- 倍率器と分流器、どっちが直列でどっちが並列?いつも混乱する…
- 公式の「m-1」って何?丸暗記しても意味がわからない
- 計算問題が出るたびにフリーズしてしまう
- 倍率器=「電圧計に直列」、分流器=「電流計に並列」を二度と忘れない覚え方
- 公式を「オームの法則だけ」で自力で導出する方法
- 具体的な数値を使った計算例で、試験問題をスラスラ解く力がつく
電験三種の理論科目で、倍率器と分流器はほぼ毎回出題される超頻出テーマです。しかも、公式さえ覚えれば確実に得点できる「おいしい分野」でもあります。
この記事では、「なぜその公式になるのか」をオームの法則だけで導出します。丸暗記ではなく理屈で理解するので、忘れても自分で導き直せるようになります。
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目次
そもそも「なぜ」倍率器と分流器が必要なのか?
指示電気計器(アナログメーター)は、そのままではごく小さな電圧・電流しか測れません。可動コイル形計器で直接流せる電流は、わずか数十mA程度です。
たとえば、最大1Vまでしか測れない電圧計で100Vを測ろうとしたら…計器が壊れます。
そこで登場するのが「倍率器」と「分流器」です。これらは計器に抵抗を追加することで、測定範囲を「m倍」に拡大する道具です。
倍率器
電圧計の測定範囲を広げる
→ 電圧計に直列に接続する抵抗
分流器
電流計の測定範囲を広げる
→ 電流計に並列に接続する抵抗
「倍(バイ)は直(チョク)」→ 倍率器は直列
「分(ブン)は並(ヘイ)」→ 分流器は並列
「バイチョク、ブンヘイ」と3回唱えれば、もう混乱しません!

📏 倍率器の仕組みと公式|電圧計の測定範囲を広げる
倍率器の原理:電圧を「分圧」して計器を守る
倍率器の考え方はシンプルです。大きな電圧を、計器が耐えられるレベルまで分圧するということです。
たとえば、最大1Vの電圧計で10Vを測りたい。このとき、電圧計に直列に抵抗(倍率器)を追加すると、10Vの電圧が倍率器と電圧計に分圧されます。電圧計には1Vだけかかり、残り9Vは倍率器が引き受けてくれるのです。
公式の導出:オームの法則だけでOK
倍率器 Rm と電圧計の内部抵抗 Rv は直列接続なので、同じ電流 I が流れます。
測定電圧Vは全体にかかるので:
電圧計がフルスケール(最大目盛)を指示するときの電圧を v とすると:
倍率 m = V / v(測定範囲が何倍になるか)なので:
これを Rm について解くと…
Rm:倍率器の抵抗値 [Ω] / Rv:電圧計の内部抵抗 [Ω] / m:倍率
「倍率mにするには、電圧計の内部抵抗の(m−1)倍の抵抗を直列に追加せよ」ということです。10倍にしたいなら、内部抵抗の9倍の抵抗が必要です。

✏️ 倍率器の計算例|実際に解いてみよう
内部抵抗 Rv = 3kΩ、最大目盛 1V の電圧計がある。この電圧計で最大100Vまで測定できるようにするには、倍率器の抵抗 Rm はいくら必要か?
倍率 m を求める
m = 100V ÷ 1V = 100倍
公式に代入する
Rm = (m − 1) × Rv
Rm = (100 − 1) × 3kΩ
Rm = 99 × 3kΩ = 297kΩ
合計抵抗 = 297kΩ + 3kΩ = 300kΩ。電圧計にかかる電圧 = 100V × (3kΩ / 300kΩ) = 1V。ちゃんと最大目盛に収まっていますね!
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🔀 分流器の仕組みと公式|電流計の測定範囲を広げる
分流器の原理:電流を「分流」して計器を守る
分流器の考え方は、倍率器の「電流版」です。大きな電流の大部分を、分流器(バイパス道路)に流して計器を守るのです。
たとえば、最大10mAの電流計で100mAを測りたい。このとき、電流計に並列に抵抗(分流器)を追加すると、100mAの電流のうち90mAは分流器を流れ、電流計にはたった10mAだけ流れます。
公式の導出:並列回路の性質を使う
分流器 Rs と電流計の内部抵抗 Ra は並列接続なので、両端の電圧が等しくなります。
ここで i:電流計に流れる電流、I:全電流、倍率 m = I / i とすると:
Rs:分流器の抵抗値 [Ω] / Ra:電流計の内部抵抗 [Ω] / m:倍率
・倍率器 → Rm = Rv × (m−1) …掛ける
・分流器 → Rs = Ra ÷ (m−1) …割る
倍率器は「大きな抵抗を追加」、分流器は「小さな抵抗を追加」と覚えましょう。電圧計は直列で大きく、電流計は並列で小さく、です。

✏️ 分流器の計算例|実際に解いてみよう
内部抵抗 Ra = 2Ω、最大目盛 10mA の電流計がある。この電流計で最大150mAまで測定できるようにするには、分流器の抵抗 Rs はいくら必要か?
倍率 m を求める
m = 150mA ÷ 10mA = 15倍
公式に代入する
Rs = Ra ÷ (m − 1)
Rs = 2Ω ÷ (15 − 1)
Rs = 2 ÷ 14 ≈ 0.143Ω
並列の電圧が等しいか確認しましょう。
電流計側:10mA × 2Ω = 0.02V
分流器側:140mA × 0.143Ω ≈ 0.02V
両者が一致しているので正解です!
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倍率器と分流器の違いを一発で整理する比較表
| 項目 | 📏 倍率器 | 🔀 分流器 |
|---|---|---|
| 何を広げる? | 電圧計の測定範囲 | 電流計の測定範囲 |
| 接続方法 | 直列に接続 | 並列に接続 |
| 公式 | Rm = (m−1) × Rv | Rs = Ra ÷ (m−1) |
| 抵抗の大きさ | 内部抵抗より大きい | 内部抵抗より小さい |
| 原理 | 電圧を分圧 | 電流を分流 |
| 覚え方 | バイチョク(倍は直列) | ブンヘイ(分は並列) |
① 接続方法を思い出す(倍率器=直列、分流器=並列)
② 直列なら「電圧が分かれる」、並列なら「電流が分かれる」を書く
③ オームの法則(V = IR)で式を立てれば、公式が自然と出てくる
丸暗記不要!原理さえわかれば、試験中に導出できます。
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まとめ
倍率器と分流器は、どちらも「抵抗を追加して測定範囲をm倍に広げる」道具です。接続方法と公式の関係さえ押さえれば、確実に得点できるテーマです。
| 📏 倍率器 | 電圧計に直列接続 → Rm = (m−1) × Rv |
| 🔀 分流器 | 電流計に並列接続 → Rs = Ra ÷ (m−1) |
| 🔑 覚え方 | 「バイチョク、ブンヘイ」(倍は直列、分は並列) |
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