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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
- 電圧降下とは何か、なぜ起きるのかを説明できない
- 配線の電圧降下を、どの式で計算すればいいのかわからない
- 電線の太さを決めるとき、何%まで下がってよいのか知りたい
この記事でわかること
- 電圧降下の意味と3つの原因
- 延長コードと工場の配線での計算例
- 単相2線式・三相3線式の計算式と、内線規程の簡略式
- 許容値の目安と、電線の太さの選び方(計算ツールつき)
結論|まず30秒でわかる答え
電圧降下とは、電線の抵抗に電流が流れることで、電源から機器までの途中で電圧が下がる現象です。下がる電圧は「電線の抵抗×電流」で決まるので、電線が長いほど、細いほど、電流が大きいほど大きくなります。配線では、低圧で受電する場合、幹線と分岐回路それぞれで標準電圧の2%以下に抑えるのが目安で、電線を太くするか短くして対策します。
電圧降下:長い電線で100Vが96.6Vに下がる
電圧降下とは?電線を通るあいだに電圧が「目減り」する
電線にもわずかな抵抗があるので、電流が流れると、その抵抗の分だけ電圧が使われ、機器に届く電圧が下がります。これが電圧降下です。
たとえると
庭の水道に長いホースをつなぐと、ホースの先では水の勢いが弱くなります。ホースの内側との摩擦で、水の圧力が途中で使われるからです。電気も同じで、電源の電圧(水圧)が、電線の抵抗(ホースの摩擦)で少しずつ使われ、機器に届くころには下がっています。
公式
電圧降下 e = I × R
I は流れる電流[A]、R は電線の抵抗[Ω]です。中学で習うオームの法則そのものです。電線の抵抗は R = ρ × 長さ ÷ 断面積(ρは材料の抵抗率)で決まります。
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POINT
つまり、電圧降下は「電線の抵抗で使われてしまう電圧」です。下がった分の電圧×電流は熱になって電線から逃げていくので、電圧降下が大きい配線は、ムダな電力も大きい配線です。
電圧降下はホースの摩擦で水圧が下がるのと同じ
電圧降下が大きくなる3つの原因
電圧降下 e=I×R なので、電線が長い・細い(Rが大きい)、電流が大きい(Iが大きい)の3つが原因です。
| 原因 | なぜ大きくなる | ホースのたとえ |
| 電線が長い | 抵抗は長さに比例して大きくなる | 長いホースほど勢いが落ちる |
| 電線が細い | 抵抗は断面積に反比例して大きくなる | 細いホースほど勢いが落ちる |
| 電流が大きい | 同じ抵抗でも、電流に比例して大きくなる | たくさん水を流すほど勢いが落ちる |
銅の電線の抵抗は、断面積1mm²・長さ1mあたり約0.018Ω(実際の電線の値はメーカーの資料で確認)です。断面積が2倍になれば抵抗は半分、長さが2倍になれば抵抗は2倍になります。温度が上がると抵抗も少し大きくなります。
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電圧降下が大きくなる3つの原因:長い・細い・大電流
計算例1|延長コード10mでドライヤーを使うと
電気は行きと帰りの2本の線を通るので、延長コードが10mなら電線の長さは往復20mで計算します。
STEP 1
1,200Wのドライヤーを100Vで使うと、電流 I = 1,200 ÷ 100 = 12A。
STEP 2
1.25mm²の電線は1mあたり約0.0142Ω(0.0178 ÷ 1.25)。往復20mで R = 0.0142 × 20 ≒ 0.28Ω。
STEP 3
電圧降下 e = 12 × 0.28 ≒ 3.4V。ドライヤーに届く電圧は約96.6V。
STEP 4
ヒーターのような抵抗の負荷の電力は電圧の2乗に比例するので、(96.6 ÷ 100)² ≒ 0.93。出力は約7%下がる。
| 延長コードの長さ(1.25mm²・12A) | 電圧降下の目安 | 機器に届く電圧 |
| 2m | 約0.7V | 約99.3V |
| 5m | 約1.7V | 約98.3V |
| 10m | 約3.4V | 約96.6V |
| 20m | 約6.8V | 約93.2V |
壁のコンセントまでの配線でもすでに少し電圧は下がっているので、実際の電圧はこれよりさらに低くなります。電線の抵抗の値は製品によって違います。
延長コード10mの電圧降下は約3.4V(計算例)
配電方式ごとの計算式|単相2線式・三相3線式・単相3線式
電圧降下の式は、電流が通る電線の本数の数え方で、係数が2・√3・1と変わります。屋内配線の設計では、内線規程の簡略式がよく使われます。
| 配電方式 | 基本の式 | 簡略式(銅線) |
| 単相2線式 | e = 2 × I × r × L | e = 35.6 × L × I ÷ (1000 × A) |
| 三相3線式 | e = √3 × I × r × L(線間) | e = 30.8 × L × I ÷ (1000 × A) |
| 単相3線式 | e = I × r × L(外線と中性線の間、平衡のとき) | e = 17.8 × L × I ÷ (1000 × A) |
L:電線の長さ(片道)[m]、I:電流[A]、A:電線の断面積[mm²]、r:1mあたりの電線の抵抗[Ω/m]。
簡略式の35.6・30.8・17.8は、銅の電線の抵抗率(約0.0178 Ω·mm²/m)を、それぞれ2倍・√3倍・1倍して1000をかけた数です。力率(電気が仕事に使われる割合)が1に近く、電線のリアクタンス(交流での抵抗のような成分)を無視できる屋内配線向けの式です。
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注意|ここで間違えやすい
