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- スナバの抵抗とコンデンサ、何Ω・何pFにすればいいの?
- 計算式はあるけど、寄生インダクタンスLがわからない
- スナバ抵抗が熱くなる。損失の計算が合っているか不安
- RCスナバでサージとリンギングが減る仕組み
- C・R・損失の計算式と例題
- リンギングを測ってLと寄生容量を求める方法
- 2つの方法をまとめた計算ツール
RCスナバ回路は、スイッチ素子に並列に抵抗Rとコンデンサ Cを直列でつなぎ、ターンオフのサージとリンギングを抑える回路です。Cは配線のインダクタンスLにたまったエネルギーを受け止める大きさ(C≒L×I²÷ΔV²)、Rは振動を止める大きさ(R≒√(L/C)〜2√(L/C))にします。抵抗の損失はP≒C×V²×fswで、½はつきません。実務では、リンギングの周波数を測ってLと寄生容量を求める方法がよく使われます。

- パワエレの周辺回路まとめ
- スナバ回路とは
- RCスナバの設計計算(この記事)
- RCDスナバ
- アクティブクランプ
- TVSダイオード
RCスナバ回路とは?サージとリンギングを抑える
MOSFETやIGBTがオフになると、配線のインダクタンスLに流れていた電流が急に止められ、V=L×dI/dt の電圧(サージ)が出ます。さらに、Lと素子の寄生容量が共振して、電圧がしばらく振動します(リンギング)。
| 部品 | 役割 | たとえ |
|---|---|---|
| コンデンサC | Lのエネルギーを受け止め、電圧の上がり方をゆるくする | 車のバネ |
| 抵抗R | LとCのあいだで行き来するエネルギーを熱にして、振動を止める | ショックアブソーバー |
RCスナバは、スイッチ素子と並列に、RとCを直列にしてつなぎます。Cだけだと振動が止まらず、Rだけだと電流が流れつづけます。両方そろって、サージとリンギングがおさまります。
ハーフブリッジ(上下2つのMOSFETを交互にオン・オフする回路)では、サージとは別に、上下が同時にオンして流れる貫通電流にも注意が要ります。貫通電流はスナバでは防げず、両方をオフにしておく時間(デッドタイム)で防ぎます。しくみと計算はハーフブリッジ・フルブリッジ駆動の基本|貫通電流を防ぐ設計で解説しています。
サージとノイズが出る理由

サージ電圧の大きさは、配線の「寄生インダクタンス」で決まります。スナバの容量を決める前に押さえておきたい話です。
配線が長いとリンギングとサージが増える理由
RとCの計算式|C=L×I²÷ΔV²、R=√(L/C)〜2√(L/C)
| 求めるもの | 式 | 考え方 |
|---|---|---|
| コンデンサ容量C | C≒L×I²÷ΔV² | Lのエネルギー ½LI² を、Cの ½CΔV² で受け止める。ΔV=許容電圧−電源電圧 |
| 特性インピーダンスZ₀ | Z₀=√(L/C) | LとCの組み合わせで決まる抵抗の目安 |
| 抵抗値R | R≒Z₀〜2Z₀ | 2Z₀で臨界減衰(ζ=1)。Z₀でも振動はすばやくおさまる |
| 抵抗の損失P | P≒C×V²×fsw | 毎回、充電で½CV²、放電で½CV²を抵抗が熱にする |
減衰係数ζ|Rの大きさで揺れ方が変わる
| ζ | 状態 | 波形 |
|---|---|---|
| ζ<1 | 不足減衰 | 振動しながらおさまる(リンギングが残る) |
| ζ=1 | 臨界減衰 | 振動せず、いちばん早くおさまる |
| ζ>1 | 過減衰 | 振動しないが、Rが大きすぎるとCに電流が流れずスナバが効かない |
直列のRLCでは ζ=(R÷2)×√(C/L) です。Rを大きくしすぎるとCがつながっていないのと同じになるので、「大きいほど効く」わけではありません。

