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- シャント抵抗・CT・ホール素子、どれを使えばいいかわからない
- 直流を測りたいのにCTは使えないと言われた
- 絶縁が要るかどうかで、何が変わるのかあいまい
- 4つの方式の原理(たとえ話つき)
- DC対応・絶縁・精度・帯域・コストの比較表
- 3つの質問で決まる選び方
- 条件を選ぶだけの選定ツール
電流検出の方式は、電流の通り道に抵抗を入れて電圧で測るシャント抵抗と、電流がつくる磁界を外から測るCT・ホール素子・ロゴスキーコイルに分かれます。選び方は①直流(DC)を測るか ②絶縁が要るか ③電流の大きさと周波数の3つで決まります。DCを測るならシャント抵抗かホール素子、商用周波数の交流ならCT、MHz帯や数千Aの大電流ならロゴスキーコイルが向いています。

電流検出は「直接」と「間接」の2つに分かれる
| 分類 | 方式 | しくみ | たとえ |
|---|---|---|---|
| 直接 | シャント抵抗 | 電流の通り道に小さな抵抗を入れ、その電圧を測る | 水道管に流量計を入れる |
| 間接(磁気) | CT・ホール素子・ロゴスキーコイル | 電流のまわりにできる磁界を外から測る | 水道管を切らずに外から測る |
直接方式は回路とつながっているので、測定側と回路が絶縁されません。間接方式は磁界を介して測るので、もともと絶縁されています。この違いが、使える場面を大きく分けます。

4つの方式のしくみ
① シャント抵抗:V=I×R で電圧に変える
電流の通り道に、値のわかった小さな抵抗(数mΩ〜数十mΩ)を入れ、両端の電圧を測ります。10Aで10mΩなら0.1Vです。安くて精度が高く、DCもACも測れますが、I²Rの発熱があり、絶縁はありません。電源側に置くハイサイドは専用の電流センスアンプが要り、GND側に置くローサイドは安いアンプで測れますが負荷のGNDが少し浮きます。
シャント抵抗の値と定格の決め方
② CT(カレントトランス):変圧器の原理で縮小コピー
ドーナツ形の鉄心に測りたい電線を通し、二次側にN回巻いたコイルから、1/Nに縮んだ電流を取り出します(I₁×N₁=I₂×N₂)。電源が要らず、絶縁もありますが、磁束が変化しない直流は測れません。また、使っているときに二次側を開放すると高い電圧が出るので、必ず負担抵抗をつないでおきます。
③ ホール素子:磁界を半導体で測る
電流がつくる磁界の中にホール素子を置くと、磁界に比例した電圧(ホール電圧)が出ます。DCもACも測れて絶縁もあるのが最大の強みです。鉄心で磁界を集めるコア付き(オープンループ・クローズドループ)と、ICだけのコアレスがあります。温度ドリフトや外部の磁界の影響に注意します。
④ ロゴスキーコイル:鉄心なしで変化を測る
鉄心のない空芯コイルを電線に巻きつけます。出力は電流の変化の速さ(di/dt)に比例するので、積分回路で電流の波形に戻します。鉄心がないので磁気飽和せず、数千Aの大電流やMHz帯の速い電流に向いていますが、直流は測れません。

4方式の比較表
| シャント抵抗 | CT | ホール素子 | ロゴスキー | |
|---|---|---|---|---|
| DC | ○ | × | ○ | × |
| AC | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 絶縁 | ×(絶縁アンプが要る) | ○ | ○ | ○ |
| 精度 | ◎ | ○ | △〜○ | △〜○ |
| 帯域 | DC〜高周波 | 用途に合わせた範囲 | DC〜数百kHzが多い | 数Hz〜数十MHz |
| 大電流 | △(発熱) | ○(飽和に注意) | ○ | ◎(飽和しない) |
| 電源 | 不要(アンプは要る) | 不要 | 必要 | 必要(積分回路) |
| コスト | ◎ | ○ | ○ | △ |
| おもな用途 | 電源の電流監視・過電流保護 | 商用電源の計測・電力量計 | モーター制御・EV・太陽光 | SiC/GaNの評価・大電力インバータ |
過電流保護での使い分け

選び方は3つの質問で決まる
| 質問 | 答え | 候補 |
|---|---|---|
| ① 直流(DC)を測る? | はい | シャント抵抗・ホール素子 |
| いいえ(ACだけ) | 4つとも候補 | |
| ② 絶縁が要る? | はい | CT・ホール素子・ロゴスキー(シャントなら絶縁アンプ) |
| いいえ | シャント抵抗がいちばん安く正確 | |
| ③ 電流と周波数は? | 〜10A程度・安く | シャント抵抗 |
| 数十〜数百A・DCもAC | ホール素子 | |
| 50/60Hzの交流を正確に | CT | |
| 数千A・MHz帯 | ロゴスキーコイル |
シャント抵抗が大電流で使いにくいのは、損失がI²Rで増えるからです。50Aを1mΩで測ると2.5W、100Aなら10Wの熱になります。このあたりから、磁気式のほうがトータルで有利になることが多くなります。

電流検出方式の選定ツール
条件を選んでください。おすすめの方式と、シャント抵抗を使うときの抵抗値・損失を出します。
選ぶと、その場で判定し直します。入力した内容は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。判定は目安です。最終的には製品のデータシートで帯域・精度・絶縁耐圧を確かめてください。
電流検出のよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| CTで直流を測ろうとする | CTは磁束の変化で動くので直流は測れない。ホール素子かシャント |
| CTの二次側を開放したまま使う | 高い電圧が出て危険。必ず負担抵抗をつなぐ |
| シャントは大電流でも安く済む | 損失がI²Rで増え、放熱のコストがかかる |
| ロゴスキーはそのまま電流が出る | 出力はdi/dt。積分回路で電流に戻す |
| ホール素子は外の影響を受けない | 外部の磁界と温度ドリフトに注意 |

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よくある質問
- シャント=直接、CT・ホール・ロゴスキー=磁界で間接
- DCを測れるのはシャントとホール素子
- 絶縁が要るなら磁気式(シャントは絶縁アンプ)
- 大電流・MHz帯はロゴスキー、商用周波数はCT
- シャントの損失はI²R。大電流ほど不利

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メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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