分電盤を開けて見たら、ブレーカーがズラッと並んでいる。一番大きいのが「契約アンペアブレーカー」、その隣にも何やら大きめの黒いやつがあって、さらに小さいスイッチがいくつも。「家ってこんなにブレーカーあったの?」と驚いた経験はありませんか?
あるいは、ブレーカーが落ちて家中の電気が止まったとき。「テストボタン」が付いているブレーカーと、付いていないブレーカーがあることに気づいて、「これって何が違うんだろう?」と思ったことはないでしょうか?実はあれ、まったく別の仕事をしているんです。
😣 こんな疑問はありませんか?- 分電盤の「漏電遮断器」と「配線用遮断器」って何が違うの?
- なぜ2種類のブレーカーが必要なの?1個で良くない?
- ELB・MCCB・ELCBなど英語の略語が多すぎてわからない
- どっちのブレーカーが落ちたとき、何をすればいい?
- 2つのブレーカーの違いを「家の警備員」のたとえで5分で理解
- それぞれのブレーカーが「何を守っているか」
- 分電盤の見方と、自分の家のブレーカー構成の確認方法
- どっちが落ちたかで原因が特定できる対処法フロー
目次
結論:守るものが「人」と「家」で違うんです
最初に結論をお伝えします。2種類のブレーカーは、守る対象が違うから両方必要なんです。
・漏電遮断器(ELB)=「人」を守るブレーカー。感電や火災から命を守る
・配線用遮断器(MCCB)=「家の電線」を守るブレーカー。電線が燃える前に止める
両方ないと「人もモノも守れない」ので、2種類必要なのです。
日本の家庭の分電盤には、法律(電気設備技術基準)で「漏電遮断器の設置」が義務づけられています。それぞれが別の危険を察知して、別のタイミングで電気を止めてくれる「2段構えの安全装置」というわけです。

2つのブレーカーは「2人の警備員」のようなもの
2つのブレーカーの違いをイメージで掴むには、「家を守る2人の警備員」を思い浮かべるのが一番わかりやすいです。
警備員A:漏電遮断器
- 担当:「人の命」を守る
- 見張るもの:電気が外に漏れていないか
- 察知する対象:感電・火災のリスク
- 反応の早さ:超高速(0.1秒以内)
- テストボタンが付いている
警備員B:配線用遮断器
- 担当:「家の電線」を守る
- 見張るもの:流れている電流が多すぎないか
- 察知する対象:過電流・電線の発熱
- 反応の早さ:状況により数秒〜数分
- テストボタンは付いていない
この2人がチームを組んで家を守っているわけです。1人だけでは見逃してしまう危険があるから、それぞれの専門分野を持った2人がペアで配置されているのです。
「漏電」と「過電流」はまったく別の現象です。だから1つのブレーカーでは両方を完璧に検知できない。それぞれに専門のブレーカーを置くことで、「すり抜け」を防いでいるのです。

そもそも「ブレーカー」って何をしてるの?
ブレーカーとは、「異常を察知したら、自動で電気を止めるスイッチ」のことです。家の中に何か危険が起きたとき、被害が広がる前に電気を遮断してくれます。
漏電遮断器(ELB)の仕事
漏電遮断器は、英語でELB(Earth Leakage Breaker)またはELCB(Earth Leakage Circuit Breaker)と呼ばれます。日本では「ろうでんしゃだんき」と読み、「漏電ブレーカー」と省略されることもあります。
仕事はたった一つ。「家の中で電気がどこかに漏れていないか」を監視すること。電気が本来の電線以外の場所(人体や水、建物の金属部分など)に流れた瞬間、0.1秒以内に電気を止めます。
配線用遮断器(MCCB)の仕事
配線用遮断器は、英語でMCCB(Molded Case Circuit Breaker)と呼ばれます。日本では「はいせんようしゃだんき」。家庭でよく見るサイズのものは「NFB(No Fuse Breaker)」とも呼ばれます。
こちらの仕事は「電線に流れる電流が多すぎないかを監視する」こと。家電を使いすぎたり、電線がショート(短絡)したりして大電流が流れると、電線が発熱して最悪の場合燃えてしまいます。それを防ぐため、規定値を超えたら自動で電気を切ってくれます。
| 項目 | 漏電遮断器(ELB) | 配線用遮断器(MCCB) |
|---|---|---|
| 守るもの | 人の命 | 家の電線 |
| 検知するもの | 電気の漏れ | 電流の流れ過ぎ |
| 反応速度 | 0.1秒以内(超高速) | 数秒〜数分 |
| テストボタン | あり(黄色or赤) | なし |
| 設置場所 | 分電盤の中央付近 | 分電盤の右側に並ぶ |
| 別名 | 漏電ブレーカー、ELCB | 安全ブレーカー、NFB |

