💭 こんな疑問、ありませんか?
- 数量化理論って何?なぜ「数量化」というの?
- Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類・Ⅳ類の違いがわからない…
- どんな場面で使うの?回帰分析や主成分分析と何が違う?
✅ この記事でスッキリ解決!
「アンケート調査」「顧客分類」など身近な例えで、数量化理論の全体像を完全マスターできます!
📌 この記事の結論(先に知っておこう!)
数量化理論は「文字データ(カテゴリデータ)を数値に変換して分析する」ための手法です。日本の統計学者・林知己夫が開発した「Made in Japan」の分析手法。Ⅰ類〜Ⅳ類の4種類があり、目的変数の有無とデータの種類で使い分けます!
目次
🎯 数量化理論って何?|一言でいうと
数量化理論を一言で説明すると…
「男・女」「好き・嫌い」などの
文字データを数値に変換して分析する手法
🤔 なぜ「数量化」が必要なの?
統計分析の多くは「数値データ」を前提としています。
📊
数値データ
身長:170cm
体重:65kg
年収:500万円
→ そのまま分析できる!
📝
カテゴリデータ
性別:男・女
血液型:A・B・O・AB
満足度:満足・普通・不満
→ そのままでは分析できない…
アンケート調査や顧客データには、「男・女」「好き・嫌い」「購入する・しない」などのカテゴリデータがたくさん含まれています。
これらを数値に変換して分析できるようにしたのが、数量化理論です!
💡 開発者は日本人!
数量化理論は、日本の統計学者林知己夫(はやし ちきお)が1950年代に開発しました。海外では「Hayashi's Quantification Methods」として知られています。日本発の統計手法として、世界的に認められています。

🗺️ 4つの数量化理論|全体マップ
数量化理論にはⅠ類・Ⅱ類・Ⅲ類・Ⅳ類の4種類があります。
選び方は2つの軸で決まります。
🎯 選び方の2つの軸
🎯
軸①:目的変数があるか?
ある:予測・判別したい
(Ⅰ類・Ⅱ類)
ない:構造を知りたい
(Ⅲ類・Ⅳ類)
📊
軸②:目的変数の種類は?
数値:売上、点数など
(Ⅰ類)
カテゴリ:購入する/しない
(Ⅱ類)
📋 4つの数量化理論 早見表
| 種類 | 目的変数 | 何をする? | 対応する手法 | イメージ |
|---|---|---|---|---|
| Ⅰ類 | 数値 (あり) |
カテゴリで数値を予測 | 重回帰分析 | 📈 予測 |
| Ⅱ類 | カテゴリ (あり) |
カテゴリでグループを判別 | 判別分析 | 🏷️ 分類 |
| Ⅲ類 | なし | カテゴリ間の関係を可視化 | 主成分分析 コレスポンデンス分析 |
🗺️ マップ化 |
| Ⅳ類 | なし | サンプル間の類似度を分析 | 多次元尺度構成法 (MDS) |
📍 距離 |
💡 覚え方のコツ:「Ⅰ類とⅡ類は予測・判別(目的変数あり)」「Ⅲ類とⅣ類は構造把握(目的変数なし)」とまず分けて覚えましょう!

📈 数量化Ⅰ類|カテゴリで数値を予測する
カテゴリデータで数値を予測
対応する手法:重回帰分析(説明変数がカテゴリ版)
🏠 具体例:住宅価格の予測
📊 こんなデータがあるとき…
| 物件 | 駅からの距離 | 築年数 | 間取り | 価格(万円) |
|---|---|---|---|---|
| A | 徒歩5分以内 | 新築 | 3LDK | 5,000 |
| B | 徒歩10分以上 | 10年以上 | 2LDK | 2,500 |
「駅からの距離」「築年数」「間取り」などのカテゴリデータから、価格(数値)を予測したい。
こんなときに使うのが数量化Ⅰ類です!
🔧 数量化Ⅰ類がやること
「徒歩5分以内」→ +500万円 のように、各カテゴリに数値(カテゴリスコア)を割り当てる
各カテゴリのスコアを合計して、価格を予測する
どのカテゴリが価格に影響が大きいかもわかる
📌 数量化Ⅰ類の活用例
- 住宅価格の予測(立地・築年数・間取りから)
- アンケートから顧客満足度を予測
- 商品の売上を属性から予測
- 従業員のパフォーマンス予測

🏷️ 数量化Ⅱ類|カテゴリでグループを判別する
カテゴリデータでグループを判別
対応する手法:判別分析(説明変数がカテゴリ版)
🛒 具体例:顧客の購買予測
📊 こんなデータがあるとき…
| 顧客 | 年代 | 性別 | 来店頻度 | 購入する? |
|---|---|---|---|---|
| Aさん | 20代 | 女性 | 週1以上 | 購入する |
| Bさん | 50代 | 男性 | 月1以下 | 購入しない |
「年代」「性別」「来店頻度」などのカテゴリデータから、「購入する・しない」というグループ(カテゴリ)を判別したい。
こんなときに使うのが数量化Ⅱ類です!
🔧 数量化Ⅱ類がやること
各カテゴリにスコアを割り当てる(Ⅰ類と同様)
スコアの合計から「購入する群」と「購入しない群」を最もよく分ける境界線を見つける
新しい顧客がどちらのグループに属するか予測できる
Ⅰ類との違い
Ⅰ類:数値を予測
(例:売上金額、点数)
Ⅱ類:カテゴリを判別
(例:購入する/しない)
📌 活用例
- 顧客の購買予測
- ローン審査の判定
- 疾患の診断予測
- 離職者の予測

