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- 参考書で「電気計測」の章に入ったけど、そもそも何を学ぶ分野なのかわからない
- 「計器」「測定」と言われても、何の話をしているのかイメージが湧かない
- 直流回路や交流回路は勉強したけど、計測分野はどこから手をつけていいか迷う
- 電気計測とは「何を」「どうやって」測る分野なのか
- 試験で問われる5つのテーマの全体像
- 各テーマの学習順序と詳細記事へのリンク
電験三種の理論科目には、直流回路・交流回路・電磁気・電子理論——そして「電気計測」という分野があります。
直流や交流は「電気の流れ方」を学ぶ分野ですが、電気計測は「電気の測り方」を学ぶ分野です。
料理にたとえるなら、直流・交流が「食材の切り方」だとしたら、電気計測は「計量カップやはかりの使い方」。地味に思えますが、これがなければ料理(=回路設計や設備管理)は成り立ちません。
この記事では、電気計測とは何かを5分で理解できるように、全体像をコンパクトに解説します。細かい計算や暗記は後回しでOK。まずは「地図」を手に入れてください。
電気計測とは、電圧・電流・抵抗・電力などの大きさを、計器を使って正しく測る方法を学ぶ電験三種「理論」の分野です。出題は、計器の種類と原理、倍率器と分流器、誤差率、ブリッジや二電力計法による抵抗・電力の測定、ディジタル計器の5つのテーマに分かれます。令和元年度から令和8年度上期までの12回では各回1〜3問、合わせて22問出ています。
電気計測マスターへの道|全8記事を学習順に攻略
電験三種の理論科目で、令和元年度から令和8年度上期までの12回の試験に各回1〜3問(計22問)出題されている「電気計測」。範囲は広く見えますが、同じ形の問題がくり返し出る「得点源」です。下記の順番で読み進めれば、迷わずにマスターできます。
電気計測とは?|ひとことで言うと「電気の健康診断」
電気計測とは、回路の中を流れる「電圧」「電流」「抵抗」「電力」などの値を、計器を使って正しく測定する技術のことです。
人間に例えてみましょう。体調が悪いとき、病院に行くと「体温」「血圧」「心拍数」を測りますよね。これと同じで、電気回路の状態を知るためにも、いろいろな「数値」を測る必要があるのです。
人間の健康診断
体温 → 体温計
血圧 → 血圧計
心拍数 → 心電図
電気の健康診断
電圧 → 電圧計
電流 → 電流計
電力 → 電力計
電験三種の試験では、この「電気の健康診断」について、「どんな計器を使うのか」「計器はどんな仕組みで動くのか」「測定値にはどんな誤差が出るのか」が問われます。
電気計測 = 「電気の測り方」を学ぶ分野。測定の道具(計器)と測定の方法(手法)の2つが試験の中心です。

「電気計測」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。
電気計測で「何を」測るのか?|4つの測定対象
電気計測で測るものは、突き詰めると4種類しかありません。
| 測定対象 | 記号・単位 | たとえ(水道で言うと…) | 使う計器 |
|---|---|---|---|
| 電圧 | V [ボルト] | 水圧の強さ | 電圧計 |
| 電流 | I [アンペア] | 水の流れる量 | 電流計 |
| 抵抗 | R [オーム] | 管の細さ(流れにくさ) | ブリッジ回路など |
| 電力 | P [ワット] | 水車を回す力 | 電力計 |
「電圧・電流・抵抗・電力」——この4つは、直流回路や交流回路ですでに学んだ概念ですよね。電気計測は、これらを「実際にどうやって測るか?」を学ぶ分野なのです。
つまり、直流回路や交流回路で学んだ知識は、ここでそのまま活きてきます。計測は「まったく新しい分野」ではなく、すでに知っていることの「応用編」です。
【電験三種・理論】電気とは何か?|電圧・電流・抵抗を「水の流れ」で完全理解 →

