電力科目の解説

【電験三種・電力】太陽光発電の原理|太陽電池の種類と最大電力点追従(MPPT)を完全図解

✅ こんな悩みを抱えていませんか?

  • 「太陽光が電気になる原理がわからない…」
  • 「太陽電池の種類が覚えられない…」
  • 「MPPT(最大電力点追従)って何?」

電験三種の「電力」科目で頻出する太陽光発電。特に光電効果MPPT制御は、毎年のように問われる超重要テーマです。

でも安心してください。この記事では、光が電気に変わる瞬間の「光電効果」から、日射量の変化に自動で追従するMPPT制御まで、まるで目の前で見ているような図解で完全解説します。

💡 この記事で完全マスターできること

  • 光電効果のメカニズム(p型・n型半導体)
  • 太陽電池3種類(結晶・薄膜・化合物)の違い
  • I-V特性曲線と最大電力点(MPP)の見方
  • MPPT制御の原理と効果

それでは、太陽の光子が電子を動かし、電気を生み出す「見えない奇跡」を、一緒に覗いてみましょう!

☀️ 太陽光発電の原理|光が電気に変わる「光電効果」

📖 光電効果とは?

光電効果(こうでんこうか)とは、光(光子)が半導体に当たると、電子が励起されて電流が流れる現象のこと。

太陽電池は、この光電効果を利用して、太陽光を直接電気に変換します。火力発電や原子力発電のように「熱→蒸気→タービン→発電機」という複雑なプロセスは不要。光が当たれば即座に電気が発生するんです!

💡 イメージで覚えよう

光電効果 = ボウリングのピン倒し
光子(ボール)が電子(ピン)に当たると、電子が弾き飛ばされて電流として流れ出すイメージです!

🔬 pn接合半導体の仕組み

太陽電池の心臓部は、pn接合半導体p型半導体n型半導体を接合した構造です。

種類 特徴 役割
n型半導体 電子(e⁻)が多い
リンなどを添加
負極(−極)になる
p型半導体 正孔(h⁺)が多い
ホウ素などを添加
正極(+極)になる

この2つを接合すると、接合面に内部電界が形成されます。この電界が、光で発生した電子と正孔を自動的に分離して、電流を作り出すんです!

⚡ 光電効果の4ステップ

太陽電池で電気が発生するプロセスを、4つのステップで見ていきましょう。

⚡ 光電効果の4ステップ

  1. 光子到達: 太陽光の光子がpn接合に到達
  2. 電子励起: 光子のエネルギーで電子が価電子帯→伝導帯へジャンプ(電子・正孔ペアが発生)
  3. キャリア分離: 内部電界により、電子はn型へ、正孔はp型へ移動
  4. 電流発生: 外部回路を通じて電子が流れ、直流電流が発生!

📊 重要な数値

  • シリコンのバンドギャップ: 約1.1 eV
  • 1セルあたりの発電電圧: 約0.5〜0.6V
  • 変換効率: 15〜22%(残りは熱になる)
  • 太陽光強度: 1m²あたり約1000W(快晴時)

1セルでは0.5Vしか出ないので、実際の太陽電池モジュールでは、セルを直列接続して電圧を高めています。例えば、72セル直列なら約36Vの電圧が得られます!

🔷 太陽電池の種類|3タイプの違いと特徴

📊 太陽電池の分類

太陽電池は、材料や構造によって大きく3つのタイプに分類されます。電験三種では、変換効率の順番がよく問われます!

① 結晶シリコン系(最も普及)

現在の太陽光発電市場の約90%を占める主流タイプ。シリコン結晶の純度によって2種類に分かれます。

A. 単結晶シリコン

  • 変換効率: 20〜22%(最高クラス)
  • 外観: 黒色で角が丸い、均一な色
  • 構造: 完全な単結晶構造(純度99.9999%)
  • 特徴: 高効率・長寿命(25年以上)・高価
  • 用途: 住宅・産業用(高性能重視)

B. 多結晶シリコン

  • 変換効率: 15〜18%
  • 外観: 青色で結晶粒界が見える
  • 構造: 多数の結晶粒が集まった構造
  • 特徴: コストと性能のバランスが良い
  • 用途: 住宅用(最も普及している)

② 薄膜系(軽量・低コスト)

  • 変換効率: 6〜10%(低い)
  • 厚さ: わずか1μm以下(結晶シリコンの1/100)
  • 材料: アモルファスシリコン(非晶質)
  • 特徴: 軽量・曲げられる・低コスト・高温に強い
  • 用途: 電卓・時計・民生品

③ 化合物系(超高効率・高価)

  • CIS系/CIGS系: 変換効率 12〜20%
  • GaAs系(ガリウムヒ素): 変換効率 25〜30%(最高記録!)
  • 特徴: 超高効率だが極めて高価
  • 用途: 人工衛星・宇宙ステーション・特殊用途

💡 試験で狙われる順番

変換効率の高い順:
化合物(GaAs) > 単結晶 > 多結晶 > 化合物(CIS) > 薄膜

覚え方:か・た・た・か・う」(化合物・単・多・化合物・薄)
※ただし実際の住宅では「多結晶」が最も普及!

📈 I-V特性と最大電力点|太陽電池の「性格」を知る

📖 I-V特性曲線とは?

I-V特性曲線とは、太陽電池の電圧(V)と電流(I)の関係を示すグラフ。このグラフを見れば、太陽電池がどう動作するかが一目でわかります!

