- 「IGBTって何?また新しい素子が出てきた…」
- 「BJTとMOSFETがあるのに、なぜIGBTが必要なの?」
- 「大電力ってどのくらい?どこで使われてるの?」
半導体素子シリーズ最終回は「IGBT」です。
「また覚えることが増えた…」と思うかもしれませんが、安心してください。IGBTはこれまで学んだBJTとMOSFETの「いいとこ取り」をした素子なんです。
つまり、BJTとMOSFETを理解していれば、IGBTは簡単に理解できます!
- IGBTはMOSFETの「電圧駆動」とBJTの「大電流」を組み合わせた素子
- 大電力を高速でスイッチングできる
- 電車、電気自動車、工場の機械などパワーエレクトロニクスの主役
- 電験三種の機械科目で超頻出の重要素子!
目次
🤝 IGBTとは?「いいとこ取り」をイメージしよう
結論から言うと、IGBTは「MOSFETとBJTのハイブリッド」です。
それぞれの素子には得意なことと苦手なことがありましたよね。
| 素子 | 得意なこと ⭐ | 苦手なこと 😢 |
|---|---|---|
| MOSFET | 高速スイッチング 省エネ(電圧駆動) |
大電流が苦手 (発熱しやすい) |
| BJT | 大電流OK (ON時の損失小) |
駆動に電流が必要 速度が遅い |
IGBTは、この「得意なこと」だけを組み合わせた夢のような素子なんです!

MOSFET:電圧駆動で省エネ&高速 → でも大電流は苦手
BJT:大電流OK → でも電流駆動で遅い
IGBT:電圧駆動(MOSFET)+ 大電流(BJT)
「いいとこ取りのハイブリッド」と覚えましょう!
📛 IGBTって何の略?正式名称を覚えよう
IGBTの正式名称を見ると、「いいとこ取り」の意味がわかります。
IGBT = Insulated Gate Bipolar Transistor
(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)
名前を分解してみましょう。
Insulated Gate(絶縁ゲート):MOSFETと同じ「電圧駆動」の入口
Bipolar Transistor(バイポーラトランジスタ):BJTと同じ「大電流」の出口
→ つまり「入口はMOSFET、出口はBJT」という構造!
🔌 IGBTの3つの端子
IGBTの端子名は、MOSFETとBJTのミックスになっています。
| IGBT端子 | 役割 | 由来 | 対応する素子 |
|---|---|---|---|
| ゲート(G) | 制御信号の入口 | MOSFETから | 📡 電圧で制御 |
| コレクタ(C) | 電流の入口 | BJTから | 🔌 大電流OK |
| エミッタ(E) | 電流の出口 | BJTから | 🔌 大電流OK |
見てください!ゲートはMOSFET由来、コレクタ・エミッタはBJT由来です。まさに「いいとこ取り」の証拠ですね。
IGBTの端子名が出題されることがあります。
「ゲート・コレクタ・エミッタ」の3つを覚えましょう!
※MOSFETの「ドレイン・ソース」と混同しないように注意!

⚡ IGBTが「大電力」に強い理由
IGBTの最大の特徴は「大電力をスイッチングできる」ことです。
💪 どのくらいの電力を扱える?
それぞれの素子が得意な電力範囲を見てみましょう。
| 素子 | 得意な電力 | 具体例 |
|---|---|---|
| MOSFET | 小〜中電力 (数W〜数百W) |
スマホ、PC、ACアダプタ |
| IGBT | 中〜大電力 (数百W〜数MW) |
電車、EV、工場設備 |
| サイリスタ | 超大電力 (数MW〜数百MW) |
送電設備、製鉄所 |
IGBTは「数百W〜数MW(メガワット)」という中〜大電力の領域で活躍します。これは電車1両分のモーターを動かせるレベルです!
MOSFET:軽量級ボクサー → 素早いけど、パンチは軽め
IGBT:ヘビー級ボクサー → 素早くて、パンチも重い!
サイリスタ:相撲力士 → パワーは最強、でも動きは遅い
IGBTは「速さ」と「パワー」のバランスが最高なんです!
🔄 全素子の比較|総まとめ
これまで学んだ5つの素子を、一覧で比較しましょう。
| 項目 | ダイオード | サイリスタ | BJT | MOSFET | IGBT |
|---|---|---|---|---|---|
| 端子数 | 2 | 3 | 3 | 3 | 3 |
| 制御方法 | — | 電流 | 電流 | 電圧 | 電圧 |
| 速度 | — | 遅い | 普通 | 超高速 | 高速 |
| 電力容量 | — | 超大 | 中 | 小〜中 | 中〜大 |
| 主な用途 | 整流 | 位相制御 | 増幅 | デジタル | 電車・EV |

