抗計、低圧検電器、回路計
  5. 接地抵抗計、回路計、検相器
▼ 解答と解説を見る

正解:2

電気工事業法施行規則 第11条により、一般用電気工作物の電気工事のみを行う営業所では、絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計(抵抗および交流電圧を測定可能なもの)の3種類の備え付けが義務付けられています。

各選択肢の判定:
① ×:「電力計」は備付け義務器具ではない
○:正解。絶縁・接地・回路計の3点セット
③ ×:「検相器」は備付け義務器具ではない
④ ×:「低圧検電器」は自家用電気工作物を扱う場合の追加器具
⑤ ×:「絶縁抵抗計」が欠けている

本記事の「備付け器具」の章で解説した3種(絶縁・接地・回路計)と、語呂合わせ「続を避!」を覚えていれば即答できる典型問題です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題

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📝 この記事を書いた人

シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。

最終更新:2026年5月16日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索 で必ずご確認ください。

📚 参考文献・一次情報
  • 電気工事業の業務の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)
  • 関東東北産業保安監督部「電気工事業者の登録について」
  • 兵庫県「電気工事業者の義務」
  • (一財)電気技術者試験センター 公表問題
  • オーム社「完全マスター電験三種受験テキスト 法規」

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