回路設計

電流検出方式の比較|シャント抵抗・CT・ホール素子・ロゴスキーコイルの選び方

電流検出方式の比較を表すアイキャッチ。1本の電線に、シャント抵抗、CT、ホール素子、ロゴスキーコイルが並ぶ

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • シャント抵抗・CT・ホール素子、どれを使えばいいかわからない
  • 直流を測りたいのにCTは使えないと言われた
  • 絶縁が要るかどうかで、何が変わるのかあいまい
この記事でわかること
  • 4つの方式の原理(たとえ話つき)
  • DC対応・絶縁・精度・帯域・コストの比較表
  • 3つの質問で決まる選び方
  • 条件を選ぶだけの選定ツール
結論|まず30秒でわかる答え

電流検出の方式は、電流の通り道に抵抗を入れて電圧で測るシャント抵抗と、電流がつくる磁界を外から測るCT・ホール素子・ロゴスキーコイルに分かれます。選び方は①直流(DC)を測るか ②絶縁が要るか ③電流の大きさと周波数の3つで決まります。DCを測るならシャント抵抗かホール素子、商用周波数の交流ならCT、MHz帯や数千Aの大電流ならロゴスキーコイルが向いています。

電流検出方式の比較を表すアイキャッチ。1本の電線に、シャント抵抗、CT、ホール素子、ロゴスキーコイルが並ぶ
電流検出の4方式:シャント・CT・ホール・ロゴスキー

電流検出は「直接」と「間接」の2つに分かれる

分類方式しくみたとえ
直接シャント抵抗電流の通り道に小さな抵抗を入れ、その電圧を測る水道管に流量計を入れる
間接(磁気)CT・ホール素子・ロゴスキーコイル電流のまわりにできる磁界を外から測る水道管を切らずに外から測る

直接方式は回路とつながっているので、測定側と回路が絶縁されません。間接方式は磁界を介して測るので、もともと絶縁されています。この違いが、使える場面を大きく分けます。

電流検出の直接方式と間接方式の図。シャント抵抗は水道管に流量計を入れるように通り道に入れて測り、絶縁はない。CT・ホール素子・ロゴスキーコイルは外から磁界を測り、絶縁がある
電流検出の直接方式と間接方式:絶縁の有無

4つの方式のしくみ

① シャント抵抗:V=I×R で電圧に変える

電流の通り道に、値のわかった小さな抵抗(数mΩ〜数十mΩ)を入れ、両端の電圧を測ります。10Aで10mΩなら0.1Vです。安くて精度が高く、DCもACも測れますが、I²Rの発熱があり、絶縁はありません。電源側に置くハイサイドは専用の電流センスアンプが要り、GND側に置くローサイドは安いアンプで測れますが負荷のGNDが少し浮きます。

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② CT(カレントトランス):変圧器の原理で縮小コピー

ドーナツ形の鉄心に測りたい電線を通し、二次側にN回巻いたコイルから、1/Nに縮んだ電流を取り出します(I₁×N₁=I₂×N₂)。電源が要らず、絶縁もありますが、磁束が変化しない直流は測れません。また、使っているときに二次側を開放すると高い電圧が出るので、必ず負担抵抗をつないでおきます。

③ ホール素子:磁界を半導体で測る

電流がつくる磁界の中にホール素子を置くと、磁界に比例した電圧(ホール電圧)が出ます。DCもACも測れて絶縁もあるのが最大の強みです。鉄心で磁界を集めるコア付き(オープンループ・クローズドループ)と、ICだけのコアレスがあります。温度ドリフトや外部の磁界の影響に注意します。

④ ロゴスキーコイル:鉄心なしで変化を測る

鉄心のない空芯コイルを電線に巻きつけます。出力は電流の変化の速さ(di/dt)に比例するので、積分回路で電流の波形に戻します。鉄心がないので磁気飽和せず、数千Aの大電流やMHz帯の速い電流に向いていますが、直流は測れません。

4つの電流検出方式の図。シャント抵抗はV=I×RでDCも測れる。CTは電磁誘導でACだけ。ホール素子は磁界を測りDCも測れる。ロゴスキーコイルは鉄心がなくACだけ
4つの電流検出方式のしくみ:DCを測れるのはシャントとホール