💡 IGBTの使い道|私たちの生活を支える
IGBTは「大電力×高速」が必要な場面で大活躍しています。実は、私たちの生活のいたるところで使われているんです。
🚃 用途①:電車(インバータ制御)
現代の電車は、IGBTを使ったインバータでモーターを制御しています。
架線から取り込んだ直流電力を、IGBTで高速にON/OFFして交流に変換し、モーターを回しています。滑らかな加速・減速ができるのはIGBTのおかげです!
🚗 用途②:電気自動車(EV)
テスラや日産リーフなどの電気自動車にも、IGBTがたくさん使われています。
バッテリーの直流を交流に変換してモーターを回す、まさに「電気自動車の心臓部」です。
🏭 用途③:工場の機械(インバータ制御)
工場のコンベアやポンプ、エアコンの室外機など、モーターを使う機械のほとんどにIGBTが入っています。
| 用途 | 具体例 | IGBTの役割 |
|---|---|---|
| 🚃 鉄道 | 新幹線、通勤電車 | モーター制御(VVVF) |
| 🚗 自動車 | EV、ハイブリッド車 | インバータ、充電器 |
| 🏭 産業機器 | 工場のモーター、ポンプ | 可変速ドライブ |
| 🌬️ 再生可能エネルギー | 風力発電、太陽光発電 | パワーコンディショナ |
| ❄️ 空調 | エアコン、冷蔵庫 | インバータ圧縮機制御 |
🔬 IGBTの回路記号
IGBTの回路記号は、MOSFETとBJTを組み合わせた形になっています。
MOSFETのゲート + BJTの出力 = IGBTの記号
ゲート(G)から絶縁されていて、コレクタ(C)・エミッタ(E)から電流が流れる形です
回路図では、ゲートがMOSFET風(絶縁)、出力側がBJT風(矢印付き)で描かれます。

📚 まとめ|IGBTの要点整理
- IGBTはMOSFETの電圧駆動とBJTの大電流を合わせた素子
- IGBT = Insulated Gate Bipolar Transistor
- 3端子:ゲート(G)・コレクタ(C)・エミッタ(E)
- 大電力(数百W〜数MW)を高速でスイッチング可能
- 電車、EV、工場設備などパワーエレクトロニクスの主役
- IGBTは「電圧駆動」であることを覚える(MOSFETと同じ)
- 端子名「ゲート・コレクタ・エミッタ」← 超重要!
- 「MOSFETの入力 + BJTの出力」という構造を理解
- インバータの主力デバイスとしてよく出題される
- 各素子の使い分け(電力容量・速度)を表で整理
| IGBT | 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ |
| 電圧駆動 | ゲートに電圧をかけて制御(電流不要) |
| 大電力 | 数百W〜数MWの電力を扱える |
| インバータ | 直流→交流変換装置(IGBTが主力) |
| 🚪 ダイオード | 普通の改札(一方通行) |
| 🔐 サイリスタ | 鍵付き改札(ONは制御可) |
| 🚿 BJT | 蛇口(電流で制御) |
| 🚪 MOSFET | 自動ドア(電圧で制御・高速) |
| 🤝 IGBT | いいとこ取り(電圧駆動+大電力) |
📖 パワーエレクトロニクスシリーズ
5-2-1 整流とは?|交流を直流に変換する基本 →
🎉 半導体素子シリーズ完走おめでとうございます! 🎉
IGBTは「いいとこ取り」で大電力を高速制御する素子でしたね。
電車に乗るとき、EVを見かけたとき、「IGBTが動いてるな」と思い出してください!
次は整流回路で、これらの素子がどう活躍するか学びましょう!🤝⚡