例題1:Lがわかっているときの計算
L=100nH、オフする電流 I=10A、電源電圧300V、素子にかけてよい電圧400V、スイッチング周波数100kHz。
| ステップ | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| ① ΔV | 400−300 | 100V |
| ② C | 100nH×10²÷100² | 1nF |
| ③ Z₀ | √(100nH÷1nF) | 10Ω |
| ④ R | Z₀〜2Z₀ | 10〜20Ω |
| ⑤ 損失 | 1nF×300²×100kHz | 約9W(+リンギング分 ½LI²×fsw=0.5W) |
9Wは、スナバとしてはかなり大きな損失です。エネルギーの式で決めたCは、サージを電源電圧の少し上で止めようとするぶん大きくなりがちで、そのぶん損失が増えます。損失が大きすぎるときは、許容電圧を見直すか、RCDスナバやクランプ回路を考えます。

実務の決め方:リンギングを測ってLと寄生容量を求める
Lは配線や部品の中にあって、計算ではなかなかわかりません。そこで、オシロスコープでリンギングを測って、Lと寄生容量Cpを求める方法がよく使われます。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ① 周波数を測る | スナバなしで、ターンオフ後のリンギングの周波数 f₀ を測る |
| ② コンデンサを足す | 素子と並列に小さなコンデンサCaddを足し、周波数 f₁ を測る(f₀の半分くらいになる値をさがす) |
| ③ 寄生容量 | Cp=Cadd÷((f₀÷f₁)²−1)。ちょうど半分なら Cp=Cadd÷3 |
| ④ L | L=1÷((2πf₀)²×Cp) |
| ⑤ スナバのRとC | R≒√(L/Cp)、C≒Cpの3〜4倍 |
例題2:f₀=50MHz、100pFを足すと f₁=25MHz(半分)になった。
| 求めるもの | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 寄生容量Cp | 100pF÷(2²−1) | 約33pF |
| L | 1÷((2π×50MHz)²×33pF) | 約304nH |
| R | √(304nH÷33pF) | 約95Ω → 100Ω |
| C | 33pF×3〜4 | 120pF |
| 損失(300V・100kHz) | 120pF×300²×100kHz | 約1.1W |
例題1より、Cがずっと小さく損失も少なくなります。リンギングを止めることが目的なら、この方法のほうが現実的です。
オシロスコープで波形を測る基本

部品の選び方|コンデンサと抵抗の注意点
| 部品 | チェック項目 | 選び方 |
|---|---|---|
| コンデンサ | 耐圧 | サージを含む最大電圧より余裕をもたせる |
| コンデンサ | 種類 | セラミック(C0G・NP0など)かフィルム。電解は高い周波数に向かない |
| 抵抗 | 定格電力 | 計算した損失の2倍以上を目安に。温度も確かめる |
| 抵抗 | 種類 | 巻線形はインダクタンスがあるので避ける。無誘導の抵抗を使う |
| 配置 | 配線 | スナバは素子のすぐ近くに置き、ループを小さくする |
計算はスタート地点です。最後は、オシロスコープで波形を見ながらRとCを1段ずつ変えて決めます。
RCスナバの計算ツール
①はLがわかっているとき、②はリンギングを測ったときに使います。最初は記事の例題の数字が入っています。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。計算値は出発点です。最後は実機の波形で確かめてください。
RCスナバ設計のよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| 損失を ½×C×V²×fsw で見積もる | 充電と放電の両方で失うので C×V²×fsw |
| Rは大きいほどよく効く | 大きすぎるとCに電流が流れず、スナバが効かない |
| Cは大きいほど安心 | 損失がCに比例して増え、抵抗が焼ける |
| Lは計算で正確に出せる | 誤差が大きい。リンギングを測って求める |
| 巻線形の抵抗や電解コンデンサを使う | 無誘導の抵抗と、セラミック・フィルムのコンデンサを使う |

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よくある質問
- RCスナバはスイッチと並列。サージとリンギングを抑える
- C≒L×I²÷ΔV²、R≒√(L/C)〜2√(L/C)
- 損失は P≒C×V²×fsw(½はつかない)
- 実務はリンギングを測って寄生容量とLを求める
- Cは寄生容量の3〜4倍、無誘導の抵抗で

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回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。
スナバで抑えたサージやリンギングは、ノイズとして外に出ていくこともあります。ノイズの2つの種類は次の記事で。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
次に読むべき記事
RCスナバの計算がわかったら、スナバ回路の全体像に戻って、RCDやクランプとの使い分けを整理しましょう。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。