電気計測で学ぶ「5つのテーマ」|試験で何が問われるのか?
電験三種の理論科目で出題される電気計測のテーマは、大きく5つに分類できます。令和元年度から令和8年度上期までの12回では、各回1〜3問出題されています(1問5点)。
「たかが1〜3問」と思うかもしれませんが、計測分野は暗記で確実に取れる問題が多いのが特徴です。ここを落とすのは本当にもったいない。
テーマ① 指示電気計器の種類と動作原理
電流計や電圧計には、内部の仕組みによって7種類の計器があります。
たとえば「可動コイル形」は直流しか測れない、「可動鉄片形」は交流も直流も測れる……といった「どの計器がどんな場面で使えるか」が問われます。
これは完全に暗記で得点できる知識問題です。令和6年度上期 問14(代表的な電気計器の目的や特徴)・令和元年度 問14(JISの記号)のような論説問題で出ます。
テーマ② 倍率器と分流器(測定範囲の拡大)
電流計は「最大で1Aまでしか測れない」といった制限があります。10Aを測りたいときはどうするのか?——答えは、「分流器」という抵抗を並列につなぐことで測定範囲を広げるのです。
同様に、電圧計の測定範囲を広げる「倍率器」というものもあります。
このテーマは計算問題で出題されますが、公式はシンプルで、直流回路のオームの法則と分流・分圧の知識があれば解けます。
テーマ③ 誤差率と補正率
どんな計器にも「誤差」があります。体重計に乗ったとき、実際は60.0kgなのに60.3kgと表示される——そのズレが誤差です。
電験三種では、この誤差を数値で計算する問題が出ます。公式は2つだけなので、覚えてしまえば確実に解けます。

電気回路の基本があいまいなときは、入門書で土台を固めておくと理解が進みます。電気回路の基本を、つまずいている人向けにやさしく解説した入門書です(オーム社)。
テーマ④ 抵抗・電力の測定方法
抵抗を測る方法として有名なのが「ホイートストンブリッジ」です。4つの抵抗を菱形に組んだ回路で、未知の抵抗値を高精度に求めることができます。
また、電力を測る方法として「二電力計法」「三電圧計法」「三電流計法」といった手法があります。特に二電力計法は、三相交流の電力を2台の電力計で測定する方法で、令和5年度上期 問14・令和8年度上期 問14で出題されています。
ホイートストンブリッジの原理│平衡条件と未知抵抗の測定方法 →
テーマ⑤ ディジタル計器とオシロスコープ
テーマ①〜④はアナログ(針が動く)計器の話でした。テーマ⑤では、デジタル計器とオシロスコープを学びます。
デジタル計器は「A/D変換(アナログ→デジタル変換)」の仕組み、オシロスコープは「波形の読み取り方」が問われます。このテーマは知識問題として出題されることが多く、原理を理解しておけば得点しやすい分野です。
① 指示電気計器の種類と原理 → 知識問題(暗記)
② 倍率器と分流器 → 計算問題
③ 誤差率と補正率 → 計算問題
④ 抵抗・電力の測定方法 → 計算+知識
⑤ デジタル計器・オシロスコープ → 知識問題
知識と計算がバランスよく出る分野です。暗記だけで取れる問題が多いので、コスパが非常に良い分野とも言えます。

