QC検定 実践編

【完全図解】計測の基本|測定・計量・計数の違いと「真の値」に近づくための原則を初心者向けに徹底解説

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 「計測」「測定」「計量」「計数」の違いがわからない…
  • 「真の値」って何?なぜ測定値と違うの?
  • SI単位って聞いたことあるけど、何が基本単位なの?
  • 正確な測定をするために、何を意識すればいいの?
✅ この記事でわかること
  • 計測・測定・計量・計数の違いと使い分け
  • 真の値と測定値の関係、誤差の種類
  • SI単位系の7つの基本単位
  • 正確な測定を行うための5つの原則

品質管理の世界では、「測る」という行為がすべての基本になります。

製品の寸法、重さ、温度、時間…。これらを正しく測れなければ、「良い製品」と「悪い製品」を区別することすらできません。

でも、「計測」「測定」「計量」「計数」という似たような言葉が出てきて、違いがよくわからない…という方も多いのではないでしょうか?

この記事では、計測の基本用語から、正確な測定を行うための原則まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

品質管理・品質保証に関わるすべての人に必要な知識ですので、ぜひ最後までお読みください。

計測・測定・計量・計数の違い

まずは、混同しやすい4つの用語の違いを整理しましょう。

「計測」が最も広い概念

結論から言うと、「計測」が最も広い概念で、他の3つを含んでいます。

イメージとしては、「計測」という大きな傘の下に、「測定」「計量」「計数」がぶら下がっている感じです。

📐 4つの用語の関係
計測 > 測定・計量・計数
※ 計測は「測定」「計量」「計数」を包含する上位概念

4つの用語の定義と具体例

用語 定義 具体例
計測 特定の目的のために、対象の量を測定器を使って明らかにすること 品質検査、工程管理、研究開発における測定全般
測定 ある量を、基準となる量と比較して数値で表すこと 長さを定規で測る、温度を温度計で測る
計量 取引や証明のために、法律(計量法)に基づいて行う測定 スーパーでの肉の重さ、ガソリンの量、電気メーター
計数 対象の個数を数えること 不良品の数、在庫の個数、来場者数

「測定」と「計量」の違いに注意

特に紛らわしいのが「測定」と「計量」です。

どちらも「量を測る」という点では同じですが、決定的な違いは「法律が関係するかどうか」です。

比較項目 測定 計量
目的 量を数値で把握する 取引・証明のため
法律 特に規定なし 計量法で規定
使用機器 任意の測定器 検定済みの計量器
工場での製品検査 お店での商品販売
💡 ポイント
スーパーで「100g 298円」と表示された肉を買うとき、その重さは「計量法」に基づいて測られています。もし不正確なはかりで売っていたら、それは違法行為になります。これが「計量」の世界です。

「計数」は整数で数えること

「計数」は他の3つとは少し性質が異なります。

測定・計量が「連続量」(長さ、重さ、温度など)を扱うのに対し、計数は「離散量」(個数)を扱います。

不良品は「3.5個」とは数えませんよね。「3個」か「4個」か、整数で数えます。これが計数です。

データの種類 対応する行為
計量値(連続量) 測定・計量 長さ、重さ、温度、時間
計数値(離散量) 計数 不良品数、欠点数、人数

真の値と測定値|なぜ測定には必ず誤差があるのか?

測定をするとき、私たちは「真の値を知りたい」と思っています。

でも、残念ながら真の値を完全に知ることは不可能です。これは測定の世界の大前提です。

「真の値」と「測定値」の違い

用語 定義 特徴
真の値 測定対象が本当に持っている値 完全に知ることは不可能(理想値)
測定値 実際に測定して得られた値 必ず誤差を含む(現実値)

的を射るゲームに例えると、「真の値」は的の中心「測定値」は実際に矢が刺さった場所です。

どんなに上手な人でも、完全に中心に当て続けることは不可能ですよね。測定も同じです。

📐 測定の基本式
測定値 = 真の値 + 誤差
※ 誤差をゼロにすることは理論上不可能

誤差の2つの種類|系統誤差と偶然誤差

誤差には大きく分けて2つの種類があります。

誤差の種類 特徴 原因の例 対策
系統誤差
(かたより)
一定方向にずれる
再現性がある
測定器の校正不良
測定方法の間違い
環境条件の影響
原因を特定して除去
(校正、方法の見直し)
偶然誤差
(ばらつき)
ランダムにばらつく
予測不可能
測定者の読み取り
微小な環境変動
機器の微細な振動
複数回測定して平均
(統計的処理)