🗺️ 数量化Ⅲ類|カテゴリ間の関係を可視化する
カテゴリ間の関係を2次元マップで可視化
対応する手法:主成分分析、コレスポンデンス分析(カテゴリ版)
Ⅲ類は目的変数がありません。「予測」ではなく「構造の把握」が目的です。
📺 具体例:テレビ番組と視聴者の関係
📊 こんなデータがあるとき…
| 視聴者 | ドラマA | バラエティB | ニュースC | スポーツD |
|---|---|---|---|---|
| 20代女性 | ◯ | ◯ | × | × |
| 50代男性 | × | × | ◯ | ◯ |
「どの番組とどの視聴者層が似ているか?」を知りたい。
こんなときに使うのが数量化Ⅲ類です!
🗺️ 数量化Ⅲ類がやること
カテゴリ(番組)とサンプル(視聴者)を同じ2次元マップ上にプロットします。
近くにあるものは「似ている」、遠くにあるものは「似ていない」という関係がわかります。
🗺️ 結果のイメージ
↑
ドラマA ● ● 20代女性
バラエティB ●
←─────────────────→
● ニュースC
● 50代男性 ● スポーツD
↓
近くにあるもの同士は「似ている」!
📌 数量化Ⅲ類の活用例
- ブランドイメージと消費者の関係を可視化
- アンケート回答パターンの分析
- 商品と購買者層の対応関係
- Webサイトとユーザー属性のマッピング

📍 数量化Ⅳ類|サンプル間の類似度を分析する
類似度データから位置関係を復元する
対応する手法:多次元尺度構成法(MDS:Multidimensional Scaling)
Ⅳ類は他の3つとは少し異なり、「類似度」や「距離」のデータを使います。
🏙️ 具体例:都市間の心理的距離
📊 こんなデータがあるとき…
「東京と大阪は似ている(距離:2)」「東京と札幌はあまり似ていない(距離:5)」のような類似度(距離)データがあるとき…
| 都市 | 東京 | 大阪 | 札幌 | 福岡 |
|---|---|---|---|---|
| 東京 | 0 | 2 | 5 | 4 |
| 大阪 | 2 | 0 | 6 | 3 |
※数字が小さいほど「似ている」
この「距離データ」から、2次元の地図のような配置を復元したい。
こんなときに使うのが数量化Ⅳ類です!
🔧 数量化Ⅳ類がやること
「類似度(距離)」のデータを入力とする
距離関係をなるべく再現する2次元座標を計算する
地図のように位置関係を可視化できる
Ⅲ類との違い
Ⅲ類:0/1データ(あり・なし)
→ カテゴリの対応関係
Ⅳ類:距離・類似度データ
→ 位置関係の復元
📌 活用例
- ブランドの知覚マップ作成
- 商品間の類似度分析
- 消費者の好みの構造分析
- 音や色の心理的距離の可視化

🔄 通常の分析手法との対応関係
数量化理論は、「カテゴリデータ版」の多変量解析と考えることができます。
| 数量化理論 | 対応する通常手法 | 説明変数 | 目的変数 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ類 | 重回帰分析 | カテゴリ | 数値 |
| Ⅱ類 | 判別分析 | カテゴリ | カテゴリ |
| Ⅲ類 | 主成分分析 コレスポンデンス分析 |
カテゴリ | なし |
| Ⅳ類 | 多次元尺度構成法 (MDS) |
類似度データ | なし |
💡 現代の実務では…
数量化理論の考え方は、「ダミー変数」を使った回帰分析や、機械学習の「One-Hot Encoding」として広く普及しています。概念を理解しておくと、様々な分析手法の理解が深まります。
✅ まとめ|数量化理論のポイント
📝 試験で覚えるべきこと
数量化理論とは?
カテゴリデータを数値に変換して分析する、日本発の統計手法
Ⅰ類
カテゴリ → 数値を予測(重回帰分析に対応)
Ⅱ類
カテゴリ → カテゴリを判別(判別分析に対応)
Ⅲ類
カテゴリ間の関係を可視化(主成分分析に対応)
Ⅳ類
類似度データから位置関係を復元(MDSに対応)
🎯 選び方のフローチャート
①目的変数はあるか?
→ ある場合:Ⅰ類 or Ⅱ類
→ ない場合:Ⅲ類 or Ⅳ類
②目的変数の種類は?(目的変数ありの場合)
→ 数値:Ⅰ類
→ カテゴリ:Ⅱ類
③データの種類は?(目的変数なしの場合)
→ 0/1(あり・なし):Ⅲ類
→ 類似度・距離:Ⅳ類
📚 多変量解析シリーズ|あわせて読みたい
🎯 QC検定での出題ポイント
数量化理論はQC検定1級・2級で出題されることがあります。特に以下の点を押さえておきましょう。
- Ⅰ類〜Ⅳ類の目的と使い分け
- 対応する通常の多変量解析手法との関係
- カテゴリデータを扱う際の考え方