4方式の比較表

シャント抵抗CTホール素子ロゴスキー
DC○×○×
AC○○○○
絶縁×(絶縁アンプが要る)○○○
精度◎○△〜○△〜○
帯域DC〜高周波用途に合わせた範囲DC〜数百kHzが多い数Hz〜数十MHz
大電流△(発熱)○(飽和に注意)○◎(飽和しない)
電源不要(アンプは要る)不要必要必要(積分回路)
コスト◎○○△
おもな用途電源の電流監視・過電流保護商用電源の計測・電力量計モーター制御・EV・太陽光SiC/GaNの評価・大電力インバータ
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4つの電流検出方式の比較表の図。DCはシャントとホールが○、絶縁はシャント以外が○、大電流はロゴスキーが◎、速い波形はシャントとロゴスキーが◎、コストはシャントが◎
4つの電流検出方式の比較表

選び方は3つの質問で決まる

質問答え候補
① 直流(DC)を測る?はいシャント抵抗・ホール素子
いいえ(ACだけ)4つとも候補
② 絶縁が要る?はいCT・ホール素子・ロゴスキー(シャントなら絶縁アンプ)
いいえシャント抵抗がいちばん安く正確
③ 電流と周波数は?〜10A程度・安くシャント抵抗
数十〜数百A・DCもACホール素子
50/60Hzの交流を正確にCT
数千A・MHz帯ロゴスキーコイル

シャント抵抗が大電流で使いにくいのは、損失がI²Rで増えるからです。50Aを1mΩで測ると2.5W、100Aなら10Wの熱になります。このあたりから、磁気式のほうがトータルで有利になることが多くなります。

電流検出方式の選び方の図。直流を測るならシャントかホール、絶縁が要るならCT・ホール・ロゴスキー、大電流やMHz帯ならロゴスキー、50Hzの交流ならCT
電流検出方式の選び方:直流・絶縁・大電流・50Hz

電流検出方式の選定ツール

条件を選んでください。おすすめの方式と、シャント抵抗を使うときの抵抗値・損失を出します。

選ぶと、その場で判定し直します。入力した内容は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。判定は目安です。最終的には製品のデータシートで帯域・精度・絶縁耐圧を確かめてください。

電流検出のよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
CTで直流を測ろうとするCTは磁束の変化で動くので直流は測れない。ホール素子かシャント
CTの二次側を開放したまま使う高い電圧が出て危険。必ず負担抵抗をつなぐ
シャントは大電流でも安く済む損失がI²Rで増え、放熱のコストがかかる
ロゴスキーはそのまま電流が出る出力はdi/dt。積分回路で電流に戻す
ホール素子は外の影響を受けない外部の磁界と温度ドリフトに注意
電流検出のよくある間違いの図。CTは交流だけ、CTの二次側は開放せず負担抵抗をつなぐ、シャントは大電流で損失が増える、ロゴスキーの出力はdi/dtなので積分する
電流検出のよくある間違い:CTの二次側は開放しない
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よくある質問

Q. 電流検出の方式にはどんな種類がある?

A. 抵抗の電圧で測るシャント抵抗と、磁界で測るCT・ホール素子・ロゴスキーコイルの4つが代表的です。

Q. 直流電流を測れる方式は?

A. シャント抵抗とホール素子です。CTとロゴスキーコイルは磁束の変化を使うので、直流は測れません。

Q. 絶縁が必要なときは?

A. CT・ホール素子・ロゴスキーコイルはもともと絶縁されています。シャント抵抗なら絶縁アンプを組み合わせます。

Q. シャント抵抗の値はどう決める?

A. 検出したい電圧を最大電流で割って決めます。10Aで100mVなら10mΩで、損失は1Wです。

Q. ロゴスキーコイルの長所は?

A. 鉄心がないので磁気飽和せず、数千Aの大電流やMHz帯の速い電流の波形を測れることです。

まとめ
  • シャント=直接、CT・ホール・ロゴスキー=磁界で間接
  • DCを測れるのはシャントとホール素子
  • 絶縁が要るなら磁気式(シャントは絶縁アンプ)
  • 大電流・MHz帯はロゴスキー、商用周波数はCT
  • シャントの損失はI²R。大電流ほど不利
電流検出方式のまとめの図。直接と間接の2種類、DCが測れるのはシャントとホール、絶縁が要るなら磁気式、大電流やMHz帯はロゴスキー
電流検出方式のまとめ
この記事の理解を深める本と道具
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おすすめの道具

回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーで回路設計・生産技術(品質改善)の実務

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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