なぜ「漏電」と「過電流」は別物なのか?
ここが本記事のキモです。漏電と過電流は、まったく別の現象。だから別々のブレーカーが必要になる。それぞれを身近なたとえで見ていきましょう。
「漏電」とは|水道管にヒビが入った状態
漏電とは、本来の電線以外の場所に電気が流れてしまう状態です。水道管にたとえると、「パイプにヒビが入って、水が外に漏れている」状態と同じ。
- 古い電化製品の配線が劣化して、本体の金属部分に電気が漏れる
- 洗濯機が水濡れし、電気が水を伝って外へ漏れる
- ネズミに電線をかじられて、絶縁部分が破れる
- 古い屋外配線の被覆が雨や紫外線で劣化する
漏電が怖いのは、触った人が感電すること。最悪の場合、命に関わります。だから漏電遮断器は0.1秒以内という超高速で電気を止める必要があるのです。
「過電流」とは|水道管に水を流しすぎた状態
過電流とは、電線が想定する量を超えて電流が流れる状態です。水道管にたとえると、「細いパイプに、無理やり大量の水を流そうとしている」状態。
- タコ足配線で1つのコンセントに大電力家電を集中させる
- 電線がショート(短絡)して、抵抗ゼロで大電流が流れる
- 家電の故障で内部の配線がショートする
- 1つの回路に容量を超える家電を繋いでいる
過電流が怖いのは、電線が発熱して最終的には燃えること。火災に直結します。配線用遮断器は、電線が危険な温度に達する前に電気を止めてくれます。

分電盤を開けて確認|あなたの家のブレーカー構成
実際に分電盤を開けて、自分の家のブレーカーを確認してみましょう。一般的な家庭の分電盤は、左から右へ3種類のブレーカーが並んでいます。
超えたら落ちる
察知して落ちる
過電流で落ちる
①アンペアブレーカー(左端の大きいやつ)
契約しているアンペア数(30A・40Aなど)を超えると落ちる、電力会社のブレーカーです。色付きで「30A」などの表示があります。
②漏電遮断器(中央の黒いやつ・テストボタン付き)
アンペアブレーカーの右隣にある黒いブレーカーで、「テスト」と書かれた黄色や赤色の小さなボタンが付いているのが特徴です。これが漏電遮断器です。家全体の漏電を監視しています。
③配線用遮断器(右側にズラッと並ぶ小さなスイッチ)
右側に並ぶ小さなブレーカー群が配線用遮断器(安全ブレーカー)です。これらは部屋ごと・回路ごとに分かれていて、「リビング」「キッチン」「エアコン専用」などのラベルが貼られていることが多いです。
漏電遮断器は家全体に1つ、配線用遮断器は部屋・回路ごとに複数あります。だから「リビングだけ電気が消えた」なら配線用遮断器が落ちている、「家全体が真っ暗」なら漏電遮断器かアンペアブレーカーが落ちている、という判別ができます。

ブレーカーが落ちた!どっちが原因か3秒で見抜く方法
ブレーカーが落ちて家中の電気が消えた瞬間、慌てる前に分電盤を確認しましょう。「どのブレーカーが下がっているか」を見るだけで、原因が特定できます。
左端のアンペアブレーカーだけ落ちている
→家電の同時使用しすぎが原因。電子レンジ・ドライヤー・エアコンなどを一気に使ったとき。家電を減らして、レバーを上げ直せばOK。
中央の漏電遮断器が落ちている(テストボタン付き)
→どこかで漏電している可能性大。家電の故障や水濡れが原因かも。下手に上げ直すと感電のリスクがあるので、慎重に対処してください(後述)。
右側の配線用遮断器が1つだけ落ちている
→その回路だけ過電流。たとえばキッチンのコンセントに同時に大電力家電を繋ぎすぎたなど。落ちた回路の家電を減らして、レバーを上げ直せばOK。
漏電遮断器が落ちたときの正しい対処法
漏電遮断器が落ちたときは、慌てて上げ直さず、次の手順で原因を特定してください。
全部「下」にする
「上」に戻す
1つずつ上げる
原因特定
この方法で「どの部屋(回路)で漏電しているか」を特定できます。問題の回路がわかったら、その部屋の家電を1つずつ調べて、漏電している家電を見つけてください。
漏電遮断器が何度も落ちる場合、原因不明の場合、水濡れが疑われる場合は、絶対に自分で対処せず、電気工事業者や電力会社に連絡してください。漏電は感電・火災に直結する重大なリスクです。

