電力科目の解説

【電験三種・電力】%インピーダンスと短絡電流|「%Z」の意味と計算を完全理解

😣 こんな経験はありませんか?
  • 「%インピーダンスって何?」と聞かれて「変圧器の内部インピーダンスを…えーと…」と詰まった
  • %Z = PZ/V² × 100 の公式は覚えたが、P・Z・Vが何を意味するのかあやふや
  • 基準容量が違う2台の変圧器の%Zを合成しろ、と言われてパニックになった
  • 短絡電流を求める計算で Is = 100In/%Z の「100」がどこから出てきたのか説明できない
  • 遮断器の定格遮断電流の選び方がわからず、選択肢で一番大きい数字を選んでしまった
✅ この記事でわかること
  • %インピーダンスの定義と意味を「蛇口の開き具合」のたとえで直感理解
  • %Z = PZ/V² × 100 の公式導出(途中式省略なし)
  • 基準容量が異なる場合の換算公式と計算例
  • 三相短絡電流 Is = 100In/%Z の導出と計算例
  • 遮断器の定格遮断電流の選び方

%インピーダンス(%Z)は、電験三種の電力科目における最大の難所の一つです。短絡電流の計算、遮断器の容量選定、さらには法規科目の問題にまで登場します。

「難しそう」と感じるかもしれませんが、本質はたった1つのシンプルな割り算です。「定格電流が流れたとき、インピーダンスによる電圧降下は定格電圧の何%か?」——これだけです。この記事では、この本質から出発して、公式の導出→基準容量の換算→短絡電流の計算→遮断器の選定まで、一切の途中式を省略せずに解説します。

%インピーダンス(%Z)とは何か?

まずは「%インピーダンスって、要するに何なの?」という根本の疑問を解消しましょう。

🚰 「蛇口の開き具合」で理解する

水道管をイメージしてください。蛇口を全開にしたとき(= 定格電流が流れたとき)、水圧が何%下がるか——これが%インピーダンスの本質です。

変圧器には内部にインピーダンスZ(主にリアクタンス)があります。電流が流れると、このZによって電圧降下が起きます。定格電流Inが流れたときのインピーダンス降下「Z × In」が、相電圧Enの何%にあたるか。これを百分率で表したものが%Zです。

📐 %Zの定義式

%Z =
Z × In
En
× 100 [%]

Z:インピーダンス [Ω]、In:定格電流 [A]、En:相電圧 [V]

つまり、%Zが大きい変圧器は「内部抵抗が大きい」ということです。水道管でいえば、パイプが細くて水圧がたくさん下がる蛇口です。逆に%Zが小さい変圧器は電圧降下が少ない=性能が良い。ただし%Zが小さいと、短絡事故時に大きな短絡電流が流れるというトレードオフがあります。

💡 %Zの直感的なイメージ
%Z = 5% の変圧器 → 「定格電流を流すと、電圧が5%下がる」
%Z = 10% の変圧器 → 「定格電流を流すと、電圧が10%下がる」

%Zが小さい → 電圧降下が小さい(性能◎)→ でも短絡電流が大きい(危険↑)
%Zが大きい → 電圧降下が大きい(性能△)→ でも短絡電流が小さい(安全↑)

%Zの公式を導出する(途中式省略なし)

定義式を変形して、試験で使いやすい形にしていきます。「なぜこの公式になるのか」を理解していれば、丸暗記する必要がなくなります。

📝 単相回路の場合

出発点:定義式

%Z = (Z × In / En) × 100

分母・分子にEnを掛ける(En × En = En² を作りたい)

%Z = (En × Z × In) / (En × En) × 100

    = (En × In × Z) / En² × 100

ここで En × In = Pn(単相の定格容量 [VA])だから

%Z = Pn × Z / En² × 100

📝 三相回路の場合(★試験で使う形)

三相回路では、定格容量は Pn = √3 × Vn × In [VA](Vnは線間電圧)、相電圧は En = Vn/√3 です。これを単相の場合と同じように変形します。

出発点:定義式(三相)