📊 I-V曲線の重要な3点

  1. 短絡電流(Isc): 電圧V=0のとき、電流が最大(でも電力P=0)
  2. 開放電圧(Voc): 電流I=0のとき、電圧が最大(でも電力P=0)
  3. 最大電力点(MPP): P=V×Iが最大になる点(👈 ここで動作させたい!)

太陽電池は、短絡点でも開放点でも電力はゼロ。その中間の最大電力点(MPP)で動作させることが、発電量を最大化するカギなんです!

🌞 日射量と温度の影響

I-V曲線は、日射量と温度によって大きく変化します。これが、MPPT制御が必要な理由です!

変化要因 影響 数値例
日射量増加 電流(Isc)が増加
曲線全体が上にシフト
1000W/m² → 500W/m²で
電流が約半分
温度上昇 電圧(Voc)が低下
曲線全体が左にシフト
25℃ → 75℃で
電圧が約15%低下

⚠️ 夏の発電効率低下の原因

「夏は日射が強いのに、なぜ発電量が思ったより伸びないの?」

答えは温度上昇。パネル温度が上がると電圧が下がり、最大電力も減少するからです。逆に、冬の晴天日は温度が低いため、意外と発電効率が良いんです!

🎯 MPPT制御|常に最大電力で運転する技術

📖 MPPTとは?

MPPT(Maximum Power Point Tracking / 最大電力点追従)とは、日射量や温度が変化しても、常に最大電力点(MPP)で動作するように自動制御する技術

太陽電池の出力は、時々刻々と変化します。朝・昼・夕で日射量が変わり、雲が通れば瞬時に変動。MPPT制御がなければ、最大30%もの電力ロスが発生してしまいます!

🔑 MPPTの3つの役割

  • ①日射量変化に追従: 曇り→晴れでもMPPを自動探索
  • ②温度変化に追従: パネル温度上昇でも最適点を維持
  • ③負荷変動に追従: 負荷が変わっても出力を最大化

⚙️ MPPT制御の仕組み

MPPT制御は、パワーコンディショナー(パワコン)に内蔵されています。その動作原理を見てみましょう。

🔄 MPPTアルゴリズムの流れ

  1. Step1: 電圧Vと電流Iをセンサーで測定
  2. Step2: 電力 P = V × I を計算
  3. Step3: 電圧を微小変化させて ΔP/ΔV(傾き)を評価
  4. Step4: ΔP/ΔV = 0 なら → MPP到達! 電圧維持
  5. Step5: ΔP/ΔV > 0 なら → 電圧を上げる方向へ
  6. Step6: ΔP/ΔV < 0 なら → 電圧を下げる方向へ
  7. Step7: 数ミリ秒ごとに繰り返し(常に追従!)

📊 MPPT制御の効果

項目 MPPT無し MPPT有り
発電量 不安定
(最大30%ロス)
常に最大
(最大20%向上)
日射変動への対応 追従できない 自動追従
MPPT効率 95〜99%
年間発電量 約70〜80% 約90〜99%

💡 イメージで覚えよう

MPPT制御 = 自動運転の車
日射量という「道路状況」が刻々と変わっても、AIが常に最速ルート(最大電力点)を自動で探して走るイメージです!

⚡ 電験三種での出題ポイント

⚡ 試験で狙われる5つのポイント

  1. 光電効果: pn接合で電子・正孔ペアが発生
  2. 変換効率: 単結晶(20〜22%) > 多結晶(15〜18%) > 薄膜(6〜10%)
  3. 1セルの電圧: 約0.5〜0.6V(シリコン)
  4. 最大電力点: I-V曲線上で P=V×I が最大になる点
  5. MPPT制御: 日射量・温度変化に追従し、常にMPPで動作

✏️ 練習問題

📖 例題

太陽電池に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。

(1) シリコン太陽電池1セルの発電電圧は約0.5〜0.6Vである
(2) 単結晶シリコンは多結晶シリコンより変換効率が高い
(3) 日射量が増加すると短絡電流Iscが増加する
(4) 温度が上昇すると開放電圧Vocも上昇する
(5) MPPT制御により発電量を最大化できる

✅ 解答と解説

正解: (4) 温度が上昇すると開放電圧Vocも上昇する

解説:
(1) ⭕ シリコンのバンドギャップから約0.5〜0.6V
(2) ⭕ 単結晶(20〜22%) > 多結晶(15〜18%)
(3) ⭕ 日射量↑ → 光子↑ → 電流↑
(4) ❌ 温度上昇で電圧は低下する!(25℃→75℃で約15%低下)
(5) ⭕ MPPT制御で最大電力点を常に追従

📚 まとめ|太陽光発電の全体像を再確認

✅ この記事で覚えるべき4つのポイント

  1. 光電効果: 光子がpn接合に当たり、電子・正孔ペアが発生して電流に
  2. 太陽電池の種類: 変換効率は単結晶 > 多結晶 > 薄膜の順
  3. I-V特性: 最大電力点(MPP)は、P=V×Iが最大になる点
  4. MPPT制御: 日射・温度変化に追従し、常にMPPで運転して発電量最大化

太陽光発電の核心は、光電効果という量子物理学の原理を使って、太陽光を直接電気に変換すること。そして、MPPT制御という賢い技術で、刻々と変化する環境でも常に最大出力を維持しているんです。

試験では、pn接合の仕組み・変換効率の順番・I-V曲線の読み方・MPPTの役割が狙われます。この記事の図解を頭に焼き付けて、満点を狙いましょう!

この記事が、あなたの電験三種合格への一歩になれば嬉しいです。太陽光発電を完全攻略して、得点源にしましょう! ☀️✨

タグ

-電力科目の解説
-