電気の基礎

ブレーカーが落ちる原因は3つ|漏電・過電流・短絡の見分け方と復旧手順

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

「バチン!」という音とともに、突然まっ暗になる部屋。

ドライヤーを使っただけなのに…。電子レンジと電気ケトルを同時に使っただけなのに…。「ブレーカーが落ちた」という経験、一度はありますよね。

でも、こんなことを思ったことはないでしょうか?

こんな悩みはありませんか?
  • そもそも「ブレーカーが落ちる」って、何が起きているの?
  • 分電盤にスイッチがたくさんあるけど、どれが何の役割?
  • 「漏電」と「過電流」と「短絡(ショート)」の違いがわからない
  • ブレーカーが落ちたとき、どうやって復旧すればいいの?
○ この記事でわかること
  • ブレーカーが落ちる3つの原因(過電流・短絡・漏電)を図解
  • 分電盤にある3種類のブレーカーの役割と違い
  • それぞれのブレーカーが落ちたときの正しい復旧手順
  • ブレーカーを落とさないための日常の予防策
結論|まず30秒でわかる答え

ブレーカーが落ちる原因は、電気の使いすぎ(過電流)・漏電・ショート(短絡)の3つです。どのブレーカーが落ちたかで原因の見当がつき、アンペアブレーカーなら家全体の使いすぎ、漏電ブレーカーなら主に漏電、安全ブレーカーが1つだけ落ちたならその回路の使いすぎかショートが疑われます。

この記事では、電気の専門知識がゼロの方でもスッキリ理解できるよう、「水道」にたとえながらやさしく図解していきます。

一度理解してしまえば、次にブレーカーが落ちても慌てず対処できるようになりますよ。

そもそもブレーカーとは?|「電気の水道の元栓」だと思えばOK

ブレーカーを一言で説明すると、「危ない!と感じたら自動で電気を止めてくれる安全装置」です。

水道にたとえると、こんなイメージです。

水道の場合

水を使いすぎると水圧が下がる。水漏れが起きると床が水浸しになる。だから「元栓」がある。

電気の場合

電気を使いすぎると配線が発熱する。漏電すると感電・火災の危険がある。だから「ブレーカー」がある。

つまり、ブレーカーが落ちる=自動元栓が閉まるということ。ブレーカーが落ちてくれるおかげで、感電や火災から私たちを守ってくれているのです。

ポイント
ブレーカーが落ちる=「異常が起きたから電気を止めてくれた」ということ。落ちること自体は正常な安全動作です。怒るべきは「ブレーカーが落ちたこと」ではなく、「落ちる原因を放置すること」です。

分電盤には3種類のブレーカーがいる

家の玄関近くやお風呂場の上などに「分電盤(ぶんでんばん)」と呼ばれるボックスがあります。扉を開けると、スイッチがズラッと並んでいますよね。

実はこのスイッチ、3種類のブレーカーで構成されています。

種類 位置 役割(水道でたとえると) 落ちるとどうなる?
①アンペアブレーカー
(サービスブレーカー)
分電盤の左側 水道局との契約水量を超えたら止まる「大元の元栓」 家全体が停電
②漏電ブレーカー
(漏電遮断器)
分電盤の中央 水漏れを検知したら止まる「水漏れセンサー」 家全体が停電
③安全ブレーカー
(配線用遮断器)
分電盤の右側
(複数並んでいる)
各部屋の使いすぎを止める「各部屋の蛇口の制限」 特定の部屋だけ停電
覚え方のコツ
分電盤を左から見て「①全体の電力量を管理 → ②漏電を監視 → ③各部屋に分配」と覚えるとスッキリします。電気の「流れ」と同じ左→右の順番です。

※最近は「スマートメーター」が普及し、アンペアブレーカーが設置されていないお宅もあります。その場合は②漏電ブレーカーと③安全ブレーカーの2つだけです。

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ブレーカーが落ちる3つの原因を図解

ブレーカーが落ちる原因は、大きく分けるとたった3つしかありません。

原因①
過電流
電気の使いすぎ
原因②
短絡(ショート)
電線同士が接触
原因③
電気が外に漏れる

それぞれを水道にたとえながら、一つずつ見ていきましょう。

原因① 過電流|「蛇口を開きすぎ」

最も多い原因がこれです。一度にたくさんの家電を使い、流れる電流が許容値を超えてしまう状態を「過電流」と言います。

水道でたとえると

キッチン・お風呂・洗濯機…家中の蛇口を全開にしたら、水道管のキャパを超えてしまう。

電気で起きていること

ドライヤー(1,200W)+電子レンジ(1,500W)+電気ケトル(1,300W)を同時に使うと合計4,000W。20Aの回路では2,000Wが上限なので、すぐに落ちる。

なぜ危険?
電線に流れすぎた電流は「ジュール熱」で電線を発熱させます。放置すると配線の被覆が溶け、火災の原因になります。ブレーカーはこの発熱を防ぐために落ちてくれているのです。