過去問の出題一覧|令和元年度〜令和8年度上期の22問
電験王の理論問題一覧で「電気及び電子計測」に分類されている問題を、令和元年度から令和8年度上期まで数えると22問ありました。題名は電験王の一覧のとおりで、右の列はこのブログで対応する記事です。
| 年度・問題 | 内容 | 対応する記事 |
|---|---|---|
| 令和8年度上期 問14 | 二電力計法を用いた電力の導出 | 二電力計法 |
| 令和8年度上期 問16 | 直列接続した直流電圧計の測定可能電圧 | 倍率器と分流器 |
| 令和7年度下期 問14 | 整流形の電圧計の指示値 | 計器の指示値 |
| 令和7年度上期 問16 | 電流電圧計の測定範囲拡大 | 倍率器と分流器 |
| 令和6年度下期 問16 | ブリッジの平衡条件を利用した回路演算 | ホイートストンブリッジ |
| 令和6年度上期 問14 | 代表的な電気計器の目的や特徴 | 指示電気計器 |
| 令和6年度上期 問16 | 並列接続した直流電流計の測定可能な電流値 | 倍率器と分流器 |
| 令和5年度下期 問16 | 電流計及び負荷の消費電力の誤差率 | 誤差率・補正率 |
| 令和5年度上期 問14 | 二電力計法を用いた電力の導出 | 二電力計法 |
| 令和5年度上期 問16 | 電圧計の異なる端子を使用した抵抗値の導出 | 倍率器と分流器 |
| 令和5年度上期 問18 | 振幅変調(計算・空欄穴埋め) | - |
| 令和4年度下期 問14 | アナログ-ディジタル変換 | ディジタル計器とA/D変換 |
| 令和4年度下期 問16 | 内部抵抗の異なる二つの電流計の並列接続 | 倍率器と分流器 |
| 令和4年度上期 問14 | 電気に関する物理量の測定方法(空欄穴埋め) | - |
| 令和4年度上期 問16 | すべり抵抗器を用いた未知の電源電圧の導出 | - |
| 令和3年度 問14 | ブリッジ回路を用いた未知抵抗の推定 | ホイートストンブリッジ |
| 令和3年度 問15 | RとXからなる平衡三相回路 | - |
| 令和3年度 問16 | 電流計の消費電力及び負荷の消費電力の誤差率 | 誤差率・補正率 |
| 令和2年度 問14 | 物理現象とその計測・検出のための代表的なセンサ | - |
| 令和2年度 問16 | 直列接続した直流電圧計の測定可能電圧 | 倍率器と分流器 |
| 令和元年度 問14 | JISで示される記号及び使用回路 | 指示電気計器 |
| 令和元年度 問18 | 二重積分形A-D変換器を用いたディジタル直流電圧計 | ディジタル計器とA/D変換 |
| テーマ | 問題数 | どんな問題か |
|---|---|---|
| 倍率器・分流器と計器のつなぎ方 | 6問 | 直列・並列にした計器で測れる最大の値、測定範囲の拡大、内部抵抗 |
| 抵抗・電力の測定 | 5問 | ブリッジの平衡条件、二電力計法、すべり抵抗器 |
| 指示電気計器 | 3問 | 計器の目的と特徴、JISの記号、整流形の指示値 |
| 誤差率 | 2問 | 電流計の消費電力が入ったときの測定の誤差 |
| ディジタル計器 | 2問 | A/D変換、二重積分形 |
| そのほか | 4問 | 測定方法の穴埋め、センサ、振幅変調、三相回路 |
いちばん多いのは計器を直列・並列につないだときの計算です。電圧計は内部抵抗に比例して電圧を分け合い、電流計は内部抵抗に反比例して電流を分け合う、という直流回路の分圧・分流がそのまま使えます。
出題の確認:電験王「科目別 理論問題一覧」の「電気及び電子計測」(テーマの分け方は題名をもとに筆者が整理したもの)。
電気計測の学習マップ|どの順番で学べばいい?
電気計測の5つのテーマには、「この順番で学ぶとスムーズ」という流れがあります。以下のマップに沿って、ひとつずつ進めてください。
指示電気計器の種類と動作原理を覚える
7種類の計器の名前・記号・使える回路(直流 or 交流)を暗記します。
ここは最優先。試験で「知っていれば即答」の問題が出ます。
計器の三要素を理解する
駆動装置・制御装置・制動装置の3つ。STEP 1とセットで覚えると効率的。
倍率器と分流器の計算を練習する
オームの法則と分流・分圧がわかれば解ける計算問題。直流回路の知識を活用。
誤差率と補正率の計算方法を学ぶ
公式は2つだけ。例題を1〜2問解けば身につきます。
ブリッジ回路で抵抗測定を学ぶ
ホイートストンブリッジの平衡条件の計算。直流回路の復習にもなる。
電力の測定方法を学ぶ
二電力計法・三電圧計法・三電流計法。交流回路の知識を活用する応用テーマ。
ディジタル計器とオシロスコープ
A/D変換の仕組み、波形の読み方。知識問題として出題されるので、用語を押さえる。