系統誤差(かたより)のイメージ

系統誤差は、「狙いがずれている」状態です。

たとえば、はかりの目盛りがもともと「+5g」ずれていたら、何度測っても5g重く表示されます。これが系統誤差です。

系統誤差は原因を特定できれば除去できます。はかりを校正すれば、このずれはなくなります。

偶然誤差(ばらつき)のイメージ

偶然誤差は、「狙いは合っているが、ブレがある」状態です。

同じものを何度測っても、微妙に値が変わることがありますよね。これは測定者の目の位置、部屋の温度変化、機器の微細な振動など、無数の原因が重なって起こります。

偶然誤差を完全になくすことはできませんが、複数回測定して平均をとることで影響を小さくできます。

💡 ポイント
系統誤差は「原因を見つけて直す」、偶然誤差は「統計で処理する」。この2つの対策を組み合わせることで、測定の信頼性が向上します。

正確さと精密さの違い|的当てゲームで理解する

測定の品質を語るとき、「正確さ(accuracy)」「精密さ(precision)」という2つの言葉がよく使われます。

この2つは混同されやすいですが、まったく別の概念です。的当てゲームで考えるとスッキリ理解できます。

正確さ=真の値にどれだけ近いか

正確さ(accuracy)は、測定値の平均が真の値にどれだけ近いかを表します。

的当てで言えば、「複数の矢の中心が、的の中心にどれだけ近いか」です。

正確さが低いのは系統誤差(かたより)が大きい状態です。狙いがずれています。

精密さ=測定値のバラつきの小ささ

精密さ(precision)は、複数の測定値がどれだけ一致しているかを表します。

的当てで言えば、「複数の矢がどれだけ近くに集まっているか」です。的の中心に当たっているかどうかは関係ありません。

精密さが低いのは偶然誤差(ばらつき)が大きい状態です。

4つのパターンを比較

パターン 正確さ 精密さ 的当ての状態 評価
高い 高い 中心に密集 理想的 ◎
高い 低い 中心周辺にバラバラ 平均は良い ○
低い 高い 的外れに密集 校正で改善可 △
低い 低い 的外れにバラバラ 最悪 ×
⚠️ 注意
パターン③(精密だが正確でない)は要注意です。測定値がいつも同じ方向にずれているので、測定者は「安定している」と安心しがちですが、実は系統誤差があります。校正を行えば改善できます。
💡 ポイント
良い測定のためには、正確さと精密さの両方が必要です。「正確だけど精密でない」「精密だけど正確でない」では不十分。両方を高めることを目指しましょう。

SI単位系|世界共通の「ものさし」

測定には「基準」が必要です。長さを測るには「1メートル」が何を意味するか、みんなが同じ認識を持っていなければなりません。

この「世界共通の基準」を定めているのがSI単位系(国際単位系)です。

SI単位系とは?

SIは、フランス語の「Système International d'unités」の略で、日本語では「国際単位系」と呼ばれます。

世界中の科学者・技術者が同じ「ものさし」を使えるように、国際度量衡総会(CGPM)で決められた単位系です。

📐 SI単位系の特徴
• 世界共通で使える
• 7つの「基本単位」から、他のすべての単位を導出できる
• 定義が明確で再現可能

7つのSI基本単位

SI単位系には7つの基本単位があり、他のすべての単位はこれらから導かれます。

単位名 記号 身近な例
長さ メートル m 定規、巻尺
質量 キログラム kg 体重計、はかり
時間 s ストップウォッチ
電流 アンペア A 電流計、ブレーカー
熱力学温度 ケルビン K 絶対温度(科学分野)
物質量 モル mol 化学反応の計算
光度 カンデラ cd 照明の明るさ
💡 覚え方のコツ
長(ながさ)・質(しつりょう)・時(じかん)・電(でんりゅう)・温(おんど)・物(ぶっしつ)・光(こうど)」の頭文字で「ながしじでんおんぶっこう」と覚えましょう。リズムよく言えば記憶に残りやすいです。

SI組立単位の例

7つの基本単位を組み合わせて作られる単位を「SI組立単位」と呼びます。

単位名 記号 基本単位での表現
ニュートン N kg·m/s²
圧力 パスカル Pa N/m² = kg/(m·s²)
電圧 ボルト V kg·m²/(A·s³)
周波数 ヘルツ Hz 1/s

