法規科目の解説

【保存版】電気保安4法を1記事で総整理|事業法・工事士法・工事業法・用品安全法

電験三種の法規科目を勉強していて、「電気事業法」「電気工事士法」「電気工事業法」「電気用品安全法」が頭の中でごちゃ混ぜになっていませんか?4つの法律はすべて「電気の安全」を守るためにありますが、対象も目的もまったく違います。一度地図を作って整理すれば、過去問の正答率は劇的に変わります。

😩 こんな悩みはありませんか?

  • 4つの法律の違いがあいまいで、過去問で必ず混乱する
  • 「第一種電気工事士」と「主任電気工事士」の違いがわからない
  • PSEマークの「菱形」と「丸」の区別がつかない
  • 主管庁が「経済産業省」「都道府県知事」「産業保安監督部長」と混乱する
  • Chapter 1の14記事を学んだものの、横の繋がりが見えていない

💡 この記事を読めばわかること

  • 電気保安4法の関係性が「1枚のマップ」で頭に入る
  • 各法の目的・対象・主管庁が横断比較表で一気に整理できる
  • 過去10年の頻出論点ベスト10で本番対策が完了する
  • Chapter 1全14記事の総まとめとして、知識を体系化できる
📍 あなたは今ここを学習中
電験三種・法規 完全ロードマップ Chapter 1:電気事業法とその他の法規 第14回:電気保安4法の総整理(Chapter 1まとめ)

結論:電気保安4法は「対象物」で分けると一発で整理できる

電気保安4法は、すべて「電気の安全」を守る法律ですが、規制する対象が違います。これを覚えるだけで、混乱の8割は解消します。

法律 規制対象 一言でいうと
電気事業法 電気工作物 「設備」を規制する法律
電気工事士法 工事をする「人」 「人の資格」を規制する法律
電気工事業法 工事をする「会社」 「事業者」を規制する法律
電気用品安全法 電気用品(製品) 「モノ」を規制する法律

覚え方は「設備・人・会社・モノ」の4つです。法律名と対象をセットで頭に入れれば、過去問の選択肢で迷うことはなくなります。

電気保安4法の関係性マップ|「電気の一生」で全体像を理解する

電気保安4法は、それぞれ独立しているわけではなく、「電気が作られて、運ばれて、使われるまでのライフサイクル」の各段階で適用されます。下の図のように整理すると、4法の役割分担が一目で理解できます。

電気のライフサイクルと4法の関係

📡 STEP 1:電気を「作る・送る」

発電所・送電線・変電所などの大規模設備を規制 → 電気事業法(事業用電気工作物)

🏭 STEP 2:工場・ビルで「受電する」

キュービクル・受電設備(自家用電気工作物)の保安 → 電気事業法電気工事士法(工事は第一種電気工事士)

🔧 STEP 3:工事をする

工事する「人」を規制 → 電気工事士法/工事する「会社」を規制 → 電気工事業法

🏠 STEP 4:家庭で「使う」

コンセントに差すドライヤー・冷蔵庫・スマホ充電器などの製品 → 電気用品安全法

📋 STEP 5:事故・故障があれば「報告する」

事故報告・公害防止・PCB機器 → 電気関係報告規則(電気事業法の下位省令)

💡 この図のポイント

4法は重なる部分もあります。たとえば自家用電気工作物(キュービクル)の工事は、「電気事業法(設備の保安)」と「電気工事士法(工事人の資格)」の両方が同時に適用されます。試験では「どの法律が適用されるか」を問う問題が頻出です。

💡 シラスの体験談
私が初めて電験三種の法規を勉強したとき、参考書の最初に「電気保安4法」と書かれていて、「なんで4つもあるんだ…」と挫折しかけました。でも、「電気の一生」というストーリーで整理し直したら、4法の役割が一気にクリアになりました。本記事の関係性マップは、その経験を元に作っています。

① 電気事業法|「設備の安全」を守る最重要法律

電気事業法は、電気保安4法の中心となる法律です。電気工作物(設備)の保安、電気事業者の事業運営、そして電気主任技術者の選任など、電験三種の試験範囲のほとんどがこの法律に関係します。

電気事業法の基本情報

項目 内容
目的 電気の使用者の利益保護、電気事業の健全な発達、公共の安全確保、環境保全
規制対象 電気工作物(一般用・事業用・自家用・小規模事業用の4区分)
主管庁 経済産業省(産業保安監督部)
主要キーワード 保安規程、電気主任技術者、工事計画届出、技術基準適合命令
下位省令 電気設備技術基準(電技)、電気関係報告規則

