統計学基礎

【QC検定】確率変数の「積」の期待値と分散|V(XY)の公式を完全図解

😵 こんな悩みはありませんか?
  • V(XY)の公式、なんでこんなに複雑なの?
  • 「和」の分散と「積」の分散、何が違うの?
  • E(Y)²とかE(X)²が出てくる理由がわからない…
  • QC検定1級の計算問題で、どこから手をつければいいかわからない
✅ この記事でわかること
  • 確率変数の「積」E(XY)とV(XY)の公式
  • なぜV(XY)が「3つの項」の和になるのか、直感的な理由
  • 「和」と「積」の公式の違いを一発で理解する比較表
  • QC検定1級レベルの計算問題をStep by Stepで攻略

QC検定1級や統計検定を勉強していると、こんな公式に出会いませんか?

📐 確率変数の積 XY の分散
V(XY) = V(X)V(Y) + {E(Y)}²V(X) + {E(X)}²V(Y)

※ XとYが独立な場合

「え、なにこれ?」「和の分散はV(X)+V(Y)でシンプルだったのに…」

そう思いますよね。私も最初は全く理解できませんでした。

でも、この公式には「ちゃんとした理由」があります。

この記事では、「なぜこんな複雑な式になるのか」をイメージで徹底解説します。丸暗記ではなく、「なるほど、だからこうなるのか」と腑に落ちる説明を目指します。

🎯 まず結論:「和」と「積」の公式を比較しよう

最初に、「和」と「積」の公式の違いを明確にしましょう。

これを頭に入れておくと、「なぜ積は複雑なのか」がわかりやすくなります。

項目和 X + Y積 XY
期待値E(X+Y) = E(X) + E(Y)
常に成立
E(XY) = E(X) × E(Y)
独立のみ成立
分散
(独立時)
V(X+Y) = V(X) + V(Y)
✓ シンプル!
V(XY) = V(X)V(Y) + {E(Y)}²V(X) + {E(X)}²V(Y)
⚠️ 3項ある!
計算の複雑さ★☆☆
足すだけ
★★★
期待値の2乗も使う

ポイントは、「積」の分散には3つの項があること。

なぜ3つなのか?それを次のセクションで解説します。

🧮 期待値の積:E(XY) = E(X) × E(Y)

まず、期待値(平均)から見ていきましょう。こちらは比較的シンプルです。

独立なら「期待値の積」=「積の期待値」

XとYが独立なら、以下の公式が成り立ちます。

📐 期待値の積(独立な場合)
E(XY) = E(X) × E(Y)

※ XとYが独立な場合のみ成立

これは直感的に理解しやすいですね。

🎯 たとえ話:サイコロ2個の積

サイコロを2個振って、出た目を掛け算する場合を考えましょう。

  • サイコロXの期待値:E(X) = 3.5
  • サイコロYの期待値:E(Y) = 3.5
  • XとYは独立(一方の出目が他方に影響しない)

このとき、積XYの期待値は:

E(XY) = E(X) × E(Y) = 3.5 × 3.5 = 12.25

「平均的に、積は12.25くらいになる」ということです。

⚠️ 注意:独立でない場合
XとYが独立でない(相関がある)場合は、E(XY) ≠ E(X)×E(Y) となります。
この場合は E(XY) = E(X)E(Y) + Cov(X,Y) という式を使います。

📊 分散の積:なぜ「3つの項」になるのか?

さて、ここからが本題です。

V(XY)はなぜ複雑な式になるのか?を、イメージで理解していきましょう。

V(XY)の公式を分解して理解する

V(XY)の公式をもう一度見てみましょう。

📐 確率変数の積の分散(独立な場合)
V(XY) = V(X)V(Y) + {E(Y)}²V(X) + {E(X)}²V(Y)

この3つの項、それぞれに「意味」があります。

意味(イメージ)
第1項V(X)V(Y)XもYも両方バラつくことによる影響
第2項{E(Y)}²V(X)Yは平均で固定、Xだけバラつくことによる影響
第3項{E(X)}²V(Y)Xは平均で固定、Yだけバラつくことによる影響

🏭 たとえ話:長方形の面積で考える

「積のバラつき」を理解するために、長方形の面積で考えてみましょう。

長方形の面積 = 縦 × 横 です。

  • 縦の長さ X:平均 E(X)、バラつき V(X)
  • 横の長さ Y:平均 E(Y)、バラつき V(Y)
  • 面積 XY:そのバラつき V(XY) は?

面積のバラつきには、3つの「源泉」があります。

💡 面積のバラつきの3つの源泉
縦も横も両方バラつく → 面積のバラつきに影響
横が平均的な長さのとき、縦だけバラつく → 面積のバラつきに影響
縦が平均的な長さのとき、横だけバラつく → 面積のバラつきに影響

この3つを合計したものが、V(XY)なのです。

📝 V(XY)の公式を数学的に導出する

イメージで理解したところで、次は数学的な導出を見てみましょう。

「なぜこの式になるのか」を論理的に追うことで、より深い理解が得られます。

導出のステップ

Step 1:分散の定義を思い出す

分散の定義は「期待値からのズレの2乗の期待値」です。

📐 分散の定義
V(XY) = E[(XY)²] − {E(XY)}²

この公式を使って、V(XY)を展開していきます。

Step 2:E[(XY)²]を計算する

XとYが独立なので、(XY)² = X²Y² も独立な変数の積です。

独立なら E[X²Y²] = E[X²] × E[Y²] が成り立つので:

