- 「MOSFETって何?BJTとどう違うの?」
- 「電圧駆動って、電流駆動と何が違うの?」
- 「なんで高速スイッチングに向いてるの?」
半導体素子シリーズ第4弾は「MOSFET」です。
「ゲート」「ドレイン」「ソース」に加えて、「電圧駆動」「高速スイッチング」など、またまた新しい言葉が出てきて混乱しますよね。
でも安心してください。MOSFETは「電圧で開く自動ドア」をイメージすれば、バッチリ理解できます!
- MOSFETは電圧で制御する半導体素子(BJTは電流で制御)
- ゲートに電流がほぼ流れないので超省エネ
- 高速スイッチングが得意で、デジタル機器に最適
- スマホ、パソコン、電気自動車など現代社会に欠かせない素子
目次
🚪 MOSFETとは?「電圧で開く自動ドア」をイメージしよう
結論から言うと、MOSFETは「電圧をかけるだけで開く自動ドア」です。
コンビニの自動ドアを思い浮かべてください。センサーに近づくだけで、ドアに触れなくても自動で開きますよね。
MOSFETもまったく同じです。ゲートに電圧をかけるだけで、電流を流したり止めたりできます。電流を流す必要がないんです!

BJT = 蛇口(ハンドルを回す=電流で制御)
MOSFET = 自動ドア(センサーに近づく=電圧で制御)
この「電流駆動 vs 電圧駆動」の違いが試験で超頻出です!
📛 MOSFETって何の略?正式名称を覚えよう
MOSFETは長い名前の略称です。
MOSFET = Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor
(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)
長すぎて覚えられない?大丈夫です。ポイントだけ押さえましょう。
MOS:金属-酸化膜-半導体の3層構造
FET:電界効果トランジスタ(電圧=電界で制御)
→ つまり「電圧(電界)で制御するトランジスタ」ということ!
🔌 MOSFETの3つの端子
MOSFETも3本足の素子です。BJTとは名前が違うので注意しましょう。
| 端子名 | 役割 | 自動ドアのイメージ | BJTの対応 |
|---|---|---|---|
| ドレイン(D) | 電流の入口 | 🚪 ドアの外側 | コレクタ(C) |
| ソース(S) | 電流の出口 | 🏠 ドアの内側 | エミッタ(E) |
| ゲート(G) | 制御信号の入口 | 📡 センサー | ベース(B) |
ゲート(G)に電圧をかけるだけで、ドレイン→ソース間に電流が流れます。ゲートには電流がほとんど流れないのがポイントです!

⚡ なぜMOSFETは省エネなの?
MOSFETの最大のメリットは「ゲートにほとんど電流が流れない」ことです。
🔋 BJTとの消費電力の違い
BJT(蛇口):ハンドルを回し続けるには、ずっと力を入れ続ける必要がある
→ ベースに電流を流し続ける = 電力を消費
MOSFET(自動ドア):センサーの前に立つだけでOK。押す力は不要
→ ゲートに電圧をかけるだけ = ほぼ電力消費ゼロ
| 項目 | BJT | MOSFET |
|---|---|---|
| 制御方法 | 電流駆動 | 電圧駆動 |
| ゲート/ベース電流 | 流れる(消費あり) | ほぼゼロ(省エネ) |
| 駆動回路 | 電流供給が必要 | 電圧だけでOK |
⚡ なぜMOSFETは高速スイッチングが得意?
MOSFETのもう一つの大きなメリットが「高速スイッチング」です。
🏃 なぜ高速なの?
BJTは電流でキャリア(電子や正孔)を動かすので、ON/OFFの切り替えに時間がかかります。
一方、MOSFETは電圧(電界)でキャリアを制御するので、瞬時にON/OFFできます。
BJT:重い手動ドアを押して開ける → 時間がかかる
MOSFET:センサーで瞬時に開く自動ドア → 一瞬で開閉!
1秒間に数百万回のON/OFFも可能です!
MOSFETが高速スイッチングに向いている理由 =
「電圧駆動でゲートに電流が流れないから」
キャリアの蓄積・消滅を待つ必要がないので、瞬時に切り替わります!

💡 MOSFETの使い道
MOSFETは「省エネ」「高速」という特徴を活かして、現代のデジタル社会を支えています。
📱 身近なMOSFET活用例
| 用途 | 具体例 | MOSFETの役割 |
|---|---|---|
| 📱 スマートフォン | CPU、メモリ | 高速演算処理 |
| 💻 パソコン | プロセッサ、SSD | 数十億個が集積 |
| 🔌 スイッチング電源 | ACアダプタ | 高効率な電力変換 |
| 🚗 電気自動車 | インバータ | モーター制御 |
実は、あなたが今読んでいるスマホやパソコンの中には、数十億個ものMOSFETが入っています!
🔬 nチャネル型とpチャネル型
MOSFETにも「nチャネル型」と「pチャネル型」の2種類があります。
| 種類 | ゲート電圧 | 電流の向き | 使用頻度 |
|---|---|---|---|
| nチャネル型 | +でON | D→S | ⭐ よく使う |
| pチャネル型 | -でON | S→D | 特殊な用途 |
電験三種ではnチャネル型がメインです。BJTのnpn型と同じく、まずはこちらをマスターしましょう!
🔄 半導体素子の比較まとめ
これまで学んだ4つの素子を比較してみましょう。
| 項目 | ダイオード | サイリスタ | BJT | MOSFET |
|---|---|---|---|---|
| 端子数 | 2本 | 3本 | 3本 | 3本 |
| 制御方法 | — | 電流 | 電流 | 電圧 |
| ON/OFF | ✕ | ON○/OFF△ | ◎/◎ | ◎/◎ |
| 速度 | — | 遅い | 普通 | 超高速 |
| イメージ | 🚪改札 | 🔐鍵付き | 🚿蛇口 | 🚪自動ドア |

📚 まとめ|MOSFETの要点整理
- MOSFETは電圧で制御する半導体素子(BJTは電流)
- ゲートに電流がほぼ流れないので超省エネ
- 高速スイッチングが得意(1秒間に数百万回も可能)
- 3端子:ゲート(G)・ドレイン(D)・ソース(S)
- スマホ、パソコン、電気自動車など現代社会の基盤
- MOSFETは「電圧駆動」、BJTは「電流駆動」← 超頻出!
- 高速スイッチングの理由 =「ゲートに電流が流れないから」
- nチャネル型の回路記号を覚える(矢印が内向き)
- BJTとの違いを表で整理しておく
| 電圧駆動 | 電圧をかけるだけで制御する方式 |
| 電流駆動 | 電流を流して制御する方式(BJT) |
| 高速スイッチング | 瞬時にON/OFFを切り替えられる特性 |
| FET | 電界効果トランジスタ(電圧で制御) |
📖 パワーエレクトロニクスシリーズ
5-1-6 半導体素子の比較表|ダイオード・SCR・MOSFET・IGBTを一覧で確認 →
MOSFETは「電圧で開く自動ドア」でしたね。
省エネ×高速スイッチングで、デジタル社会を支える主役です!
次は「いいとこ取り」のIGBTを学びましょう!🚪⚡