このように、すべての単位は7つの基本単位の組み合わせで表現できます。これがSI単位系の美しさです。

測定の5原則|正確な測定を行うために

どんなに良い測定器を使っても、使い方を間違えれば正確な測定はできません。

正確な測定を行うための「測定の5原則」を紹介します。

原則①:同一条件で測定する

測定するたびに条件が変わると、結果も変わってしまいます。

温度、湿度、測定位置、測定姿勢など、できる限り同じ条件で測定することが大切です。

💡 具体例
金属は温度で伸び縮みします。夏と冬で同じ製品を測ると、値が変わってしまいます。精密測定では室温を20℃に保つのが標準です。

原則②:正しい測定方法を用いる

測定器ごとに正しい使い方があります。取扱説明書や作業標準書に従って測定しましょう。

「なんとなく」で測定していると、思わぬ誤差が生じることがあります。

原則③:校正された測定器を使う

測定器は使っているうちに少しずつ狂いが生じます。

定期的に校正(較正)を行い、正しい値を示すことを確認しましょう。校正されていない測定器で測っても、その値は信頼できません。

📐 校正とは?
測定器が示す値と、基準となる「標準器」の値を比較し、ずれを確認・修正すること。「狂いを直す」作業です。

原則④:熟練した測定者が行う

同じ測定器を使っても、測定者によって結果が変わることがあります。

目盛りの読み方、測定器の当て方、力加減など、経験による差は意外と大きいものです。重要な測定は熟練者が行い、新人には十分な教育・訓練を行いましょう。

原則⑤:測定環境を管理する

温度、湿度、振動、ほこりなど、測定環境が結果に影響を与えます。

精密な測定を行う場所では、空調管理、防振対策、クリーンルームなどの環境整備が必要です。

原則 内容 キーワード
同一条件で測定する 再現性
正しい測定方法を用いる 標準化
校正された測定器を使う トレーサビリティ
熟練した測定者が行う 教育・訓練
測定環境を管理する 環境管理

トレーサビリティ|測定の「信頼の連鎖」

測定の5原則の③で「校正された測定器を使う」と説明しました。

では、校正に使う「基準」は、どうやって正しさを保証しているのでしょうか?

その答えが「トレーサビリティ」です。

トレーサビリティとは?

トレーサビリティ(traceability)とは、測定値を国際標準(SI単位)まで切れ目なくたどれることを指します。

「この測定器は、どの基準に基づいて校正されているか」を追跡できる状態です。

📐 トレーサビリティの連鎖
国際標準(SI)
  ↓ 校正
国家標準(産総研など)
  ↓ 校正
一次標準器
  ↓ 校正
二次標準器(実用標準器)
  ↓ 校正
現場の測定器

なぜトレーサビリティが重要なのか?

トレーサビリティがあることで、世界中のどこで測定しても、同じ結果が得られるという保証になります。

たとえば、日本の工場で作った部品がアメリカの工場で使われるとき、寸法の「1mm」が同じ意味でなければ困りますよね。

トレーサビリティの連鎖があることで、国際的な取引でも測定値が信頼されるのです。

💡 ポイント
ISO 9001やISO/IEC 17025(試験所認定)では、測定機器のトレーサビリティ確保が要求されています。品質管理の国際標準として必須の概念です。

日本におけるトレーサビリティの仕組み

日本では、産業技術総合研究所(産総研/AIST)が国家標準を維持・管理しています。

企業の測定器は、この国家標準にトレーサブル(追跡可能)な形で校正されることで、信頼性が保証されます。

階層 担当機関・場所 役割
国際標準 BIPM(国際度量衡局) SI単位の定義・維持
国家標準 産総研(AIST) 日本の国家標準を維持
校正機関 JCSS登録事業者 企業の標準器を校正
現場 各企業 製品の測定

まとめ|計測は品質管理の出発点

この記事では、計測の基本について解説してきました。最後に、ポイントをまとめます。

📝 この記事のまとめ
  • 計測は最も広い概念で、測定・計量・計数を含む
  • 測定は量を数値で表すこと、計量は法律に基づく測定、計数は個数を数えること
  • 真の値は知ることができず、測定値には必ず誤差が含まれる
  • 誤差には系統誤差(かたより)偶然誤差(ばらつき)がある
  • 正確さは真の値への近さ、精密さはバラつきの小ささ(別の概念)
  • SI単位系は7つの基本単位からなる世界共通の単位系
  • 測定の5原則を守り、トレーサビリティを確保することが重要

「測れないものは管理できない」と言われます。品質管理のすべては、正確な測定から始まります。

今回学んだ基本を押さえて、信頼できる測定を行っていきましょう。

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