原因② 短絡(ショート)|「水道管が破裂」

「短絡」とは、プラス側の電線とマイナス側の電線が直接くっついてしまう状態です。英語で「ショート(short circuit)」とも言います。

水道でたとえると

水道管に穴が開いて、行きの管と帰りの管が直結。水が一瞬で大量に流れ出す大惨事。

電気で起きていること

電線の被覆が劣化してむき出しになり、2本の電線が接触。抵抗がほぼゼロになるため、数千アンペアの大電流が一瞬で流れる。

過電流との違い
過電流は「使いすぎで徐々に限界を超える」のに対して、短絡は「一瞬でとんでもない大電流が流れる」のが特徴です。短絡のほうがはるかに危険で、ブレーカーも瞬時に落ちます。ブレーカーを戻してもすぐまた落ちる場合は、短絡の可能性があります。

原因③ 漏電|「水道管からの水漏れ」

「漏電」とは、本来流れるべきルート(電線の中)から電気が外に漏れ出す状態です。

水道でたとえると

水道管にヒビが入って、壁の中でジワジワと水漏れ。気づかないうちに被害が広がる。

電気で起きていること

電線の絶縁体が劣化したり、家電内部に水が入ったりして、電気が金属の外装や壁の中を伝って地面へ流れ出す。

漏電は最も怖い
漏電は目に見えません。放置すると、漏れた電流が人体を通ったとき「感電」し、最悪の場合命に関わります。また、漏れた電流が発熱し「火災」の原因にもなります。だから漏電ブレーカーが別途存在するのです。

3つの原因を一覧で比較

原因 水道のたとえ 具体例 落ちるブレーカー 危険度
過電流 蛇口の開きすぎ 家電の同時使用 アンペア or 安全
短絡 水道管が破裂 電線の接触・家電の故障 安全
漏電 管からの水漏れ 絶縁劣化・家電への浸水 漏電ブレーカー

3種類のブレーカーの仕組みを図解

ここでは、それぞれのブレーカーが「どうやって異常を検知して、どうやって電気を止めるのか?」をやさしく解説します。

① アンペアブレーカー|家全体の「使いすぎ防止」

電力会社と契約したアンペア数(例:30A、40A、60Aなど)を超える電流が流れると、自動で落ちるブレーカーです。

具体例

契約が 30A(アンペア) の家庭で、家中の家電の合計が30Aを超えると、アンペアブレーカーが落ちて家全体が停電します。

30A = 100V × 30A = 3,000W が上限。エアコン(1,000W)+電子レンジ(1,500W)+ドライヤー(1,200W)= 3,700Wで超過!

補足
スマートメーターが設置されているお宅では、アンペアブレーカーが設置されていないことがあります。その場合はスマートメーター側で電流の管理が行われ、超過すると約10秒間の停電後に自動復旧します。

② 漏電ブレーカー|「行きと帰りの電流の差」で漏電を見抜く

漏電ブレーカーの仕組みは、実はとてもシンプルです。

正常な状態では、コンセントから出ていく電流(行き)と、コンセントに戻ってくる電流(帰り)はまったく同じ量です。

しかし、途中で電気が漏れていると、帰りの電流が少なくなります。この「行きと帰りの差」を検知するのが漏電ブレーカーです。

正常時

行きの電流 10A → 家電を通過 → 帰りの電流 10A
→ 差はゼロ → OK!何も起きない ○

漏電時

行きの電流 10A → 途中で0.03A(30mA)が地面に漏れる → 帰りの電流 9.97A
→ 差が30mA → 漏電検知!ブレーカーが0.1秒以内に落ちる

30mA ってどのくらい?
たった0.03アンペアです。人体に15mA以上の電流が流れると「自力で手を離せなくなる」と言われています。漏電ブレーカーはそれよりも大きい30mAで反応し、感電事故を未然に防いでくれるのです。

③ 安全ブレーカー|各部屋の「電気の使いすぎ番人」

安全ブレーカーは、分電盤の右側にズラッと並んでいる小さなスイッチです。それぞれが「キッチン」「リビング」「洗面所」など各回路(部屋やコンセント群)に対応しています。

1つの回路は通常20A(2,000W)が上限です。その回路内で使いすぎたり、ショートが起きたりすると、その回路に対応した安全ブレーカーだけが落ちます。

よくあるシーン

キッチンで電子レンジ(1,500W)と電気ケトル(1,300W)を同時に使う → 合計2,800W → キッチンの安全ブレーカーが落ちる → キッチンだけ停電(他の部屋は大丈夫)

ポイント
安全ブレーカーが落ちるのは「過電流」か「短絡(ショート)」のどちらかです。漏電は安全ブレーカーでは検知できません。だから漏電ブレーカーが別に必要なのです。
おすすめの本

電気回路の基本があいまいなときは、入門書で土台を固めておくと理解が進みます。電気回路の基本を、つまずいている人向けにやさしく解説した入門書です(オーム社)。

どのブレーカーが落ちた?|「停電の範囲」で一瞬で見分ける

ブレーカーが落ちたとき、まず確認すべきは「どこが停電しているか?」です。停電の範囲で、落ちたブレーカーの種類が一瞬でわかります。

停電したらまずこれを確認!