簡略式のLは「片道」の長さです。単相2線式の係数35.6の中に、すでに往復の2倍が入っています。往復の長さを入れると、電圧降下が2倍に計算されてしまいます。
電圧降下の簡略式の係数:単相2線式35.6など
計算例2|工場の三相200Vの配線と、計算ツール
工場で、分電盤から50m先の三相200Vのモーターに30Aを流す配線を、14mm²の電線で組む場合を計算します。
STEP 1
三相3線式の簡略式に入れる:e = 30.8 × 50 × 30 ÷ (1000 × 14)。
STEP 2
30.8 × 50 × 30 = 46,200。1000 × 14 = 14,000。e = 46,200 ÷ 14,000 = 3.3V。
STEP 3
200Vに対して 3.3 ÷ 200 × 100 = 1.65%。2%の目安に入る。
はじめから入っている数字は、上の工場の例です。銅線で、力率が1に近い屋内配線の目安の計算です。実際の電線の太さは、電圧降下だけでなく許容電流(電線が熱くなりすぎない電流)や遮断器との組み合わせでも決めます。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。
工場の三相200V配線の電圧降下:約3.3V・1.65%
電圧降下の許容値|内線規程の「2%」の目安
屋内配線の決まりである内線規程では、低圧で受電する場合、幹線(分電盤までの太い配線)と分岐回路(分電盤からコンセントや機器まで)を、それぞれ標準電圧の2%以下にすることを原則にしています。
| 区間 | 目安 | 100Vなら | 200Vなら |
| 幹線 | 2%以下 | 2V以下 | 4V以下 |
| 分岐回路 | 2%以下 | 2V以下 | 4V以下 |
高圧で受電して自分の変圧器から供給する場合や、配線がとても長い場合には、合計の電圧降下を少し大きく認める決まりもあります。具体的な数値は、最新の内線規程で確かめてください。延長コードは、この固定の配線の先にさらに足されるので、そのぶん電圧が下がります。
POINT
電圧が下がりすぎると、モーターは回る力が落ちて電流が増え、熱くなります。照明は暗くなり、電子機器は電源が落ちたり、誤動作したりします。設備の電圧の許容範囲は、機器の仕様書で確かめます。
電圧降下の許容値の目安:幹線・分岐回路それぞれ2%以下
電圧降下の対策|電線を太く・短く、電流を小さく
対策は、e=I×Rのどちらかを小さくすることです。電線を太く・短くしてRを下げるか、電圧を上げて同じ電力を小さい電流で送ります。
| 対策 | 効く理由 | 例 |
| 電線を太くする | 断面積が2倍なら電圧降下は半分 | 8mm²を14mm²にする |
| 配線を短くする | 長さが半分なら電圧降下は半分 | 分電盤を負荷の近くに置く |
| 電圧を上げる | 同じ電力なら電流が減り、割合で見た電圧降下も小さくなる | 100Vの機器を200Vの機器にする、単相を三相にする |
| 負荷を分ける | 1本の配線に流れる電流が減る | 回路を分けて、大きな機器を専用の回路にする |
家庭では、ドライヤーや電子レンジのように電流の大きい機器は壁のコンセントに直接つなぎ、延長コードを使うときは短く太いものを、巻いたままにせずに使います。
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電圧降下の対策:太く・短く・高い電圧・回路を分ける
電圧降下でよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
| 単相2線式で、片道の長さだけで抵抗を計算する | 電流は行きと帰りを通るので往復分。簡略式なら係数35.6に入っている |
| 簡略式に往復の長さを入れる | 簡略式のLは片道。往復を入れると2倍になる |
| 許容電流に収まれば、電圧降下も大丈夫 | 長い配線では、許容電流は足りても電圧降下で太さが決まることが多い |
| 三相も単相と同じ係数2で計算する | 平衡した三相3線式の線間の電圧降下は√3倍(簡略式は30.8) |
| 電圧降下はダイオードの電圧降下と同じもの | 言葉は同じでも、ダイオードの順方向電圧降下は部品の性質で、配線の抵抗による電圧降下とは別 |
よくある質問
Q. 電圧降下とは何ですか?
A. 電線の抵抗に電流が流れることで、電源から機器までの途中で電圧が下がる現象です。
Q. 電圧降下の原因は?
A. 電線が長い、電線が細い、流れる電流が大きいの3つです。電圧降下は電線の抵抗×電流で決まります。
Q. 電圧降下の計算式は?
A. 銅線の簡略式で、単相2線式は35.6LI/1000A、三相3線式は30.8LI/1000Aです。Lは片道の長さです。
Q. 電圧降下の許容値は?
A. 内線規程では、低圧で受電する場合、幹線と分岐回路それぞれ標準電圧の2%以下を原則としています。
Q. 電圧降下の対策は?
A. 電線を太くする、配線を短くする、電圧を上げて電流を減らす、回路を分けるなどの方法があります。
Q. 延長コードで電圧はどれくらい下がる?
A. 1.25mm²の10mの延長コードに12A流すと、往復20mの抵抗で約3.4V下がる計算です。
まとめ
- 電圧降下は、電線の抵抗×電流の分だけ、途中で電圧が下がる現象
- 原因は、電線が長い・細い・電流が大きいの3つ
- 簡略式は、単相2線式35.6、三相3線式30.8、単相3線式17.8(×L×I÷1000A、Lは片道)
- 内線規程の目安は、幹線・分岐回路それぞれ2%以下(低圧で受電する場合)
- 対策は、太く・短く・電圧を上げる・回路を分ける
電圧降下のまとめ:原因・目安・対策
この記事の理解を深める本と道具
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