%Z = (Z × In / En) × 100

分母・分子に √3 × En を掛ける

%Z = (√3 × En × Z × In) / (√3 × En × En) × 100

√3 × En = Vn(線間電圧)だから

%Z = (Vn × In × Z) / (Vn × En) × 100

また、Pn = √3 × Vn × In かつ En = Vn/√3 より

分子:√3En × Z × In = Pn × Z
分母:√3 × En² = √3 × (Vn/√3)² = √3 × Vn²/3 = Vn²/√3

… 整理すると

%Z = (Pn × Z / Vn²) × 100
📐 %Zの公式(★最重要★)

%Z =
Pn × Z
Vn²
× 100 [%]

Pn:基準容量(定格容量)[VA]
Z:インピーダンス [Ω]
Vn:基準電圧(線間電圧)[V]

⚠️ この公式が最も重要
%Z = PnZ/Vn² × 100 は、電験三種の%Z計算で唯一覚えるべき公式です。単相でも三相でも、Pnに「その回路の定格容量」、Vnに「その回路の線間電圧(単相なら端子電圧)」を入れれば使えます。

なぜオーム法ではなく%Z法を使うのか?

ここで「別にΩ(オーム)のままでいいじゃないか。なぜわざわざ%に変換するのか?」という疑問が湧くかもしれません。理由は明確で、変圧器をまたぐとΩの値が変わってしまうからです。

🔍 オーム法の問題点

たとえば、66 kV → 6.6 kV に変圧する変圧器の一次側で Z = 10 Ω だったとします。これを二次側に換算すると、巻数比の2乗で割る必要があり、Z' = 10 / (66/6.6)² = 10/100 = 0.1 Ω になります。

電源側のインピーダンスと変圧器のインピーダンスと配電線のインピーダンスをすべて同じ電圧レベルに換算してから合成する必要がある——これがオーム法の面倒なところです。

✅ %Z法の利点

一方、%Zは基準容量さえ揃えれば、電圧レベルが異なってもそのまま足し算できます。変圧器の前後で電圧が変わっても、%Zの値は変わりません。なぜなら、%Z = PZ/V² × 100 において、変圧器の前後でPnとVn²は巻数比の2乗で相殺されるからです。

😫

オーム法の場合

① 電源側Zを一次側の値で持つ
② 変圧器Zも一次側で持つ
③ 配電線Zは二次側で持つ
④ 全部を「事故点の電圧」に換算
⑤ 換算後に合成…ミスの温床!

😊

%Z法の場合

① 基準容量を決める
② 全部の%Zを基準容量に換算
③ そのまま足し算で合成!
④ 電圧レベルの違いは無視OK
⑤ シンプル&ミスが少ない!

💡 ポイント
%Z法の最大の利点は「基準容量さえ揃えれば、直列は足し算、並列は合成抵抗と同じ計算で合成できる」ことです。変圧器の前後で電圧が変わっても気にする必要がありません。

基準容量が異なる場合の%Z換算

ここが多くの受験生がつまずくポイントです。問題文に「変圧器の%Zは10%(10 MVA基準)」「電源の%Zは2%(100 MVA基準)」のように基準容量が異なる%Zが混在する場合、そのまま足してはいけません。まず基準容量を揃える必要があります。

📐 換算公式

%Z = PnZ/Vn² × 100 の式を見てください。%ZはPn(基準容量)に比例します。したがって、基準容量をPAからPBに変更する場合の換算式は次のようになります。

📐 基準容量の換算公式

%ZB =
PB
PA
× %ZA

PA:元の基準容量、PB:新しい基準容量、%ZA:元の%Z

📝 計算例:基準容量の換算

問題:変圧器の%Z = 10%(10 MVA基準)を、100 MVA基準に換算せよ。

解法:
%Z100 = (100 / 10) × 10 = 100%

解釈:基準容量を10倍にすると、%Zも10倍になる。
⚠️ よくある間違い
基準容量が異なる%Zをそのまま足し算するミスが多発します。必ず「1つの基準容量に統一してから合成」してください。どの基準容量を選ぶかは問題によりますが、通常は変圧器の定格容量か、問題文で指定された値に揃えます。