確認①

お隣の家も停電していますか?

→ YES:停電です(ブレーカーは関係ありません。電力会社に確認を)

→ NO:ブレーカーが落ちた可能性あり。次へ ↓

確認②

家全体が停電ですか?それとも一部の部屋だけですか?

→ 家全体:アンペアブレーカーか漏電ブレーカーが落ちた

→ 一部の部屋だけ:安全ブレーカーが落ちた。次へ ↓

確認③

分電盤を開けて、レバーが下がっているブレーカーを確認しましょう。

→ 左側の大きなスイッチが下がっている → アンペアブレーカー

→ 中央のスイッチが下がっている → 漏電ブレーカー

→ 右側の小さなスイッチの1つが下がっている → 安全ブレーカー

漏電ブレーカーが落ちた場合は要注意!
漏電ブレーカーが落ちた場合は、感電・火災のリスクが潜んでいます。むやみにスイッチを上げず、次章の「正しい復旧手順」に従ってください。

ブレーカーが落ちたときの正しい復旧手順

ブレーカーの種類によって、復旧の手順が異なります。特に漏電ブレーカーは慎重な対応が必要です。

① アンペアブレーカーが落ちた場合

STEP 1
使用中の家電の
電源を切る
→
STEP 2
ブレーカーの
レバーを上げる
→
STEP 3
同時使用する家電
を減らして再開

② 安全ブレーカーが落ちた場合

STEP 1
その回路の家電
をすべてOFF
→
STEP 2
落ちたブレーカー
のレバーを上げる
→
STEP 3
家電を1つずつ
ONにして原因特定
すぐまた落ちる場合
レバーを上げてもすぐに落ちる場合は、短絡(ショート)が起きている可能性があります。すべてのプラグを抜いた状態で上げても落ちるなら、配線自体の問題です。電気工事店への連絡をおすすめします。

③ 漏電ブレーカーが落ちた場合【最も慎重に!】

漏電ブレーカーが落ちた場合は、安全ブレーカーを1つずつONにして漏電箇所を特定するのが正しい手順です。

STEP 1

安全ブレーカーをすべて「切」にする
分電盤右側の小さなスイッチを全部下げます。

STEP 2

漏電ブレーカーを「入」にする
一度「切」にしてから「入」に上げます。

STEP 3

安全ブレーカーを「1つずつ」入れる
1つ入れるごとに漏電ブレーカーが落ちないか確認します。

STEP 4

漏電ブレーカーが再度落ちた回路が犯人!
その回路は「切」のまま残し、他の回路を復旧。漏電している回路は電気工事店に点検を依頼しましょう。

絶対にやってはいけないこと
漏電の原因がわからないまま、漏電ブレーカーを無理やり上げ続けるのは絶対にNGです。漏電は感電や火災に直結します。原因が特定できない場合は、迷わず電気工事店や電力会社に連絡してください。

ブレーカーを落とさないための5つの予防策

対策 具体的にやること
① 消費電力の大きい家電の同時使用を避ける ドライヤー・電子レンジ・電気ケトルは「同時に使わない」を習慣に。
② 消費電力を把握する 各家電の消費電力(W数)を確認し、1回路2,000Wを超えないように。
③ たこ足配線をやめる 1つのコンセントに大量の家電を接続しない。延長コードの定格を確認。
④ アース線を正しく接続する 洗濯機・電子レンジ・冷蔵庫のアース線をコンセントの端子に確実に接続。
⑤ 漏電ブレーカーのテストボタンを定期確認 漏電ブレーカーの「テスト」ボタンを月1回押して、正常に動作するか確認。
契約アンペア数が足りない場合
何度もアンペアブレーカーが落ちる場合は、生活スタイルに対して契約アンペア数が低すぎる可能性があります。電力会社に連絡すれば、契約アンペアを上げることができます(月々の基本料金は上がります)。
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まとめ|ブレーカーは「あなたを守る安全装置」

最後に、この記事の内容をおさらいしましょう。

この記事のまとめ
  • ブレーカーが落ちる原因は「過電流」「短絡(ショート)」「漏電」の3つ
  • 分電盤には「アンペアブレーカー」「漏電ブレーカー」「安全ブレーカー」の3種類がある
  • 家全体が停電 → アンペア or 漏電ブレーカー。一部だけ停電 → 安全ブレーカー
  • 漏電ブレーカーが落ちた場合は安全ブレーカーを1つずつ入れて犯人を特定
  • 原因がわからない場合は、無理せず電気工事店に相談

ブレーカーが落ちると「もう!」とイライラしがちですが、裏を返せばブレーカーが正常に働いてくれたおかげで、火災や感電を防げたということです。

この記事をきっかけに、一度ご自宅の分電盤を開けて、3種類のブレーカーの位置を確認してみてください。いざというとき、慌てずに対処できますよ。

S
シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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ここまでで、ブレーカーが落ちる3つの原因と、落ちたブレーカーから原因を見分ける方法がわかりました。次は、ブレーカーが入っている分電盤や、漏電そのものの仕組みを見ていきましょう。

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