E[(XY)²] = E[X²] × E[Y²]

Step 3:E[X²]を分散で表す

ここで、重要な変形を使います。

分散の定義 V(X) = E[X²] − {E(X)}² を変形すると:

📐 重要な変形
E[X²] = V(X) + {E(X)}²

「2乗の期待値」=「分散」+「期待値の2乗」

同様に E[Y²] = V(Y) + {E(Y)}² です。

Step 4:代入して展開する

Step 2の式に代入します。

E[(XY)²] = E[X²] × E[Y²]

    = {V(X) + E(X)²} × {V(Y) + E(Y)²}

    = V(X)V(Y) + V(X)E(Y)² + E(X)²V(Y) + E(X)²E(Y)²

Step 5:{E(XY)}²を計算する

独立なので E(XY) = E(X)E(Y) より:

{E(XY)}² = {E(X)E(Y)}² = E(X)²E(Y)²

Step 6:分散の公式に代入

V(XY) = E[(XY)²] − {E(XY)}² に代入すると:

V(XY) = {V(X)V(Y) + V(X)E(Y)² + E(X)²V(Y) + E(X)²E(Y)²} − E(X)²E(Y)²

赤字の部分が打ち消し合って:

✅ 導出完了!
V(XY) = V(X)V(Y) + {E(Y)}²V(X) + {E(X)}²V(Y)
💡 導出のポイント
① 分散の定義 V(XY) = E[(XY)²] − {E(XY)}² を使う
② 独立なら E[X²Y²] = E[X²]E[Y²] が使える
③ E[X²] = V(X) + {E(X)}² の変形がカギ
④ 展開すると E(X)²E(Y)² が打ち消し合う

✏️ 例題で完全マスター|QC検定1級レベル

実際の問題を解いて、公式の使い方を身につけましょう。

例題:製品の総出荷量を計算せよ

📋 問題

ある製品の「1個あたりの長さ X」と「1日の生産数 Y」は互いに独立で、以下の統計量を持つ。

変数期待値 E分散 V
長さ XE(X) = 10.0 cmV(X) = 0.01 cm²
生産数 YE(Y) = 0.5 万個/日V(Y) = 0.12 (万個/日)²

問1:総出荷量 XY の期待値 E(XY) を求めよ。
問2:総出荷量 XY の分散 V(XY) を求めよ。
問3:総出荷量 XY の標準偏差 σ(XY) を求めよ。

解答:Step by Step

問1:E(XY)の計算

XとYは独立なので、期待値の積の公式が使えます。

E(XY) = E(X) × E(Y)

   = 10.0 × 0.5

   = 5.0 (cm・万個/日)

問2:V(XY)の計算

V(XY)の公式に代入します。

V(XY) = V(X)V(Y) + {E(Y)}²V(X) + {E(X)}²V(Y)

各項を計算します。

計算結果
第1項V(X)×V(Y) = 0.01 × 0.120.0012
第2項{E(Y)}²×V(X) = 0.5² × 0.01 = 0.25 × 0.010.0025
第3項{E(X)}²×V(Y) = 10.0² × 0.12 = 100 × 0.1212.0

V(XY) = 0.0012 + 0.0025 + 12.0

   ≒ 12.0 または 約12

💡 計算のポイント
第3項 {E(X)}²V(Y) が圧倒的に大きいですね。これは「Xの期待値が大きい」ことが原因です。期待値が大きい方の2乗は、分散への影響が大きくなります。

問3:σ(XY)の計算

σ(XY) = √V(XY)

   = √12.0

   ≒ 3.46

📚 まとめ|確率変数の「積」の公式

最後に、この記事のポイントを整理しましょう。

✅ この記事のポイント
  • 期待値の積:E(XY) = E(X) × E(Y)(独立なら成立)
  • 分散の積:V(XY) = V(X)V(Y) + {E(Y)}²V(X) + {E(X)}²V(Y)
  • V(XY)の3つの項は「両方バラつく」「Xだけ」「Yだけ」の影響
  • 期待値が大きい方の2乗が、分散に大きく影響する
  • 「和」の分散 V(X+Y) = V(X)+V(Y) とは全く異なる

📋 公式一覧(保存版)

公式名公式条件
期待値の積E(XY) = E(X) × E(Y)独立のみ
分散の積V(XY) = V(X)V(Y) + {E(Y)}²V(X) + {E(X)}²V(Y)独立のみ
E[X²]の変形E[X²] = V(X) + {E(X)}²常に成立

🔑 QC検定1級での出題ポイント

  • 「独立」の確認:問題文で独立かどうかを必ずチェック
  • 3項の計算:一つずつ計算し、最後に足し合わせる
  • 期待値の2乗:{E(X)}² と V(X) を混同しないこと
  • 単位の確認:分散の単位は「元の単位の2乗」
❌ よくある間違い
① V(XY) = V(X) × V(Y) と計算してしまう({E(Y)}²V(X)などを忘れる)
② E(X)² を E(X²) と混同する
③ 独立でない場合に公式をそのまま使う

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