三相短絡電流の計算方法

%Zを学ぶ最大の目的がこれです。「三相短絡事故が起きたら、どのくらいの過大電流が流れるか?」を計算し、それに耐えられる遮断器を選定する——これが%Z法の存在意義です。

🔍 短絡電流の公式を導出する

三相短絡電流Isは、相電圧Enを合計インピーダンスZsで割ったものです。

出発点:オームの法則

Is = En / Zs  …①

%Zの定義式から

%Z = (Zs × In / En) × 100

これを変形すると
En / Zs = 100 × In / %Z  …②

①に②を代入すると

Is = 100 × In / %Z [A]
📐 三相短絡電流の公式(★暗記必須★)

Is =
100 × In
%Z
[A]

Is:三相短絡電流 [A]
In:基準電流(定格電流)[A] = Pn / (√3 × Vn)
%Z:事故点から電源側を見た合成%Z [%]

💡 「100」の意味
Is = 100In/%Z の「100」は、%を数値に戻すための100です。たとえば%Z = 10%なら、Is = 100 × In / 10 = 10 × In。つまり定格電流の10倍の短絡電流が流れる、ということです。%Zが「定格電流の何倍の短絡電流が流れるか」の逆数(× 100)だと覚えると直感的です。

【計算例】短絡電流と遮断器の選定

実際の試験問題に近い形式で計算してみましょう。令和2年度問8の類題です。

📝 問題設定

三相変圧器の仕様:
・定格容量:20 MVA
・一次側定格電圧:77 kV
・二次側定格電圧:6.6 kV
・%Z = 10.6%(20 MVA基準)

電源の%Z = 1.1%(20 MVA基準)

二次側で三相短絡事故が発生したとき、短絡電流は何 kA か。
また、遮断器の定格遮断電流として適切な値を選べ。
選択肢:(1) 1.5 kA (2) 2.6 kA (3) 6.0 kA (4) 20.0 kA (5) 260.0 kA

📝 解法(途中式あり)

STEP1:合成%Zを求める

基準容量がどちらも20 MVAなので、そのまま足し算OK!

%Z = %Z電源 + %Z変圧器
   = 1.1 + 10.6
   = 11.7 [%]

STEP2:二次側の定格電流Inを求める

In = Pn / (√3 × Vn)
   = 20 × 10⁶ / (√3 × 6.6 × 10³)
   = 20,000,000 / 11,431
   ≒ 1,750 [A]

STEP3:三相短絡電流Isを求める

Is = 100 × In / %Z
   = 100 × 1,750 / 11.7
   = 175,000 / 11.7
   ≒ 14,957 [A] ≒ 15.0 [kA]

STEP4:遮断器を選定する

短絡電流 15.0 kA を遮断できる遮断器が必要。
→ 15.0 kAを超える最小の選択肢は (4) 20.0 kA
📐 答え:(4) 20.0 kA
⚠️ 遮断器選定のルール
遮断器の定格遮断電流は、計算で求めた短絡電流を上回る最小の値を選びます。今回なら 15.0 kA なので、6.0 kA では足りず、20.0 kA が正解です。260.0 kA でも遮断はできますが、過大な仕様はコスト増になるため「最も近いもの」を選ぶのが試験の定番です。

%Z → 短絡電流 → 遮断器選定の計算フロー

試験本番では、この4ステップを「型」として体に覚えさせてください。どんな問題が来ても、この流れで解けます。

STEP 1

基準容量を決める

問題文で指定されている場合はその値を使う。指定がなければ変圧器の定格容量を基準とするのが一般的。

STEP 2

全ての%Zを基準容量に換算して合成

%ZB = (PB/PA) × %ZA で換算。直列は足し算、並列は合成抵抗と同じ(積/和)。

STEP 3

基準電流Inを求める

In = Pn / (√3 × Vn)。Vnは事故点の電圧(二次側事故なら二次側電圧)を使う。

STEP 4

短絡電流Isを求め、遮断器を選定

Is = 100 × In / %Z。この値を上回る最小の定格遮断電流を持つ遮断器を選ぶ。

🔧 現場での使われ方
実務では、電源の短絡容量がメーカーから「1,000 MVA」のように与えられることがあります。この場合、電源の%Zは %Zg = (基準容量/短絡容量) × 100 で計算します。たとえば基準容量 10 MVA、短絡容量 1,000 MVA なら %Zg = (10/1,000) × 100 = 1% です。