電気事業法の頻出7論点

  1. 電気工作物の4区分(一般用・事業用・自家用・小規模事業用)
  2. 電気主任技術者の選任(選任・許可選任・外部委託)
  3. 保安規程に定める10項目(電気事業法第42条)
  4. 工事計画の事前届出(30日前)と使用前自己確認
  5. 技術基準適合命令立入検査(経産大臣の権限)
  6. 電圧・周波数の維持義務(標準電圧101V±6V、202V±20V)
  7. 電気の使用制限・広域的運営(需給逼迫時のルール)

各論点の詳細は、電気事業法の入門記事から個別記事へリンクしているので、苦手な分野はピンポイントで復習しましょう。

② 電気工事士法|「人の資格」を規制する法律

電気工事士法は、電気工事を行う「人」の資格を規制する法律です。一般用電気工作物(住宅の屋内配線など)と自家用電気工作物(500kW未満)の工事には、原則として電気工事士の資格が必要です。

電気工事士法の基本情報

項目 内容
目的 電気工事の欠陥による災害の発生を防止する
規制対象 電気工事を行う「人」の資格
主管庁 経済産業省(資格制度は国家試験として運営)
資格種別 第一種電気工事士、第二種電気工事士、特種電気工事資格者、認定電気工事従事者
主要キーワード 資格区分、工事範囲、定期講習、軽微な工事

電気工事士の資格と工事範囲

資格 対象工事 電圧範囲
第一種電気工事士 一般用+自家用(500kW未満) 高圧含む
第二種電気工事士 一般用電気工作物のみ 600V以下
特種電気工事資格者 ネオン工事・非常用予備発電装置工事 特殊工事のみ
認定電気工事従事者 自家用の簡易な工事 600V以下
⚠ 注意点
第一種電気工事士は5年に1回の定期講習が義務付けられています。第二種は定期講習なし。この違いも頻出ポイントです。

③ 電気工事業法|「会社(事業者)」を規制する法律

電気工事業法は、正式名称を「電気工事業の業務の適正化に関する法律」といいます。電気工事を行う「会社」を規制する法律で、登録制度・通知制度・主任電気工事士の選任などが定められています。

電気工事業法の基本情報

項目 内容
目的 電気工事業の業務の適正な実施を確保し、一般用・自家用電気工作物の保安を確保する
規制対象 電気工事を行う「会社(事業者)」
主管庁 経済産業省(登録は都道府県知事または経産大臣)
主要キーワード 登録、通知、主任電気工事士、業務記録、器具備付け

「登録」と「通知」の違い

電気工事業法では、扱う工事の種類によって「登録」と「通知」が分かれています。これも頻出論点です。

区分 扱う工事 手続き 主任電気工事士
登録電気工事業者 一般用工作物(住宅・小規模店舗等) 登録 必要
通知電気工事業者 自家用工作物のみ 通知 不要
📌 覚え方のコツ
「一般家庭の工事をやるなら登録主任電気工事士が必要。自家用だけなら通知でOK」とセットで覚えましょう。登録の有効期間は5年です。

④ 電気用品安全法|「モノ(製品)」を規制する法律

電気用品安全法(電安法・PSE法)は、家庭で使う電気製品(電気用品)の安全を確保する法律です。ドライヤー、冷蔵庫、スマホ充電器など、コンセントに差して使うあらゆる製品が対象になります。

電気用品安全法の基本情報

項目 内容
目的 電気用品の製造・販売を規制し、危険・障害の発生を防止する
規制対象 電気用品(特定電気用品・特定以外の電気用品)
主管庁 経済産業省
主要キーワード PSEマーク、特定電気用品、適合性検査、製造事業届出

PSEマーク「菱形」と「丸」の違い

電気用品安全法で最も頻出のテーマが、PSEマークの「菱形」と「丸」の違いです。これは試験で必ず1問は出るレベルの頻出論点です。

マーク 対象 代表的な製品 適合性検査
◇ PSE 特定電気用品 電線、ヒューズ、配線器具、電熱器具(ヘアドライヤー等) 必要
○ PSE 特定以外の電気用品 冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン 不要
📌 覚え方のコツ
菱形(◇)はキビシイ規制が必要=特定電気用品=適合性検査必要」「丸(○)はゆるい規制=特定以外」と覚えると忘れません。特定電気用品は構造上特に危険または障害の発生するおそれが多いものが指定されています。