電気計測は「コスパ最強」の得点源
最後に、電気計測の学習に迷っている方に伝えたいことがあります。
電気計測は、理論科目の中でも最もコスパが良い分野です。理由は3つ。
理由①:暗記で取れる問題が多い
直流回路や交流回路のように「複雑な計算を組み合わせる」問題は少なく、「知っているかどうか」で決まる知識問題が中心です。計器の種類と特徴を覚えていれば答えられる論説問題も出ます。
理由②:出題パターンが限られている
過去問を分析すると、電気計測で出題されるテーマは驚くほどワンパターンです。令和元年度以降の22問のうち、「倍率器・分流器と計器のつなぎ方」が6問、「抵抗・電力の測定(ブリッジ・二電力計法など)」が5問、「指示電気計器」が3問です。
理由③:他の受験生が後回しにしがち
多くの受験生は、直流・交流・電磁気の勉強に時間を取られ、計測分野を「余った時間でやればいいか」と後回しにします。だからこそ、しっかり対策した人は差をつけられるのです。
電気計測は、直流回路のオームの法則と、交流回路の実効値・力率がわかっていれば解ける問題がほとんどです。先に直流回路と交流回路を終えてから取り組むと、短い時間で得点につなげられます。

全記事リンク一覧|テーマ別インデックス
電気計測に関するすべての記事を、テーマ別にまとめています。学習の進捗管理にお使いください。
入門・全体像
テーマ1:指示電気計器
可動コイル形・可動鉄片形・電流力計形など7種類の動作原理、測定回路、指示値を一覧表で整理
すべての計器に共通する3つの装置を、車の運転にたとえてやさしく解説
テーマ2:倍率器と分流器
電圧計・電流計の測定範囲を拡張する回路の原理と計算方法を、図解で解説
テーマ3:電力の測定方法
三相回路の電力を2台の電力計で測定する方法と、有効電力・無効電力の導出
電力計がない場合でも電力を求めるテクニックを、計算例付きで解説
テーマ4:計器の指示値と誤差
同じ波形なのに計器によって指示値が異なる理由、波形率・波高率の計算方法を解説
テーマ5:ディジタル計器
ディジタルオシロスコープの仕組み、A/D変換の原理(二重積分形など)をやさしく解説
テーマ6:オシロスコープ
波形からの電圧・周期・周波数の読み取り方、リサジュー図形の周波数比・位相差の求め方

よくある質問
まとめ|電気計測の全体像
| テーマ | 内容 | 問題タイプ | 出題数(令和元年度〜令和8年度上期) |
|---|---|---|---|
| 指示電気計器 | 7種類の計器の動作原理・使える回路 | 知識 | 3問 |
| 倍率器・分流器 | 計器の測定範囲を広げる仕組みと計算 | 計算 | 6問 |
| 誤差率・補正率 | 測定値と真の値のズレを計算 | 計算 | 2問 |
| 抵抗・電力測定 | ブリッジ回路・二電力計法など | 計算+知識 | 5問 |
| デジタル計器・オシロ | A/D変換・波形の読み取り | 知識 | 2問 |
電気計測は、「電気の測り方」を学ぶ分野です。測る対象は「電圧・電流・抵抗・電力」の4つだけ。学ぶテーマも5つだけ。範囲が限られている分、対策すれば確実に得点できる「おいしい分野」です。
次の記事では、各テーマの詳しい内容に入っていきます。まずは「指示電気計器の種類」から始めましょう。
メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
次に読むべき記事
電気計測の全体像がつかめたら、まずは計器の種類から。続けて読むと、過去問の計算がそのまま解けるようになります。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。
電験三種の試験でどう問われるかは、過去問で確かめるのがいちばんの近道です。電験三種の過去10年分の試験問題をまとめた過去問題集です(2026年度版)。
「どこから手をつければいいかわからない」「計算問題で手が止まる」と感じたら、講義と問題演習がセットになった通信講座を使う方法もあります。アガルートアカデミーには電験三種の講座があります。料金や内容は公式サイトで確かめてください。