%Zと短絡電流の関係を表で確認

%Zの値によって、短絡電流が定格電流の何倍になるかを一覧にまとめました。%Zの「体感」を掴むのに役立ちます。

📊 %Zと短絡電流の倍率

合成%Z 短絡電流 Is 定格電流の何倍? イメージ
1% 100 × In 100倍 ⚡ 超巨大短絡電流
5% 20 × In 20倍 ⚡ 大きい
10% 10 × In 10倍 一般的な変圧器
20% 5 × In 5倍 短絡電流が抑えられる
50% 2 × In 2倍 電流制限リアクトル等
💡 覚え方
%Z = 100 / 倍率」と覚えると便利です。%Z = 10% なら 100/10 = 10倍、%Z = 5% なら 100/5 = 20倍。シンプルな逆数関係です。

短絡容量とは?(応用知識)

試験では「短絡容量 [MVA]」を問われることもあります。短絡容量Psは、短絡電流Isと事故点の電圧から計算される「見かけの電力」です。

📐 短絡容量の公式

Ps = √3 × Vn × Is [VA]

Is = 100In/%Z を代入すると

Ps = √3 × Vn × 100In/%Z = 100Pn/%Z [VA]

つまり Ps = (100/%Z) × Pn

先ほどの計算例で確認します。Pn = 20 MVA、%Z = 11.7% のとき、

Ps = 100 × 20 / 11.7 ≒ 171 MVA

この値は、遮断器の定格遮断容量(定格電圧 × 定格遮断電流 × √3)と比較して使います。

💡 ポイント
短絡電流と短絡容量の関係は「P = √3VI」の三相電力の公式そのままです。特別な公式ではありません。Is に √3Vn を掛けるだけです。

%Zの全公式を1枚で総整理

試験直前に見返せるよう、この記事で登場した公式をすべてまとめます。

📋 公式チートシート

公式名 公式 使いどころ
%Zの定義 %Z = (Z×In / En) × 100 意味を理解するとき
%Z(★最重要) %Z = PnZ/Vn² × 100 Ω → %Z の変換
基準容量の換算 %ZB = (PB/PA) × %ZA 基準が異なる%Zを揃える
基準電流 In = Pn / (√3 × Vn) 事故点の電圧で計算
短絡電流(★暗記) Is = 100×In / %Z 三相短絡電流を求める
短絡容量 Ps = 100×Pn / %Z 遮断容量との比較
%Zの別表現 %Z = (In / Is) × 100 定格と短絡の比
💡 最低限覚えるのは3つだけ
%Z = PnZ/Vn² × 100(Ω → %Z の変換)
%ZB = (PB/PA) × %ZA(基準容量の換算)
Is = 100×In / %Z(短絡電流)

この3つを覚えていれば、残りはすべて導けます。

まとめ

📌 この記事のポイント
  • %Zの本質:「定格電流を流したとき、インピーダンスで電圧が何%降下するか」
  • なぜ%Z法を使うか:変圧器をまたいでも電圧換算不要。基準容量を揃えるだけで足し算できる
  • 最重要公式:%Z = PnZ/Vn² × 100
  • 基準容量の換算:%ZB = (PB/PA) × %ZA(%Zは基準容量に比例する)
  • 短絡電流:Is = 100 × In / %Z → %Z = 10%なら定格の10倍の電流が流れる
  • 遮断器選定:短絡電流を上回る最小の定格遮断電流を選ぶ

%インピーダンスは「電力科目最大の難所」と言われますが、その本質は「蛇口の開き具合」=電圧降下の割合です。一度腑に落ちれば、あとは同じパターンの繰り返し。計算手順を「型」として体に染み込ませることが、合格への最短ルートです。

法規科目でも%Zの計算は出題されます。この記事の内容を完全に理解していれば、電力・法規の両方で得点できるようになります。

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