4法を横断する比較表|試験直前に見返す最強チートシート

ここまで個別に整理してきた4法を、一覧表で横断比較しましょう。試験直前にこの表だけ見直せば、混乱することなく解答できるはずです。

比較項目 電気事業法 電気工事士法 電気工事業法 電気用品安全法
規制対象 設備(工作物) 人(資格) 会社(事業者) モノ(製品)
主管庁 経産省 経産省 経産省/知事 経産省
主要な義務 保安規程、主任技術者選任 資格の取得、定期講習 登録/通知、主任電気工事士選任 PSEマーク表示、技術基準適合
主要な数値 工事計画30日前、事故報告24時間/30日 定期講習5年に1回 登録の有効期間5年 特定電気用品の検査必要
下位省令 電技、電気関係報告規則 電気工事士法施行規則 電気工事業法施行規則 電気用品安全法施行令・施行規則
電験三種での重要度 ★★★★★ ★★★ ★★★ ★★★

📊 重要度の解説

電験三種の法規科目では、電気事業法が圧倒的に頻出です。他の3法は単独で大問になることは少なく、4択問題の選択肢の中で問われることがほとんどです。学習のリソース配分は「電気事業法7割、他3法を合わせて3割」が目安です。

主管庁・届出先の早見表|「誰に届けるか」を瞬時に判断する

法規の試験で混乱しやすいのが「届出先」です。「経産大臣」「産業保安監督部長」「都道府県知事」が選択肢に並ぶと、迷いますよね。下の表で一気に整理しましょう。

届出内容 届出先 根拠法
保安規程 産業保安監督部長 電気事業法
主任技術者選任 産業保安監督部長 電気事業法
工事計画事前届出 産業保安監督部長 電気事業法
事故報告(速報24h・詳報30日) 産業保安監督部長 電気関係報告規則
公害防止届出 産業保安監督部長 電気関係報告規則
PCB機器届出 産業保安監督部長 電気関係報告規則
電気工事士免状交付 都道府県知事 電気工事士法
電気工事業者登録(1都道府県内) 都道府県知事 電気工事業法
電気工事業者登録(2都道府県以上) 経済産業大臣 電気工事業法
電気用品製造事業届出 経済産業大臣 電気用品安全法
技術基準適合命令 経済産業大臣 電気事業法
📌 届出先の覚え方
大原則:電気事業法と電気関係報告規則の届出はほぼすべて「産業保安監督部長」。
例外1:電気工事士免状の交付・電気工事業者登録(1都道府県内)は「都道府県知事」。
例外2:複数都道府県にまたがる事業(電気工事業者登録2都道府県以上、電気用品製造)は「経済産業大臣」。
例外3:技術基準適合命令などの強権的な命令は「経済産業大臣」。

過去問頻出論点ベスト10|本番で確実に得点するためのリスト

過去10年分の電験三種「法規」過去問を分析し、4法の頻出論点をランキング形式でまとめました。優先順位の高いものから確実に押さえていきましょう。

🥇 第1位:電気工作物の4区分

一般用・事業用・自家用・小規模事業用の4区分。発電設備の出力・電圧で判別する問題が頻出。

🥈 第2位:主任技術者の選任

選任の3パターン(選任・許可選任・外部委託)と、各パターンの要件。

🥉 第3位:保安規程に定める10項目

電気事業法第42条。10項目すべてを丸暗記する必要はないが、典型項目は確実に。

4位:工事計画の事前届出と使用前自己確認

工事開始の30日前までに届出。対象設備(電圧・容量)の判別がポイント。

5位:事故報告(速報24時間・詳報30日)

電気関係報告規則の事故報告。「人身事故」「主要電気工作物の破損」などの定義も問われる。

6位:電圧の維持義務(101±6V、202±20V)

標準電圧と維持範囲の数値。「100V/101V」「200V/202V」の標準電圧の違いも要注意。

7位:電気工事士の資格と工事範囲

第一種・第二種の違い、特種電気工事資格者、認定電気工事従事者の対象範囲。

8位:PSEマーク「菱形」と「丸」

特定電気用品(菱形)と特定以外の電気用品(丸)の区別。代表的な対象製品も覚える。

9位:登録電気工事業者と通知電気工事業者

扱う工事の違い、登録の有効期間5年、主任電気工事士の選任義務。

10位:PCB含有電気工作物の届出

設置届・廃止届の届出先(産業保安監督部長)と期限(遅滞なく)。

🎯 学習の優先順位

時間がない場合は、1位〜5位の論点だけ完璧にするのが正解です。電気事業法系のこの5論点だけで、過去問の約60%をカバーできます。6位以下は余裕があれば押さえる、というスタンスでOKです。

🎯 理解度テスト(過去問チャレンジ)

📋 出題:平成29年度 法規 問1

次の文章は、「電気事業法」に基づく一般用電気工作物に関する記述である。

一般用電気工作物に該当するものは、低圧(600V以下)で受電するもの、又は次のものであって、その受電の場所と同一の構内に設置するものとされている。これらの設備のうち、太陽電池発電設備、風力発電設備、水力発電設備、内燃力発電設備、燃料電池発電設備等であって、その発電設備の出力又は出力の合計が経済産業省令で定める出力未満のものをいう。