漏電遮断器の「テストボタン」|半年に1回押すべき理由
漏電遮断器に付いている「テストボタン」(黄色or赤色の小さなボタン)は、「ブレーカー自身が壊れていないか確認するためのボタン」です。
テストボタンを押すとどうなる?
ボタンを押すと、ブレーカー内部で「漏電が起きた状態」を意図的に再現します。正常なら、レバーが「下」に下がって電気が止まります。これで「ちゃんと働く状態にある」と確認できるわけです。
- 分電盤を開ける
- 漏電遮断器のテストボタンを「カチッ」と押す
- レバーが下に落ちれば正常
- レバーを上に戻して終了
なぜ定期的にテストする必要があるのか?
漏電遮断器も機械です。長年使っていると故障して動作しなくなることがあります。普段の生活では「ちゃんと働くか」を確認できないので、いざ漏電が起きたときに動かなかったら命取りです。
メーカーは「半年に1回のテスト」を推奨しています。電力会社のしおりにも記載されているのですが、実際にやっている家庭は少ないのが現実です。年に2回、6月と12月など覚えやすい時期にやる習慣をつけると安心です。
テストボタンを押してもレバーが下がらない場合は、漏電遮断器が故障しています。すぐに電力会社や電気工事業者に連絡し、交換してもらってください。故障したまま使い続けるのは命に関わるリスクです。

もっと詳しく|知っておくと役立つ豆知識
豆知識①:ELBは「30mA・0.1秒」が標準
家庭用の漏電遮断器は、「30ミリアンペアの漏れを0.1秒以内に検知して止める」のが標準です。30mAというのは、人間が感電したときに「危険」とされる電流値の境目。それより手前で止めることで、命を守る設計になっています。
豆知識②:MCCBは「ヒューズの進化版」
昔の家には「ヒューズ」という、過電流が流れると金属が溶け切れる仕組みの安全装置がありました。配線用遮断器(MCCB)は、その進化版です。「No Fuse Breaker(NFB)」という別名は、「ヒューズなしで切れるブレーカー」という意味から来ています。
豆知識③:実は漏電遮断器も過電流を検知する
ややこしい話ですが、家庭用の漏電遮断器は実は「漏電」と「過電流」の両方を検知できる多機能タイプがほとんどです。だから「漏電遮断器1個で良くない?」と思いがちですが、それでもMCCBが部屋ごとに設置されているのは、「どの回路で異常が起きたか特定するため」です。
漏電遮断器1個だけだと、漏電・過電流が起きたとき家中の電気が止まってしまいます。MCCBで部屋ごとに分けておけば、「キッチンだけ電気が止まる」などピンポイントで切断できる。これが2種類のブレーカーが必要な、もう一つの理由です。
豆知識④:法律で設置が義務化されている
日本の電気設備技術基準では、「水気のある場所に電気を引く場合は、漏電遮断器の設置が義務」と定められています。一般家庭はほぼすべて該当するので、新築・リフォーム時には必ず設置されています。築古の家でも、リフォームのタイミングで設置するのが推奨されています。

電気の安全 完全ナビ|命と家を守る9記事
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まとめ:2人の警備員が、命と家を守ってくれている
- 漏電遮断器(ELB)=「人の命」を守るブレーカー。電気の漏れを察知
- 配線用遮断器(MCCB)=「家の電線」を守るブレーカー。電流の流れすぎを察知
- 守るものが違うので、両方が必要
- 分電盤の中央にテストボタン付きが漏電遮断器、右側に並ぶ小さいのが配線用遮断器
- ブレーカーが落ちたら、どれが下がっているかで原因が特定できる
- 漏電遮断器が落ちたら慎重に対処。原因不明なら必ずプロに連絡
- テストボタンは半年に1回押して動作確認すべき
- 家庭用は「30mA・0.1秒」で命を守る設計
家の分電盤に並ぶブレーカーは、「ただの電気のスイッチ」ではなく、命と家を守る安全装置です。それぞれの役割を知っておけば、いざというときに慌てずに対処できますし、自分の家の安全状態を把握することもできます。
この記事を読み終わったら、ぜひ一度分電盤を開けて、自分の家のブレーカー構成を確認してみてください。そして、もし漏電遮断器のテストボタンを押したことがなければ、今日が良いタイミングです。
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