この一般用電気工作物に該当する太陽電池発電設備の出力として、最も適切なものを次の中から選びなさい。

  1. 10kW未満
  2. 20kW未満
  3. 50kW未満
  4. 500kW未満
  5. 2000kW未満
▼ 解答と解説を見る

正解:(3)50kW未満

電気事業法施行規則において、一般用電気工作物に該当する太陽電池発電設備の出力は「50kW未満」と定められています。なお、令和5年の法改正により「小規模事業用電気工作物」という新区分が創設され、太陽光10kW以上50kW未満、風力20kW未満が該当することになりました。一般用と小規模事業用の境界線は変わっていますので、最新の改正情報も合わせて確認してください。本問は頻出論点ベスト10の第1位「電気工作物の4区分」に該当する典型問題です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題

暗記すべき数値まとめ|4法横断・最強チートシート

4法の中で、試験本番で問われる「数値」を一覧化しました。試験前日にこのリストだけ見直せばOKというレベルで集約しています。

数値 何の数値か 関連法
600V 低圧と高圧の境界(交流) 電気事業法
7000V 高圧と特別高圧の境界(交流) 電気事業法
50kW未満 太陽光発電(一般用相当の範囲) 電気事業法
500kW未満 第一種電気工事士の工事範囲(自家用) 電気工事士法
101V±6V 標準電圧100V系の維持範囲 電気事業法
202V±20V 標準電圧200V系の維持範囲 電気事業法
30日前 工事計画事前届出の期限 電気事業法
24時間以内 事故の速報の期限 電気関係報告規則
30日以内 事故の詳報の期限 電気関係報告規則
5年 第一種電気工事士の定期講習周期 電気工事士法
5年 電気工事業者登録の有効期間 電気工事業法
遅滞なく PCB機器の届出期限 電気関係報告規則
💡 シラスの体験談
私が法規の試験対策で最も効果があったのは、この「数値表」をスマホの待ち受けにしたことです。電車での移動時間に毎日見るだけで、本番ではほぼ反射的に答えられるようになりました。試験は数値の暗記勝負の側面が大きいので、効率的な暗記方法を確立しましょう。

まとめ|Chapter 1で学んだことを「自分の地図」にする

本記事のエッセンスをもう一度整理します。

  • 電気保安4法は「対象物」で分けると一発で整理できる:設備(電気事業法)・人(工事士法)・会社(工事業法)・モノ(用品安全法)
  • 電気の一生(発電→送電→受電→使用→報告)で4法の役割が見える
  • 届出先は「産業保安監督部長」が原則。例外(経産大臣・都道府県知事)だけ覚えればよい
  • 頻出論点ベスト10の上位5つで過去問の60%をカバーできる
  • 暗記すべき数値は12個。試験前日のチートシートとして活用

Chapter 1(電気事業法とその他の法規)はこれで完結です。次のChapter 2では、いよいよ電気設備技術基準(電技)の世界に入ります。条文ベースの暗記から、数値・図解ベースの学習へとシフトしていきましょう。

🗺️ 電験三種・法規シリーズの全体地図

あなたが今読んでいるのは第14回 / 全68回です。

Chapter 0:法規の全体像と勉強戦略(全3記事)
Chapter 1:電気事業法とその他の法規(全14記事)✅完結!
Chapter 2:電気設備の技術基準(全29記事)
Chapter 3:電気施設管理・B問題対策(全15記事)
Chapter 4:演習・直前対策(全5記事)
Chapter 5:法令改正対応(全2記事)

📚 次に読むべき記事

▶ シリーズ次の記事(第15回/Chapter 2スタート)

「電技」と「電技解釈」の違いを完全理解|法体系の頂点を5分で

いよいよChapter 2へ突入。電気設備技術基準の世界を、まずは法体系から整理します。

🗺️ 全体ロードマップ

【2026年完全版】電験三種「法規」完全攻略ロードマップ|全68ステップ

法規科目を最短で攻略するための学習地図。Chapter 1完結後の戦略を再確認しましょう。

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電気事業法とは?電験三種「法規」で最初に押さえる7つの目的と全体像

本記事で全体像が掴めたら、改めてChapter 1の最初の記事から復習すると理解が深まります。

🎯 直前対策に役立つ記事

電験三種「法規」過去10年の出題分析|頻出条文ランキングTOP30

過去問の頻出条文を網羅。本記事の頻出論点ベスト10と合わせて活用してください。

📝 この記事を書いた人

シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。

最終更新:2026年5月16日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索 で必ずご確認ください。

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